勉強法

勉強法を変えたのに手応えがない。やめる前にどう確かめる?「効く勉強ほど効いていない気がする」研究

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メモ帳と大きな鉛筆
Photo: Scott Brown / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

読み返しをやめて、思い出す練習に変えた。問題を混ぜて解くようにした。なのに、前より手応えがない。「やっぱり自分には合わない」と、元のやり方に戻したくなる。そう感じるのは自然なことです。研究から言えるのは、効果の確かめられた勉強法ほど、やっている最中は「効いていない」と感じやすいということです。やめる前に、気分ではなく数日後の結果で確かめましょう。

3行でわかる

  1. 149人の大学生の実験では、手を動かす授業の方がテストの点は高かったのに、「学べた」という感覚は低かった。
  2. 学ぶ人は、頭を使って疲れるやり方を「効かない」と受け取り、選ばなくなりやすい。効く勉強法を手放す原因になる。
  3. 立て直すには、手応えではなく2〜7日後に思い出せた量で判断し、前のやり方と分けて比べる。

01 悩みの正体効く勉強法なのに、手応えがないのはなぜ?

思い出す・混ぜる・間をあけるといった勉強法は、頭に負担がかかるからです。その「大変さ」を、多くの人が「身についていない合図」と読み違えます。

読み返しや、同じ種類の問題をまとめて解くやり方は、すらすら進みます。すらすら進むと「わかった」と感じます。

一方、本を閉じて思い出す、問題を混ぜて解くといったやり方は、つっかえます。つっかえると「できていない」と感じます。でも、このつっかえる手間こそが、後で思い出せる記憶をつくります。すらすら読めることと覚えたことのずれは、「わかったつもり」の記事でくわしく紹介しました。

02 科学的にわかっていること「手応え」と「本当の成果」はずれる?

ずれます。手を動かす学び方で点数が上がっても、本人の「学べた感覚」は下がった実験があります。しかも、この思い込みは説明されただけでは直りにくいことがわかっています。

Deslauriersら(2019)[1]

同じ内容を、講義を聞くだけの授業と、手を動かして考える授業の両方で受けてもらった。手を動かす授業の方が、テストの点は標準偏差の約半分(0.46)高かった。一方、「学べた」という感覚は、0.56だけ低かった。

対象: 米国ハーバード大学の物理入門の受講者149人(2つの学期、2回の授業で交互に体験) / 限界: 1つの大学の物理の授業での結果。一人で進める独学とは場面がちがう。

Kirk-Johnsonら(2019)[2]

3つの研究で、2つの勉強法(混ぜて練習とまとめて練習、思い出す練習と読み直し)を体験してもらい、次に使う方を選ばせた。大変だと感じたやり方ほど「効かない」と評価され、選ばれにくかった。実際には、大変な方を選んだ人の方が、長く覚えていた(研究3)。

対象: 3つの研究の参加者 / 限界: 短い実験の中での選択。何か月も続く独学での選び方を追ったものではない。

KornellとBjork(2008)[6]、Yanら(2016)[3]

画家の作風を学ぶ実験で、混ぜて学ぶ方が成績はよかった。それでも参加者は、自分のテストの結果を見た後でさえ、まとめて学ぶ方が効くと答えた。Yanらは、なぜそう感じるかの説明を読ませるなどして思い込みを直そうとしたが、効果は小さかった。2つのやり方のテスト結果を分けて見せ、説明も加えたときに初めて、参加者の多くが混ぜる方の良さを認めた。

対象: 実験に参加した大学生など / 限界: 絵の作風などの、仲間分けを学ぶ課題での結果。

Onanら(2024)[4]、Biwerら(2023)[5]

Onanらの事前登録した実験では、思い込みを正す説明文を読み、学ぶ途中で自分のやり方を見直す手がかりを受けた組で、混ぜて学ぶやり方を使う割合が増えた。後日の別の課題(鳥の種類を学ぶ)でも増えたままだった。Biwerらは、薬学部の1年生全員に勉強法の講座を行った。受講後、線を引く・読み返すが減り、混ぜる・間をあけるなどが増えた。講座を受けた学年では、最初の試験で下位だった学生も1年を通して点数を伸ばし、順位による点数の差が縮まった。

対象: Onanらは大学生91人(無作為に2組)、Biwerらは米国ノースカロライナ大学の薬学部1年生 / 限界: Biwerらは比べる組を同時に置けず、前の年の学生と比べた研究。著者ら自身が、講座のどの部分が効いたかは特定できないと述べている。

ここで紹介した研究は、大学生や短い実験が中心です。社会人の独学で同じ大きさの差が出るとは限りません。それでも「手応えと成果はずれることがあり、結果で確かめると思い込みが直りやすい」という点は、どの研究も同じ方向を示しています。

03 今日からできる小さな一歩新しい勉強法をやめる前に、何を確かめる?

手応えではなく、数日後に思い出せた量で判断します。前のやり方と範囲を分けて比べると、思い込みに左右されにくくなります。

1

「手応えがない」と感じたことを、まず書き留める

「つっかえる」「疲れる」「進みが遅い」など、感じたことを1行で書きます。そして、その横に「これは効いていないという意味ではない」と書き足します。思い込みを正す説明を、自分に向けて書くイメージです。研究では、説明を読むだけより、自分の結果を確かめることと組み合わせた方が思い込みが直りやすいことがわかっています。

所要 2分

2

範囲を2つに分けて、やり方を変えて学ぶ

同じくらいの量の範囲を2つ選びます。片方は前のやり方(読み返しなど)、もう片方は新しいやり方(思い出す練習など)で学びます。かける時間はそろえます。

所要 いつもの勉強時間

3

2〜7日後に、本を閉じて両方をテストする

学んだ直後ではなく、日をあけてから確かめます。章末の問題を解くか、要点を書き出して、思い出せた数を範囲ごとに記録します。2つの結果を分けて見ることがポイントです。

所要 10〜20分

4

何も出てこないなら、やり方ではなく難しさを調整する

思い出す練習で何も出てこない状態が続くなら、範囲が広すぎるか、間があきすぎています。範囲を半分にし、出てこなかった所は答えを見て確かめてから、もう一度思い出します。

所要 5分(計画の見直し)

5

2週間、同じものさしで比べてから決める

1回の結果で決めず、2〜3回くり返して比べます。それでも新しいやり方の方が思い出せないなら、目的に合っていない可能性があります。目的に合わせた選び方は勉強法はどう選ぶ?の記事にまとめています。

所要 2週間(記録は1回5分)

勉強中に感じることと、その読み取り方を表にまとめました。

感じることよくある読み違い研究から見た読み方
思い出そうとしてもつっかえる覚えていない、向いていない思い出す手間が、後で思い出せる記憶をつくる
問題を混ぜると正解率が下がる混ぜると逆効果練習中の正解率と、後日のテストの成績は一致しないことがある
読み返すとすらすら読める覚えた読みやすさは、覚えた証拠にならない
前より疲れる効率が悪い大変さを「効かない」と読み違えやすい [2]
数日後のテストで、新しいやり方の範囲が多く出てくる(気づかない)これが判断材料。手応えより優先する

「2〜7日後」「2週間」は、研究で決まった数字ではなく、日々の勉強で比べるための目安です。

04 続けるためのコツ新しい勉強法を、元に戻さず続けるには?

結果を記録して、目に見える形にします。説明を読むだけより、自分の結果を分けて見る方が思い込みは直りやすいからです。

05よくある質問

新しい勉強法を何日続ければ、効いているか判断できますか?

研究で決まった日数はありません。目安としては、新しいやり方で学んだ範囲を2〜7日後に本を閉じてテストし、前のやり方で学んだ範囲と比べられるまで続けます。2週間ほどあれば、2〜3回は比べられます。やっている最中の手応えは判断材料にしません。

勉強しているときに「わかった」と感じるのは、悪いことですか?

悪いことではありませんが、覚えた証拠にはなりません。Deslauriersら(2019)の実験では、講義を聞くだけの授業の方が「学べた」という感覚は高かった一方、テストの点数は手を動かす授業の方が高くなりました。感覚と結果がずれることがあると知っておくのが大事です。

効く勉強法に変えて、それでも点数が上がらなかったら?

やり方が自分の目的に合っていない可能性があります。暗記なのか、問題を解く力なのかで、合う勉強法は変わります。また、思い出す練習で何も出てこない状態が続くなら、間隔が長すぎるか範囲が広すぎます。範囲を小さくし、答えを確かめながら進めます。

出典

  1. Deslauriers, L., McCarty, L. S., Miller, K., Callaghan, K., & Kestin, G. (2019). Measuring actual learning versus feeling of learning in response to being actively engaged in the classroom. Proceedings of the National Academy of Sciences, 116(39), 19251–19257. https://doi.org/10.1073/pnas.1821936116
  2. Kirk-Johnson, A., Galla, B. M., & Fraundorf, S. H. (2019). Perceiving effort as poor learning: The misinterpreted-effort hypothesis of how experienced effort and perceived learning relate to study strategy choice. Cognitive Psychology, 115, 101237. https://doi.org/10.1016/j.cogpsych.2019.101237
  3. Yan, V. X., Bjork, E. L., & Bjork, R. A. (2016). On the difficulty of mending metacognitive illusions: A priori theories, fluency effects, and misattributions of the interleaving benefit. Journal of Experimental Psychology: General, 145(7), 918–933. https://doi.org/10.1037/xge0000177
  4. Onan, E., Biwer, F., Abel, R., Wiradhany, W., & de Bruin, A. (2024). Optimizing self-organized study orders: Combining refutations and metacognitive prompts improves the use of interleaved practice. npj Science of Learning, 9, 33. https://doi.org/10.1038/s41539-024-00245-7
  5. Biwer, F., de Bruin, A., & Persky, A. (2023). Study smart – impact of a learning strategy training on students' study behavior and academic performance. Advances in Health Sciences Education, 28(1), 147–167. https://doi.org/10.1007/s10459-022-10149-z
  6. Kornell, N., & Bjork, R. A. (2008). Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"? Psychological Science, 19(6), 585–592. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02127.x