AIと独学

AIにアイデアや文章を手伝ってもらうと、ほかの人と似た答えになるのはなぜ?AIによる「均質化」の研究

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タイプライターの内部に並ぶ活字棒
Photo: Thad Zajdowicz from Altadena, California, USA / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

作文やレポートのネタに困って、AIにアイデアを出してもらう。できあがった文章は、自分ひとりで書いたものより上手に見えます。でも、ほかの人もAIに聞いていたら、似たような文章が並ぶかもしれません。実験では、AIのアイデアを使うと一人ひとりの作品は高く評価される一方で、作品どうしが似てくることがわかっています。

3行でわかる

  1. 293人が短い物語を書いた実験では、AIのアイデアを最大5つ見られた人の物語は、新しさの評価が8.1%上がった。その一方で、物語どうしは互いに似ていた。
  2. 似る理由は2つ。AIの出すアイデア自体が似通っていること、そして書き手が最初に見たAIのアイデアに引っぱられる(アンカリング)ことだ。
  3. 自分の考えを先に書いてからAIを使った人は、AIを外した後の作文で、AIの答えをそのまま使った人より理由づけが良かった。順番が分かれ目になる。

01 悩みの正体AIに手伝ってもらうと、なぜ文章が似てくる?

AIは、同じ頼み方をされると似たアイデアを返しやすいからです。さらに人は、最初に見たアイデアを出発点にして書きます。そのため、AIを使った人どうしの文章は、ひとりで書いた人どうしより近くなります。

AIは、たくさんの文章から「よくある続き方」を学んでいます。だから、同じテーマを頼まれると、筋の通った無難なアイデアを返しやすくなります。

もう1つは、人の側の理由です。最初に見たものが、その後の判断の基準になる傾向を「アンカリング」と呼びます。白紙から考えるより、目の前のアイデアを直すほうが楽です。そのため、書き手はAIのアイデアの近くにとどまりやすくなります。

独学で困るのは、作文・小論文・企画書・面接の答えなど、「自分の考え」が問われる練習です。見た目は上手でも、ほかの受験者と似た答えになったり、自分で考える練習にならなかったりします。

02 科学的にわかっていることAIのアイデアを使うと、作品はどれくらい似る?

短い物語の実験では、AIのアイデアを使うと一人ひとりの評価は上がり、作品どうしは似ました。AIだけが書いた作文は、人が書いた作文より新しいアイデアの増え方が小さくなりました。ただし、多くは短い課題での実験です。

DoshiとHauser(2024)[1]

293人に8文の短い物語を書いてもらった。AIなし・AIのアイデアを1つ見られる・最大5つ見られる、の3つの条件に分けた。5つ見られた人の物語は、別の600人の読み手から新しさが8.1%、役立ちそうさが9.0%高く評価された。一方で、AIを使った物語は、同じ条件のほかの物語と互いに似ていた。物語は、AIのアイデアとも約5%近かった。

対象: イギリスのオンライン参加者(書く力や創造性で選んでいない) / 限界: 8文だけの物語で、AIとのやりとりはできなかった。書き手が自分で採点すると、条件による差は出なかった。

DoshiとHauser(2024)[1]

もともと創造性の低い人ほど、AIのアイデアで伸びた。創造性の低いグループでは、5つ見られた条件で新しさが10.7%、役立ちそうさが11.5%上がった。もともと創造性の高い人には、ほとんど差がなかった。著者らは「一人ひとりは得をするが、全体として生まれる作品の幅は狭くなる」と述べている。

対象: 同じ実験の分析 / 限界: 創造性は、意味の離れた単語を10個挙げる課題で測った。

Moonら(2025)[2]

事前登録した3つの研究で、大学入試の志望理由エッセイ2,200本を分析した。人が書いたエッセイは、1本増えるごとに加わる新しいアイデアが、AI(GPT-4)が書いたエッセイより多かった。この差は本数が増えるほど広がった。頼み方や設定を変えてAIの答えを多様にしようとしても、差は残った。

種類: プレプリント(査読前の版。要旨を確認) / 限界: 人の作文と、AIだけが書いた作文を比べた研究。人がAIを手伝いに使った場合ではない。

Luchiniら(2025)[3]

大学生263人が、ChatGPTを使って、または使わずに短い物語を書いた。AIを使った物語は独創性の評価が高かったが、物語どうしは意味の上で似ていた(多様さが低かった)。独創性が上がったのは、AIに新しい筋や登場人物のアイデアを出させた人だった。AIに手直しや評価を頼んだだけの人では上がらなかった。

種類: プレプリント(査読前の版。要旨を確認) / 限界: 実際に近い使い方を観察した研究で、どの使い方をするかは本人が選んでいる。

Liuら(2026)[4]

AIを使ったことのある大人(ランダムに分けた900人、分析は659人)が、意見を述べる作文を書いた。①自分の立場を先に決めて書いてからAIに問う、②AIの答えをそのまま使う、③AIなし、の3つに分けた。15〜20分後、AIなしで2本目を書くと、②の人は③の人より理由づけの評価が0.38点(7点満点)低く、観点の多様さも0.30点低かった。①の人は③の人を下回らなかった。

対象: 中国語を使う学生と若手社会人(オンライン) / 限界: 測ったのは直後の作文だけ。著者らも「長く続く力の低下を示したものではない」としている。差は小さかった。

研究でわかっている「似てくる」場面と、そうでない場面(研究[1]〜[4]をもとに整理)

使い方研究でわかっていること
AIのアイデアを出発点にして書く評価は上がるが、作品どうしが似た。AIのアイデアにも近くなった[1][3]
AIに全部書かせる人が書いた作文より、新しいアイデアの増え方が小さかった[2]
AIの答えをそのまま使うAIを外した直後の作文で、理由づけと観点の多様さが下がった[4]
自分の考えを先に書いてからAIに問うAIなしの人を下回らなかった(探索的な分析)[4]

ここで紹介した研究は、短い物語や作文を、1回書いてもらって調べたものです。何か月もAIと一緒に勉強したときに、考える力や文章の個性がどう変わるかは、まだ確かめられていません。AIは更新されるので、同じ結果になるとも限りません。

03 今日からできる小さな一歩AIを使っても、自分の考えを残すには?

AIを開く前に、自分の考えを3行だけ書きます。AIには「答え」ではなく複数のアイデアを出させ、自分の考えとどこが違うかを書き出します。最後は、自分の言葉で書き直します。

1

AIを開く前に、自分の考えを3行書く

立場・理由・具体例を1行ずつ、メモで構いません。自分で考えて出したことは、読んだだけのことより覚えやすいこともわかっています(生成効果[5])。

所要 5分

2

AIには「違う方向のアイデアを5つ」と頼む

1つだけだと、それが出発点になりやすくなります。「互いにできるだけ違う方向で」と書き添え、複数を並べて見比べます。

所要 3分

3

自分の3行と、AIのアイデアの違いを書き出す

「AIにあって自分にない視点」「自分にあってAIにない経験」を1つずつ書きます。自分にしかない経験や具体例は、ほかの人と似にくい部分です。

所要 5分

4

AIの画面を閉じて、自分の言葉で書く

AIの文をコピーせずに書きます。書いた後なら、AIに添削してもらう使い方に進んで構いません。

所要 15分

04 続けるためのコツAIでアイデアを出すのは、やめたほうがいい?

やめる必要はありません。AIのアイデアで作品の評価が上がることも、研究で示されています。大事なのは、自分の考えを出す前にAIの答えを見ないことです。

  • 「先に自分、後でAI」を毎回の順番にする。研究で差が出たのは、AIを使ったかどうかより、自分で考える順番でした[4]。
  • 上手に書けた感覚を、力がついた証拠にしない。AIを使った書き手は、自分の作品を特に高く評価していませんでした[1]。上達したかは、AIなしで書いてみて確かめます。
  • わかった気になる仕組みも知っておく。AIのなめらかな説明を読むと、理解した気になりやすくなります。AIの説明でわかった気になる理由もあわせて読んでください。
  • 頼りすぎたと感じたら、AIなしの日をつくる。立て直し方はAIに頼りすぎて解けなくなったときの手順にまとめています。

05よくある質問

AIにアイデアを出してもらうと、文章は上手になる?

短い物語の実験では、評価は上がりました。AIのアイデアを最大5つ見られた人の物語は、新しさが8.1%、役立ちそうさが9.0%高く評価されました。ただし、作品どうしは似ていました。上手になったかどうかは、AIなしで書いたときに確かめる必要があります。

AIを使うと、ほかの人と同じ答えになるのはなぜ?

AIは同じ頼み方には似たアイデアを返しやすく、人は最初に見たアイデアを出発点にしやすいからです。実験では、AIのアイデアを見た人の物語は、そのアイデアにも約5%近くなっていました。

小論文や面接の練習に、AIを使ってもいい?

使い方しだいです。自分の考えを先に書いてからAIに問った人は、AIを外した後の作文で、AIなしの人を下回りませんでした。AIの答えをそのまま使った人は、理由づけの評価が下がりました。まず自分で書き、AIは比べる相手にするのが安全です。

出典

  1. Doshi, A. R., & Hauser, O. P. (2024). Generative AI enhances individual creativity but reduces the collective diversity of novel content. Science Advances, 10(28), eadn5290. https://doi.org/10.1126/sciadv.adn5290
  2. Moon, K., Green, A., & Kushlev, K. (2025). Homogenizing effect of large language models (LLMs) on creative diversity: An empirical comparison of human and ChatGPT writing. PsyArXiv(プレプリント). https://doi.org/10.31234/osf.io/8p9wu_v4
  3. Luchini, S. A., Pronchick, J., Ceh, S. M., Kaufman, J. C., Johnson, D. R., Rafner, J., & Beaty, R. (2025). The roles of idea generation and elaboration in human-AI collaborative creativity. PsyArXiv(プレプリント). https://doi.org/10.31234/osf.io/xm2f5_v3
  4. Liu, C., Guo, J., Gao, R., Chen, X., Zhu, Q., & Chang, P. (2026). Borrowed or kept? How self-generation-first and direct-adoption AI workflows shape immediate unaided reasoning. Frontiers in Psychology, 17, 1910545. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1910545
  5. Bertsch, S., Pesta, B. J., Wiscott, R., & McDaniel, M. A. (2007). The generation effect: A meta-analytic review. Memory & Cognition, 35(2), 201–210. https://doi.org/10.3758/BF03193441