集中・環境

音楽を聴きながらの勉強は集中を妨げるのか。歌詞あり・なしで変わるBGMの研究

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Photo: www.Pixel.la Free Stock Photos / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

静かな部屋だと落ち着かず、イヤホンで音楽を流しながら勉強する人は多いはずです。研究からは、文章を読む勉強では音楽で理解度が少し下がり、特に歌詞のある曲で下がりやすいことがわかっています。歌詞のない曲なら差は小さく、選び方しだいで付き合い方は変えられます。

3行でわかる

  1. 読む勉強では、音楽を流すと理解度が少し下がる。下がり幅は小さいが、65件の研究のまとめで繰り返し確認されている。
  2. いちばん邪魔になるのは歌詞のある曲。好きな曲でも、苦手な曲と同じくらい理解を下げた実験がある。
  3. 歌詞のない、ゆっくりで小さめの音なら差は小さい。作業の種類によっては音楽がプラスに働く場面もある。

01「音楽があると集中できる」は本当か

答えは「勉強の種類と曲の種類による」です。文章を読む・覚える勉強では不利になりやすく、単純な作業や気分の面ではプラスになることもあります。

勉強中に音楽を流すこと自体は、ごく普通の習慣です。Vasilevらが論文で紹介した調査では、大学生は勉強や宿題の時間の62%で音楽を聴いていると答えています[1]。

一方で、研究の結果はばらばらに見えます。音楽で成績が下がった実験もあれば、差がなかった実験もあります。そこで、多くの研究をまとめて全体の傾向を見る分析(メタ分析)が役に立ちます。

02科学的にわかっていること

読む勉強では、音楽は理解度を小さく、しかし確かに下げます。差を大きくするのは歌詞と、速く大きな音です。好きな曲かどうかは、ほとんど関係しませんでした。

Vasilevら(2018)[1]

読書中の雑音・話し声・音楽の影響を、65件の研究でまとめた分析です。どの音も読解の成績を小さく下げ、音楽の効果量は−0.19でした。

最も邪魔になったのは、歌詞のある音楽(−0.35)と意味のわかる話し声(−0.34)でした。歌詞のある曲は、歌詞のない曲より邪魔になる確率が95%と推定されています。

対象: 子どもと大人の実験(両者で差はほぼなし) / 限界: 短時間の読解テストが中心で、長期間の学習の成果は測っていない。

PerhamとCurrie(2014)[2]

英国ウェールズの大学生30人が、4つの条件で文章を読んで6問ずつ答えました。静かな環境、好きな歌詞つきの曲、苦手な歌詞つきの曲、歌詞のない曲です。

成績は静かな環境と歌詞のない曲で高く、歌詞つきの2条件で低くなりました。好きな曲と苦手な曲の間に差はありませんでした。

対象: 19〜65歳の学部生30人(全員が4条件を体験) / 限界: 人数が少なく、1回の実験室での結果。

Thompsonら(2012)[4]

歌詞のない曲の速さと音量を変えて、25人が4分で文章を読み、6問に答えました。速くて大きい音のときに、静かな環境で読んだ人の成績をはっきり下回りました(統計的に意味のある差)。

対象: 25人(全員が4条件を体験) / 限界: 静かな環境の成績は別の参加者で測っている。

Kämpfeら(2011)[3]、de la Mora Velascoら(2023)[5]

音楽の影響を幅広く集めた分析では、全体の平均はほぼゼロでした。読むことを妨げ、記憶には小さなマイナス、気分や運動にはプラスと、作業ごとの効果が打ち消し合っていたためと考えられています。

学習に限った2023年の分析(47件の研究)では、BGMに小さなプラス(0.314)があり、クラシックは他のジャンルより小さなプラスでした。

限界: 2023年の分析は博士論文や学会発表も含み、査読論文だけのまとめではない。読む勉強に絞った分析[1]とは結論が分かれている。

どの研究も、短い時間の実験室の課題が中心です。仕事のあとに何か月も続ける独学で同じ差が出るかは、まだ確かめられていません。

03今日からできる小さな一歩

音楽をやめるより、勉強の種類で使い分けます。読む・覚える時間は歌詞なしか無音、単純な作業の時間は好きな曲、と決めるだけで十分です。

1

読む・覚える時間は、歌詞のない曲か無音にする

テキストを読む、単語を覚える間は、歌詞のないプレイリストに切り替えます。音量は会話の邪魔にならない程度に下げます。

所要 1分

2

歌詞つきの好きな曲は「単純作業」の時間に回す

ノートの清書、問題集の丸つけ、教材の整理など、読み込まない作業のときに聴きます。気分を上げる用途として使い分けます。

所要 0分(割り当てを決めるだけ)

3

同じ範囲を「音楽あり・なし」で1回ずつ試す

似た分量の文章を2つ選び、片方は音楽あり、もう片方は無音で読みます。読んだあと何も見ずに要点を3つ書き出し、出来を比べます。

所要 30分

04続けるためのコツ

音楽は「集中の道具」ではなく「勉強を始めるきっかけ」として使うと続けやすくなります。読み始めたら音を小さくするだけでも違いは出ます。

  • 机に向かう最初の数分だけ好きな曲をかけ、読み始めたら歌詞のない曲に替える。
  • 「邪魔にならない気がする」は当てにしすぎない。実験では、歌詞つきの曲を好きか苦手かで成績は変わりませんでした。
  • カフェなど人の話し声がする場所では、歌詞のない曲や耳栓で声をさえぎる。意味のわかる声も歌詞と同じくらい邪魔になります。
  • 区切って休むなら、ポモドーロ・テクニックの研究も参考に。休憩中は好きな曲を聴いてかまいません。
  • 読んだあとの確認は、思い出す練習で。音楽の影響があったかどうかにも気づけます。

05よくある質問

音楽を聴きながら勉強すると集中力は下がるの?

文章を読む勉強では、静かな環境より理解度が少し下がるという研究のまとめがあります。特に歌詞のある曲で下がりやすく、歌詞のない曲では差が小さい傾向です。下がり幅は小さく、勉強の種類によっても変わります。

好きな曲なら勉強の邪魔にならない?

読む勉強では、好きな曲でも歌詞があれば理解度が下がりました。大学生30人の実験で、好きな歌詞つきの曲と苦手な歌詞つきの曲は同じくらい成績を下げ、歌詞のない曲と静かな環境では差がありませんでした。

洋楽など、意味のわからない言語の歌なら大丈夫?

安心とは言えません。中国の大学生38人の実験では、英語の歌詞の曲を流すと中国語の文章を読む速さと効率が下がりました[6]。英語の聞き取りが得意な人ほど、その条件での読む効率は高めでした。

クラシックを聴くと勉強がはかどるって本当?

BGMのある学習全体をまとめた2023年の分析では、BGMにわずかなプラスの効果があり、クラシックは他のジャンルより小さなプラスでした。ただし博士論文なども含む分析で、読む勉強では逆にマイナスという分析もあるため、条件しだいと考えるのが妥当です。

勉強法の早見表で「歌詞つきの音楽を聴きながら読む」の判定を見る
ほかの勉強法も22種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Vasilev, M. R., Kirkby, J. A., & Angele, B. (2018). Auditory distraction during reading: A Bayesian meta-analysis of a continuing controversy. Perspectives on Psychological Science, 13(5), 567-597. https://doi.org/10.1177/1745691617747398
  2. Perham, N., & Currie, H. (2014). Does listening to preferred music improve reading comprehension performance? Applied Cognitive Psychology, 28(2), 279-284. https://doi.org/10.1002/acp.2994
  3. Kämpfe, J., Sedlmeier, P., & Renkewitz, F. (2011). The impact of background music on adult listeners: A meta-analysis. Psychology of Music, 39(4), 424-448. https://doi.org/10.1177/0305735610376261
  4. Thompson, W. F., Schellenberg, E. G., & Letnic, A. K. (2012). Fast and loud background music disrupts reading comprehension. Psychology of Music, 40(6), 700-708. https://doi.org/10.1177/0305735611400173
  5. de la Mora Velasco, E., Chen, Y., Hirumi, A., & Bai, H. (2023). The impact of background music on learners: A systematic review and meta-analysis. Psychology of Music, 51(6), 1598-1626.(博士論文・学会発表を含む分析) https://doi.org/10.1177/03057356231153070
  6. Quan, Y., & Kuo, Y.-L. (2023). The effects of Chinese and English background music on Chinese reading comprehension. Psychology of Music, 51(2), 655-663. https://doi.org/10.1177/03057356221101647