時間・計画

子育てしながら勉強する時間がとれない。どう計画する?睡眠を削らず、短い枠を週に分けて置く6つの手順(親の睡眠・分散学習・中断の研究)

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木のおもちゃの積み木
Photo: Bobjgalindo / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

子どもが寝てから机に向かうと、もう夜10時。寝かしつけで一緒に眠ってしまう日もある。勉強の途中で「ママ」「パパ」と呼ばれて、何をしていたか忘れてしまう。子育て中の勉強がなかなか進まないのは、やる気や根性の問題ではありません。使える時間が短く、細切れで、しかも中断されやすいからです。研究をもとに、その条件で回る計画の立て方をまとめました。

3行でわかる

  1. ドイツの親4,659人の調査では、子どもが生まれた後の3か月で母親の睡眠は妊娠前より平均62分、父親は13分短くなり、第1子の場合は6年たっても元に戻りきらなかった。
  2. 寝不足が何晩も続くと、新しいことを覚える力が落ちる。一方で、同じ量を一度にまとめて学ぶより、日をあけて分けて学ぶほうがよく思い出せる。睡眠を削ってまとめて勉強するより、短く分けるほうが研究に合う。
  3. 手順は「寝る時刻を先に決める」「15〜20分の枠を週に書き出す」「同じ範囲を日に分ける」「次にやることを1行メモ」「子どもの予定への『もしも』を決める」「週末に5分で組み直す」の6つ。

01 悩みの正体子育て中の勉強が、計画どおりに進まないのはなぜ?

使える時間が短く細切れなうえ、子どもの体調や寝る時間で予定が動き、勉強の途中でも呼ばれるからです。さらに親は睡眠が短くなりやすく、夜の勉強ほど頭に入りにくい状態になります。

社会人向けの勉強法の多くは、「毎日1時間」「朝の30分」のように、まとまった時間を決めて守る形をとります。けれど子育て中は、その1時間がいつ取れるかが日によって変わります。

よくある対策は、子どもが寝た後に夜遅くまで勉強することです。ただ、これは睡眠を削る方法でもあります。下で紹介するように、寝不足が続くと新しいことを覚える力そのものが落ちてしまいます。時間の作り方全般は社会人が勉強時間をつくるにはにまとめているので、この記事では子育て中ならではの条件に絞ります。

02 科学的にわかっていること睡眠を削って勉強するのと、短く分けるのはどちらがいい?

睡眠を削るほうは、覚える力が落ちるという実験があります。短い時間でも日をあけて分けて学ぶほうが、まとめて学ぶよりよく思い出せることが多くの実験で確かめられています。

Richterら(2019)[1]

ドイツの大規模な世帯調査で、2008〜2015年に子どもが生まれた女性2,541人と男性2,118人の睡眠を、毎年の聞き取りで追った。睡眠は出産後3か月で最も短くなり、妊娠前と比べて母親は平均62分、父親は13分短かった。第1子の誕生から6年たっても、睡眠の長さと満足度は妊娠前の水準まで戻りきらなかった。

対象: ドイツの親 / 限界: 睡眠は本人の申告で、機械で測ったものではない。勉強との関係は調べていない。

Cousins・Sasmita・Chee(2018)[2]

59人を2つのグループに分け、一方は5晩続けて寝床にいる時間を5時間に、もう一方は9時間にした。その後に写真を覚えてもらい、3晩しっかり眠ってからテストした。5時間のグループは、覚えた写真の記憶がはっきり悪かった。

対象: 10代の若者 / 限界: 大人や子育て中の親を調べた実験ではない。写真を覚える課題で、教科書の勉強とは違う。

Cepedaら(2006)[3]

184本の論文の317の実験(839の比較)をまとめた分析(メタ分析)。同じ内容を続けて学ぶより、間をあけて学んだほうが、後のテストでよく思い出せた。覚えておきたい期間が長いほど、最もよい間のあけ方も長くなった。

対象: 単語などを覚える言葉の課題の実験 / 限界: 資格試験のような長い範囲の勉強で、何分ずつに分けるのが最もよいかまでは示していない。

Wang・Wang・Gai(2021)[4]

目標と、それを邪魔しそうな障害を思い浮かべ、「もし障害が起きたら、こうする」と決める方法(MCII)の21の研究(1万5,907人)をまとめたメタ分析。目標の達成に小〜中くらいの効果があった(g=0.336)。

対象: さまざまな目標についての研究 / 限界: 研究の数が少なく、効果の大きい研究ほど発表されやすい偏りがあるため、実際の効果はもっと小さい可能性があると著者らが述べている。

Chenら(2025)[5]

画面上で複数の作業を同時にこなす課題を途中で中断させ、戻るときの手がかりを比べた2つの実験。中断の後に「次にやる動作」を示す手がかりがあると作業の出来がよくなり、疲れている状態で特に効果が大きかった。「中断の直前にしていた動作」を示す手がかりでは、出来はよくならなかった。

対象: 中国の22〜31歳の15人と25人 / 限界: 人数が少なく、勉強ではなく機械の操作に近い課題の実験。

子育て中の親が勉強する場面そのものを、くじ引きで比べた研究は見つかりませんでした。下の手順は、睡眠・分けて学ぶ効果・中断・計画の研究を組み合わせて考えた使い方です。

03 今日からできる小さな一歩子育て中は、勉強の計画をどう立てる?

寝る時刻を先に決めて睡眠を守り、残った時間から15〜20分の枠を週に何か所か選びます。同じ範囲を日に分けて復習し、中断されたら「次にやること」を書き、子どもの予定が変わったときの代わりも決めておきます。

1

勉強の時間より先に、自分が寝る時刻を決める

「23時には寝る」のように寝る時刻を先に決め、勉強はその前の時間に入れます。子どもが生まれると親の睡眠は短くなりやすく[1]、何晩も続く寝不足は新しいことを覚える力を下げました[2]。

所要 2分

2

1週間の「15〜20分の枠」を書き出す

通勤中、昼休み、子どもの習い事の待ち時間、朝の起床前など、1週間の中で15〜20分取れそうな所を5か所ほど書き出します。1時間のまとまった時間を探すより、見つけやすくなります。時間の長さは目安です。

所要 10分

3

同じ範囲を、日をあけて2〜3回に分ける

1つの単元を1日で終わらせようとせず、「月曜に読む・水曜に問題を解く・土曜に思い出す」のように日に分けます。間をあけて学ぶほうがよく思い出せました[3]。枠の中身はすきま時間の勉強メニュー表が使えます。

所要 1枠15〜20分

4

呼ばれたら、「次にやること」を1行書いて離れる

「問3の(2)から解く」「p.48の図を見る」のように、戻ったら最初にする動作を書きます。「どこまでやったか」より「次に何をするか」を書くのがポイントです。次の動作を示す手がかりは作業の戻りを助け、疲れているときに特に効果がありました[5]。

所要 30秒

5

子どもの予定が崩れたときの「もしも」を決める

「もし子どもが熱を出したら、その週は一問一答だけにする」「もし寝かしつけで寝てしまったら、翌朝の起床前に10分」のように、起こりやすい障害と代わりの行動を書きます。障害を思い浮かべて「もし〜なら」を決める方法には、小〜中くらいの効果がありました[4]。

所要 5分

6

週末に5分、使えた枠と使えなかった枠を見直す

手順2の枠のうち、実際に勉強できた所に丸をつけます。使えなかった枠は消し、使えた時間帯に近い所へ移します。子どもの成長で生活は変わるので、計画も毎週作り直すくらいでちょうどよいと考えます。

所要 5分

04 続けるためのコツ子育てと勉強を、長く両立させるには?

「毎日やる」より「週に何枠できたか」で数え、できなかった週を失敗と考えないことです。睡眠と体調を勉強より先に置き、家族と勉強の枠を共有しておきます。

  • 目標は「毎日30分」ではなく「週に4枠」のように数で決める。日による波があっても、週の合計で見ればよくなります。
  • パートナーや家族がいる場合は、手順2の枠のうち1つだけでも「この時間は勉強」と伝えて、子どもを見てもらえる時間にする。
  • 夜の勉強で頭に入らない日は、新しい単元をやめて、覚えた所を思い出す復習に切り替える。疲れた日の立て直しは仕事のあと夜に勉強しても頭に入らないときも参考にしてください。
  • 産後の睡眠不足や気分の落ち込みが長く続くときは、勉強の計画より休むことを優先し、自治体の保健師やこころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などに相談してください。

05よくある質問

子どもが寝た後、夜中まで勉強してもいい?

続けるのはおすすめしません。5晩続けて5時間しか寝床にいなかった10代の実験では、その後に覚えた内容の記憶がはっきり悪くなりました[2]。先に寝る時刻を決め、残った時間で勉強する順番にします。

15分ずつの勉強でも、意味はある?

あります。同じ量を一度にまとめて学ぶより、間をあけて分けて学んだほうが、後でよく思い出せることが多くの実験で確かめられています[3]。ただし、何分ずつなら最もよいかを決めた研究ではありません。

勉強の途中で子どもに呼ばれたら、どうすればいい?

すぐに手を止め、「次にやること」を1行だけ書いてから離れます。中断の後に次の動作を示す手がかりがあると、疲れている状態で特に作業の戻りがよくなった実験があります[5]。

出典

  1. Richter, D., Krämer, M. D., Tang, N. K. Y., Montgomery-Downs, H. E., & Lemola, S. (2019). Long-term effects of pregnancy and childbirth on sleep satisfaction and duration of first-time and experienced mothers and fathers. Sleep, 42(4), zsz015. https://doi.org/10.1093/sleep/zsz015
  2. Cousins, J. N., Sasmita, K., & Chee, M. W. L. (2018). Memory encoding is impaired after multiple nights of partial sleep restriction. Journal of Sleep Research, 27(1), 138–145. https://doi.org/10.1111/jsr.12578
  3. Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
  4. Wang, G., Wang, Y., & Gai, X. (2021). A meta-analysis of the effects of mental contrasting with implementation intentions on goal attainment. Frontiers in Psychology, 12, 565202. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.565202
  5. Chen, Y., Zhang, C., Fang, W., & Ma, J. (2025). The effects of cues on task interruption recovery in a concurrent multitasking environment. Scientific Reports, 15. https://doi.org/10.1038/s41598-025-09358-4