勉強法

一夜漬けは本当に効かないのか。詰め込み学習の研究でわかったこと

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Photo: Brackett, J. Raymond / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

試験の前夜に、まとめて詰め込む「一夜漬け」。研究では、直後のテストなら、まとめて学ぶやり方でも点が取れることがあります。ただ、覚えた内容は日がたつと大きく抜けます。徹夜で睡眠を削ると、翌日の成績も下がりやすくなります。

3行でわかる

  1. 詰め込みは、すぐ後のテストには効くことがある。ただし1週間後には大きく忘れやすい。
  2. 徹夜すると成績が下がるのに、本人は「よくできた」と感じやすい。
  3. 試験が明日なら、睡眠を削らず、問題を解いて思い出す練習に時間を使う。

01一夜漬けが「効いた気がする」理由

一夜漬けは、覚えた直後に試験を受けるので、翌日のテストではある程度点が取れます。弱点は、試験が終わると急に抜けることと、睡眠を削りやすいことです。

研究では、一度にまとめて学ぶことを「集中学習」と呼びます。日をあけて学ぶことは「分散学習」です。

まとめて学ぶと、学んでいる最中はすらすら進みます。だから「よく覚えた」と感じやすいのです。暗記カードの実験では、最初の学習の後、参加者の72%が「まとめて学んだ方が効いた」と答えました[2]。

一夜漬けは「まったく効かない」わけではありません。正しく言えば、すぐのテストには効くが、長くは残らない勉強法です。この記事では、日をあけて学ぶ方法そのものではなく、試験直前の詰め込みと徹夜に絞って研究を見ていきます。分散学習のしくみは分散学習の記事で紹介しています。

02科学的にわかっていること

まとめて学ぶと、直後のテストでは有利なことがあります。しかし日がたつとその差は消えるか、逆転します。睡眠を削って勉強した翌日は、授業や試験でつまずきやすくなります。

Greving・Richter(2019)[1]

中学1年生191人が、同じ文章を2回読む実験。続けて2回読んだ生徒は、約5分後のテストで、1週間あけて読み直した生徒より成績がよかった。ところが1週間後には、続けて読んだ生徒の想起が約50%落ちた。1週間あけた生徒の低下は約10%で、両者の差はなくなった。

対象: ドイツの7年生(平均12.9歳)、事前登録された授業内の実験 / 限界: 1週間後のテストでも、間をあけた側がはっきり上回るまでの差は出なかった。著者は「効果はテストの時期しだい」とまとめている。

Kornell(2009)[2]

ウェブの暗記カードで単語のペアを覚える3つの実験。日をあけて学ぶ方が、試験前日にまとめて学ぶ「詰め込み」より成績がよかった。間をあけた方がよかった人は、参加者の90%にのぼった。

対象: GRE(アメリカの大学院入試)に出るような単語のペアを学ぶ実験の参加者 / 限界: 論文の要旨で確認した内容。単語の暗記課題の結果。

Pilcher・Walters(1997)[3]

大学生44人のうち、24時間眠らなかった学生は、約8時間眠った学生より、批判的思考のテストの成績が低かった。それなのに、自分の集中・努力・できばえを、眠った学生より高く評価していた。

対象: 大学生44人。一方は24時間眠らず、もう一方は約8時間眠ってからテストを受けた / 限界: 人数が少なく、1種類のテストでの結果。

Gillen-O'Neelら(2013)[4]

高校生535人が、14日間の日記を9・10・12年生の3回つけた。ふだんどれだけ勉強しているかに関係なく、睡眠を削っていつもより多く勉強した翌日は、授業の内容がわかりにくく、課題やテストでつまずきやすかった。

対象: 高校生535人(9年生時の平均14.9歳) / 限界: 本人の記録をもとにした研究で、原因と結果を実験で確かめたものではない。

Okanoら(2019)[5]

大学の化学の授業を受ける学生88人に活動量計をつけてもらった。睡眠が長く、質がよく、規則的な学生ほど成績がよかった。睡眠の指標で成績のばらつきの約25%を説明できた。一方、テスト前夜1晩の睡眠と成績には関係が見られなかった。関係していたのは、テストまでの1週間と1か月の睡眠だった。

対象: アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生88人 / 限界: 相関の研究で、睡眠が成績を上げたとは言い切れない。1つの大学・1つの授業の結果。

ここで紹介した実験の多くは、中高生や大学生が短い文章や単語を学んだものです。資格試験のように範囲が広い独学で、同じ大きさの差が出るとは限りません。

03今日からできる小さな一歩

試験が明日なら、寝る時間を先に決め、問題を解いて思い出す練習に絞ります。まだ日があるなら、試験日から逆算して復習する日を先に決めておきます。

1

試験が明日なら、寝る時間を先に決める

徹夜で範囲を全部さらうより、眠る時間を守ります。眠らないとできばえが下がるのに、本人は気づきにくいという結果があります。睡眠と記憶の関係は睡眠と記憶の記事で紹介しています。

所要 1分

2

読み返すより、問題を解いて思い出す

限られた時間は、教科書を読み返すより、問題集や過去問で答えを思い出す練習に使います。思い出す練習の効果はテスト効果の記事で紹介しています。

所要 30分

3

次の試験は、試験日から逆算して復習日を出す

一夜漬けになるのは、復習する日が決まっていないからです。復習日の計算機に学んだ日と試験日を入れて、復習する日を手帳やカレンダーに書き込みます。

所要 3分

04続けるためのコツ

一夜漬けをしてしまった自分を責める必要はありません。直前の見直しは「最後の1回」として残し、その前に日をあけた復習を足していけば十分です。

  • 試験前夜の見直しはやめなくてよい。その前に、日をあけた復習を1〜2回足す。
  • 「すらすら読めた」は覚えた証拠にならない。理由はわかったつもりの記事で紹介しています。
  • 勉強時間は少し多めに見積もる。予定が遅れる理由は計画倒れの記事を参考に。
  • 試験が終わっても使う内容は、試験後に1回だけ解き直す。

05よくある質問

一夜漬けでも試験に受かることはありますか?

あります。Greving・Richter(2019)の実験では、続けて2回読んだ生徒は、約5分後のテストでは1週間あけて読み直した生徒より成績がよくなりました。直後のテストには、まとめて学ぶやり方も一定の効果があります。ただし同じ研究で、1週間後には続けて読んだ側の想起が約半分に落ちました。

徹夜で勉強するのと、寝るのとではどちらがいいですか?

研究からは、睡眠を削らない方がよいと考えられます。Pilcher・Walters(1997)では、24時間眠らなかった大学生は、約8時間眠った学生より思考力のテストの成績が低くなりました。それなのに、自分のできばえを高く見積もっていました。

一夜漬けで覚えたことは、すぐ忘れますか?

忘れやすいと考えられます。Greving・Richter(2019)では、続けて2回読んだ生徒の想起は1週間で約50%落ち、1週間あけて読み直した生徒は約10%の低下でした。資格試験の次の段階や仕事で使う内容は、試験後も日をあけて復習するのが確実です。

試験前夜によく眠れなかったら、もうだめですか?

前夜1晩だけで決まるわけではありません。大学生88人を調べたOkanoら(2019)では、テスト前夜の睡眠と成績の関係は見られず、それまでの1週間・1か月の睡眠の長さや質が成績と関係していました。

勉強法の早見表で「一夜漬け(試験直前の詰め込み)」の判定を見る
ほかの勉強法も39種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

無料ツール
復習日の計算機を使う
試験日を入れると、1回目の復習に向く日を計算します(分散学習の研究をもとに)。

無料ツール
復習カレンダー(印刷用テンプレート)を使う
試験日と勉強する日から、1回目の復習日を書き込んだカレンダーを作って印刷できます。

出典

  1. Greving, C. E., & Richter, T. (2019). Distributed learning in the classroom: Effects of rereading schedules depend on time of test. Frontiers in Psychology, 9, 2517. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.02517
  2. Kornell, N. (2009). Optimising learning using flashcards: Spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychology, 23(9), 1297-1317. https://doi.org/10.1002/acp.1537
  3. Pilcher, J. J., & Walters, A. S. (1997). How sleep deprivation affects psychological variables related to college students' cognitive performance. Journal of American College Health, 46(3), 121-126. https://doi.org/10.1080/07448489709595597
  4. Gillen-O'Neel, C., Huynh, V. W., & Fuligni, A. J. (2013). To study or to sleep? The academic costs of extra studying at the expense of sleep. Child Development, 84(1), 133-142. https://doi.org/10.1111/j.1467-8624.2012.01834.x
  5. Okano, K., Kaczmarzyk, J. R., Dave, N., Gabrieli, J. D. E., & Grossman, J. C. (2019). Sleep quality, duration, and consistency are associated with better academic performance in college students. npj Science of Learning, 4, 16. https://doi.org/10.1038/s41539-019-0055-z