記憶・覚え方

飲み会の翌日、勉強が頭に入らない。前の日に覚えたことは消えた?どう立て直す?二日酔いと記憶の研究

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飲み会の後、テーブルに残された空のグラス
Photo: oatsy40 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

前の晩に飲み会があった。翌朝、テキストを開いても文字が頭に入ってこない。昨日せっかく覚えた範囲も、消えてしまった気がする。責める必要はありません。研究からは、前日に覚えたことは思ったほど消えていない一方で、翌日は注意や反応の速さが落ちやすいことがわかっています。立て直しは「確かめる」「軽い勉強に切りかえる」「その夜にしっかり寝る」の3つが軸です。

3行でわかる

  1. アメリカの大学生196人の実験では、飲んだ翌朝でも、前日に聞いた講義の小テストの点は落ちなかった。一方で、気分と注意・反応の速さは悪くなっていた。
  2. 19の研究を整理したレビューでは、二日酔いの日は記憶と注意の成績が下がっていた。新しい範囲を覚える勉強は、その日の後半か翌日に回すのが無難。
  3. 翌朝はまず前日分を5分で思い出して確かめる。新しい範囲より復習・問題演習に回し、その夜はいつもの時間に寝る。

01 悩みの正体飲んだ翌日に勉強がはかどらないのはなぜ?

二日酔いの日は、注意を続ける力や反応の速さ、新しく覚える力が落ちやすいためです。前日に覚えたこと自体が消えたとは限りません。「覚えたものが残っているか」と「今日の頭の調子」は分けて考えます。

研究では、二日酔いを「1回の大量の飲酒の翌日、血中のアルコールがほぼ0になったころに出る心と体の不調」と定義しています[2]。アルコールが抜けていても、不調は残るということです。

お酒は眠りも変えます。眠っている間には、その日に覚えたことが整理されると考えられています(睡眠と記憶の記事)。飲んだ夜は眠りの中身が変わるため、翌日のだるさや眠気にもつながります[3][4]。

02 科学的にわかっていること前日に覚えたことは、飲むと消えてしまう?

前日に覚えた講義の内容は、飲んだ翌朝でも点が落ちなかった実験があります。落ちていたのは注意・反応の速さと気分です。二日酔いの日は記憶の成績も下がるという研究のまとめもあり、新しく覚える勉強には向きません。

Howlandら(2010)[1]

大学生が、ある晩はお酒(呼気のアルコール濃度が平均0.12%になる量)を、別の晩は偽のお酒を飲み、それぞれ翌朝にテストを受けた。前日に聞いた講義の小テストと、大学院入試の問題(GRE)の成績は、飲んだ翌朝でも変わらなかった。一方、気分と、注意・反応の速さの検査は悪くなっていた。

対象: アメリカ・ボストン周辺の21歳以上の大学生196人。研究施設での実験 / 限界: 1晩の飲酒の実験。くり返し飲む場合や、もっと多く飲んだ場合はわからない。

Gunnら(2018)[2]

二日酔いの日の頭の働きを調べた19の研究を整理し、11の研究で数値をまとめた。二日酔いの日は、短い時間の記憶(効果量g=0.64)、長い時間の記憶(g=0.59)、注意を続ける力(g=0.47)、反応の速さ(g=0.66)が下がっていた。

対象: 1970年以降の研究の参加者1,163人 / 限界: 研究ごとの結果のばらつきが大きい。長い時間の記憶では4つの研究のうち、前日に講義を覚えたHowlandらの実験だけは差が出ていなかった。

Rohsenowら(2010)[3]

お酒を飲んだ夜は、偽のお酒の夜にくらべて、眠りの効率とレム睡眠が減り、夜中に起きている時間と翌日の眠気が増えた。翌朝は、注意を続けながら速く答える検査の成績が下がった。ただし、眠りの乱れだけでは成績の低下を説明できなかった。

対象: 21〜33歳のよく飲む若い大人95人。呼気のアルコール濃度は平均0.11%。眠りは脳波で測った / 限界: 研究施設での実験。

Gardinerら(2025)[4]

お酒と眠りの27の研究をまとめた分析。飲んだ夜は、レム睡眠が始まるのが遅れ、レム睡眠の時間が短くなった。体重1kgあたり0.5g以下(標準的な飲み物でおよそ2杯分)の少ない量でもレム睡眠が減り、量が増えるほど乱れは大きくなった。

対象: 健康な大人の研究27件 / 限界: 全体の睡眠時間などへの影響は、結果のばらつきが大きく判断できなかった。

「覚えた後に飲むと、かえってよく覚えている」という研究もあります。イギリスの88人が自宅で新しい単語を覚えてから飲んだ実験では、飲んだ人の方が翌朝よく思い出せました[5]。しかし、ドイツの93人で条件を厳しくして事前登録した再現実験では、全体の思い出せた量に差は出ませんでした[6]。著者らは、効果があるとしても思い出す段階での差かもしれず、さらに研究が必要だとしています。勉強のためにお酒を飲む理由にはなりません。

ここで紹介した研究の多くは、20代の学生が研究施設で1晩飲んだ実験です。年齢が上の社会人や、連日の飲み会、睡眠時間が短い日にそのまま当てはまるかは確かめられていません。

03 今日からできる小さな一歩飲み会の翌日、勉強をどう立て直す?

まず前日分を5分で思い出して、残っているかを確かめます。その日は新しい範囲より、復習と問題演習に回します。その夜はいつもの時間に寝て、次の飲み会の日は覚える勉強を飲む前に済ませます。

1

翌朝、前日分を5分で思い出して確かめる

テキストを閉じて、前日に覚えた用語や要点を紙に書き出します。前日に覚えた講義の内容は、飲んだ翌朝でも点が落ちなかった実験があります[1]。「全部消えた」と決めつける前に、残っている量を確かめます。

所要 5分

2

思い出せなかった所だけ、短く覚え直す

書けなかった所にしるしを付け、そこだけ見直します。最初からやり直す必要はありません。覚え直しのやり方は忘れた後の覚え直しの記事にまとめています。

所要 10〜15分

3

新しい範囲は後回しにし、復習と問題演習に切りかえる

二日酔いの日は、記憶と注意の成績が下がっていたという研究のまとめがあります[2]。その日は、すでに習った範囲の問題を解く、ノートを見直して思い出すなど、新しく覚えなくてよい勉強を選びます。

所要 その日の勉強時間

4

どうしても進めるなら、短く区切って最後に思い出す

新しい範囲を進めるときは、短い時間で区切り、終わるたびに本を閉じて要点を言えるか試します。言えない部分が多い日は、翌日にもう一度扱う前提で印を付けておきます。

所要 1区切り15〜20分

5

その夜は、いつもの時間に寝る

飲んだ夜は、少ない量でもレム睡眠が減ります[4]。翌日の夜まで夜ふかしすると、眠りの乱れが2日続きます。勉強の遅れを取り返そうと夜中まで粘るより、いつもの時間に寝る方が次の日の勉強につながります。

所要 —

6

次の飲み会の日は、覚える勉強を飲む前に済ませる

酔っている間は、新しいことを覚える力が落ちることがよく知られています[5](ただしこの実験の測り方では、はっきりした差は出ませんでした)。飲み会がある日は、新しく覚える勉強を昼か夕方までに終わらせ、飲んだ後は勉強しない日と決めておきます。翌朝に手順1の思い出しテストを入れます。

所要 予定を立てるとき2分

04 続けるためのコツ試験の前日に飲み会が入ったら?

前日に覚えた内容は残りやすくても、翌日は注意と反応の速さが落ちる実験があります。時間と戦う試験の前日は、飲み会を入れないか、量を少なくするのが無難です。

  • 試験の前日は避けるのが無難: 講義の小テストの点は落ちなかった実験でも、注意と反応の速さは落ちていました[1][3]。時間内に多くの問題を解く試験では、これが響く可能性があります。
  • 飲んだ翌日を「復習の日」と決めておく: 飲み会の予定が入ったら、翌日の計画を復習と問題演習に入れかえます。計画が崩れたと感じにくくなります。
  • 落ち込みすぎない: 1日はかどらなかったからといって、積み上げた分が消えるわけではありません。翌朝の思い出しテストで残りを確かめれば、どこからやり直すかがはっきりします。
  • 量が気になるとき: 飲む量や回数そのものが気になる、やめたくてもやめられないと感じるときは、かかりつけ医や保健所などに相談できます。

05よくある質問

お酒を飲むと、その前に覚えたことが定着するって本当?

はっきりしません。イギリスの88人の実験では、覚えた後に飲んだ人の方が翌朝よく思い出せました。しかしドイツで条件を厳しくした事前登録の再現実験(93人)では、全体の成績に差は出ませんでした。勉強のために飲むのはおすすめできません。

どのくらい飲むと、その夜の眠りに響く?

27の研究のまとめでは、体重1kgあたり0.5g以下、標準的な飲み物でおよそ2杯分の少ない量でも、レム睡眠(夢を見ることが多い浅い眠り)が減っていました。量が増えるほど減り方は大きくなりました。

翌日、どうしても新しい範囲を進めたいときは?

短い時間に区切り、終わったらその場で思い出して確かめます。二日酔いの日は、注意と反応の速さが落ちることがわかっています。思い出せない部分が多ければ、その範囲は翌日にもう一度扱う前提で進めます。

飲み会の後の夜に、少しだけ勉強してもいい?

新しく覚える勉強は避けた方が無難です。酔っている間は新しいことを覚える力が落ちることが、よく知られています。夜は休み、翌朝の思い出しテストに回します。

出典

  1. Howland J, Rohsenow DJ, Greece JA, et al. (2010). The effects of binge drinking on college students' next-day academic test-taking performance and mood state. Addiction, 105(4), 655-665. https://doi.org/10.1111/j.1360-0443.2009.02880.x
  2. Gunn C, Mackus M, Griffin C, Munafò MR, Adams S. (2018). A systematic review of the next-day effects of heavy alcohol consumption on cognitive performance. Addiction, 113(12), 2182-2193. https://doi.org/10.1111/add.14404
  3. Rohsenow DJ, Howland J, Arnedt JT, et al. (2010). Intoxication with bourbon versus vodka: effects on hangover, sleep, and next-day neurocognitive performance in young adults. Alcoholism: Clinical and Experimental Research, 34(3), 509-518. https://doi.org/10.1111/j.1530-0277.2009.01116.x
  4. Gardiner C, Weakley J, Burke LM, et al. (2025). The effect of alcohol on subsequent sleep in healthy adults: A systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 80, 102030. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2024.102030
  5. Carlyle M, Dumay N, Roberts K, et al. (2017). Improved memory for information learnt before alcohol use in social drinkers tested in a naturalistic setting. Scientific Reports, 7, 6213. https://doi.org/10.1038/s41598-017-06305-w
  6. Quevedo Pütter J, Erdfelder E. (2022). Alcohol-induced retrograde facilitation? Mixed evidence in a preregistered replication and encoding-maintenance-retrieval analysis. Experimental Psychology, 69(6), 335-350. https://doi.org/10.1027/1618-3169/a000569