続け方・習慣

講座や勉強会、ごほうびの仕組みが終わったら、勉強が続かなくなった。どう立て直す?支えが外れた後の習慣の研究

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教室に並ぶ机
Photo: Michael Coghlan from Adelaide, Australia / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

講座に通っていたころは毎週勉強できていた。勉強会やアプリのごほうびがあるうちは続いていた。ところが、それが終わったとたんに手が止まった。そんな自分を「やっぱり意志が弱い」と責める必要はありません。研究から言えるのは、外の仕組みが終わると行動が元に戻るのはよくあることで、終わった後は「休んだ後に戻る」ことを自分で支える形に置きかえれば立て直せるということです。

3行でわかる

  1. 6万1,293人のジム会員に54通りの4週間の後押しを試した実験では、終わった後の4週間にも効果が残ったのは8%の方法だけだった。支えが外れて元に戻るのは、多くの人に起きること。
  2. いちばん効いた後押しは「休んだ後にまた来たらごほうび」だった。別の実験では、決まった2時間の枠だけにごほうびを出すより、時刻を問わない方が、終わった後も続いた。
  3. 立て直すときは、①休んだ後に戻った日に自分で印をつける ②時刻に幅を持たせる ③週4回ほどを6週間続けることを目安にする。研究の多くは運動の習慣で、勉強での確認はまだ少ない。

01 悩みの正体講座が終わると勉強が止まるのはなぜ?

講座・勉強会・ごほうびは、「いつやるか」「やったら何が起きるか」を外から決めてくれていました。それがなくなると、勉強を始める合図も一緒になくなるからです。

講座には曜日と時刻があり、課題の締め切りがあり、先生や仲間の目があります。勉強アプリには、続けた日数やごほうびがあります。

こうした外の仕組みは、勉強を始める合図と、続ける理由の両方を用意してくれます。終わると、その両方が同時に消えます。止まったのは、意志が急に弱くなったからではありません。支えていたものがなくなったのです。

何日も休んだ後の再開のしかたは三日坊主からの立て直しの記事で紹介しました。この記事では、外の支えが終わった後、自分で支える形にどう置きかえるかに絞ります。

02 科学的にわかっていること後押しの効果は、終わった後も残る?

残ることもありますが、小さいか、残らないことの方が多いと考えられます。6万人規模の実験では、54通りの後押しのうち終了後も効果が残ったのは8%でした。

Milkmanら(2021)[1]

米国のジムチェーンの会員6万1,293人に、30人の研究者が考えた54通りの4週間のプログラムを割り当てた。45%のプログラムは、期間中のジム通いを週あたり9〜27%増やした。いちばん効いたのは「行かなかった日の後にまた来たら、少しのポイント(約0.09ドル分)を出す」方法で、27%増えた。ところが、終わった後の4週間にもはっきりした効果が残ったのは8%のプログラムだけだった。

対象: 米国46州のジム会員(平均39歳、65%が女性) / 限界: 運動の研究で、勉強の習慣を測ったものではない。成績のよかった方法ほど、偶然で効果が大きく見えている可能性があると著者ら自身が書いている。

Mitchellら(2020)[2]、Salmaniら(2025)[3]

お金のごほうびで運動を増やす23のランダム化比較試験(6,074人)をまとめたメタ分析では、ごほうびのある間、1日の歩数は平均607歩増えた。ごほうびをやめた後の歩数をまとめると増加は残っていた(平均514歩)が、終了後の効果を報告したのは18研究中4つだけで、2つの見方は一致しなかった。2025年の更新版(29研究・9,604人)では、終了後の効果は小さかった(標準化平均差0.20)。

対象: 平均41〜43歳ほどの大人の運動の研究 / 限界: 終わった後まで追った研究は少なく、更新版の著者らも「長期と終了後の効果の証拠は限られる」と書いている。

Beshearsら(2021)[4]

米国の大手IT企業の社員2,508人に、4週間、社内のジムで運動するたびにお金を出した。自分で決めた2時間の枠の中で運動したときだけ払う組と、いつ運動しても払う組をくらべると、時刻を問わない組の方が、期間中も、ごほうびをやめた後の4週間も、ジムに行く回数が多かった。

対象: 1つの会社の、自分から申し込んだ社員 / 限界: 予定が日々変わりやすい職場での結果。著者らは、毎回同じ時刻が都合のよい人なら、決まった時刻の方が合う場合もありうると述べている。差は11週目以降でははっきりしなくなった。

KaushalとRhodes(2015)[5]

ジムに新しく入会した111人を12週間追った研究。運動が習慣になるには、少なくとも週4回を6週間続けることが目安だった。習慣が育つのを後押ししていたのは、同じように続けること、内容がややこしくないこと、環境、そして「楽しい」と感じることだった。

対象: ジムの新規会員111人 / 限界: 運動の習慣をアンケートで追った研究。勉強で同じ回数が目安になるかはわからない。

ここで紹介した研究は、どれも運動の習慣についてのものです。勉強は日によって内容が変わり、運動より頭を使うので、同じ数字がそのまま当てはまるとは限りません。それでも「外の後押しは終わると弱まる」「休んだ後に戻ることを支えると効く」「時刻をしばりすぎない方が続く」という点は、独学の立て直しにも使える手がかりです。

03 今日からできる小さな一歩支えが外れた勉強を、どう立て直す?

まず今日10分だけ再開し、休んだ後に戻った日に自分で印をつけます。時刻はしばらず幅を持たせ、週4回ほどを6週間続けることを目安にします。

1

講座がくれていたものを書き出す

「毎週火曜の夜という時刻」「締め切り」「仲間の目」「ポイント」など、講座や勉強会が用意してくれていたものを紙に書きます。何がなくなって止まったのかがわかると、自分で用意し直すものが見えます。

所要 5分

2

今日、10分だけ再開する

講座のころと同じ量に戻そうとしないで、問題を数問解く・前回の範囲を思い出して書き出すなど、10分で終わることから始めます。

所要 10分

3

「休んだ後に戻った日」に特別な印をつける

カレンダーや記録表に、勉強した日は丸、休んだ後に戻った日は二重丸をつけます。大規模な実験でいちばん効いたのは、休んだ後に戻ることへの小さなごほうびでした。続いた日数より、戻れた回数を数えます。

所要 1日10秒

4

時刻はしばらず、幅を持たせる

「21時から21時半」と決めるより、「夕食の後、寝るまでのどこかで」のように幅を持たせます。予定が変わりやすい職場の実験では、決まった2時間の枠の中だけでごほうびを出した組の方が、時刻を問わない組より運動の回数が少なくなりました。毎日同じ時刻が空いている人は、時刻を決めてもかまいません。

所要 2分(決めるだけ)

5

週4回ほどを、6週間続けることを目安にする

運動の研究では、習慣になる目安は週4回を6週間でした。勉強で同じとは限りませんが、毎日を目指すより届きやすい目標です。6週間たったら、記録を見て回数と量を見直します。

所要 6週間

6

講座の「人の目」は、小さく作り直す

仲間の目が支えだった人は、勉強会の仲間に週1回だけ進み具合を送る、図書館など人のいる場所で勉強するなど、軽い形で作り直します。一緒に学ぶ効果は勉強仲間がいると続くのかの記事にまとめています。

所要 週5分

講座や勉強会が用意していたものと、終わった後に自分で作り直す形の対応表です。

講座・仕組みがくれていたもの終わった後に自分で作る形
決まった曜日・時刻「夕食の後のどこかで」など幅のある合図
課題の締め切り週末に「今週解いた問題数」を記録する
ポイント・連続日数休んだ後に戻った日の二重丸
先生や仲間の目週1回、進み具合を誰かに送る
決まった教材と量1回10分から始め、6週間後に量を見直す

「10分」「週1回」は研究で決まった数字ではなく、研究の結果を日々の独学に当てはめるための目安です。

04 続けるためのコツ次の講座が終わった後も止まらないためには?

講座が終わる前の数週間のうちに、自分で支える仕組みを並行して始めておきます。終わってからゼロで作るより、引き継ぐ方が楽です。

05よくある質問

講座が終わったら勉強しなくなりました。意志が弱いのでしょうか?

多くの人に起きることだと考えられます。6万1,293人のジム会員を対象にしたMilkmanら(2021)の実験では、54通りの4週間のプログラムのうち、終わった後の4週間にも効果が残ったのは8%だけでした。運動の研究ですが、外の支えが外れると元に戻りやすいことを示しています。

勉強する時刻は、毎日同じにした方がいいですか?

予定が変わりやすい人は、幅を持たせた方が続きやすい可能性があります。Beshearsら(2021)の実験では、決まった2時間の枠だけにごほうびを出すより、いつ運動してもごほうびを出す方が、期間中も終了後も運動の回数が多くなりました。毎日同じ時刻が空いている人なら、決まった時刻でもかまいません。

勉強が習慣になるまで、どのくらいかかりますか?

人によって大きく違います。ジムの新規会員111人を追ったKaushalとRhodes(2015)の研究では、運動の習慣ができる目安は週4回を6週間でした。勉強についての研究ではないため目安として使い、6週間たったら記録を見て見直してください。

自分にごほうびを出すのは効きますか?

続けるきっかけにはなりますが、やめた後の効果は小さいと考えられます。運動へのお金のごほうびの23研究をまとめたMitchellら(2020)では、ごほうびのある間は歩数が増えたものの、終了後の効果を報告したのは18研究中4つでした。ごほうびは「休んだ後に戻ること」に絞って小さく使う方が、研究の結果に沿っています。

出典

  1. Milkman, K. L., Gromet, D., Ho, H., Kay, J. S., Lee, T. W., Pandiloski, P., ... Duckworth, A. L. (2021). Megastudies improve the impact of applied behavioural science. Nature, 600(7889), 478–483. https://doi.org/10.1038/s41586-021-04128-4
  2. Mitchell, M. S., Orstad, S. L., Biswas, A., Oh, P. I., Jay, M., Pakosh, M. T., & Faulkner, G. (2020). Financial incentives for physical activity in adults: Systematic review and meta-analysis. British Journal of Sports Medicine, 54(21), 1259–1268. https://doi.org/10.1136/bjsports-2019-100633
  3. Salmani, B., Prapavessis, H., Vanderloo, L. M., & Mitchell, M. S. (2025). Financial incentives for physical activity in adults: Systematic review and meta-analysis update. Preventive Medicine, 192, 108237. https://doi.org/10.1016/j.ypmed.2025.108237
  4. Beshears, J., Lee, H. N., Milkman, K. L., Mislavsky, R., & Wisdom, J. (2021). Creating exercise habits using incentives: The tradeoff between flexibility and routinization. Management Science, 67(7). https://doi.org/10.1287/mnsc.2020.3706
  5. Kaushal, N., & Rhodes, R. E. (2015). Exercise habit formation in new gym members: A longitudinal study. Journal of Behavioral Medicine, 38(4), 652–663. https://doi.org/10.1007/s10865-015-9640-7