英単語は何から覚える?よく使われる順の「わかる割合」表と、覚える順番のチェック表(語彙の量とカバー率の研究から)

単語帳を開くたびに「この単語、本当に覚える必要がある?」と迷う。英語を独学する人によくある悩みです。研究では、よく使われる上位1,000語のグループだけで、講義の言葉の約8割を占めていました。この記事では、単語の「使われる順位」と「わかる割合」の研究を、覚える順番を決める表にしました。
3行でわかる
- オンライン講座194本の講義(約445万語)を調べた研究では、よく使われる上位1,000語のグループで80.48%、3,000語のグループで92.85%の言葉をカバーできた。その先は、1,000語ふやしても1.5%以下しか増えなかった。
- 英文を「知らない単語を気にせず」理解できる目安は、知っている単語が98%(50語に1語が知らない単語)とされ、読むには約8,000語のグループが必要と推定されている。最低限の目安の95%なら約4,000〜5,000語。
- 覚える順番は「上位3,000語を先に、確実に」。その先は、映画・講義・仕事の文書など、自分が使う英語に合わせて選ぶ。ただし、単語がわかる割合は理解の目安の1つにすぎない。
01 この表でできること英単語は、どの順番で覚えるのが効率的?
よく使われる順に覚えるのが効率的です。英語では、上位の単語が文章の大部分を占め、順位が下がるほど1語あたりの出番が急に減ります。上位3,000語を先に固め、その先は目的で選びます。
ここでいう「語」は、研究で使うワードファミリー(同じ元の語から変化した形をまとめた単位)です。たとえば use・uses・used・useful は、まとめて1つと数えます。単語帳の「見出し語の数」とは数え方が違うので、数字はおおよその目安として読んでください。
「カバー率」は、ある文章の中で、知っている単語が占める割合です。95%なら20語に1語、98%なら50語に1語が知らない単語になります。
知らない単語の割合と読みやすさの研究は英語の多読のやり方で、覚えた単語を忘れない復習の組み方は英単語の復習スケジュールと記録表でまとめています。
02 表の根拠になった研究英語は何語覚えれば、どのくらいわかる?
講義なら上位5,000語のグループで95%、映画やテレビなら3,000語で95%に届くと推定されています。書かれた英文を98%わかるには約8,000語が必要とされますが、これは推定で、測り方によって数字は変わります。
Xodabandeら(2022)[1]
オンライン講座の大手サイトから、ビジネス・健康・数学など10分野の194講座を選び、講義の書き起こし約445万語を、よく使われる順の単語リストと照らし合わせた。上位1,000語のグループで80.48%、2,000語で87.77%、3,000語で92.85%、5,000語で95.15%をカバーした。98%に届くには、固有名詞などを含めて約9,000語が必要だった。
対象: 英語の講義の書き起こし(人ではなく文章の分析) / 限界: 1つの講座サイトだけの講義で、ほかのサイトの講義に当てはまるとは限らない。わかる割合を数えたもので、学習者の理解を測ったものではない。
WebbとRodgers(2009)[2]
映画318本の台本(約284万語)を調べ、上位3,000語のグループで95%、6,000語に固有名詞などを足して98%のカバー率になると推定した。テレビ番組を調べた同じ著者らの研究では、95%に3,000語、98%に7,000語が必要だった。
対象: 映画・テレビの台本の分析 / 限界: [1]の論文の紹介で確認。台本の言葉の分析で、聞き取れるかどうかは別の問題。
LauferとRavenhorst-Kalovski(2010)[3]
学習者の語彙の量、読んだ文章のカバー率、標準化された読解テストの点を合わせて調べた。理解の目安を2段階で提案した。最低限は4,000〜5,000語のグループ(カバー率95%)、十分に読めるのは8,000語のグループ(98%)。語彙が少し増えると、カバー率はほとんど変わらなくても読解の点は上がっていた。
対象: 英語を外国語として学ぶ学習者 / 限界: 論文の要旨で確認。どちらの数字も固有名詞を知っている語に含めた値。
Schmittら(2017)[4]
「何語あれば英語が使えるか」の代表的な3つの研究をくり返して確かめる計画を示した論文。代表的な推定として、98%に必要な量は読むのに8,000〜9,000語、聞くのに6,000〜7,000語(Nation 2006)。一方で、聞く場合は95%でも足りるかもしれず、それなら2,000〜3,000語で届くという研究もある(van ZeelandとSchmitt 2012)と整理した。
対象: 先行研究の整理 / 限界: 論文の要旨で確認。推定の数字が研究によってかなり違うことを示している。
これらは英文を数えた研究で、実際に何語覚えた人がどのくらい理解できたかを長く追ったものではありません。知らない単語の割合と読解の関係を調べた有名な研究は、別の国でくり返したときに元の結果をすべては再現できませんでした(多読の記事で紹介)。「98%を超えたら読める」という境目があるわけではないと考えておきます。
03 表の使い方覚える英単語の優先順位は、どう決める?
表1で今いる段階を確かめ、表2で自分の目的に必要な量を見て、表3の順に覚えます。上位3,000語までは、どの目的でも共通の土台です。その先は、使う英語に出てくる単語を選びます。
表1 よく使われる順に覚えたときの「わかる割合」(講義の英語の場合[1])
| 覚えた量(ワードファミリー) | カバー率 | 知らない単語の頻度の目安 |
|---|---|---|
| 上位1,000語 | 80.48% | 5語に1語 |
| 上位2,000語 | 87.77% | 8語に1語 |
| 上位3,000語 | 92.85% | 14語に1語 |
| 上位4,000語 | 94.30% | 18語に1語 |
| 上位5,000語 | 95.15% | 21語に1語 |
| 上位6,000語 | 95.73% | 23語に1語 |
| 約9,000語(固有名詞などを含む) | 約98% | 50語に1語 |
右の列は、カバー率から計算した目安です(この記事での計算)。1,000語から3,000語までは、1,000語ごとに5〜7%増えます。4,000語から先は1,000語ごとに1.5%以下しか増えません。
表2 目的ごとに必要な量の目安(研究の推定値、ワードファミリー)
| 使う英語 | 95%に届く量 | 98%に届く量 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 映画 | 3,000語 | 6,000語+固有名詞など | [2] |
| テレビ番組 | 3,000語 | 7,000語 | [2] |
| オンライン講座の講義 | 5,000語 | 約9,000語 | [1] |
| 書かれた英文を読む | 4,000〜5,000語 | 8,000語(8,000〜9,000語の推定も) | [3][4] |
| 話し言葉を聞く | 2,000〜3,000語 | 6,000〜7,000語 | [4] |
表3 覚える順番のチェック表
| 段階 | やること | 終わった目安 |
|---|---|---|
| 1. 上位2,000語 | 単語帳や頻度順のリストで、全部を意図して覚える。思い出す練習と間をあけた復習を使う | リストからランダムに20語選び、見て意味を言えるのが18語以上 |
| 2. 上位3,000語 | 同じやり方で、2,001〜3,000番目を覚える | 同じテストで18語以上 |
| 3. 自分の教材で確かめる | 使う予定の英文(講義・記事・ドラマの字幕)から100語を選び、知らない単語を数える | 知らない単語が5語以下(95%)なら次へ。多ければ段階1〜2の抜けを直す |
| 4. 目的の単語を足す | 表2の目的に合わせ、教材で2回以上出てきた知らない単語から覚える | 同じ100語チェックで、知らない単語が2語以下(98%)に近づく |
「18語以上」「100語」は、この記事で使いやすく決めた基準で、研究で決められた数字ではありません。
今の段階を100語チェックで確かめる
使う予定の英文から100語を選び、知らない単語に印をつけます。8語以上なら上位2,000〜3,000語の段階、5語以下なら目的の単語を足す段階です。
所要 約10分
上位3,000語までは、頻度順のリストで抜けを埋める
知っている単語は飛ばし、思い出せない単語だけをカードにします。1日10〜20語ずつ、思い出す練習で覚えます。
所要 1日15分
その先は、自分の教材で2回以上出た単語から覚える
目的に合った英文を読む・聞くときに、知らない単語に印をつけます。2回目に出てきたら覚える単語に加えます。
所要 教材1本ごとに5分
1か月ごとに100語チェックをやり直す
同じ種類の別の英文で数え、知らない単語の数を記録します。数が減らないなら、覚えた単語の復習が足りていないか、教材が目的に合っていません。
所要 約10分
04 続けるためのコツ頻度順に覚えるとき、気をつけることは?
数字は目安で、リストによって順位も違います。4,000語より先は、単語帳を進めるより、使う英語に出てくる単語を選ぶ方が効率的です。
- 4,000語より先は、1,000語で1.5%以下しか増えない。表1のとおりです[1]。ここからは単語帳を先へ進めるより、使う英語に出てくる単語を選ぶ方が、同じ時間で教材のわかる割合が上がりやすくなります。
- カバー率が少しでも上がる意味はある。語彙が少し増えると、カバー率はほとんど変わらなくても読解の点は上がっていました[3]。数字が伸びないように見えても、覚えた分はむだになりません。
- 単語リストは1つに決める。リストごとに順位や数え方が違います。講義の研究でも、別の有名な単語リスト(GSLとAWL)を使うと、合わせて90.86%にとどまりました[1]。途中で別のリストに乗り換えると、段階の目安がずれます。
05よくある質問
英語は何単語覚えれば話についていけますか?
研究の推定では、映画やテレビなら上位3,000語のグループで言葉の95%(20語に1語が知らない単語)に届きます。98%には6,000〜7,000語が必要とされます。ただし、これは台本の単語を数えた推定で、聞き取れるかどうかは発音や速さにも左右されます。
単語帳は最後までやるべきですか?
上位3,000語のグループまでは、どの目的でも土台になるので確実に覚える価値があります。講義の英語の研究では、4,000語より先は1,000語ふやしても1.5%以下しかわかる割合が増えませんでした。その先は、自分が使う英語に出てくる単語を優先する方が効率的です。
知らない単語が何%までなら英文を読めますか?
十分に読める目安は98%(50語に1語)、最低限の目安は95%(20語に1語)とされます。ただし推定値で、別の国でくり返した研究では元の結果をすべては再現できませんでした。わかる割合が上がるほど、理解はなだらかに上がると考えておきます。
「ワードファミリー」と単語帳の単語数は同じですか?
同じではありません。ワードファミリーは use・uses・used・useful のように、同じ元の語から変化した形をまとめて1つと数えます。単語帳は形ごとや意味ごとに数えることが多いので、研究の「3,000語」は単語帳ではもっと多い見出し語になることがあります。
出典
- Xodabande, I., Ebrahimi, H., & Karimpour, S. (2022). How much vocabulary is needed for comprehension of video lectures in MOOCs: A corpus-based study. Frontiers in Psychology, 13, 992638. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.992638
- Webb, S., & Rodgers, M. P. H. (2009). The lexical coverage of movies. Applied Linguistics, 30, 407–427.(テレビ番組の研究: Webb & Rodgers (2009). The vocabulary demands of television programs. Language Learning, 59, 335–366. https://doi.org/10.1111/j.1467-9922.2009.00509.x) https://doi.org/10.1093/applin/amp010([1]の紹介に基づく)
- Laufer, B., & Ravenhorst-Kalovski, G. C. (2010). Lexical threshold revisited: Lexical text coverage, learners' vocabulary size and reading comprehension. Reading in a Foreign Language, 22(1), 15–30. https://scholarspace.manoa.hawaii.edu/items/eaead47e-853e-4797-ba6f-596df150c1d7(要旨に基づく)
- Schmitt, N., Cobb, T., Horst, M., & Schmitt, D. (2017). How much vocabulary is needed to use English? Replication of van Zeeland & Schmitt (2012), Nation (2006) and Cobb (2007). Language Teaching, 50(2), 212–226. https://doi.org/10.1017/S0261444815000075(要旨に基づく)


