勉強法

ノートは手書きとパソコン、どちらが覚えられるのか。研究でわかったこと

約6分で読めます

Aaron Burden 2016-02-13
Photo: Aaron Burden aaronburden / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

パソコンで打つと速くて楽。でも「手書きのほうが覚えられる」とも聞く。迷うのは自然なことです。研究をまとめると、手書きはわずかに有利ですが、差は小さく、有名な実験は再現で同じ結果になりませんでした。道具より「自分の言葉で書いて、あとで見直す」ことのほうが大切です。

3行でわかる

  1. 「手書きが勝つ」という2014年の有名な実験は、そのままやり直した研究では差が出なかった。
  2. 24研究をまとめた2024年の分析では手書きがやや有利。ただし効果は小さい。
  3. パソコンは話を丸写ししやすい。打つなら言い換えて書き、あとで見直す。

01「手書きのほうが覚えられる」説はどこから来たの

広まったきっかけは、Mueller・Oppenheimer(2014)の実験です。パソコンで取ったノートは話の丸写しになりやすく、考えて言い換える手間が減る、という説明でした。

この研究では、学生が講義動画を見ながら、パソコンか手書きでノートを取りました。3つの実験で、パソコン組は「考え方を問う問題」の成績が低かったと報告されています[1]。

理由として挙げられたのが、丸写しです。打つのが速いと、聞いたことをそのまま書けてしまいます。手書きは追いつかないので、自然と要約して自分の言葉に直す。その差が理解の深さに出る、という考え方です。

02科学的にわかっていること

元の実験をやり直した研究では、成績の差ははっきりしませんでした。一方、多くの研究をまとめた分析では手書きがやや有利です。「効くかどうかは条件しだい」の段階です。

Mueller・Oppenheimer(2014)[1]

3つの実験で、パソコンでノートを取った学生は、手書きの学生より考え方を問う問題の成績が低かった。ノートの量が多いことはプラスだが、丸写しはマイナスに働いていた。

対象: 大学生が講義動画を見てノートを取る実験 / 限界: 短い講義・短時間のテストでの結果。のちの再現研究では同じ差が出ていない。

Moreheadら(2019)[2]

元の実験を再現し、さらに条件を広げた2つの実験。手書きが良さそうな傾向は一部にあったものの、どのグループの間でも成績が一貫して違うことはなかった。

対象: 大学生 / 限界: 実験室での短期の学習。結果は「手書きが勝つ」とも「差がない」とも言い切れない、混ざったものだった。

Urryら(2021)[3]

元の実験1をそのままやり直した研究。パソコン組74人・手書き組68人で、パソコン組は丸写しが多く、書いた量も多かった。それでも直後のテストの成績に、意味のある差は出なかった。

似た研究8件をまとめた分析でも同じ傾向で、「手書きは覚える段階で有利」という説は支持されなかった。

対象: 大学生。講義を見たあと、ノートを見直さずにすぐテスト / 限界: 見直してから受けるテストや、数日後のテストは調べていない。

Flaniganら(2024)[4]

21本の論文・24研究をまとめた分析。手書きでノートを取って見直すと、成績がやや高かった(効果の大きさ g=0.248、小さい効果)。一方、書ける量はパソコンのほうがはっきり多かった(g=0.919)。

対象: 大学生 / 限界: 効果は小さく、条件によって結果は変わる。社会人の独学を直接調べたものではない。

4つの研究を並べると、次のように整理できます。

  • 書ける量: どの研究でもパソコンが多い。
  • 丸写しの多さ: パソコンが多い(元の実験でも再現でも同じ)。
  • テストの成績(再現研究): 差ははっきりしなかった[2][3]。
  • 多くの研究をまとめると: 手書きがわずかに有利[4]。

どの研究も大学生が講義を聞く場面です。教材を読んで一人で学ぶ社会人の独学に、そのまま当てはまるとは限りません。

03今日からできる小さな一歩

道具を変える前に、書き方を変えます。丸写しをやめて要点を言い換え、ノートを閉じて思い出す時間をつくります。

1

1段落ごとに「一言まとめ」を書く

聞いたり読んだりした内容を、そのまま写さずに自分の言葉で1行にします。パソコンでも手書きでもかまいません。

所要 1段落につき30秒

2

パソコンなら「打つ量」を減らす

全部打てるときほど丸写しになりがちです。文ではなく、キーワードと矢印だけで書くと決めてみます。

所要 0分(書き方を変えるだけ)

3

その日のうちにノートを閉じて思い出す

勉強の終わりにノートを閉じ、要点を3つ書き出してから答え合わせします。思い出す練習は、読み返すより記憶に残りやすい方法です。

所要 5分

04続けるためのコツ

自分が続けやすい道具を選んでかまいません。続けやすさを優先し、書き方と見直しで差を埋めます。

  • 手書きが面倒で勉強自体をやめてしまうなら、パソコンで続けるほうがよい。研究の差は小さいためです。
  • きれいなノート作りに時間をかけない。線を引いて満足する蛍光ペンと同じく、作業が勉強の代わりになりやすいためです。
  • 「自分は手で書くと覚えるタイプ」と決めつけない。学習スタイル説は研究で支持されていません。
  • 見直しの日を決める。翌日と1週間後など、間をあけた復習と組み合わせます。

05よくある質問

ノートは手書きとパソコン、結局どちらがいいの?

研究全体では手書きがわずかに有利という結果ですが、差は小さく、直後のテストでは差が出なかった再現研究もあります。道具の違いより、自分の言葉で要約して書くこと、あとで見直すことのほうが大切です。

パソコンでノートを取ると頭に残らないって本当?

パソコンは話をそのまま書き写しやすいという点は、元の実験でも再現研究でも同じでした。ただ、それで成績が下がるかは研究によって結果が分かれています。打つ場合は、そのまま写さず要点を短く言い換えるのがおすすめです。

タブレットとペンで書くのは手書きと同じ?

この記事で取り上げた研究は、主に紙とペンとキーボード入力を比べたものです。タブレットにペンで書く場合については、ここでは結論を出せません。

勉強法の早見表で「ノートを手書きでとる」の判定を見る
ほかの勉強法も22種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Mueller, P. A., & Oppenheimer, D. M. (2014). The pen is mightier than the keyboard: Advantages of longhand over laptop note taking. Psychological Science, 25(6), 1159-1168. https://doi.org/10.1177/0956797614524581
  2. Morehead, K., Dunlosky, J., & Rawson, K. A. (2019). How much mightier is the pen than the keyboard for note-taking? A replication and extension of Mueller and Oppenheimer (2014). Educational Psychology Review, 31(3), 753-780. https://doi.org/10.1007/s10648-019-09468-2
  3. Urry, H. L., et al. (2021). Don't ditch the laptop just yet: A direct replication of Mueller and Oppenheimer's (2014) Study 1 plus mini meta-analyses across similar studies. Psychological Science, 32(3), 326-339. https://doi.org/10.1177/0956797620965541
  4. Flanigan, A. E., Wheeler, J., Colliot, T., Lu, J., & Kiewra, K. A. (2024). Typed versus handwritten lecture notes and college student achievement: A meta-analysis. Educational Psychology Review, 36(3), 78. https://doi.org/10.1007/s10648-024-09914-w