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「大人の語学は、文法より会話から入る方がいい」は本当?文法を説明する教え方と、しない教え方のメタ分析(効く・効かないの判定)

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語学の教科書
Photo: SlowPhoton / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「大人の語学は、文法から入ると挫折する。まず会話から」。語学の独学でよく聞く話です。研究の判定は「当てにならない」です。外国語の教え方を比べた研究のまとめ(メタ分析)では、文法のルールを説明する教え方の方が、説明しない教え方より伸びが大きい傾向がありました。ただ、会話や作業を中心にした授業にも効果があり、「文法か会話か」ではなく、組み合わせる形が研究に合っています。

3行でわかる

  1. 1980〜1998年の49件の研究をまとめた2000年のメタ分析では、文法のルールを説明する教え方は、説明しない教え方より効果が大きかった。教えた効果は、時間がたっても続いた。
  2. 1980〜2015年の54件・5,051人をまとめた2019年のメタ分析では、文法に注意を向ける教え方の効果は大きく(効果量1.06)、説明するかしないかの差は小さかった。
  3. 会話や作業を中心にした授業も、52件の研究で効果があった。文法を短く確かめ、会話ですぐ使い、間違いを直してもらう組み合わせが確か。

01 通説の中身「文法より会話から」と言われるのはなぜ?

「子どもは文法を習わずに話せるようになる。大人も、たくさん聞いて話せば自然に身につく」という考え方が背景にあります。文法の勉強は退屈で挫折しやすい、という実感も重なっています。

研究では、文法のルールを先に説明してから練習する教え方を「明示的な指導」と呼びます。ルールを説明せず、例文や会話にたくさん触れさせて自然に気づかせる教え方は「暗示的な指導」です。

「文法より会話から」は、暗示的な指導の方が大人にも合う、という主張だと言えます。この2つは、1980年代から多くの実験で比べられてきました。

一方で、「大人は子どもほど自然には身につかないので、ルールの説明で補う必要がある」という逆の考え方もあります。ただ、大人も説明なしで学べることを示した研究もあり、この見方には疑問も出ています[9]。

02 科学的にわかっていること文法を説明する教え方と、しない教え方はどちらが伸びる?

文法のルールを説明する教え方の方が、伸びが大きい傾向が、複数のメタ分析で示されています。ただし最新のまとめでは差は小さく、会話中心の授業にも効果があります。

NorrisとOrtega(2000)[1]

1980〜1998年に発表された49件の研究のメタ分析。ある文法の形に焦点を当てて教えると、大きな伸びがあった。ルールを説明する教え方は、説明しない教え方より効果が大きかった。教えた効果は、時間がたっても続いた。

対象: 外国語の学習者 / 限界: どんなテストで測るかで効果の大きさが変わると、著者ら自身が述べている。この記事では論文の要旨と、論文を紹介した他の研究で内容を確認した。

SpadaとTomita(2010)[2]

簡単な文法と複雑な文法の両方で、ルールを説明する教え方の方が、説明しない教え方より効果が大きかった。説明つきの教え方は、テストでの正確さだけでなく、自由に話す・書くときの使い方にも役立っていた。

対象: 外国語の学習者 / 限界: 早い時期の研究は、1つの文法の形を短い期間で教えたものが多いと批判されている[7]。この記事では論文の要旨で内容を確認した。

Kangら(2019)[3]

1980〜2015年の54件の研究(5,051人)のメタ分析。文法に注意を向ける教え方の効果は大きかった(効果量1.06)。ルールを説明するかしないかの差は小さかった。効果の大きさは、テストの形式、学び始めのレベル、教える量などで変わった。初級の学習者ほど効果が大きかったと紹介されている[8]。

対象: 応用言語学の6つの学術誌に載った研究 / 限界: 年齢で分けた結果は示されていない。この記事では論文の要旨と、論文を紹介した他の研究で内容を確認した。

Gooら(2015)[4]

説明する教え方と説明しない教え方を直接比べた34件の研究をまとめ直した。全体として、ルールを説明する教え方の方が効果的だった。

対象: 外国語の学習者 / 限界: 学術誌の論文ではなく、専門書の1章。

LysterとSaito(2010)、BryfonskiとMcKay(2019)[5][6]

教室での会話の中で、先生が学習者の間違いを口頭で直す方法を調べた15件の研究(827人)では、直してもらうことの効果が時間がたっても続いた[5]。会話や作業(タスク)を中心にした授業を調べた52件の研究のまとめでも、学習の成果に大きな効果があった(効果量0.93)[6]。

対象: 教室で学ぶ学習者 / 限界: どちらも教室の授業での研究で、一人での独学での効果は確かめられていない。この記事では論文の要旨で内容を確認した。

よく言われること研究での判定
大人の語学は、文法をやらなくていい当てにならない。ルールの説明つきの方が伸びる傾向[1][2][4]
文法を全部終えてから会話を始めるべき当てにならない。この順番を支持する研究は見つからない
会話中心の授業でも力はつく効く。教室の授業での結果[6]
会話の中で間違いを直してもらうと身につく効く。効果は時間がたっても続いた[5]

これらの研究は、1つの文法の形を短い期間で教えたものが多く、テストも説明つきの教え方に有利な形式が多いと批判されています[7]。社会人が一人で、何か月も独学する場面を直接比べた研究は見つかりませんでした。

03 今日からできる小さな一歩独学では、文法と会話をどう組み合わせる?

文法の説明は1回5分ほどで短く読み、その形を使った文をすぐ自分で言います。会話の練習では、その形を意識して使い、間違いを直してもらいます。

1

今日の文法を1つだけ、短く読む

文法書の1項目だけを読み、ルールを1行でメモします。全部終えてから話そうとせず、1つ読んだらすぐ次へ進みます。

所要 5分

2

その形で、自分のことを3文言う

過去形なら「昨日したこと」を3文、声に出して言います。言えた文と詰まった文は、話す練習の記録表に残せます。

所要 5分

3

会話の練習で使い、直してもらう

オンライン英会話やAIとの会話で、その形を意識して使います。間違いを直してもらうことの効果は、時間がたっても続いていました[5]。AIとの練習のしかたはAIで英会話をするやり方にまとめています。

所要 10〜20分

04 続けるためのコツ文法の勉強が退屈で続かないときは?

文法だけをまとめて長くやるのをやめ、1回に1項目、すぐ使う形に変えます。話すのが怖いなら、まず一人で声に出すところから始めます。

05よくある質問

大人が外国語を学ぶとき、文法はやらなくていい?

研究のまとめからは、そうは言えません。文法のルールを説明してから練習する教え方は、説明しない教え方より伸びが大きい傾向がありました。一方で、2019年のまとめでは両者の差は小さく、会話中心の授業にも効果があります。文法は短く確かめ、すぐ使う形が研究に合っています。

文法を全部終えてから会話を始めるべき?

その順番を支持する研究は見つかりませんでした。研究で比べられているのは、ある文法の形を、説明つきで教えるか、説明なしで教えるかです。会話や作業の中で形に注意を向け、間違いを直してもらう教え方にも、効果が示されています。

文法の勉強は、話す力にもつながる?

つながる可能性はあります。2010年のまとめでは、文法の説明つきの教え方が、テストでの正確さだけでなく、自由に話す・書くときの使い方にも役立っていました。ただ、研究で使われたテストの形式が、説明つきの教え方に有利だったという指摘もあります。

勉強法の早見表で「大人の語学は文法をやらず会話から」の判定を見る
ほかの勉強法も60種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Norris, J. M., & Ortega, L. (2000). Effectiveness of L2 instruction: A research synthesis and quantitative meta-analysis. Language Learning, 50(3), 417–528. https://doi.org/10.1111/0023-8333.00136
  2. Spada, N., & Tomita, Y. (2010). Interactions between type of instruction and type of language feature: A meta-analysis. Language Learning, 60(2), 263–308. https://doi.org/10.1111/j.1467-9922.2010.00562.x
  3. Kang, E. Y., Sok, S., & Han, Z. (2019). Thirty-five years of ISLA on form-focused instruction: A meta-analysis. Language Teaching Research, 23(4), 428–453. https://doi.org/10.1177/1362168818776671
  4. Goo, J., Granena, G., Yilmaz, Y., & Novella, M. (2015). Implicit and explicit instruction in L2 learning: Norris & Ortega (2000) revisited and updated. In P. Rebuschat (Ed.), Implicit and Explicit Learning of Languages (pp. 443–482). John Benjamins.(専門書の章) https://doi.org/10.1075/sibil.48.18goo
  5. Lyster, R., & Saito, K. (2010). Oral feedback in classroom SLA: A meta-analysis. Studies in Second Language Acquisition, 32(2), 265–302. https://doi.org/10.1017/S0272263109990520
  6. Bryfonski, L., & McKay, T. H. (2019). TBLT implementation and evaluation: A meta-analysis. Language Teaching Research, 23(5), 603–632. https://doi.org/10.1177/1362168817744389
  7. van der Ploeg, M., Lowie, W., & Keijzer, M. (2023). The effects of language teaching pedagogy on cognitive functioning in older adults. Behavioral Sciences, 13(3), 199. https://doi.org/10.3390/bs13030199
  8. Chen, M., & Li, W. (2022). The influence of form-focused instruction on the L2 Chinese oral production of Korean native speakers. Frontiers in Psychology, 13, 790424. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.790424
  9. Prela, L., Llompart, M., & Dąbrowska, E. (2022). Aptitude and experience as predictors of grammatical proficiency in adult Greek-English bilinguals. Frontiers in Psychology, 13, 1062821. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.1062821