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引っ越し・異動・在宅勤務で、勉強の習慣が崩れた。どう立て直す?生活が変わったときの習慣の研究

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段ボール箱と家具を積んだ引っ越しトラックの荷台
Photo: brownpau / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

引っ越し、異動、在宅勤務。生活が変わったとたん、続いていた勉強がぱたりと止まる。意志が弱くなったわけではありません。研究によると、習慣は「いつもの場所・時間・前後の行動」に支えられているので、それが変わると崩れやすいのです。逆に、変化の直後は新しい習慣を作り直しやすい時期でもあります。

3行でわかる

  1. 大学を移った学生の研究では、運動や読書などの習慣は、場所や一緒にする人などの「きっかけ」が変わらなかった場合だけ、移った後も続いた。
  2. 約1万8千人の英国の調査では、引っ越して間もない人ほど、本人の考えに沿った通勤手段を選んでいた。変化の直後は、行動を選び直しやすい時期と考えられている。
  3. 立て直しは、①前のきっかけを書き出す ②残ったきっかけを使う ③新しい生活の決まった行動に勉強をつなげる ④同じきっかけで繰り返す ⑤2か月は記録して様子を見る、の順で。

01 悩みの正体生活が変わると、なぜ勉強が続かなくなる?

毎日の勉強は、意志よりも「いつもの場所・時刻・前の行動」というきっかけで始まっていることが多いからです。そのきっかけが消えると、始める合図そのものがなくなります。

同じ場面で何度も繰り返した行動は、考えなくても始まる「習慣」になります。このとき行動を呼び出しているのは、場所や時刻、直前の行動といった周りの手がかりです[1]。

たとえば「帰りの電車で単語帳を開く」が続いていた人は、在宅勤務になると、その電車ごと合図を失います。やる気が同じでも、始めるきっかけがなければ止まりやすいのです。

02 科学的にわかっていること崩れた勉強の習慣は、作り直せる?

作り直せます。変化の直後は古い習慣が弱まり、自分の考えで行動を選び直しやすくなります。新しいきっかけを決めて同じ形で繰り返すと、数週間から数か月で再び習慣になっていきます。

Woodら(2005)[1]

別の大学に移った学生の、運動・新聞を読む・テレビを見る習慣を、移る前と後で調べた。習慣は、行う場面の一部が変わらなかったとき(たとえば新聞を前と同じように人と一緒に読む)だけ、移った後も続いた。習慣が崩れた人の中には、行動が意図で決まるようになり、その時点の「やりたい」に沿って行動した人もいた。

対象: 大学を移った学生 / 限界: 勉強の習慣そのものを調べた研究ではない。対象は学生で、社会人の転勤や在宅勤務とは状況が異なる。

Thomasら(2016)[2]

英国の大規模調査で、働く1万8,053人の通勤手段を分析した。環境への関心が強い人は車で通勤する割合が低かったが、それは引っ越して間もない人に限られていた。住んで1か月の時点の予測では、車通勤の確率は関心が強い人で0.47、弱い人で0.60。住んだ期間が長くなるにつれて、この差は小さくなった。車通勤の確率は、引っ越し後0〜24か月の間に大きく上がっていた。

対象: 英国の働く人 / 限界: 1回の調査をもとにした分析で、同じ人を追った実験ではない。通勤手段の研究で、勉強の結果ではない。

Kellerら(2021)[3]

18〜77歳の192人を2つのグループにくじで分け、84日間、毎日の食事の行動を習慣にする実験。「毎日の決まった行動の後にやる」と決めた人と、「決まった時刻にやる」と決めた人で、習慣になる度合いに差はなかった。習慣になった人がその伸びの頭打ちに達するまでの日数は、中央値で59日。決めた通りに繰り返したことが、習慣になる度合いの大事な予測因子だった。

対象: 一般の成人 / 限界: 食事の行動の実験で、勉強ではない。習慣になったかは本人の答える質問票で測っている。

KaushalとRhodes(2015)[4]

新しくジムに入会した111人を12週間追った研究。運動が習慣になるには、少なくとも週4回を6週間続けることが必要だった。同じ形で続けること(一貫性)、内容が簡単なこと、環境、楽しいと感じることが、習慣の伸びを予測した。

対象: ジムの新会員 / 限界: 運動の研究で、勉強にそのまま当てはまるかは確かめられていない。

時間帯については、朝に行った人の方が夜に行った人より早く習慣になった、という研究があります(学生48人、ストレッチ、90日間)[5]。ただし人数が少なく、日数は途中までの記録から予測したものです。朝に変えなければいけない、という根拠にはなりません。朝型・夜型については勉強に向く時間帯の記事にまとめています。

03 今日からできる小さな一歩生活が変わって崩れた勉強は、どう立て直す?

前の習慣を支えていたきっかけを書き出し、残ったものは使い、消えたものは新しい生活の決まった行動に置きかえます。そのうえで同じ形で繰り返し、2か月は記録して様子を見ます。

1

前の勉強の「きっかけ」を4つ書き出す

続いていたころの勉強を思い出し、「いつ」「どこで」「何の後に」「誰と・何を使って」を1行ずつ書きます。習慣は、こうした場面の手がかりで始まっていました[1]。

所要 5分

2

変わったきっかけと、残ったきっかけに分ける

4つのうち、今も残っているものに印をつけます。使い慣れた参考書、同じアプリ、朝のコーヒーなど、残ったものは新しい生活でもそのまま使います。場面の一部が変わらなかった習慣は続きやすかったからです[1]。

所要 3分

3

新しい生活で毎日必ずある行動の後に、勉強をつなげる

「昼食を食べ終えたら、席で問題を5問」のように、1文で決めます。勤務時間が日によって変わる人は、時刻ではなく行動につなげます。行動につなげても時刻を決めても、習慣になる度合いは同じでした[3]。決め方はif-thenプランの記事が参考になります。

所要 5分

4

最初は小さく、同じ場所・同じきっかけで繰り返す

最初の数週間は量より回数です。10〜15分でよいので、決めたきっかけで毎回始めます。決めた通りに繰り返すことが習慣化の大事な要因で[3]、同じ形で続けることが習慣の伸びにつながっていました[4]。新しい部屋の場所づくりは家の勉強場所の整え方も参考になります。

所要 1回10〜15分

5

変化の直後に、やり方そのものも見直す

前から「合わない」と思っていた勉強のしかたがあれば、今が変えどきです。古い習慣が弱まった時期は、自分の考えで行動を選び直しやすくなります[1][2]。ただ、その傾向は時間とともに薄れていました[2]。

所要 10分

6

2か月は記録して、続いた日数を見る

カレンダーに、勉強できた日に印をつけます。習慣になるまでの日数は、実験で中央値59日でした[3]。人によって差が大きいので、数日抜けても数え直す必要はありません。

所要 1日10秒

よくある生活の変化ごとに、消えやすいきっかけと、新しくつなげる先の例をまとめました。研究の結果ではなく、上の研究をもとにこの記事で当てはめた例です。

生活の変化なくなりやすいきっかけ新しくつなげる先の例
引っ越し通勤電車・いつものカフェ・前の部屋の机新しい通勤の決まった区間、新しい部屋で座る場所を1つ決める
異動・転職前の職場の昼休み・帰りの時刻新しい職場で毎日ある区切り(昼食の後、退勤後の最初の10分)
在宅勤務になった通勤時間・帰宅後の切りかえ「仕事のパソコンを閉じた後」「朝のコーヒーの後」
シフト・勤務時間が変わった決まった時刻時刻ではなく「起きて顔を洗った後」など、毎日必ずある行動
子どもが生まれた・家族の事情夜のまとまった時間寝かしつけの後、朝の家事の後など、毎日ほぼ同じ順番で来る行動

04 続けるためのコツ新しい勉強の習慣を、また崩さないためには?

きっかけを1つに頼りすぎず、予備のきっかけを1つ決めておきます。抜けた日があっても、次の日に同じきっかけで再開すれば十分です。

  • 「昼休みが取れない日は、帰宅して着がえた後に5問」のように、予備のきっかけを1つ決めておく。
  • 次にまた生活が変わりそうなとき(年度の変わり目、異動の内示)は、手順1〜3を先に済ませておく。
  • 何日も止まってしまったときの再開のしかたは、勉強を休んでしまった後の再開の記事にまとめています。

ここで紹介した研究は、通勤手段・運動・食事などの習慣を調べたものです。勉強の習慣が生活の変化でどう崩れ、どう戻るかを直接調べた研究は、見つかった範囲では多くありません。手順は、わかっていることを独学に当てはめたものです。

05よくある質問

引っ越してから勉強が続かないのは、意志が弱いからですか?

そうとは限りません。毎日の習慣は、場所や時刻、直前の行動といったきっかけで始まっています。大学を移った学生の研究では、場面の一部が変わらなかった習慣だけが続きました。きっかけを作り直せば、また続けやすくなります。

新しい習慣になるまで、どれくらいかかりますか?

行動や人によって差があります。成人192人の実験では、習慣になった人がその伸びの頭打ちに達するまで中央値で59日でした。ジムの新会員の研究では、週4回を6週間続けることが必要でした。2か月ほどは様子を見るつもりで続けるのが現実的です。

勉強の時間は、時刻で決めるのと、行動の後で決めるのとどちらがいいですか?

研究ではどちらも同じくらい習慣になっていました。勤務時間が日によって変わる人は、「起きて顔を洗った後」のように毎日必ずある行動につなげる方が、合図がぶれにくいでしょう。

出典

  1. Wood, W., Tam, L., & Witt, M. G. (2005). Changing circumstances, disrupting habits. Journal of Personality and Social Psychology, 88(6), 918-933. https://doi.org/10.1037/0022-3514.88.6.918
  2. Thomas, G. O., Poortinga, W., & Sautkina, E. (2016). Habit discontinuity, self-activation, and the diminishing influence of context change: Evidence from the UK Understanding Society Survey. PLoS ONE, 11(4), e0153490. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0153490
  3. Keller, J., Kwasnicka, D., Klaiber, P., Sichert, L., Lally, P., & Fleig, L. (2021). Habit formation following routine-based versus time-based cue planning: A randomized controlled trial. British Journal of Health Psychology, 26(3), 807-824. https://doi.org/10.1111/bjhp.12504
  4. Kaushal, N., & Rhodes, R. E. (2015). Exercise habit formation in new gym members: a longitudinal study. Journal of Behavioral Medicine, 38(4), 652-663. https://doi.org/10.1007/s10865-015-9640-7
  5. Fournier, M., d'Arripe-Longueville, F., Rovere, C., Easthope, C. S., Schwabe, L., El Methni, J., & Radel, R. (2017). Effects of circadian cortisol on the development of a health habit. Health Psychology, 36(11), 1059-1064. https://doi.org/10.1037/hea0000510