やる気・心

試験本番で緊張して実力を出せなかった。次の試験までにどう立て直す?緊張のとらえ方と不安対策の研究

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誰もいない教室に並ぶ机と黒板
Photo: Douglas P Perkins / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

過去問ではとれていた点が、本番ではとれなかった。手が震え、見たことのある問題で手が止まった。「自分は本番に弱い」と落ち込んでいる人もいるかもしれません。研究では、試験への不安は成績と結びつくものの、その強さは小さい〜中くらいで、対策で変えられることがわかっています。ただし「緊張は味方と思う」だけでは足りません。何で点を落としたかを分け、本番に近い練習を重ねることが立て直しの中心です。

3行でわかる

  1. 238件の研究のメタ分析では、試験への不安は成績と結びついていたが、強さは小さい〜中くらい。本番の失敗は「実力がない」証拠とは限らない。
  2. 「ドキドキは力になる」ととらえ直す方法は、44の効果量のメタ分析で d = 0.23 と小さく、偏りを補うと d = 0.14。授業で再現した研究では効果が出なかった。
  3. 立て直しは、落とした点を「知識」と「緊張」に分ける、時間を計った本番練習を重ねる、とらえ直しは補助に使う、の順に。不安が強いなら相談する。

01 悩みの正体本番で力を出せないのは、本番に弱い性格だから?

性格だけでは決まりません。試験への不安は、難しいと感じる試験や結果の重い試験で強くなりやすく、成績との結びつきは小さい〜中くらいです。本番の失敗には、知識の不足と緊張による取りこぼしが混ざっています。

1988年以降の238件の研究をまとめたメタ分析では、試験への不安は、標準テスト、大学入試、成績の平均点(GPA)などと負の関係にありました。不安が強くなりやすいのは、難しいと感じる試験や、結果の重い試験でした[1]。

大事なのは、関係の強さが「小さい〜中くらい」だったことです。不安が点を下げることはありますが、点の大部分を決めるのは別の要因です。本番で頭が真っ白になる仕組みは、試験不安と「不安を書き出す」研究の記事にまとめています。この記事は、終わった後にどう立て直すかを中心に書きます。

02 科学的にわかっていること本番の緊張には、何が効くとわかっている?

試験不安への対策をまとめた研究では、不安が下がり成績も上がっていました。一方、「緊張は力になる」ととらえ直す方法は効果が小さく、授業での再現は一貫していません。

Huntleyら(2019)[2]

試験不安のある大学生を対象にした44件のランダム化比較試験(2,209人)のメタ分析。対策を受けた人は、受けなかった人より不安が下がり(g = −0.76)、成績も上がった(g = 0.37)。対策の種類別では、行動療法(不安な場面に少しずつ慣れていく方法など)が最もよく支持された。

対象: 大学生 / 限界: 公表の偏りが見られ、報告の質も低い研究が多かったため、結果は控えめに受け取る必要があると著者らは書いている。この記事では論文の要旨で内容を確認した。

Jamiesonら(2010)[3]

米国の大学院入試(GRE)を受ける予定の学生を、2つのグループに分けた実験。片方には「試験中のドキドキは成績を下げず、むしろ助けになることがある。不安を感じたら、そのドキドキが自分を助けていると思い出して」と伝えた。練習試験の数学では、このグループの平均が738.57点、伝えなかったグループが683.57点。1〜3か月後の本番のGREの数学でも、770.00点と705.71点の差があった。言葉の分野では差がなかった。

対象: 60人を集め、本番の成績まで分析できたのは28人 / 限界: 人数がとても少ない。著者ら自身、勉強時間が増えたことで成績が上がった可能性も否定できないと書いている。

BosshardとGomez(2024)[4] / Thormodsæterら(2026)[5]

「ストレスのドキドキは力になる」ととらえ直す方法のランダム化比較試験を集めたメタ分析(33本の論文、44の効果量、5,638人)。成績の改善は d = 0.23 と小さく、出ていない研究を補う計算をすると d = 0.14 まで下がった。著者らは「万能薬ではない」と書いている。米国7つの大学の理系12の授業で、とらえ直しの短い働きかけを再現した研究(回答771人)では、試験の不安も成績も変わらなかった。

対象: 実験室の課題や授業の学生 / 限界: メタ分析に入った研究の多くは短期の効果しか見ていない。再現研究は、不安の前後比較まで答えた人が93人と少なかった。

Smithら(2016)[6]

読み返しで覚えた人は、24時間後にストレスをかけられると思い出す成績が下がったが、思い出す練習(小テスト)で覚えた人は下がらなかった、という実験。

限界: その後の研究で、この「ストレスから守る」効果はうまく再現されていない(同じ著者らの追試でも再現しなかった例がある)。2026年の追試の論文でも、再現が難しいことが報告されている[7]。この記事ではSmithらの論文は要旨で確認した。

ここで紹介した研究は、米国の大学生や大学院の受験者が中心です。日本の資格試験を一人で受ける社会人を直接調べたものではありません。下の手順は、わかっていることを独学に当てはめたものです。

03 今日からできる小さな一歩次の試験までに、何をすればいい?

まず落とした点を「知識の不足」と「緊張による取りこぼし」に分けます。次に、時間を計った本番形式の練習を重ね、「ドキドキは力になる」というとらえ直しは補助として使います。

1

落とした点を「知識」と「緊張」に分ける

試験が終わって記憶が新しいうちに、落とした問題を2つに分けて書きます。「家でも解けない」は知識の不足、「家なら解ける」は緊張や時間配分による取りこぼしです。不安と成績の結びつきは小さい〜中くらいで[1]、点の多くは知識で決まるため、知識の不足が多ければそちらを先に直します。直し方は試験に落ちた後の、間違えた問題の直し方の記事にまとめています。

所要 30分

2

緊張で何が起きたかを、3つだけ書く

「最初の問題で手が止まり、焦った」「残り時間を見て頭が真っ白になった」のように、起きたことを具体的に書きます。次の練習で再現する場面を決めるための、この記事からの提案です。

所要 10分

3

時間を計った「本番練習」を、週1回入れる

過去問を本番と同じ時間・同じ順番で、時計を見ながら解きます。手順2で書いた場面(例: 最初の問題で止まる)が来たら、どう動くかも決めて練習します。行動療法のように不安な場面に少しずつ慣れる方法は、試験不安の対策で最もよく支持されていました[2]。ただし、自分で行う本番練習そのものを調べた研究ではありません。

所要 週1回、本番と同じ時間

4

ふだんの勉強は、思い出す練習を中心にする

読み返すより、本を閉じて思い出す方が長く残ることは、多くの研究で確かめられています。思い出す練習で覚えたことはストレスに強いという研究もありますが、再現は一貫していません[6][7]。ストレス対策としてではなく、覚え方の基本として使います。詳しくは思い出す練習の記事へ。

所要 毎回の勉強の最後に10分

5

本番練習のときに、ドキドキのとらえ直しも試す

緊張を感じたら「このドキドキは、集中を助けていることがある」と心の中で言います。効果は小さく[4]、授業での再現では効かなかったため[5]、これだけに頼りません。本番練習で試し、自分に合うかを確かめてから本番で使います。

所要 数秒

落とした問題の分け方と、次の試験までにすることを表にしました。研究をもとに、この記事で独学向けに当てはめたものです。

落とした問題考えられる原因次の試験までにすること
家でも解けない知識の不足間違いの直しと、思い出す練習(手順1・4)
家なら解けるが、本番で手が止まった緊張による取りこぼし止まった場面を再現した本番練習(手順2・3)
時間が足りず、最後まで解けなかった時間配分、または焦り時間を計った過去問で、解く順番と見切りの時間を決める(手順3)
試験の前から眠れず、体調を崩した強い不安一人で抱えず相談する(下の「続けるためのコツ」)

04 続けるためのコツ試験の不安が強すぎるときは、どうする?

不安が強く、眠れない・食べられない状態が続くときは、一人で抱えずに相談します。試験不安への専門的な対策は、不安を下げ、成績も上げることがメタ分析で示されています。

  • 本番練習は「次の試験の2か月前から週1回」のように、回数を決めて続ける。
  • 試験の直前に不安を紙に書き出す方法は、試験不安の記事で、再現研究の結果とあわせて紹介しています。
  • 寝不足は本番の力を下げます。前日の過ごし方は寝不足からの立て直しの記事も参考に。
  • 不合格の後に自分を責めてしまうときは、自分への思いやりの記事も読んでみてください。
  • つらさが続くときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などに相談してください。

05よくある質問

本番で緊張するのは、勉強が足りないからですか?

そうとは限りません。238件の研究をまとめたメタ分析では、試験への不安は成績と結びついていましたが、その強さは小さい〜中くらいでした。不安が強くなりやすいのは、難しいと感じる試験や、結果の重い試験でした。まず、落とした点が知識の不足か、緊張による取りこぼしかを分けて振り返ります。

「緊張は味方」と思えば、本番で力を出せますか?

少し助けになる可能性はありますが、大きな期待はできません。44の効果量をまとめたメタ分析では効果は d = 0.23 と小さく、出ていない研究を補うと d = 0.14 まで下がりました。米国7大学の授業で短い働きかけを再現した研究では、不安も成績も変わりませんでした。本番に近い練習と組み合わせて使います。

試験の不安が強すぎるときは、どうすればいいですか?

一人で抱えず、相談することを考えてください。試験不安のある大学生を対象にした44件のランダム化比較試験のメタ分析では、対策を受けた人は不安が下がり(g = −0.76)、成績も上がりました(g = 0.37)。特に行動療法の効果が支持されていました。眠れない・食べられない状態が続くときは、専門の相談窓口を使ってください。

出典

  1. von der Embse, N., Jester, D., Roy, D., & Post, J. (2018). Test anxiety effects, predictors, and correlates: A 30-year meta-analytic review. Journal of Affective Disorders, 227, 483-493. https://doi.org/10.1016/j.jad.2017.11.048
  2. Huntley, C. D., Young, B., Temple, J., Longworth, M., Smith, C. T., Jha, V., & Fisher, P. L. (2019). The efficacy of interventions for test-anxious university students: A meta-analysis of randomized controlled trials. Journal of Anxiety Disorders, 63, 36-50. https://doi.org/10.1016/j.janxdis.2019.01.007
  3. Jamieson, J. P., Mendes, W. B., Blackstock, E., & Schmader, T. (2010). Turning the knots in your stomach into bows: Reappraising arousal improves performance on the GRE. Journal of Experimental Social Psychology, 46(1), 208-212. https://doi.org/10.1016/j.jesp.2009.08.015
  4. Bosshard, M., & Gomez, P. (2024). Effectiveness of stress arousal reappraisal and stress-is-enhancing mindset interventions on task performance outcomes: A meta-analysis of randomized controlled trials. Scientific Reports, 14, 7923. https://doi.org/10.1038/s41598-024-58408-w
  5. Thormodsæter, R. S., Ballen, C. J., Fagbodun, S., Foster-Hartnett, D., García-Ojeda, M. E., Gonsar, N., Henning, J. A., Robnett, R. D., Sanders, T., Wainman, J. W., Costello, R. A., & Cotner, S. (2026). Can we mitigate the impacts of test anxiety through reappraisal interventions? A replication study in science courses across multiple institution types in the United States. CBE—Life Sciences Education, 25(1), ar9. https://doi.org/10.1187/cbe.25-04-0055
  6. Smith, A. M., Floerke, V. A., & Thomas, A. K. (2016). Retrieval practice protects memory against acute stress. Science, 354(6315), 1046-1048. https://doi.org/10.1126/science.aah5067
  7. Klier, C., & Buratto, L. G. (2026). Does retrieval practice protect memories against the amnesic effects of stress? An evaluation of the role of stimulus difficulty. Frontiers in Cognition, 5, 1838176. https://doi.org/10.3389/fcogn.2026.1838176