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大人になってから外国語の発音が身につきにくいのはなぜ?学び始めの年齢と発音の研究

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展示されている古いリボンマイク
Photo: Josephenus P. Riley / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

英語を何年も勉強しているのに、発音がカタカナっぽいまま。大人になってから学び始めると、発音になまりが残りやすいことは、研究でも確かめられています。ただし理由は「年をとって耳や口が衰えたから」だけではありません。母語の音で聞き分ける癖と、その言語を使う量が大きく関わります。そして、なまりが残ったままでも「通じやすさ」が伸びた研究があります。

3行でわかる

  1. カナダに住むイタリア出身の240人の研究では、学び始めが遅いほどなまりが強かった。15歳以降に始めて母語話者と同じ範囲の評価を受けた人は、ごくわずかだった。
  2. 理由の1つは、新しい音を母語の音の「ものさし」で聞いてしまうこと。もう1つは使う量で、学び始めの年齢に加えて言語の使い方も、なまりの差の一部を説明した。
  3. なまりの強さと通じやすさは別物。大人でも練習で聞き分けと発音は伸び、65本の研究のまとめでは、聞き分けや発音を練習する訓練に大きな効果が見られた。

01 悩みの正体大人で始めると、発音は身につかない?

身につかないわけではありません。研究でわかっているのは、大人で始めると「母語話者と区別がつかない発音」まで届く人が少ないことです。通じる発音を身につけられるかとは、別の話です。

発音の研究では、2つのものさしを分けて考えます。1つは「なまり」です。聞き手が、母語話者の発音とどのくらい違うと感じるかを表します。

もう1つは「通じやすさ」です。聞き手が、どのくらい楽に理解できるかを表します。「発音が悪い」と悩むとき、多くの人は前者を気にしています。けれど会話や仕事で困るのは、主に後者です。

年齢と語学の関係全体は大人の学び直しは若い頃より不利なのかに、LとRの聞き取りに絞った話は英語のLとRが聞き分けられないのはなぜ?にまとめています。

02 科学的にわかっていること発音のなまりが大人で残りやすいのはなぜ?

研究からは3つの理由が見えてきます。新しい音を母語の音のものさしで聞いてしまうこと、子どもより新しい音の区別を作りにくいこと、そしてその言語を使う量です。年齢だけでは決まりません。

Flegeら(1995)[1]

カナダで2〜23歳のときに英語を学び始めたイタリア語母語の240人(カナダ在住は平均32年)の英語の文を、英語の母語話者10人が評価した。なまりが聞こえ始める学び始めの年齢の推定は、聞き手によって3.1歳から11.6歳まで分かれた(平均7.4歳)。15歳以降に始めた人で、母語話者と同じ範囲の評価を受けた人はごくわずかだった。学び始めの年齢は評価のばらつきの平均59%を説明し、言語の使い方がさらに15%を説明した。

対象: カナダに住むイタリア語母語の240人 / 限界: 一時点の比較で、学び始めの年齢と、その後の暮らし方が重なっている。日本で英語を学ぶ大人とは、英語を使う量が大きく違う。

Iversonら(2003)[2]

英語のLとRの音を、日本・ドイツ・アメリカの大人がどう聞いているかを調べた。日本の大人は、LとRの区別には関係のない音の手がかりに最も敏感だった。ドイツの大人は、区別に大事な手がかりに比較的敏感だった。著者らは、幼いころの言語経験で音の聞き方が変わり、それが新しい音の学習を妨げると説明した。

対象: 日本・ドイツ・アメリカの大人 / 限界: LとRという1組の音の、聞き取りの研究。発音そのものは測っていない。

Bakerら(2008)[3]

韓国語と英語を母語とする子どもと大人の計64人の実験。韓国語母語の大人は、子どもより、英語の母音を韓国語の1つの母音として聞いてしまいやすかった。発音では、子どもが一部の母音で大人を上回った。一方、母音の聞き取りでは子どもと大人に差がなかった。

対象: 韓国語・英語を母語とする子どもと大人64人 / 限界: 一部の母音だけの研究で、著者らの仮説は「一部支持された」にとどまる。

Flegeら(1995)[4]

アメリカ在住が平均2年の日本人12人のLとRは、英語の母語話者にしばしば聞き間違えられた。一方、平均21年住んだ日本人のLとRは、2択の聞き取りテストで正しく聞き取られた。経験の長い12人のうち10人は、発音の評価が英語の母語話者12人と同じ範囲に入った。著者らは、母語にない音は大人になると学べなくなる、という見方に疑問を投げかけた。

対象: アメリカに住む日本人(12人ずつ)と英語の母語話者12人 / 限界: 少人数で、英語の中で長く暮らした人の結果。独学で同じ伸び方をするかはわからない。

MunroとDerwing(1995)[5]

英語の母語話者20人が、英語の母語話者10人と中国語(北京語)の母語話者10人の英文を聞き、内容が正しいかを判断した。なまりのある発話は、判断に時間がかかった。わかりにくいと評価された発話ほど時間がかかったが、なまりの強さそのものと判断の時間には関係が見られなかった。

対象: 聞き手20人、話し手20人 / 限界: 短い文の実験室での聞き取り。実際の会話の通じやすさとは違う可能性がある。

Saitoら(2017)[6]

日本の大学1年生40人が、英語の授業を1学期受ける前と後に、絵を見て英語で説明した。一部の学生で通じやすさははっきり伸びたが、なまりの強さは伸びなかった。伸びた学生は、将来の仕事のために英語を学ぶ気持ちが強く、通じやすさや文法を良くしたいという関心が高い傾向があった。

対象: 日本の大学1年生40人 / 限界: 1学期だけの少人数の研究で、動機と伸びの関係は相関。

Yaoら(2025)[7]

第二言語の音の訓練を調べた65本の研究(学習者2,793人)をまとめたメタ分析。訓練には大きな効果が見られた(d = 0.762)。聞き分けの訓練は、発音の訓練や両方を組み合わせた訓練より効果が大きかった。どの訓練も、発音より聞き取りの力をより大きく伸ばした。

種類: メタ分析(多くの研究をまとめて分析) / 限界: 研究ごとの結果のばらつきが大きいと、著者ら自身が書いている。

なまりと通じやすさの違い(研究[1][4][5][6]をもとに整理)

なまり通じやすさ
何を表すか母語話者の発音との違い聞き手が理解するときの楽さ
学び始めの年齢遅いほど強く残りやすい[1]この記事の研究では、大人でも伸びた例がある[6]
聞き手の理解の速さ関係が見られなかった[5]低いほど理解に時間がかかった[5]
大人の独学での目標減らせることもあるが、時間がかかる[4]先に目標にしやすい

ここで紹介した研究は、論文の要旨(著者がまとめた概要)で内容を確かめました。移民や留学生など、その言語の中で暮らす人の研究が多く、日本で独学する大人にそのまま当てはまるとは限りません。

03 今日からできる小さな一歩大人が発音を伸ばすには、何から始める?

目標を「母語話者と同じ」から「聞き手にわかりやすい」に置き換え、苦手な音の聞き分けから始めます。そのうえで自分の発音を録音して聞き比べ、その言語を使う時間を予定に入れます。

1

目標を「通じやすさ」の言葉で書き直す

「ネイティブのように話す」を「初めて会う人に聞き返されずに自己紹介できる」のように書き直します。なまりと通じやすさは別物で、大人で伸びやすいのは後者だという研究があります[5][6]。

所要 5分

2

苦手な音を2〜3組だけ選び、聞き分けから練習する

LとR、似た母音など、聞き分けにくい組を選びます。65本の研究のまとめでは、聞き分けの訓練は効果が大きい方法でした[7]。LとRの練習のしかたはLとRの聞き取りの記事にあります。

所要 1日10〜15分

3

月に1回、同じ文を録音して聞き比べる

短い文を3つ決め、毎月同じ文を録音します。比べる相手は母語話者ではなく、先月の自分です。録音の効果を直接確かめた研究ではなく、変化を記録するための工夫です。

所要 月1回5分

4

その言語を「使う」時間を週の予定に入れる

240人の研究では、学び始めの年齢に加えて、言語の使い方もなまりの差の一部を説明しました[1]。声に出して話す・聞く時間を、週に何回と決めて予定に入れます。

所要 週2〜3回、15分から

04 続けるためのコツなまりが抜けなくて落ち込むときは?

なまりが残るのは、学び始めの年齢と使ってきた量の結果で、努力不足の証拠ではありません。比べる相手を母語話者から過去の自分に変え、「通じたか」を記録します。

  • 「通じた・聞き返された」を記録する。話したあとに一言メモします。なまりより、通じやすさの変化の方が実感しやすくなります。
  • 長い目で見る。平均21年英語の中で暮らした日本人の多くが、LとRを正確に発音できるようになっていました[4]。発音は数週間で決まるものではありません。
  • 年齢のせいにして自分を責めない。年齢の思い込みと自信の関係は「年のせいで覚えられない」と落ち込んだら?にまとめています。

05よくある質問

何歳までに始めれば、ネイティブのような発音になれる?

研究で1つの年齢は決まっていません。カナダに住むイタリア出身の240人の研究では、なまりが聞こえ始める学び始めの年齢の推定は、聞き手によって3.1歳から11.6歳まで分かれました(平均7.4歳)。15歳以降に始めた人で、母語話者と同じ範囲の評価を受けた人はごくわずかでした。

大人になってから始めても、発音は良くなる?

良くなります。アメリカに平均21年住んだ日本人12人のうち10人は、LとRの発音の評価が英語の母語話者と同じ範囲に入りました。65本の研究をまとめたメタ分析でも、聞き分けや発音を練習する「音の訓練」には大きな効果(d = 0.762)が見られました。

なまりがあると、相手に伝わりにくい?

なまりの強さと伝わりやすさは別物です。英語の母語話者20人が文を聞いて正誤を答えた実験では、わかりにくいと評価された発話ほど判断に時間がかかりましたが、なまりの強さそのものと判断の時間には関係が見られませんでした。

出典

  1. Flege, J. E., Munro, M. J., & MacKay, I. R. A. (1995). Factors affecting strength of perceived foreign accent in a second language. The Journal of the Acoustical Society of America, 97(5), 3125–3134. https://doi.org/10.1121/1.413041
  2. Iverson, P., Kuhl, P. K., Akahane-Yamada, R., Diesch, E., Tohkura, Y., Kettermann, A., & Siebert, C. (2003). A perceptual interference account of acquisition difficulties for non-native phonemes. Cognition, 87(1), B47–B57. https://doi.org/10.1016/S0010-0277(02)00198-1
  3. Baker, W., Trofimovich, P., Flege, J. E., Mack, M., & Halter, R. (2008). Child-adult differences in second-language phonological learning: The role of cross-language similarity. Language and Speech, 51(4), 317–342. https://doi.org/10.1177/0023830908099068
  4. Flege, J. E., Takagi, N., & Mann, V. (1995). Japanese adults can learn to produce English /r/ and /l/ accurately. Language and Speech, 38(1), 25–55. https://doi.org/10.1177/002383099503800102
  5. Munro, M. J., & Derwing, T. M. (1995). Processing time, accent, and comprehensibility in the perception of native and foreign-accented speech. Language and Speech, 38(3), 289–306. https://doi.org/10.1177/002383099503800305
  6. Saito, K., Dewaele, J.-M., & Hanzawa, K. (2017). A longitudinal investigation of the relationship between motivation and late second language speech learning in classroom settings. Language and Speech, 60(4), 614–632. https://doi.org/10.1177/0023830916687793
  7. Yao, Y., He, M., Chen, F., & Zhu, J. (2025). A meta-analysis of second language phonetic training: Exploring overall effect and moderating factors. Journal of Speech, Language, and Hearing Research, 68(4), 1784–1802. https://doi.org/10.1044/2024_JSLHR-24-00432