集中・環境

勉強のために始めた運動が続かなかった。どう立て直す?短く分ける・楽な強さ・週4回の研究

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競技場の陸上トラック
Photo: Syced / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「運動すると頭がよく働く」と聞いて、散歩やジョギングを始めた。でも試験が近づくと、真っ先に削ってしまい、気づけば何週間もやっていない。そんな自分にがっかりしていませんか。運動の研究では、運動するつもりの人の約半数が実際には続けられていません。止まった運動は、やり方を勉強の生活に合わせると戻しやすくなります。

3行でわかる

  1. 運動するつもりの人のうち、実行できなかった人は約半数にのぼる(10研究・3,899人のまとめ)。続かないのはめずらしいことではない。
  2. 同じ量の運動は、短く分けても体力の伸びにほぼ差がなかった。運動中に気分がよかった人ほど、その後も運動していた。習慣になる目安は週4回を6週間。
  3. 立て直しは、1回10分に分けて勉強の区切りに入れ、会話できる強さに下げ、「何の後にやるか」を決める。休んだ日は数えず、次の日に1回だけ戻る。

01 悩みの正体勉強のための運動が続かないのはなぜ?

運動しようと決めた人の約半数は、実際には続けられていません。続かないのはあなただけではありません。研究では、運動の習慣は回数・やりやすさ・運動中の気分に左右されることがわかっています。

「運動すると頭がよく働く」と聞いて始めたのに、試験が近づくと真っ先に削ってしまう。そんな人は多いはずです。運動の研究をまとめた分析では、運動するつもりの人のおよそ半数が、実際には行動に移せていませんでした[1]。

しかも、勉強のために運動を始める人は、「運動の時間=勉強が減る時間」と感じやすい立場にいます。続かなかったのは意志の問題というより、やり方が勉強の生活に合っていなかった可能性があります。

なお、1回の運動が頭の働きに与える効果は、平均すると小さいことも知られています[6]。運動と記憶の関係は運動と学習の記事で紹介しています。この記事では、止まった運動をどう戻すかに絞ります。

02 科学的にわかっていること止まった運動は、どうすれば戻せる?

短く分けても運動は運動として数えられ、楽しいと感じる強さの方が次につながりやすいことがわかっています。習慣になるまでの目安は、週4回を6週間ほど続けることでした。

Rhodesとde Bruijn(2013)[1]

運動の「つもり」と「実行」のずれを調べた10の研究(3,899人)をまとめた分析。運動するつもりだったのに実行できなかった人が36%、つもりどおり実行できた人が42%だった。著者らは、つもりと行動のずれを約半分(46〜48%)と見積もり、ずれの大半はやるつもりがあったのにやらなかった人から生じていた。

対象: 公衆衛生の目安の運動量を基準にした研究 / 限界: 「つもり」が行動につながらない理由まではこの分析ではわからない。

KaushalとRhodes(2015)[2]

スポーツジムに新しく入会した111人を12週間追いかけた研究。運動の習慣ができるには、少なくとも週4回の運動を6週間続けることが必要だった。習慣が育つのを後押ししたのは、続けて行うこと、運動が複雑でないこと、行きやすい環境、運動を楽しいと感じることだった。

対象: ジムの新規会員111人 / 限界: アンケートで追った観察研究で、無作為に分けた実験ではない。ジムでの運動の結果で、家での短い運動にそのまま当てはまるとは限らない。

RhodesとKates(2015)[3]

運動中・運動後の気分と、その後の運動量の関係を調べた24の研究のまとめ。中くらいの強さの運動の最中に気分がよくなった人ほど、その後も運動していた。一方、運動を終えた後の気分は、その後の運動とは関係が見られなかった。

対象: 24の研究 / 限界: 関係を見た研究が中心で、気分をよくすれば運動が続くと確かめたわけではない。

Murphyら(2009)[4]

同じ量の運動を、1回にまとめて行う場合と、短く何回かに分けて行う場合を比べた16の研究のまとめ。持久力が上がった研究の多くで、まとめても分けても伸び方に差はなかった。

対象: 16の研究 / 限界: 10分より短い運動の効果や、分けた方が続けやすいかは、まだ確かめられていないと著者らは書いている。

WHOの運動ガイドライン(Bullら、2020)[5]

大人は週150〜300分の中くらいの強さの運動(または週75〜150分の強い運動)が目安。同時に、少しでも体を動かすことは何もしないよりよい、という考え方を改めて示した。

対象: 子ども・大人・高齢者など / 限界: 健康のための目安で、勉強の成果を上げるための運動量を示したものではない。

まとめると、「毎日30分きっちり」でなくても、短く分けた運動、楽しいと感じる強さの運動を、決まったタイミングでくり返す方が、戻しやすいと考えられます。

ここで紹介した研究は、主に健康やジム通いについてのものです。勉強のための運動で同じように続くかは、直接は確かめられていません。

03 今日からできる小さな一歩止まった運動は、何から戻せばいい?

目標を週4回・1回10分ほどに下げ、勉強の区切りに入れます。強さは会話ができる程度にし、「何の後にやるか」を1つ決めます。休んだ日は数えず、次の予定の日に1回だけ戻ります。

1

止まった理由を1つだけ書く

「時間がない」「きつい」「忘れる」「休んだらやめた気になった」のどれに近いかを書きます。下の表で、理由ごとの一手を選びます。

所要 2分

2

1回10分に分けて、勉強の区切りに入れる

短く分けても、まとめた運動と同じように体力が伸びた研究が多くあります[4]。勉強を1区切りしたら10分歩く、のように勉強の流れに組み込みます。長時間座るときの体の動かし方は休憩に体を動かす記事も参考に。

所要 1回10分

3

会話ができるくらいの強さに下げる

運動中に気分がよかった人ほど、その後も運動していました[3]。息が上がって話せないほどなら、強すぎるサインです。速歩き程度から戻します。

所要 毎回

4

「何の後に、どこで」を1つ決める

例:「夜の勉強を始める前に、家の近くを10分歩く」。続けて行うことと、行きやすい環境が習慣を後押ししました[2]。

所要 3分

5

まず週4回を6週間、を目安にする

週4回・6週間が、習慣ができるまでの目安でした[2]。毎日を目指して崩れるより、週4回を守る方を優先します。

所要 6週間

6

休んだ日は数えず、次の予定の日に1回だけやる

休んだ分を取り返そうと長くやると、きつさで次が遠のきます。少しでも体を動かすことは何もしないよりよい、というのがWHOの目安の考え方です[5]。次の予定の日に、いつもの10分だけ戻ります。

所要 1回10分

止まった理由ごとの立て直しの一手です。研究をもとに、この記事で独学向けに当てはめたものです。

止まった理由立て直しの一手
勉強が忙しくて、運動の時間が取れない1回10分ほどに分けて、勉強の区切りに入れる(手順2)
運動がきつくて、いやになった会話ができるくらいの強さに下げる(手順3)
いつやるか決めておらず、忘れる「何の後に、どこで」を1つ決める(手順4)
数日休んだら、もうやめた気になった休んだ日は数えず、次の予定の日に1回だけやる(手順6)

04 続けるためのコツ試験前で運動どころではないときは?

試験前は運動の回数を減らしても、ゼロにはしない選択肢があります。10分の散歩を勉強の休憩にすれば、勉強時間を大きく削らずにすみます。

  • カレンダーに運動した日だけ印をつける。休んだ日に×をつけない。
  • 運動を勉強の前に入れるか後に入れるかは、勉強と運動の1週間プラン表で決められます。
  • 勉強そのものが止まった人は、勉強を休んだ後の再開の記事も参考に。
  • 持病やけががある人、体調に不安がある人は、運動を戻す前に医師に相談してください。

05よくある質問

勉強のために運動を始めたのに続きません。意志が弱いのでしょうか?

意志だけの問題ではありません。運動の研究をまとめた分析では、運動するつもりの人の約半数が実行できていませんでした。習慣づくりには、続けて行うこと、運動が複雑でないこと、行きやすい環境、楽しいと感じることが関係していました。

1回10分の運動でも意味がありますか?

体力については、同じ量の運動を短く分けても、まとめて行っても伸び方に差がなかった研究が多くあります。WHOのガイドラインも、少しでも体を動かすことは何もしないよりよいとしています。ただし10分より短い運動の効果はまだはっきりしていません。

運動が習慣になるまで、どのくらいかかりますか?

ジムの新規会員を12週間追った研究では、週4回以上の運動を6週間続けることが、習慣ができるための最低ラインでした。観察研究なので目安として考えてください。

運動すれば勉強の成績は上がりますか?

1回の運動が頭の働きに与える効果は、平均すると小さいことがわかっています。成績を上げる方法としてより、勉強を続けるための体と気分の土台として考えるのが現実的です。

出典

  1. Rhodes, R. E., & de Bruijn, G. J. (2013). How big is the physical activity intention-behaviour gap? A meta-analysis using the action control framework. British Journal of Health Psychology, 18(2), 296-309. https://doi.org/10.1111/bjhp.12032
  2. Kaushal, N., & Rhodes, R. E. (2015). Exercise habit formation in new gym members: A longitudinal study. Journal of Behavioral Medicine, 38(4), 652-663. https://doi.org/10.1007/s10865-015-9640-7
  3. Rhodes, R. E., & Kates, A. (2015). Can the affective response to exercise predict future motives and physical activity behavior? A systematic review of published evidence. Annals of Behavioral Medicine, 49(5), 715-731. https://doi.org/10.1007/s12160-015-9704-5
  4. Murphy, M. H., Blair, S. N., & Murtagh, E. M. (2009). Accumulated versus continuous exercise for health benefit: A review of empirical studies. Sports Medicine, 39(1), 29-43. https://doi.org/10.2165/00007256-200939010-00003
  5. Bull, F. C., et al. (2020). World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. British Journal of Sports Medicine, 54(24), 1451-1462. https://doi.org/10.1136/bjsports-2020-102955
  6. Chang, Y. K., Labban, J. D., Gapin, J. I., & Etnier, J. L. (2012). The effects of acute exercise on cognitive performance: A meta-analysis. Brain Research, 1453, 87-101. https://doi.org/10.1016/j.brainres.2012.02.068