記憶・覚え方

覚えた直後の5分は何をする? 休むより「くり返す」が残った実験と、目を閉じて休む効果の研究(再現しなかった実験も)

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並んだ3つの古い砂時計
Photo: Unknown / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

覚えた直後の5分、スマホを開いていませんか。「覚えたら少しぼんやり休むと記憶に残りやすい」という研究があります。ただ、51件の研究をまとめると、健康な大人での効果は小さく、差が出なかった実験もありました。くらべた実験では、休むより「もう一度くり返す」方がよく残りました。覚えた直後の数分の使い方を、研究から順番に整理します。

3行でわかる

  1. 覚えた直後に数分静かに休むと、別の作業をするより忘れにくい傾向がある。ただし51件をまとめた分析では、健康な大人での効果は小さく(g=0.20)、休んだ後に別の作業が入る実験ではほぼ消えた。
  2. 休むことと、覚えた内容をもう一度くり返すことをくらべた実験では、くり返す方がよく残った。休むことは、別の作業やSNSよりは良かった。一方、SNSや計算と差が出なかった実験もある。
  3. やり方は、①区切りで2〜3分くり返す ②続けて5分ほど目を閉じて休む ③休憩の最初はスマホを開かない ④休憩の後はなるべく別の暗記を入れない ⑤後日の復習で仕上げる、の5つ。

01 悩みの正体覚えた直後にスマホを見ると、忘れやすくなる?

覚えたばかりの記憶は、しばらく不安定だと考えられています。その間に別の情報を詰め込むと、定着のじゃまになるという説があります。ただし大人での影響は小さめです。

新しく覚えたことが長く残る記憶に変わっていく働きを、記憶の「固定化」と呼びます。寝ている間に進むことがよく知られていますが、起きて静かにしている間にも少し進むと考えられています。

そこで研究者は、覚えた直後に「目を閉じて静かに休む」群と「別の作業をする」群をくらべてきました。この記事では、その結果を独学の休憩の取り方に当てはめます。

02 科学的にわかっていること覚えた後に休むと、記憶に残りやすい?

休むと少し残りやすくなる傾向はあります。ただし健康な大人では効果が小さく、再現しない実験も目立ちます。くり返す方が、休むより確かでした。

Parraら(2026)[1]

51件の研究(142の結果)をまとめた。覚えた後に静かに休むと、別の作業をしたときより忘れにくく、全体の効果はg=0.34だった。ただし差は対象によって大きく、記憶障害のある人ではg=1.18、健康な高齢者ではg=0.57、健康な若い大人ではg=0.20と最も小さかった。大人の研究のうち、休んだ後に別の作業を入れた研究では、効果はg=0.07で、はっきりした差にならなかった。

対象: 記憶障害のある人、健康な高齢者、健康な大人 / 限界: 研究どうしの結果のばらつきが大きく、今後の研究では効果が出ないこともありうると著者は書いている。典型的な実験は単語のリストを覚えるもの。

Humistonら(2019)[2]

短い物語を聞いた後、15分目を閉じて休むか、パソコンのゲームをするかをくらべた先行研究を、方法を事前に登録してやり直した。32人のデータでは、休んだ効果は確認できなかった。一方、それまでの研究とあわせてまとめると、小さな効果(d=0.38)が残った。

対象: 32人 / 限界: 人数が少ない。ふだん空想にふけることが少ないと答えた人ほど、休憩の間に記憶がよく残る傾向も報告された。

Martiniら(2025)[3]

単語のリストを聞いて覚えた直後の7分間に、①同じリストをくり返し聞く ②目を閉じて休む ③別の課題をする(実験2ではSNSを見る)、の3つをくらべた。2つの実験とも、よく残った順は「くり返す」「休む」「別の課題・SNS」で、12分後も1日後も同じ順だった。

対象: 単位と引きかえに参加した45人と68人 / 限界: 覚えたのは単語のリスト。教科書のような長い文章で同じかはわからない。

CraigとGreer(2024)[4]

18〜35歳の大人117人がオンラインで、覚えた後の5分間に、目を閉じて休むか、注意の必要な課題(易しい版・難しい版)をした。課題をした後は、休んだときより覚えていた量が少なかった。課題の易しさ・難しさでは差がなかった。

対象: 18〜35歳の大人117人 / 限界: 覚えたのは意味のない単語で、テストは5分後。何日も後の記憶は調べていない。

Sebanら(2026)[5]

大学生161人が、教室で8分間文章を読んだ。その後の8分間を、目を閉じたリラックス法、SNS、計算問題、似た内容の別の文章を読む、の4つに分けた。1週間後のテストでは、休んだ群の得点は、ほかの群と比べて一貫した差がなかった。

対象: 大学生161人 / 限界: 休む方法として言葉で誘導するリラックス法を使っており、ただ静かに休む方法とは違う可能性がある。

まとめると、覚えた直後に休む効果は「あるとしても小さく、条件しだい」です。実験室で単語を覚えた研究が多く、教科書を読む独学で役立つかは確かめられていません。一方、その場でくり返す効果は、休む効果より大きく出ました。

03 今日からできる小さな一歩覚えた直後の数分は、何をすればいい?

まず覚えた内容を2〜3分くり返し、そのあと5分ほど目を閉じて休みます。休憩の最初の数分はスマホを開かず、休憩の後は別の暗記を詰め込まないようにします。

1

区切りで、覚えたことを2〜3分くり返す

単語なら、もう一度リストを見て声に出す。教科書なら、見出しごとに要点を思い出して書きます。実験では、休むよりくり返す方がよく残りました[3]。思い出して書く方法は、思い出す練習の記事にまとめています。

所要 2〜3分

2

続けて、5分ほど目を閉じて静かに休む

いすに座ったまま目を閉じ、何もしません。実験では5〜15分の休憩が使われていました[2][4]。眠りこまないよう、タイマーをかけておきます。

所要 5分

3

休憩の最初の数分は、スマホを開かない

SNSを見た後は、休んだ後より残りが悪かった実験があります[3]。差が出なかった実験もありますが[5]、損になることは少ないので、見るなら5分休んでからにします。

所要 意識するだけ

4

休憩の後は、別の暗記をすぐ詰め込まない

休んだ後に別の作業が入る研究では、休む効果がほぼ消えていました[1]。英単語の後に別の単語帳、と続けず、問題演習や計算など種類の違う勉強に移ります。種類を変えた方が良いかは研究で確かめられた順番ではなく、目安です。

所要 意識するだけ

5

翌日以降の復習で仕上げる

休む効果は小さく、1週間後には差がなかった実験もあります[5]。覚えたことを長く残す中心は、日をあけた復習です。間隔のあけ方は分散学習の記事にあります。

所要 翌日に5〜10分

覚えた直後の数分の過ごし方を、研究の結果でくらべると次のようになります。

覚えた直後にすること研究の結果おすすめ度
同じ内容をもう一度くり返す休むより、別の課題やSNSより、よく残った[3]まずこれ
目を閉じて静かに休む別の作業より少し残る傾向(大人でg=0.20)。差が出ない実験もある[1][2][5]くり返した後に
SNSを見る休むより残りが悪かった実験と、差がなかった実験がある[3][5]休憩の最初は避ける
頭を使う別の課題をする易しい課題でも、休むより残りが悪かった[4]すぐには入れない

04 続けるためのコツ「くり返して休む」を習慣にするには?

勉強の区切りに「くり返し2分、休憩5分」をセットで入れます。効果は小さいので、これだけに頼らず、思い出す練習と日をあけた復習を中心にします。

  • 休憩の長さや回数は、勉強の休憩プラン表で、1日の流れに組み込む。
  • スマホは休憩のたびに手が伸びやすい。勉強中の置き場所はスマホの置き方の記事を参考に決める。
  • 夜に覚えたものは、そのまま眠るのも一つの方法。寝る前の勉強と記憶の記事にまとめた。
  • 休んでも覚えられなかった日を、失敗と考えない。研究でも、休む効果は出たり出なかったりしている。

05よくある質問

覚えた後に休むと、記憶に残りやすいのは本当?

少し残りやすい傾向はありますが、効果は小さめです。51件の研究をまとめた分析では、健康な若い大人での効果はg=0.20で、記憶障害のある人や高齢者より小さくなりました。事前に方法を登録したやり直しの実験では、効果を確認できませんでした。

覚えた後は、休むのとくり返すの、どっちがいい?

くらべた実験では、くり返す方がよく残りました。単語のリストを覚えた後の7分間で、くり返し聞く、休む、別の課題やSNSの順に成績が良く、1日後も同じ順でした。まずくり返し、その後に休むのが無難です。

勉強の休憩中にSNSを見ると、覚えたことを忘れる?

研究によって結果が分かれます。単語の実験では、SNSを見た後は休んだ後より残りが悪くなりました。一方、大学生161人が文章を読んだ実験では、1週間後の成績に一貫した差は出ませんでした。気になる人は、休憩の最初の数分だけ避ければ十分です。

出典

  1. Parra, D., Zhang, Z., & Radvansky, G. (2026). Should we all just take 10? A meta-analysis of wakeful rest. Psychonomic Bulletin & Review, 33, 49. https://doi.org/10.3758/s13423-025-02778-3
  2. Humiston, G. B., Tucker, M. A., Summer, T., & Wamsley, E. J. (2019). Resting states and memory consolidation: A preregistered replication and meta-analysis. Scientific Reports, 9, 19345. https://doi.org/10.1038/s41598-019-56033-6
  3. Martini, M., Mercer, T., Gutmann, L., Dahm, S. F., Marhenke, R., & Sachse, P. (2025). Resting after learning or repeating the learned? Psychonomic Bulletin & Review, 33, 15. https://doi.org/10.3758/s13423-025-02820-4
  4. Craig, M., & Greer, J. (2024). Post-encoding task engagement not attentional load is detrimental to awake consolidation. Scientific Reports, 14, 3025. https://doi.org/10.1038/s41598-024-53393-6
  5. Seban, P., Šikl, R., Prošek, T., & Urban, K. (2026). Wakeful rest and memory consolidation in an ecologically valid educational setting: No benefit over distractor tasks. Psychological Research, 90, 42. https://doi.org/10.1007/s00426-026-02265-x