続け方・習慣

「サボらない」「スマホを見ない」と決めても続かないのはなぜ?「〜しない」目標と「〜する」目標の研究

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壁にかけたカレンダー
Photo: Sanromá, John B., 1900-1997 / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「今日こそサボらない」「勉強中はスマホを見ない」。そう決めたのに、気づけばまた同じことをしている。意志が弱いからだと自分を責めたくなりますが、目標の「形」も関係しているかもしれません。研究では、「〜しない」と避ける形の目標は、「〜する」と近づく形の目標より、うまくいきにくい傾向が繰り返し報告されています。

3行でわかる

  1. スウェーデンの1,066人の新年の抱負の研究では、1年後に成功したと答えた人は「〜する」形の目標で58.9%、「〜しない」形で47.1%だった(差は小さい)。
  2. 学校・仕事・スポーツの研究98本のまとめでも、勉強の分野では「失敗しないように」と避ける目標を持つ人ほど成績が低い傾向があった(相関 −0.13〜−0.14)。
  3. 「〜しない」は、何をすればいいかを教えてくれない。やめたいことには「代わりに何をするか」を足すのが、研究から言える無難なやり方。

01 悩みの正体「〜しない」目標は、何が違う?

研究では、望むものに近づく目標を「接近目標」、望まないものを避ける目標を「回避目標」と呼び分けます。「サボらない」「落ちないように」は、どちらも回避目標です。

目標には2つの向きがあります。「毎晩30分、問題を解く」のように近づく形と、「サボらない」のように避ける形です。

避ける形の目標には、困った点があります。「何をしないか」は決まっても、「その時間に何をするか」は決まっていません。スマホを見ないと決めても、手が空いた瞬間に何をすればいいかは空白のままです。

また、「スマホを見ない」と決めると、そのたびにスマホのことを頭に浮かべることになります。この点が逆効果になるのかどうかは、02で研究を紹介します。

避ける形(回避目標)近づく形(接近目標)に言い換えると
勉強をサボらない夕食の後、机で問題を1問解く
勉強中はスマホを見ない勉強を始めるときに、スマホを別の部屋の充電器に置く
試験に落ちないようにする過去問で7割取れるまで解き直す
だらだら動画を見ない動画を開きたくなったら、単語カードを5枚めくる

02 科学的にわかっていること避ける目標は、本当にうまくいきにくい?

複数の研究で、避ける目標の方が成功率や成績が低い傾向が見られました。ただし差は小さく、多くは目標の形を自分で選んだ人を比べた研究です。

Oscarssonら(2020)[1]

スウェーデンの一般の大人1,066人の新年の抱負を1年間追った。1年後に「成功している」と答えた人は、「〜する」形の目標では58.9%、「〜しない」形の目標では47.1%で、統計的に意味のある差だった(回答した730人で比較)。

対象: 18歳以上でスウェーデン語ができる人 / 限界: 成功は自己評価。目標の形は本人が選んだもので、くじで割り振ったものではない。差の大きさは「小さい」(V = 0.11)。「〜する」形で立てるよう助言を受けたグループは、支援が少ない別のグループほど成功率が上がらなかった。

Van Yperenら(2014)[2]

学校・仕事・スポーツで、目標の持ち方と実際の成績の関係を調べた98本の論文(3万3,983人)をまとめた。「できるようになりたい」「人よりうまくやりたい」と近づく目標は成績とプラスの関係、「失敗しないように」と避ける目標はマイナスの関係だった。勉強の分野では、避ける目標と成績の相関は −0.14 と −0.13だった。

種類: メタ分析(論文の8割近くが勉強の分野) / 限界: 目標はアンケートで自分で答えたもので、相関の研究。避ける目標が成績を下げたのか、成績の低い人が避ける目標を持ちやすいのかはわからない。スポーツの分野では、避ける目標と成績のマイナスの関係は見られなかった。

58.9% / 47.1%

1年後に「抱負を続けられている」と答えた人の割合。左が「〜する」形、右が「〜しない」形の目標[1]。

02 研究の続き「〜しない」と決めると、かえって逆効果になる?

強い習慣を「〜しない」と否定の形の計画でやめようとすると、かえって習慣が強まった実験があります。ただし、いつも逆効果になるわけではありません。

Adriaanseら(2011)[3]

食べる習慣について、「もし〇〇の場面になったら、△△を食べない」と否定の形で計画を立てさせた。すると、目標を持つだけの人や、「代わりに〇〇を食べる」と置きかえの計画を立てた人と比べて、やめたい習慣がかえって頭に浮かびやすくなり、行動でも逆効果が見られた。習慣が強い人ほど起きやすかった。

対象: 食べる習慣の実験(複数の研究) / 限界: 論文の要旨と、この研究を論じた別の論文で確認。勉強の習慣を調べた研究ではない。

Jägerら(2017)[4]

交渉の実験では、目標を決めることと、「〜されたら、譲らない」という否定の形を含むif-thenプランが、立場の弱い人が不利を取り戻す助けになった。否定の形でも逆効果は出ず、著者らは、逆効果は食べることのような強い習慣で起きやすいのかもしれないと考えている。

対象: 3つの実験(対面とコンピュータ上の交渉) / 限界: 勉強の研究ではない。否定の形がいつ逆効果になるかは、まだはっきりしていない。

Niczyporuk(2025)[5]

「白いクマのことを考えないで」と言われると、かえって考えてしまう、という有名な実験の研究を見直した。考えないようにした後に考えが増える「リバウンド」は、3つのメタ分析で小〜中くらいと報告されている。しかし、分析された事例の18〜46%では数字の上で逆向きの結果で、小さな研究ほど効果が大きく出る偏りを補正すると、リバウンドは統計的にはっきりしなくなった分析もある。

種類: 研究のレビュー / 限界: 健康な人では、考えを抑えることが役に立つ場合もあると著者はまとめている。頭が疲れているとき(ほかの作業を抱えているとき)は、抑えようとすると逆に考えが増えやすいという。

ここで紹介した研究は、Oscarssonら・Van Yperenら・Niczyporukは論文の本文で、AdriaanseらとJägerらは論文の要旨(Adriaanseらは別の論文での紹介も)で内容を確かめました。勉強の目標そのものを「〜する」と「〜しない」にくじで分けて比べた研究は、見つけられませんでした。

03 今日からできる小さな一歩「〜しない」目標は、どう書き直せばいい?

やめたいことは残したまま、「その場面で代わりに何をするか」を1つ決めます。行動は、時間と場所が見えるくらい具体的にします。

1

今の目標を書き出し、「しない」で終わるものに印をつける

「サボらない」「見ない」「落ちない」など、避ける形のものを探します。悪い目標というわけではありません。印をつけるだけです。

所要 3分

2

「その代わりに何をするか」を1つ足す

「スマホを見ない」なら「勉強を始めるときにスマホを別の部屋に置く」のように、体が動く行動にします。スマホの置き場所は勉強中のスマホはどこに置く?にまとめています。

所要 5分

3

「もし〜なら、〜する」の形にする

「もし動画を開きたくなったら、単語カードを5枚めくる」のように、場面と代わりの行動をつなげます。if-thenプランの研究は「いつ・どこでやるか」を決めると勉強は続くのかで紹介しています。

所要 5分

04 続けるためのコツ言い換えても続かないときは?

目標の形は、続けやすさを左右する要因の1つにすぎません。差は小さいので、言い換えたうえで、やる時間と場所を決め、崩れたら作り直します。

  • 疲れている日は「抑える」より「離す」。頭が疲れているときは、考えを抑えようとすると逆に増えやすいという報告があります[5]。スマホを我慢するより、手の届かない所へ置く方が楽です。
  • 「〜しない」が役に立つ場面もある。交渉の実験のように、否定の形でも効果が出た研究があります[4]。強い習慣をやめたいときほど、代わりの行動を決めておくと考えておけば十分です。
  • 守れなかった日を責めない。やる気はあるのに手がつかない理由はやろうと思ったのにやらない「意図と行動のギャップ」に、休んだ後の戻り方は勉強を何日も休んでしまったらにまとめています。

05よくある質問

「〜しない」という目標は、立てない方がいいですか?

禁止する必要はありませんが、「代わりに何をするか」を足す方が無難です。1,066人の新年の抱負の研究では、「〜する」形の目標の人の58.9%が1年後に成功したと答え、「〜しない」形の人は47.1%でした。ただし差は小さく、目標の形はくじで決めたものではありません。

「スマホのことを考えないようにする」と、かえって気になるのは本当?

考えないようにした後に、かえってその考えが増える「リバウンド」は、3つのメタ分析で小〜中くらいの大きさが報告されています。ただし、小さな研究ほど効果が大きく出る偏りを補正すると、統計的にはっきりしなくなったという分析もあり、いつも起きるとは言えません。

「もし〜なら、〜しない」というif-thenプランは逆効果ですか?

食べる習慣の研究では、「もし〜なら、〜を食べない」と否定の形で決めると、かえって習慣が強まる逆効果が見られました。特に習慣が強いときに起きやすいとされます。一方、交渉の実験では「〜しない」の形でも効果がありました。強い習慣をやめたいときは、代わりの行動を決める形にするのが無難です。

出典

  1. Oscarsson, M., Carlbring, P., Andersson, G., & Rozental, A. (2020). A large-scale experiment on New Year's resolutions: Approach-oriented goals are more successful than avoidance-oriented goals. PLOS ONE, 15(12), e0234097. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0234097
  2. Van Yperen, N. W., Blaga, M., & Postmes, T. (2014). A meta-analysis of self-reported achievement goals and nonself-report performance across three achievement domains (work, sports, and education). PLOS ONE, 9(4), e93594. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0093594
  3. Adriaanse, M. A., van Oosten, J. M. F., de Ridder, D. T. D., de Wit, J. B. F., & Evers, C. (2011). Planning what not to eat: Ironic effects of implementation intentions negating unhealthy habits. Personality and Social Psychology Bulletin, 37(1), 69–81. https://doi.org/10.1177/0146167210390523
  4. Jäger, A., Loschelder, D. D., & Friese, M. (2017). Using self-regulation to successfully overcome the negotiation disadvantage of low power. Frontiers in Psychology, 8, 271. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2017.00271
  5. Niczyporuk, A. (2025). The effectiveness and adaptiveness of suppressing unwanted thoughts. Psychonomic Bulletin & Review, 33(1), 5. https://doi.org/10.3758/s13423-025-02763-w