勉強法

学び直しで「覚えること」と「メモに預けること」の仕分け表。予定は通知に、試験に出る知識は「メモなしで思い出す」前提で(記憶の外部化の研究から)

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色とりどりの付せん
Photo: Ramesh NG / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

学び直しを始めると、覚えることと、やることの両方が一気に増えます。全部を頭に入れようとすると疲れるし、全部をメモやスマホに任せると、試験や仕事の本番で何も出てこない。研究からいえる答えは、「予定は外に預け、本番で使う知識は、メモがあっても『あとで何も見ずに思い出す』と決めて覚える」という仕分けです。この記事は、その仕分けを表にしたものです。

3行でわかる

  1. 「あとで見られる」と思って書き留めた言葉は、若い人でも年配の人でも覚えにくくなった(各40人の実験)。試験に出る知識は、メモを取っても「メモなしで思い出す」前提で書く。
  2. 予定を思い出すためのリマインダーは、レビューで「非常に効果的」とされた。ただし、65〜84歳の人は自分の記憶に自信を持ちすぎ、リマインダーを使っても若い人との差は埋まらなかった。
  3. 表1で「預ける・覚える」を仕分け、表2で「覚えていられる自信」と実際を1週間記録する。ずれが見えたら、預ける量を増やす。

01 悩みの正体メモに頼ると、覚えられなくなる?

何をメモに頼るかで変わります。予定や手順はメモに預けた方が確実です。一方、試験で何も見ずに使う知識は、「あとで見られる」と思って書くと、頭に残りにくくなります。

メモやリマインダー、スマホの保存に記憶を任せることを、研究では「認知のオフロード(頭の負担を外に出すこと)」と呼びます。外に出すと、その場の作業は速く、正確になります。

困るのは、外に出した情報が、あとで必要になる場合です。学び直しには、予定(いつ何をやるか)と知識(試験や仕事で使う中身)の2種類があります。この2つで、外に出してよいかどうかが変わります。仕組みの話は短くし、03の表を中心に使ってください。

02 科学的にわかっていること預けてよい記憶と、預けると困る記憶の違いは?

予定を思い出すためのリマインダーは効果が大きいです。一方、知識は「あとで見られる」と思うと覚える工夫をしなくなり、頭に残りにくくなります。年配の人は自分の記憶を高く見積もりやすい傾向もあります。

Gilbertら(2023)のレビュー[1]

日常の物忘れを記録した研究では、物忘れの50〜70%が「あとでやるつもりだったことを忘れる」タイプだった。こうした予定を手帳やスマホの通知に預ける研究をまとめ、外部のリマインダーは非常に効果的で、使うかどうかは「自分の記憶への自信」に左右されると結論づけた。

対象: 予定の記憶とリマインダーの実験をまとめたレビュー / 限界: 著者ら自身が、多くは人工的な実験課題で、日常生活でのリマインダーの使い方との関係はまだよくわかっていないと述べている。

ScarampiとGilbert(2021)、Tsaiら(2023)[2][3]

65〜84歳と18〜30歳の計88人に、少しあとでやることを覚えておく課題を出した。年配の人は自分の記憶に自信を持ちすぎていて、リマインダーを使ってよい条件でも、若い人との差を埋めきれなかった。同じチームの88人の実験では、年配の人はリマインダーを多く使った。ただし若い人と違い、必要以上に頼る傾向はなく、リマインダーの効果を低く見積もっていた。

対象: 英国の研究チームによる実験(2021年は事前登録あり) / 限界: 数分間のパソコン課題で、何か月もかける学び直しとは違う。40〜50代は調べていない。

Ellisら(2026)[4]

若い人90人と60〜88歳の89人で、リマインダーはどちらの年代でも成績を上げた。ただし、年配の人はリマインダーを設定する回数も、見る回数も若い人より多くなかった。リマインダーを全員に強制で付けた2つめの実験でも、年代の差は消えなかった。リマインダーありの成績は、何も使わないときの記憶力と、リマインダーを「見る」回数で予測された。

対象: 米国テキサス州の学生と地域の高齢者 / 限界: 研究室の短い課題。視線計測で「見た回数」を記録している。

Grinschglら(2021)[5]

ドイツの学生172人ずつの3つの実験で、画面の手本を見返して作業を外に任せるほど作業は速くなったが、あとで手本の中身を思い出す成績は下がった。「あとでテストがある」と知らされ、意識して覚えようとした条件では、この悪影響はほぼ打ち消された。

対象: 18〜66歳の学生 / 限界: 「テストを知らせると見返しが減る」という結果は、2つめの実験では出たが3つめの実験では再現されなかった。

ShenhavとMagen(2026)[6]

年配の人40人と若い人40人が、20語のリストを書き留めながら覚えた。何も見ずに思い出すと若い人の方がよく覚えていたが、書いたリストを見てよい条件では差がなかった。どちらの年代でも、「あとでリストを見られる」と思っていた人は覚える工夫が減り、思い出せる語も少なかった。

対象: 若い人と年配の人の比較実験(要旨で確認) / 限界: 単語リストの短い実験。仕事の知識や資格の勉強で確かめたものではない。

StormとStone(2015)[7]

3つの実験で、1つめのファイルを保存してから2つめのファイルを覚えると、2つめをよく覚えていた。保存が当てにならないと思わされた条件や、1つめの中身が少ない条件では、この効果は出なかった。

対象: 3つの実験 / 限界: 単語リストを使った短い実験。保存した方の中身を覚える効果ではない。

ここで紹介したのは、研究室で数分〜1時間ほど行った実験が中心です。年配の人の研究は60歳以上が対象で、40〜50代の学び直しで同じ結果になるかはわかっていません。下の表は、研究の考え方を独学向けにこのサイトがまとめたものです。

03 使える表覚えることと、メモに預けることをどう分ける?

表1で、情報を「預ける」「覚える」「預けてから覚える」に分けます。表2には、覚えていられる自信と実際の結果を1週間書き、自信が当たっているかを確かめます。

表1 「覚える・預ける」仕分け表。迷ったら「本番で何も見ずに使うか」で決めます。

情報の種類仕分けやり方もとになった研究
勉強する日時・申込の締め切り・試験日預ける思いついたらすぐ、カレンダーか通知に入れる。「覚えていられる」と思っても入れるリマインダーは非常に効果的[1]。年配の人ほど自信を持ちすぎやすい[2]
「明日この問題を解き直す」など次にやること預ける+見る時刻を決める付せんかメモに書き、見る時刻(例: 朝、机に座ったとき)も決めるリマインダーありの成績は、見る回数で予測された[4]
試験や仕事で何も見ずに使う用語・公式・手順覚えるノートは取ってよい。書くときに「あとでノートなしで思い出す」と決め、書いたら閉じて1回思い出す「あとで見られる」と思うと覚えにくくなる[6]。覚えるつもりなら悪影響はほぼ消えた[5]
今日学び終えた範囲のノートや資料預けてから次へ保存した場所を決めてしまってから、次の単元に進む保存してから次を覚えると、次の内容がよく残った[7]
めったに使わない細かい数値・手順書・参考リンク預ける中身は覚えず、「どこに保存したか」だけわかるようにしておく外に出すと、その場の作業は速く正確になる[5]

表1の一番下の行は、試験に出ない情報だけに使います。試験に出るかどうか迷うものは、上から3行目の「覚える」に入れます。

表2 「自信と実際」の1週間記録表。予定を1つ決めたら、リマインダーを使わずに覚えていられる自信を先に書き、翌日に結果を書きます。

日付覚えておくこと預けずに覚えていられる自信(高・中・低)実際(覚えていた・忘れた)次から
例 月例 夜9時に過去問を1回分例 高例 忘れた例 この種類は通知に預ける
例 火例 用語10個を寝る前に思い出す例 中例 覚えていた例 このままでよい

1週間で「自信は高・実際は忘れた」が2回以上あったら、自信を当てにせず、その種類の予定はすべて通知に預けます。自信の高さと実際がずれやすいことは、年配の人の実験で繰り返し見られました[2][4]。

表3 ノートを取るときの3つの確認。表1で「覚える」に入れた知識に使います。

確認できたら
書く前に「あとでノートなしで思い出す」と決めたか□
書いた直後にノートを閉じて、要点を1回声に出すか書き出したか□
次の日に、ノートを見る前にまず思い出してみたか□

04 続けるためのコツ仕分けを面倒にしないには?

全部を仕分けようとせず、「本番で何も見ずに使うか」の1問だけで決めます。予定は迷わず預け、知識はノートを閉じて1回思い出す習慣だけを足します。

  • 預けたら、見る時刻もセットにする。設定するだけでなく、見る回数が多いほど成績がよい関係がありました[4]。
  • 「年のせい」と責めない。メモを見てよい条件では、年配の人と若い人の成績に差はありませんでした[6]。道具を使うのは、ずるではなく作戦です。落ち込んだときは年齢の思い込みと記憶の記事も参考になります。
  • 預け先は1か所にまとめる。保存が当てにならないと思うと、保存の効果は出ませんでした[7]。
  • 通知の作り方は予定を思い出す仕掛けの作り方に、学び直し全体の進め方は大人の学び直しのやり方にまとめています。

05よくある質問

ノートやメモを取ると、覚えられなくなるの?

「あとでメモを見られる」と思って書くと、覚えにくくなることがあります。40人ずつの実験では、若い人も年配の人も、リストを見られると思った人ほど思い出せる語が少なくなりました。メモは取ってよいので、書くときに「あとでメモなしで思い出す」と決めておきます。

年をとったら、メモやリマインダーにどんどん頼るべき?

予定についてはそうです。65〜84歳の人を調べた実験では、年配の人は自分の記憶に自信を持ちすぎ、リマインダーを使ってよい条件でも若い人との差を埋めきれませんでした。自信があっても、日時や締め切りは通知に預ける方が確実です。

スマホに保存しておけば、覚えなくてもいい?

試験に出ない情報や、めったに使わない細かい情報ならかまいません。保存してから次を覚えると、次の内容がよく残るという実験もあります。ただし、試験や仕事で何も見ずに使う知識は、保存に任せず思い出す練習をします。

出典

  1. Gilbert, S. J., Boldt, A., Sachdeva, C., Scarampi, C., & Tsai, P.-C. (2023). Outsourcing memory to external tools: A review of ‘intention offloading’. Psychonomic Bulletin & Review, 30(1), 60–76. https://doi.org/10.3758/s13423-022-02139-4
  2. Scarampi, C., & Gilbert, S. J. (2021). Age differences in strategic reminder setting and the compensatory role of metacognition. Psychology and Aging, 36(2), 172–185. https://doi.org/10.1037/pag0000590
  3. Tsai, P.-C., Scarampi, C., Kliegel, M., & Gilbert, S. J. (2023). Optimal cognitive offloading: Increased reminder usage but reduced pro-reminder bias in older adults. Psychology and Aging, 38(7), 684–695. https://doi.org/10.1037/pag0000751
  4. Ellis, D., Dupre, C., Gohl, K., Robison, M. K., & Ball, B. H. (2026). When reminders fail to eliminate age differences in prospective memory. Psychology and Aging. https://doi.org/10.1037/pag0001023
  5. Grinschgl, S., Papenmeier, F., & Meyerhoff, H. S. (2021). Consequences of cognitive offloading: Boosting performance but diminishing memory. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 74(9), 1477–1496. https://doi.org/10.1177/17470218211008060
  6. Shenhav, N., & Magen, H. (2026). Internal memory costs following cognitive offloading in younger and older adults. Memory. https://doi.org/10.1080/09658211.2026.2742966
  7. Storm, B. C., & Stone, S. M. (2015). Saving-enhanced memory: The benefits of saving on the learning and remembering of new information. Psychological Science, 26(2), 182–188. https://doi.org/10.1177/0956797614559285