HOME / 独学の科学 / 独学・勉強法のよくある質問

独学・勉強法のよくある質問

独学と勉強法のよくある質問に、研究でわかったことから答えます。答えはそれぞれの記事(論文などの出典を確認済み)の内容です。くわしい根拠は各記事で読めます。

勉強法の効く・効かない早見表も見る

記憶・覚え方

暗記カードは小さな束に分けた方が覚えやすいですか?

研究では逆でした。Kornell(2009)の実験では、カードを4つの小さな束に分けて1束ずつ覚えるより、大きな1束でまとめて回した方がよく覚えていました。1束にすると、同じカードに戻るまでの間隔が自然に長くなるためです。

記事を読む:暗記カードの効果的な使い方。研究でわかった「分けない・すぐ外さない」
覚えたカードは束から外してもいいですか?

1回正解しただけで外すのは早すぎます。Kornell・Bjork(2008)では、自由に外せる条件の方が、少しですが一貫して成績が下がりました。外すなら、日をあけて2〜3回正解してからにしましょう。

記事を読む:暗記カードの効果的な使い方。研究でわかった「分けない・すぐ外さない」
カードはめくって答えを見るだけでもいいですか?

答えを見る前に、自分で思い出すのが大切です。Karpicke・Roediger(2008)では、正解できた後も思い出す練習を続けると後日の成績が大きく伸び、読み直すだけでは伸びませんでした。

記事を読む:暗記カードの効果的な使い方。研究でわかった「分けない・すぐ外さない」
寝る前に勉強すると本当に覚えやすいの?

学んだあと数時間以内に眠ると、起きていた場合より多く覚えています。177本の論文をまとめたBerres・Erdfelder(2021)のメタ分析では、効果の大きさは中くらい(g = 0.44)でした。寝る直前である必要はなく、学んでから長く起きていないことがポイントです。

記事を読む:寝る前の勉強は記憶に残りやすいのか。睡眠と記憶の研究でわかったこと
徹夜で勉強するのは意味がないの?

得にはなりにくいです。Cousins・Fernández(2019)のレビューでは、睡眠不足で最も弱るのは新しく覚える力でした。Gaisら(2006)でも、覚えたあと徹夜した日は、眠った日より2晩後の成績が低くなりました。

記事を読む:寝る前の勉強は記憶に残りやすいのか。睡眠と記憶の研究でわかったこと
昼寝でも記憶に効果はあるの?

効果を示す研究はありますが、Berres・Erdfelder(2021)の分析では、昼寝より夜の自然な睡眠の方が効果は大きいという結果でした。昼寝は夜の睡眠の代わりではなく、補助と考えるのが無難です。

記事を読む:寝る前の勉強は記憶に残りやすいのか。睡眠と記憶の研究でわかったこと
「わかったつもり」とは何ですか?

実際には自力で思い出せないのに、覚えた・理解したと感じてしまう状態です。研究では、すらすら読める・見覚えがあるという手ごたえを、覚えた証拠と取り違えることが原因の1つと考えられています。

記事を読む:覚えたつもりなのにテストで書けないのはなぜか。「わかったつもり」の研究
読み返しても覚えられないのはなぜ?

読み返すと文章が見慣れて、すらすら読めるようになります。その感覚は「覚えた」と感じさせますが、本を閉じて書けるかどうかとは別です。

記事を読む:覚えたつもりなのにテストで書けないのはなぜか。「わかったつもり」の研究
自分が本当に覚えたかを確かめる方法は?

本を閉じて、要点を白紙に書き出すか、問題に答えてみることです。「読めばわかる」ではなく「見ずに書けるか」で判断します。書けなかった所が、次に勉強する場所です。

記事を読む:覚えたつもりなのにテストで書けないのはなぜか。「わかったつもり」の研究
テスト効果とは何ですか?

教材を見ずに内容を思い出すと、そのことが記憶を強くし、あとで思い出しやすくなる現象です。点数をつけるための試験ではなく、思い出す練習そのものに効果があるという考え方です。

記事を読む:思い出す練習(テスト効果)は、読み返すより覚えられるのか
読み返しはまったく意味がないの?

意味がないわけではありません。5分後のテストでは読み返しが上回った実験もあります。ただ数日〜1週間後まで残すには、思い出す練習のほうが有利という結果です。

記事を読む:思い出す練習(テスト効果)は、読み返すより覚えられるのか
選択式の問題集でも効果はある?

効果はありますが、自分で答えを書き出す形式のほうが大きい傾向があります。選択式を解いたあとに、答えを見ずに理由を一言書くと、書き出す練習を足せます。

記事を読む:思い出す練習(テスト効果)は、読み返すより覚えられるのか
分散学習とは何ですか?

同じ内容を一度にまとめて繰り返さず、日をあけて何回かに分けて学ぶことです。Dunloskyら(2013)のレビューでは、10の勉強法の中で有用性が高いと評価された2つのうちの1つでした。

記事を読む:間をあけて復習すると忘れにくいのはなぜ?分散学習の研究でわかったこと
復習の間隔は何日あければいいですか?

使う日までの長さで変わります。Cepedaら(2008)では、1週間後のテストなら1日、約1か月後なら11日、1年後なら21日あけた復習が最もよく残りました。試験日から逆算するのが目安です。

記事を読む:間をあけて復習すると忘れにくいのはなぜ?分散学習の研究でわかったこと
一夜漬けは意味がないのですか?

テストが近いほど差は小さくなります。Cepedaら(2008)では、7日後のテストでの差は10%でしたが、35日後では59%、70日後では111%の差がつきました。長く使う知識ほど、分けて復習する価値があります。

記事を読む:間をあけて復習すると忘れにくいのはなぜ?分散学習の研究でわかったこと

勉強法

プロテジェ効果とは何ですか?

人に教えることで、教える側の理解や記憶が深まる現象を指す呼び名です。研究では「教えることによる学習(learning by teaching)」と呼ばれ、教える準備をする段階と、実際に説明する段階に分けて調べられています。

記事を読む:人に教えるつもりで学ぶと覚えやすいのか。「教える効果(プロテジェ効果)」の研究
聞いてくれる相手がいなくても効果はありますか?

あります。実在しない相手に向けてビデオで講義をする実験でも、1週間後のテストの成績が上がりました。ただし28研究のまとめでは、質問に答えるなどやりとりのある教え方の方が、効果が大きい傾向でした。

記事を読む:人に教えるつもりで学ぶと覚えやすいのか。「教える効果(プロテジェ効果)」の研究
ノートを見ながら説明してもいいの?

効果が薄れる可能性があります。ある実験では、ノートを見ながら教えたグループは、1週間後のテストで、何も見ずに教えたグループや思い出すだけのグループより成績が低くなりました。

記事を読む:人に教えるつもりで学ぶと覚えやすいのか。「教える効果(プロテジェ効果)」の研究
ノートは手書きとパソコン、結局どちらがいいの?

研究全体では手書きがわずかに有利という結果ですが、差は小さく、直後のテストでは差が出なかった再現研究もあります。道具の違いより、自分の言葉で要約して書くこと、あとで見直すことのほうが大切です。

記事を読む:ノートは手書きとパソコン、どちらが覚えられるのか。研究でわかったこと
パソコンでノートを取ると頭に残らないって本当?

パソコンは話をそのまま書き写しやすいという点は、元の実験でも再現研究でも同じでした。ただ、それで成績が下がるかは研究によって結果が分かれています。打つ場合は、そのまま写さず要点を短く言い換えるのがおすすめです。

記事を読む:ノートは手書きとパソコン、どちらが覚えられるのか。研究でわかったこと
タブレットとペンで書くのは手書きと同じ?

この記事で取り上げた研究は、主に紙とペンとキーボード入力を比べたものです。タブレットにペンで書く場合については、ここでは結論を出せません。

記事を読む:ノートは手書きとパソコン、どちらが覚えられるのか。研究でわかったこと
交互練習(インターリービング)とは何ですか?

種類の違う問題や事例を、1種類ずつまとめずに混ぜた順番で練習する方法です。たとえばA・B・Cの3種類の問題を、AAA・BBB・CCCではなく、A・C・B・A…のように解きます。

記事を読む:1種類ずつより、混ぜて練習した方が身につくのか。交互練習(インターリービング)の研究
英単語の暗記も混ぜた方がいいの?

単語の学習では、混ぜるより、まとめて学ぶ方が良かったという分析結果があります。混ぜる効果が出やすいのは、見分けにくい種類を区別する練習(数学の解き方の選択、絵の作風など)です。

記事を読む:1種類ずつより、混ぜて練習した方が身につくのか。交互練習(インターリービング)の研究
混ぜると練習中に間違いが増えるのはダメなこと?

研究では、混ぜた練習は練習中の正答率が下がる一方で、1週間後のテストでは上回りました。練習中の間違いは、解き方を選ぶ練習をしている途中のサインと考えられます。

記事を読む:1種類ずつより、混ぜて練習した方が身につくのか。交互練習(インターリービング)の研究
蛍光ペンで線を引く勉強は意味がないの?

意味がないわけではありません。2022年のメタ分析では、自分で線を引くと覚える面では小さめの効果が見られました。ただし内容を理解する力を高める効果は確認されていません。線を引くだけで終えず、思い出す練習と組み合わせるのがおすすめです。

記事を読む:蛍光ペンで線を引く勉強法は効くのか。研究でわかったこと
線を引いたところを読み返せば覚えられる?

研究ではあまり期待できません。Miyatsuら(2018)のレビューによると、線を引いた箇所を見直しても、線を引いた時点の効果に上乗せされる効果は見られませんでした。読み返す代わりに、線の内容を見ずに書き出してみる方が効率的です。

記事を読む:蛍光ペンで線を引く勉強法は効くのか。研究でわかったこと
どこに線を引けばいいかわからないときは?

まず段落を最後まで読んでから、その段落の要点を1つだけ選んで線を引きます。研究で効果が出た引き方の練習は、どれも「1回目は読むだけ、引くのは読み終えてから」という共通点がありました。

記事を読む:蛍光ペンで線を引く勉強法は効くのか。研究でわかったこと
学習スタイル診断の結果は、まったく意味がないの?

診断でわかるのは「どの形式が好きか」という好みです。好みは本物ですが、その形式に合わせると成績が上がるという証拠は、研究ではほぼ見つかっていません。

記事を読む:「自分は視覚型」は本当?学習スタイル説を研究で確かめる
「視覚型」の人が図を使って勉強するのはやめた方がいい?

やめる必要はありません。図が役立つ内容(地図・人体・仕組み)なら、誰にとっても図は助けになります。大事なのは「自分のタイプ」ではなく「その内容に合った形式か」で選ぶことです。

記事を読む:「自分は視覚型」は本当?学習スタイル説を研究で確かめる

続け方・習慣

勉強が続かないのは意志が弱いからですか?

意志の強さだけで説明するのは研究と合いません。Hofmannら(2012)の調査では、自制心が高い人は誘惑に抵抗を試みる回数がむしろ少なく、Galla と Duckworth(2015)では、自制心と成果のつながりの一部を勉強の習慣が説明していました。続かない原因は、環境と習慣の作り方にあることが多いと考えられます。

記事を読む:独学が続かないのは意志が弱いからか。自制心と環境づくりの研究
意志の力は使うと減るって本当?

「自我消耗」と呼ばれるこの説は、23の研究室・2,141人の大規模な追試(Hagger ら、2016)で効果がほぼゼロ(d=0.04)でした。36の研究室・3,531人の追試(Vohs ら、2021)でも、事前に決めた分析では効果は確認されませんでした。

記事を読む:独学が続かないのは意志が弱いからか。自制心と環境づくりの研究
勉強の環境づくりは、具体的に何をすればいいの?

誘惑が強くなる前に、場面そのものを変えることです。Duckworth ら(2016)は、スマホを持たずに図書館へ行く学生を例に、誘惑の芽を早めに摘む工夫は効きやすいと論じています。

記事を読む:独学が続かないのは意志が弱いからか。自制心と環境づくりの研究
実行意図(if-thenプラン)とは何ですか?

「もし場面Yになったら、行動Zをする」の形で、いつ・どこで・どう行動するかを前もって決めておくことです。GollwitzerとSheeran(2006)の94の検証をまとめた分析では、目標の達成に中〜大の効果(d=0.65)がありました。

記事を読む:「いつ・どこでやるか」を決めると勉強は続くのか。実行意図(if-thenプラン)の研究
勉強の計画を立てるだけで本当に続くの?

必ず続くわけではありません。Wangら(2021)の分析では、壁を思い浮かべる練習と組み合わせた場合の効果は小〜中(g=0.336)で、実際はもっと小さい可能性も指摘されています。効果を上げる助けの一つと考えるのが現実的です。

記事を読む:「いつ・どこでやるか」を決めると勉強は続くのか。実行意図(if-thenプラン)の研究
「毎日1時間勉強する」と決めるのとは何が違うの?

「毎日1時間」は目標で、いつ始めるかの場面が決まっていません。実行意図は「夕食を片づけたら机でテキストを開く」のように、始める場面と最初の行動をセットにする点が違います。

記事を読む:「いつ・どこでやるか」を決めると勉強は続くのか。実行意図(if-thenプラン)の研究

集中・環境

音楽を聴きながら勉強すると集中力は下がるの?

文章を読む勉強では、静かな環境より理解度が少し下がるという研究のまとめがあります。特に歌詞のある曲で下がりやすく、歌詞のない曲では差が小さい傾向です。下がり幅は小さく、勉強の種類によっても変わります。

記事を読む:音楽を聴きながらの勉強は集中を妨げるのか。歌詞あり・なしで変わるBGMの研究
好きな曲なら勉強の邪魔にならない?

読む勉強では、好きな曲でも歌詞があれば理解度が下がりました。大学生30人の実験で、好きな歌詞つきの曲と苦手な歌詞つきの曲は同じくらい成績を下げ、歌詞のない曲と静かな環境では差がありませんでした。

記事を読む:音楽を聴きながらの勉強は集中を妨げるのか。歌詞あり・なしで変わるBGMの研究
洋楽など、意味のわからない言語の歌なら大丈夫?

安心とは言えません。中国の大学生38人の実験では、英語の歌詞の曲を流すと中国語の文章を読む速さと効率が下がりました。英語の聞き取りが得意な人ほど、その条件での読む効率は高めでした。

記事を読む:音楽を聴きながらの勉強は集中を妨げるのか。歌詞あり・なしで変わるBGMの研究
クラシックを聴くと勉強がはかどるって本当?

BGMのある学習全体をまとめた2023年の分析では、BGMにわずかなプラスの効果があり、クラシックは他のジャンルより小さなプラスでした。ただし博士論文なども含む分析で、読む勉強では逆にマイナスという分析もあるため、条件しだいと考えるのが妥当です。

記事を読む:音楽を聴きながらの勉強は集中を妨げるのか。歌詞あり・なしで変わるBGMの研究
ポモドーロ・テクニックは本当に効果がありますか?

決めた時間で休むと、疲れや気の散りが減り、やる気が保たれやすいという研究があります。ただし、テストの成績や理解度が上がるという結果は確認されていません。気分と効率の面で役立つ方法と考えるのが妥当です。

記事を読む:ポモドーロ・テクニック(25分勉強+休憩)は効くのか。休憩と集中の研究
25分という時間には科学的な根拠があるの?

25分が最適だと示した研究は見当たりません。研究で使われたのは24分+6分や12分+3分で、25分を他の長さと比べた実験ではありません。自分に合う長さに変えてかまいません。

記事を読む:ポモドーロ・テクニック(25分勉強+休憩)は効くのか。休憩と集中の研究
休憩中にスマホを見てもいい?

禁止とする研究結果はありません。ある実験では休憩中の行動で最も多かったのがSNSやメッセージでした。ただ、休憩が長引いて戻れなくなるなら、タイマーで休憩の終わりも決めておくと安心です。

記事を読む:ポモドーロ・テクニック(25分勉強+休憩)は効くのか。休憩と集中の研究

時間・計画

計画錯誤とは何ですか?

自分の作業にかかる時間を、実際より短く見積もってしまう傾向のことです。Buehlerら(1994)の研究では、卒業論文の提出日を予測した大学生が平均33.9日と答え、実際には平均55.5日かかりました。

記事を読む:勉強の計画が毎回倒れるのはなぜか。計画錯誤の研究でわかったこと
最悪のケースを想定して計画すれば間に合いますか?

それだけでは足りないことがあります。同じ研究で「すべてがうまくいかなかった場合」の予測でも、期限内に終えた人は48.7%でした。最悪を想像するより、過去に実際どれだけかかったかを基準にする方が確実です。

記事を読む:勉強の計画が毎回倒れるのはなぜか。計画錯誤の研究でわかったこと
計画が倒れるのは意志が弱いからですか?

意志の問題というより、見積もり方の問題です。人は予測するとき、目の前の計画の流れを思い描き、過去の遅れを参考にしにくいことが研究で示されています。見積もりの手順を変えれば、ずれは小さくできます。

記事を読む:勉強の計画が毎回倒れるのはなぜか。計画錯誤の研究でわかったこと

やる気・心

アンダーマイニング効果とは何ですか?

もともと楽しくてやっていたことに、物やお金のご褒美を約束すると、ご褒美がなくなったあとに自分からやる量が減る現象です。Deciら(1999)の128件の実験をまとめた分析で確認されています。

記事を読む:ご褒美で勉強を続けるのは逆効果か。やる気と報酬の研究(アンダーマイニング効果)
自分へのご褒美(勉強後のケーキなど)も逆効果になるの?

はっきりとはわかっていません。研究の多くは、実験者がご褒美を渡す場面を調べたものです。好きで始めた勉強なら物のご褒美を条件にしすぎず、気の進まない作業の後押しに使うのが無難です。

記事を読む:ご褒美で勉強を続けるのは逆効果か。やる気と報酬の研究(アンダーマイニング効果)
ほめるのは逆効果にならないの?

研究ではむしろ逆です。Deciら(1999)では、よくできたことを伝えるほめ言葉が、自分から取り組む行動(d=0.33)と興味(d=0.31)を高めていました。

記事を読む:ご褒美で勉強を続けるのは逆効果か。やる気と報酬の研究(アンダーマイニング効果)
大人になってから勉強しても覚えられますか?

覚えられます。年齢で下がりやすいのは処理の速さなど一部の力で、語彙は60代まで伸び続けるという研究があります。60〜90歳の人が週15時間ほど新しい技能を14週間学んだ実験では、記憶の成績が伸びました。

記事を読む:大人の学び直しは若い頃より不利なのか。年齢と学習の研究でわかったこと
記憶力は何歳から落ちるのですか?

力によって違います。Hartshorneら(2015)の分析では、処理の速さは10代後半、短期記憶は20代前半〜30歳ごろが最も高く、語彙は約50〜65歳が最も高い結果でした。いずれも別々の年齢の人を比べたデータで、一人ひとりの変化を追ったものではありません。

記事を読む:大人の学び直しは若い頃より不利なのか。年齢と学習の研究でわかったこと
英語は大人になってから始めると手遅れですか?

手遅れではありません。約67万人の研究では、ネイティブと見分けがつかないほどの文法の正確さを目指すなら早く始めた方が有利でした。ただし対象は文法だけです。20代後半に英語圏で学び始めた人も、長く続けると幼いネイティブの子どもの成績を上回りました。

記事を読む:大人の学び直しは若い頃より不利なのか。年齢と学習の研究でわかったこと
成長マインドセットとは何ですか?

能力は努力や学び方しだいで伸ばせる、という考え方のことです。反対に、能力は生まれつき決まっていて変わらないと考えることを「固定マインドセット」と呼びます。

記事を読む:「頭がいいね」より「工夫したね」とほめるべきか。マインドセット研究とその再現
「頭がいいね」とほめるのは悪いことなの?

MuellerとDweck(1998)の実験では、能力をほめられた小学5年生は失敗後に粘りにくくなりました。ただし中国の子ども624人で行われた追試では、やる気や原因の考え方に関する8つの指標で同じ結果は再現されませんでした。悪いと断定できるほどの証拠はありません。

記事を読む:「頭がいいね」より「工夫したね」とほめるべきか。マインドセット研究とその再現
大人の独学にもマインドセットは効くの?

大人を対象にした学業成績の研究は少なく、はっきりしません。Siskら(2018)のメタ分析では、大人を対象にした介入でも効果は統計的に確かめられませんでした(d=0.08)。考え方を変えるだけで成績が上がると期待するより、具体的な勉強法と組み合わせる方が現実的です。

記事を読む:「頭がいいね」より「工夫したね」とほめるべきか。マインドセット研究とその再現
テストで頭が真っ白になるのはなぜですか?

心配ごとに注意が引っぱられ、問題に集中する力が使いにくくなるためと説明されています。Eysenckら(2007)の注意制御理論では、不安は目の前の課題に注意を向け続ける働きを弱めるとされます。能力が足りないからではありません。

記事を読む:テストで頭が真っ白になるのはなぜか。試験不安と「不安を書き出す」研究
試験の前に不安を書き出すと点数は上がりますか?

確かとは言えません。RamirezとBeilock(2011)では10分の書き出しで成績が上がりましたが、2018年の大規模な追試では効果が再現されず、173人の大学生の教室実験でも点数は変わりませんでした。気持ちを整える工夫の一つとして試す程度が現実的です。

記事を読む:テストで頭が真っ白になるのはなぜか。試験不安と「不安を書き出す」研究
試験不安が強いと成績は下がるのですか?

関係はあります。238の研究をまとめたvon der Embseら(2018)の分析では、試験不安が強いほど入試や成績平均が低い傾向がありました。ただし関係の強さは小〜中程度で、不安があれば必ず失敗するわけではありません。

記事を読む:テストで頭が真っ白になるのはなぜか。試験不安と「不安を書き出す」研究

AIと独学

AIに説明してもらうと、勉強は身につかないの?

身につかないわけではありません。Bisraらのメタ分析でも、用意された説明を読むことにも一定の効果がありました。ただ、自分で説明した方が上回りました(g = 0.35)。AIの説明を読むなら、そのあと自分の言葉で説明し直す時間をセットにしましょう。

記事を読む:AIに説明させるより、自分で説明した方が覚えられるのか。自己説明と生成効果の研究
自分の説明が間違っていたら、かえって間違えて覚えない?

その心配はあります。だからこそ、書いた説明をAIや教科書で確かめる手順が大切です。Chiらの研究でも、説明の多い学生は「自分がどこをわかっていないか」に気づいていました。

記事を読む:AIに説明させるより、自分で説明した方が覚えられるのか。自己説明と生成効果の研究
自己説明と、人に教えるつもりで学ぶのは同じ?

どちらも「自分で説明を組み立てる」点は共通しています。ただ、この記事で紹介した研究は、自分に向けて説明する方法を調べたものです。AIに答えを聞く使い方全体についてはAIに答えを聞くと勉強は身につかないのかで紹介しています。

記事を読む:AIに説明させるより、自分で説明した方が覚えられるのか。自己説明と生成効果の研究
AIに答えを聞くと、勉強は身につかないの?

答えを写す使い方だと、身につきにくい可能性があります。トルコの高校生約1000人の実験では、答えを出すAIで練習した生徒は、AIなしの試験でAIを使わなかった生徒より17%低い成績でした。ヒント中心に設計したAIでは、その低下はほぼ見られませんでした。

記事を読む:AIに答えを聞くと勉強は身につかないのか。研究でわかった「使い方の分かれ目」
AIを使った勉強は、やめたほうがいいの?

やめる必要はありません。考えさせるよう作り込んだAIチューターで学んだ大学生が、教室の授業より短い時間で多く学べた実験もあります。大事なのは、自分で考える部分をAIに渡しきらないことです。

記事を読む:AIに答えを聞くと勉強は身につかないのか。研究でわかった「使い方の分かれ目」
「ChatGPTを使うと脳が衰える」って本当?

よく話題になるMITの研究は、査読を経ていないプレプリントで、参加者も54人です。AIで作文した人の脳のつながりが弱かったという報告ですが、「衰える」と言い切れる段階ではありません。

記事を読む:AIに答えを聞くと勉強は身につかないのか。研究でわかった「使い方の分かれ目」