記憶・覚え方

勉強したことが夢に出てくるのはなぜ?覚えている証拠?夢と記憶の研究(わかっていること・まだわからないこと)

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ベッドの上の枕
Photo: Keithmenorm / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

試験勉強をしていた夜に、問題を解いている夢を見た。単語帳をめくる夢で目が覚めた。そんな経験から「夢に出るのは覚えた証拠?」「夢に出ないのは身についていない?」と気になる人もいるでしょう。研究では、学んだ課題の夢を見た人ほど、眠った後の成績の伸びが大きいという関連が、16の研究をまとめた分析で確かめられています。ただし、夢が記憶をよくする原因かどうかはわかっていません。夢を見ようとするより、学んだ後にきちんと眠ることを優先しましょう。

3行でわかる

  1. 眠っている間、脳は直前に覚えたことを再び働かせていると考えられている。勉強が夢に出るのは、その一部が夢に混ざったものだという見方がある。
  2. 16の研究をまとめた分析では、学んだ課題の夢を見た人ほど、眠った後の成績が伸びていた(効果量0.51)。ただし関連で、夢が原因とはいえず、関連が出なかった研究もある。
  3. 夢に出なくても心配はいらない。夢を見ようとするより「学んだ後に眠る」「明日テストすると決めて寝る」「翌朝に思い出す」の3つを続ける。

01 悩みの正体勉強したことが夢に出てくるのはなぜ?

眠っている間に、脳が直前に覚えたことを再び働かせている(記憶の再活性化)ためと考えられています。夢は、その働きの一部が意識に上ったものだという見方があります。

眠ると覚えたことが残りやすくなることは、多くの研究で確かめられています。その理由のひとつが、眠っている間に、覚えたばかりの記憶が脳の中でくり返し働くことだと考えられています。この仕組みは寝ている間に記憶が整理される仕組みの記事で紹介しました。

記憶が働き直すとき、その一部が夢の中身に混ざることがあります。パズルゲームのテトリスを遊んだ人が、寝入りばなにゲームの映像を見たという有名な実験もあります[5]。

ただし、夢に出てくるのは、勉強した内容そのままの「再生」ではありません。研究で報告された夢は、学んだ内容の断片や、それに似た別の場面がほとんどでした[2][3]。

02 科学的にわかっていること勉強したことが夢に出ると、よく覚えられる?

学んだ課題の夢を見た人ほど、眠った後の成績の伸びが大きいという関連は、複数の研究で確かめられています。ただし、夢が記憶をよくする原因かどうかはわかっておらず、関連が出なかった研究もあります。

Stickgoldら(2000)[5]

テトリスを遊んだ参加者は、寝入りばなに、ゲームの映像が浮かぶと報告した。記憶をつかさどる脳の部位に損傷があり、ゲームを遊んだこと自体を思い出せない患者3人も、似た映像を報告した。

対象: ゲームを遊んだ参加者と、記憶障害のある患者3人 / 限界: 要旨で確認した。寝入りばなの映像を調べた研究で、成績との関係を調べたものではない。

Wamsleyら(2010)[2]

大学生99人がコンピューターの中の迷路を覚え、5時間後に同じ迷路を解いた。間に昼寝をした50人のうち、言葉で話した夢の中身に迷路が出てきたのは4人(8.0%)だった。この4人は、迷路の夢を報告しなかった人より10倍ほど成績が伸びていた。起きていた人が迷路のことを考えていても、成績の伸びとは関係がなかった。

対象: 18〜30歳の大学生99人(昼寝50人・起きていた49人) / 限界: 迷路の夢を報告したのは4人だけ。この4人はもともと迷路が苦手だった人たちだった。著者らは「夢が記憶をよくする原因だとは主張しない」と書いている。

WamsleyとStickgold(2019)[3]

同じ迷路の課題で、昼寝ではなく一晩の睡眠で確かめ直した研究。夢に迷路が出てきた8人は、出てこなかった9人より、翌朝の成績の伸びが大きかった(迷路を抜ける時間の短縮が172秒と2秒)。前の研究の結果をくり返し確かめることができた。

対象: 健康な大学生39人(成績の分析は眠ったグループ17人) / 限界: 人数が少ない。効果の大きさ(d=1.16)は前の研究(d=2.2)より小さく、著者らも本当の効果はもっと小さいだろうと書いている。眠ったグループ全体と、眠らずにすぐテストしたグループの差は、はっきりしなかった。

HudachekとWamsley(2023)[1]

寝る前に何かを学ばせ、寝た後に記憶をテストし、夢の中身との関係を調べた16の研究(45の結果)をまとめた分析。学んだ課題の夢を見ることと、眠った後の成績のよさには、統計的に意味のある関連があった(標準化平均差0.51)。調べられたどの種類の課題でも関連が見られた。

対象: 16の研究のまとめ(メタ分析) / 限界: 要旨で確認した。関連を示したもので、因果はわからない。ノンレム睡眠で集めた夢では関連があり、レム睡眠の夢では見られなかったが、著者らは予備的な結果としている。

Wamsleyら(2016)[4]

大学生100人が迷路と指のタイピングの課題を覚え、約11時間後にテストした。「後で同じテストをします」と伝えられた人は、伝えられなかった人より、どちらの課題もよく覚えていた。その効果は、間に眠った人でも起きていた人でも同じくらいだった。一方、この研究では迷路の夢を報告した人が少なく(6人)、夢を見た人と見なかった人で成績の伸びに差はなかった。

対象: 米国の18〜30歳の大学生100人 / 限界: 迷路の夢がごく少なく、夢と成績の関係を確かめるには人数が足りなかったと著者らは述べている。

ここで紹介した研究は、迷路のゲームなどを研究室で覚え、数時間〜一晩後にテストしたものです。教科書の内容や英単語を何週間もかけて覚える独学で、同じ関係があるかはわかっていません。

03 今日からできる小さな一歩夢に頼らず、眠りを記憶に生かすには?

夢を見ようとする必要はありません。学んだ後に眠る時間を確保し、「明日テストする」と決めてから寝て、翌朝に思い出す練習をします。

1

覚えたい内容は、眠る前の数時間に一度ふれておく

研究で夢に出てきたのは、眠る直前に学んだ課題でした[2][3]。夜にまとめて新しいことを詰め込むより、その日に覚えたい内容を寝る前に短く見直す程度で十分です。くわしくは寝る前の勉強と記憶の記事を参考に。

所要 10分

2

「明日の朝、ここを自分でテストする」と決めてから寝る

後でテストがあると伝えられた人は、伝えられなかった人より、よく覚えていました[4]。ノートの端に、翌朝に思い出す範囲を1行書いておきます。

所要 1分

3

朝、何も見ずに思い出して書き出す

夢に出たかどうかで覚えたかを判断せず、実際に思い出せるかで確かめます。思い出せなかった所が、その日の復習の範囲です。

所要 5分

4

夢を見るために、睡眠を削ったり夜中に起きたりしない

研究では夢を集めるために参加者を起こしていましたが、それは調べるための手順です。夢を記録したり見ようとしたりする方法で、記憶がよくなると確かめた研究は、今回の出典にはありません。

所要 0分

04 続けるためのコツ勉強の夢を見ないのは、覚えていない証拠?

証拠ではありません。研究でも、学んだ課題を夢に見た人は一部だけでした。夢に出るかどうかより、翌朝に思い出せるかで確かめましょう。

  • 昼寝の実験では、眠った50人のうち、夢の報告に迷路が出てきたのは4人(8.0%)だけだった[2]。夢に出ないのはふつうのこと。
  • 眠ったこと自体の効果は、夢の中身とは別に調べられている。昼寝の後の覚え方は昼寝のとり方の記事で紹介した。
  • 夢に出てくるのは学んだ内容そのままではなく、断片や似た場面がほとんど[2][3]。夢の中で問題が解けなくても、気にしなくてよい。
  • 思い出す練習のやり方は思い出す練習と読み返しを比べた記事にまとめた。

05よくある質問

勉強したことが夢に出たら、覚えられている証拠?

証拠とまでは言えません。学んだ課題の夢を見た人ほど眠った後の成績が伸びていた、という関連は16の研究のまとめで確かめられています。しかし関連であり、夢が原因で記憶がよくなったとは言えません。夢と成績の関連が見られなかった研究もあります。

夢に出るように、寝る直前に勉強した方がいい?

夢に出すことを目的にする必要はありません。研究で夢に出てきたのは、寝る前の数時間以内に学んだ課題でした。ただ、夢を見せるように工夫して記憶がよくなるかを確かめた研究は、今回の出典にはありません。その日に覚えたい内容を、寝る前に短く見直す程度にしておきましょう。

昼寝でも、勉強したことが夢に出る?

出ることがあります。90分の昼寝の機会を設けた実験では、迷路の夢を報告した4人のうち3人は、眠り始めてすぐの時間帯(1分ほど眠った後から)の報告でした。

勉強の夢ばかり見て、よく眠れた気がしません。

この記事で紹介した研究は、夢と記憶の関係を調べたもので、夢が眠りの質に与える影響は調べていません。試験や勉強のことが気になって眠れない場合は、勉強のことが気になって眠れないときの記事を参考にしてください。つらさが続くときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などに相談できます。

出典

  1. Hudachek, L., & Wamsley, E. J. (2023). A meta-analysis of the relation between dream content and memory consolidation. Sleep, 46(12), zsad111. https://doi.org/10.1093/sleep/zsad111
  2. Wamsley, E. J., Tucker, M., Payne, J. D., Benavides, J. A., & Stickgold, R. (2010). Dreaming of a learning task is associated with enhanced sleep-dependent memory consolidation. Current Biology, 20(9), 850–855. https://doi.org/10.1016/j.cub.2010.03.027
  3. Wamsley, E. J., & Stickgold, R. (2019). Dreaming of a learning task is associated with enhanced memory consolidation: Replication in an overnight sleep study. Journal of Sleep Research, 28(1), e12749. https://doi.org/10.1111/jsr.12749
  4. Wamsley, E. J., Hamilton, K., Graveline, Y., Manceor, S., & Parr, E. (2016). Test expectation enhances memory consolidation across both sleep and wake. PLOS ONE, 11(10), e0165141. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0165141
  5. Stickgold, R., Malia, A., Maguire, D., Roddenberry, D., & O'Connor, M. (2000). Replaying the game: Hypnagogic images in normals and amnesics. Science, 290(5490), 350–353. https://doi.org/10.1126/science.290.5490.350