時間・計画

シフト勤務・夜勤で勉強の時間帯がばらばら。どう立て直す?勤務の型ごとに「勉強の枠」を決め直す(交代勤務と睡眠・記憶の研究)

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上空から見た夜の街の明かり
Photo: Pinakpani / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

シフトが毎週変わり、「毎晩9時から勉強」と決めた計画が3日で崩れた。夜勤明けに机に向かっても、何も頭に残らない。それは意志の弱さではなく、勉強の置き方が勤務に合っていないだけです。研究では、一晩眠らずに過ごした後に覚えた内容は残りにくい傾向がありました。新しい内容は「しっかり寝た後」の枠に置き、勤務の型ごとに勉強の中身を決め直します。

3行でわかる

  1. 31件の研究をまとめたメタ分析では、一晩眠らずに過ごした後に覚えた内容は、眠った後に覚えた内容より残りにくかった(効果量 g=0.62)。
  2. 夜勤中の仮眠で眠気が減ったという研究は多いが、ランダム化比較試験をまとめたレビューでは証拠の質が低く、結論は出せていない。
  3. 立て直しは「勤務の型を4つに分ける→型ごとに勉強の中身を決める→新しい内容は寝た後→夜勤明けは休むか準備だけ→量は1週間の合計で決める」。

01 悩みの正体シフト勤務だと勉強が続かないのはなぜ?

シフト勤務では、勉強の「決まった時刻」というきっかけが毎週消えるうえ、眠りの時間帯もずれます。時刻で決めた計画は崩れやすく、寝不足の日に覚えた内容は残りにくくなります。

日勤の人向けの勉強法は、「毎日同じ時刻に机に向かう」ことを前提にしているものが多くあります。勤務の時間帯が変わると、この前提がそもそも成り立ちません。

さらに、夜勤の前後は眠りが短くなりがちです。眠気が強い時間に新しいことを覚えようとしても、思ったほど残りません。崩れたのは計画の作り方で、自分ではない、と考えて組み直します。

02 科学的にわかっていること夜勤明けに覚えた内容は残りにくい?

残りにくい傾向があります。一晩眠らずに過ごした後に覚えた内容は、眠った後に覚えた内容より記憶の成績が低いことが、31件の研究のメタ分析で示されました。ただし、研究の多くは小さく、効果は大きめに出ている可能性があります。

Newburyら(2021)[1]

1970〜2020年に発表された、一晩以上まったく眠らない条件の実験をまとめた。覚える前に眠らなかった場合(31件、927人)の記憶への悪影響は効果量 g=0.62、覚えた後に眠らなかった場合(45件、1,616人)は g=0.28 だった。覚える前の寝不足のほうが、影響が大きかった。

対象: 実験室で一晩起きていた参加者 / 限界: 著者らは、発表されやすい結果に偏っている可能性と、多くの研究で人数が少ないことを指摘している。夜勤のように「短く眠った」状態は調べていない。

Marquiéら(2015)[2]

フランスで、働く人と退職者3,232人を10年間追いかけた。交代勤務の経験がある人は、処理の速さと記憶の検査の成績が低かった。交代勤務が10年を超える人では、その差は年齢による低下の6.5年分にあたった。交代勤務をやめてから成績が戻るまでには、少なくとも5年かかった。

対象: 最初の測定時に32・42・52・62歳だった人 / 限界: 観察研究で、交代勤務が原因だとは言い切れない。勉強の成績を測った研究ではない。

RuggieroとRedeker(2014)[3]

夜勤中に計画的にとる仮眠を調べた13件の研究をまとめた。多くの研究で、仮眠の直後に短いぼんやり(睡眠慣性)はあるものの、その後の眠気は減り、作業の成績は良くなった。

対象: 実際の夜勤、または夜勤を再現した実験の参加者 / 限界: どの研究も人数が少なく、方法もまちまち。著者らは大きなランダム化比較試験が必要だとしている。

Slangerら(2016、コクラン・レビュー)[4]

夜勤のある交代勤務者を対象に、強い光・仮眠・運動などを試したランダム化比較試験17件(556人)をまとめた。仮眠1回の機会を与えた試験の統合では、反応時間の短縮ははっきりしなかった。全体として証拠の質は低いか非常に低く、効果があるかは判断できないと結論した。

対象: 夜勤を含む交代勤務の人 / 限界: 試験ごとに方法がばらばらで、まとめて計算できたものが少ない。

Okanoら(2019)[5]

アメリカの大学の化学の授業で、88人の学生に活動量計をつけてもらい、1学期間の睡眠と成績を比べた。睡眠が長く、質が良く、毎日の時刻がそろっている学生ほど成績が良かった。試験前夜の睡眠だけでは成績と関係がなく、試験までの1か月や1週間の睡眠が関係していた。

対象: アメリカの大学生(最後まで参加した88人) / 限界: 相関の研究で、因果関係はわからない。交代勤務の社会人を調べた研究ではない。

ここで紹介した記憶の研究は、主に実験室で一晩起きていた若い大人のものです。交代勤務の社会人が資格の勉強をしたときに、同じ大きさの差が出るかは確かめられていません。下の手順は、これらの研究をもとにこの記事で組み立てたものです。

03 今日からできる小さな一歩シフトに合わせて勉強を組み直すには?

まず勤務の型を「日勤の日・夜勤の前・夜勤明け・休日」の4つに分けます。型ごとに勉強の中身を決め、新しい内容はしっかり寝た後に置きます。量は1日ではなく1週間の合計で決めます。

1

勤務の型を4つに分けて書き出す

来月のシフト表を見て、「日勤の日」「夜勤の前」「夜勤明け」「休日」に色分けします。早番・遅番がある人は、それも別の型にします。時刻ではなく「型」で予定を立てる準備です。

所要 10分

2

型ごとに「勉強の中身」を決める

下の表を目安に、型ごとに何をするかを1つずつ決めます。眠った後の時間は新しい内容、疲れている時間は短い思い出す練習や準備、と中身を変えるのがポイントです。

所要 10分

3

新しい内容は「寝た後」の枠に置く

新しい章を読む、初めての問題を解く、といった勉強は、しっかり眠って起きた後に回します。眠らずに過ごした後は、覚えた内容が残りにくい傾向がありました[1]。

所要 0分(予定を移すだけ)

4

夜勤明けは「休む」か「準備だけ」にする

夜勤明けは勉強しない日にしても構いません。何かしたいなら、次に開くページに付せんを貼る、問題集の範囲を決める、など5分の準備だけにして、まず眠ります。

所要 5分

5

時刻ではなく「毎回ある行動」に結びつける

「21時から」ではなく、「起きて顔を洗った後」「休日の朝食の後」のように、その型の日に必ずある行動の後に勉強を置きます。決まった時刻のきっかけがなくなったときの考え方は、生活が変わって勉強の習慣が崩れたときの記事にまとめています。

所要 5分

6

量は「1週間の合計」で決める

「毎日1時間」ではなく、「今週は合計4時間、うち新しい内容2時間」のように決めます。夜勤が続く週は合計を減らし、休日の多い週に回します。1日できなかっただけで計画全体が崩れたと感じにくくなります。

所要 3分(週1回)

勤務の型ごとの勉強の中身の例です。研究の結果そのものではなく、上の研究をもとにこの記事で当てはめた目安です。

勤務の型向いている勉強避けたいこと
休日(よく眠った後)新しい章・初めての問題。週の中心にする夜更かしして翌日の睡眠を崩す
日勤の日帰宅後の15〜30分で、前に覚えたことを思い出す練習疲れた状態で長時間の新しい勉強
夜勤の前起きた後に新しい内容を短く。出勤前に寝る時間を削らない仮眠の時間を勉強に回す
夜勤明け休む。するなら次の範囲を決める5分の準備だけ眠らずに新しい内容を覚えようとする

04 続けるためのコツ組み直した計画を崩さずに続けるには?

シフト表が出たらすぐ、その月の勉強の型を書き込みます。眠りの時刻はできる範囲でそろえ、うまくいかなかった週は量ではなく「置き場所」を見直します。

  • シフト表が出た日に、勉強の型も書き込む。翌月の予定が決まった時点で、休日に新しい内容、日勤の日に思い出す練習、と先に割り振っておきます。
  • 眠りの時刻は、できる範囲でそろえる。大学生の研究では、毎日の睡眠の時刻がそろっている学生ほど成績が良い傾向がありました[5]。夜勤がある人には難しいので、休日に寝だめや大きな夜更かしをしない、くらいから始めます。
  • 仮眠に頼りすぎない。夜勤中の仮眠は眠気を減らすという研究がある一方、まとめた研究では結論が出ていません[3][4]。昼間の仮眠のとり方は勉強の合間の昼寝の記事を参考にしてください。
  • 寝不足で勉強してしまった日は、翌日に取り返そうとしない。立て直し方は徹夜・寝不足で勉強してしまった後の記事にまとめています。眠気覚ましのコーヒーの時間はカフェインの記事が参考になります。
  • 眠れない状態が続くときは相談する。夜勤明けに眠れない、休日も疲れが取れない状態が続くなら、勤務先の産業医や医療機関に相談してください。

05よくある質問

夜勤明けに勉強してもいいですか?

新しいことを覚えるのは避け、寝た後に回すのがおすすめです。31件の研究をまとめたメタ分析では、一晩眠らずに過ごした後に覚えた内容は、眠った後に覚えた内容より残りにくい傾向がありました。夜勤明けは休むか、次の勉強の準備だけにします。

勤務が不規則なら、毎日同じ時刻に勉強しなくてもいいですか?

かまいません。時刻をそろえられないときは、「起きて顔を洗った後」など勤務の型ごとに毎回ある行動に勉強を結びつけます。量も1日単位ではなく、1週間の合計で決めると崩れにくくなります。

夜勤中の仮眠は、勉強にも役立ちますか?

勉強への効果を直接確かめた研究は見つかりませんでした。夜勤中の仮眠で眠気や作業の成績が良くなったという研究は多い一方、ランダム化比較試験をまとめたコクラン・レビューでは、証拠の質が低く結論は出せないとされています。

出典

  1. Newbury, C. R., Crowley, R., Rastle, K., & Tamminen, J. (2021). Sleep deprivation and memory: Meta-analytic reviews of studies on sleep deprivation before and after learning. Psychological Bulletin, 147(11), 1215–1240. https://doi.org/10.1037/bul0000348
  2. Marquié, J. C., Tucker, P., Folkard, S., Gentil, C., & Ansiau, D. (2015). Chronic effects of shift work on cognition: findings from the VISAT longitudinal study. Occupational and Environmental Medicine, 72(4), 258–264. https://doi.org/10.1136/oemed-2013-101993
  3. Ruggiero, J. S., & Redeker, N. S. (2014). Effects of napping on sleepiness and sleep-related performance deficits in night-shift workers: a systematic review. Biological Research for Nursing, 16(2), 134–142. https://doi.org/10.1177/1099800413476571
  4. Slanger, T. E., Gross, J. V., Pinger, A., et al. (2016). Person-directed, non-pharmacological interventions for sleepiness at work and sleep disturbances caused by shift work. Cochrane Database of Systematic Reviews, CD010641. https://doi.org/10.1002/14651858.CD010641.pub2
  5. Okano, K., Kaczmarzyk, J. R., Dave, N., Gabrieli, J. D. E., & Grossman, J. C. (2019). Sleep quality, duration, and consistency are associated with better academic performance in college students. npj Science of Learning, 4, 16. https://doi.org/10.1038/s41539-019-0055-z