集中・環境

勉強部屋に観葉植物を置くなら:置き方チェック表と2週間の記録表(植物で集中は上がるのか、研究から)

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窓ぎわに並んだ小さな鉢植えのサボテン
Photo: PattayaPatrol / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

勉強机のまわりに緑を置くと、集中できる気がする。そう聞いて、観葉植物を買おうか迷っている人もいるでしょう。研究を調べると、植物で集中力や読解の点が上がるとは、今のところ言えません。一方で、部屋の居心地や乾燥、休憩のときの回復感は変わった研究があります。この記事では、研究でわかったことを表にまとめ、置き方のチェック表と、自分に効くかを確かめる2週間の記録表を作りました。

3行でわかる

  1. 植物の効果をまとめた分析では、注意(集中)の成績への効果はほぼゼロ(3研究・177人、差は統計的に確認されず)だった。成績が上がった結果は2研究・119人だけで、うち1つは質の低い研究だった。
  2. 大学生22人の英文読解の実験では、植物があっても正答率に差はなかった。オランダの9つの職場で4か月以上植物を置いた研究でも、集中のしやすさは変わらず、変わったのは乾燥の不満・見た目・満足度などだった。
  3. 植物は「集中の道具」ではなく「居心地と休憩のため」に置く。視界の端に置き、換気は別に行い、2週間の記録表で自分に合うかを確かめる。

01 この表でできること観葉植物を置くと、勉強に集中できる?

観葉植物で集中力や成績が上がるとは、今の研究では言えません。研究で変わったのは、部屋の見た目の良さ、乾燥、休憩後の回復感です。植物は「居心地のため」に置くと考えるのが研究に合っています。

緑を見ると疲れた注意が回復する、という考え方があります(緑の中を歩く休憩の記事で紹介した「注意回復理論」)。そこから「机に植物を置けば集中できる」と言われることがあります。

ただ、屋外の自然を歩くことと、部屋に鉢植えを1つ置くことは、同じではありません。この記事の表は、室内の植物を調べた研究だけから作りました。

表1 観葉植物で変わること・変わらないこと

知りたいこと研究の結果判定
集中力(注意の課題の成績)3研究をまとめると効果はほぼゼロ。研究ごとの結果のばらつきが大きい[1]当てにならない
読解問題の正答率大学生22人の実験で、植物の有無で差なし[2]当てにならない
成績(授業・試験)2研究・119人では植物ありが高かった。ただし1つは質が低く、もう1つは生徒が植物の世話もしていた[1]条件しだい(研究が少ない)
休憩後の回復感5分の休憩で、一部の騒音条件だけ、植物ありの方が疲れの回復感が高かった[2]条件しだい
部屋の見た目・満足度・乾燥の不満職場に置いた研究で、改善が4か月以上続いた[3]効く(居心地として)
空気の入れかえ(二酸化炭素)植物を18鉢置いても、二酸化炭素の濃度は統計的に変わらなかった[4]当てにならない
湿度植物の数が多いほど湿度が上がった[4]効く(数が多いとき)

判定は、出典の結果をこの記事が3段階に整理したものです。どの研究も人数や件数が少なく、結論は今後変わる可能性があります。

02 表の根拠になった研究植物と集中の研究では、何がわかった?

まとめた分析では、注意の成績への効果は確認されませんでした。読解の実験でも正答率は同じでした。職場に長く置いた研究では、居心地は良くなりましたが、集中のしやすさは変わりませんでした。

Hanら(2022)[1]

室内の植物と人の働きを調べた42件の研究を整理し、そのうち16件でメタ分析(たくさんの研究を統計でまとめる方法)をした。注意の課題は3研究・177人で、効果の大きさはほぼゼロ(SMD = −0.005)。成績は2研究・119人で、植物ありの方が高かった(SMD = 0.534)。

対象: 中学生・大学生・会社員など / 限界: 成績の2研究のうち、アメリカの大学2年生の研究はくじで組を分けておらず質が低いと評価された。台湾の中学生の研究は、生徒が植物の世話をしていた。著者らも、1項目あたり2〜3件しかなく「慎重に解釈すべき」と書いている。

Zhangら(2022)[2]

中国の大学生22人が、家の書斎に似た部屋で英語の読解問題を解いた。植物あり(机の上と床にポトス2鉢)の組12人と、なしの組10人で比べ、道路の騒音を5段階(35〜60dBA)で流した。正答率は、植物の有無で統計的な差がなかった。45dBAでは、植物ありの組の方が頭の負担感が高かった。

対象: 大学生22人、1回の実験 / 限界: 人数が少なく、植物は1種類だけ。5分休憩の疲れの回復感は、45dBAのときだけ植物ありが高かった。著者らは「50dBA以下なら植物は役立つ」とまとめているが、正答率そのものは上がっていない。

de Vriesら(2023)[3]

オランダの9つの職場で、植物を置く部屋と置かない部屋を比べた(置く前の調査に594人が回答)。置いた部屋では「空気が乾燥している」という不満が45%から23%に減り、見た目の良さや満足度も上がった。集中のしやすさ・気分・ストレスなど13項目には、はっきりした効果がなかった。

対象: 会社員、植物を置いてから4か月以上 / 限界: くじで分けた実験ではない。途中で回答をやめた人が多く、新型コロナの影響で2回目の調査は4つの職場だけだった。

Jiangら(2024)[4]

オーストラリアの約30m³の事務室3部屋に、シダの鉢を0・5・18鉢と入れかえて置いた。湿度の中央値は29.1%、38.9%、49.2%と、植物が多いほど上がった。二酸化炭素の濃度と室温には、統計的な差がなかった。

対象: 人のいない事務室 / 限界: 短い期間・3部屋だけの実験。人が中にいて息をする部屋では、二酸化炭素は人の数と換気で決まる部分が大きい。

紹介した研究は、1回だけの実験か、職場での調査です。社会人が自宅で何か月も独学する場面で、植物が勉強の進み方を変えるかを確かめた研究は見つかりませんでした。研究室で出た効果が実際の職場では再現されないことがある、と職場の研究の著者らも書いています[3]。

03 表の使い方勉強部屋に植物を置くなら、どこにどう置く?

植物は、勉強中に目に入る正面ではなく、顔を上げたときに見える視界の端に置きます。換気は植物と別に行い、2週間の記録で、置く前と後を比べます。

表2 置き方チェック表(置く前に確かめる)

確かめることおすすめ理由
置く目的「居心地」「休憩で目を休める」と決める集中力や正答率が上がった研究は見当たらない[1][2]
置く場所教材の正面を避け、顔を上げたときに見える横や窓ぎわ読解中は、植物ありの組の方が負担感が高い条件があった[2](この配置はこの記事の提案)
数まず1〜2鉢読解の実験は2鉢だった[2]。乾燥対策として湿度を変えたいなら、もっと多くの鉢が要る[4]
換気植物とは別に、窓を開けるか換気扇を回す植物で二酸化炭素は下がらなかった[4]
まわりの音道路の音や話し声が大きい部屋では、先に音を減らす騒音が大きいと、植物の効果は見られなかった[2]
世話週1回の水やりを、勉強の休憩に組み込む成績が上がった中学生の研究では、生徒が世話をしていた[1](世話そのものの効果かは不明)

表3 2週間の記録表(1週目は植物なし、2週目は植物あり)

毎日つけること1週目(なし)2週目(あり)
勉強した時間(分)
進んだ量(ページ・問題数)
集中できた度合い(1〜5)
休憩後に頭がすっきりした度合い(1〜5)
部屋の居心地(1〜5)

週ごとに平均を出し、1週目と2週目を比べます。この記録表は、研究の手順ではなく、自分に合うかを確かめるための道具です。2週目は「植物があるから集中できたはず」と思いやすいので、点数の感じ方より「進んだ量」を重く見ます。

1

1週目は今のまま、表3をつける

植物を買う前に、いつもの部屋で勉強時間・進んだ量・集中の度合いを毎日つけます。比べる元になる記録です。

所要 毎日1分

2

表2を見て、1〜2鉢を視界の端に置く

教材の正面は避け、顔を上げたときに見える位置にします。窓を開ける時間も決めておきます。

所要 15分

3

休憩の1〜2分は、植物や窓の外を見る

スマホを見る代わりに、緑を眺めて目を休めます。休憩全体の組み方は勉強の休憩プラン表が使えます。

所要 1回1〜2分

4

2週目の終わりに、進んだ量を比べる

進んだ量が変わらず居心地だけ上がったなら、それで十分です。気が散ると感じたら、置き場所を変えるか、片付けます。

所要 5分

04 続けるためのコツ植物を置いても集中できないときは?

植物は集中の原因を取り除くものではありません。集中できないときは、スマホ・音・空気・時間帯など、研究で影響が大きいとわかっているものから見直します。

05よくある質問

観葉植物を置くと、勉強の集中力は上がりますか?

上がるとは言えません。研究をまとめた分析では、注意の課題の成績への効果はほぼゼロでした(3研究・177人)。大学生22人の読解の実験でも、植物の有無で正答率に差はありませんでした。変わったのは、部屋の居心地や乾燥の不満でした。

植物を置くと、部屋の空気はきれいになりますか?

二酸化炭素は下がりませんでした。約30m³の事務室に18鉢を置いた実験でも、二酸化炭素の濃度に統計的な差はありませんでした。湿度は上がりました。頭がぼんやりするほど空気がこもるなら、植物ではなく換気で対処します。

造花や植物の写真でも同じですか?

この記事で調べた研究は、本物の鉢植えを使ったものです。造花や写真と比べた結果は、ここで紹介した出典にはありません。どちらにしても集中を上げる根拠は弱いので、好みで選んでかまいません。

勉強の休憩に緑を見るのは意味がありますか?

少しはあるかもしれません。大学生の実験では、5分の休憩のあと、一部の騒音条件で、植物のある部屋の方が疲れの回復感が高くなりました。ただし条件によって結果が変わり、人数も22人と少ない研究です。

出典

  1. Han, K.-T., Ruan, L.-W., & Liao, L.-S. (2022). Effects of indoor plants on human functions: A systematic review with meta-analyses. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(12), 7454. https://doi.org/10.3390/ijerph19127454
  2. Zhang, Y., Ou, D., Chen, Q., Kang, S., & Qu, G. (2022). The effects of indoor plants and traffic noise on English reading comprehension of Chinese university students in home offices. Frontiers in Psychology, 13, 1003268. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.1003268
  3. de Vries, S., Hermans, T., & Langers, F. (2023). Effects of indoor plants on office workers: A field study in multiple Dutch organizations. Frontiers in Psychology, 14, 1196106. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1196106
  4. Jiang, J., Irga, P., Coe, R., & Gibbons, P. (2024). Effects of indoor plants on CO2 concentration, indoor air temperature and relative humidity in office buildings. PLoS ONE, 19(7), e0305956. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0305956