記憶・覚え方

語呂合わせやイメージで覚えるのは効くのか。記憶術(キーワード法・イメージ化)の研究

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袋に入ったさまざまな大きさの情報カード(単語カードにも使える白いカード)
Photo: Goatid / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

語呂合わせやイメージで覚える記憶術は「条件しだい」で効く方法です。その場で覚える速さは上がりますが、日がたつと忘れやすいという研究があります。覚えにくい項目のきっかけにとどめ、そのあとは思い出す練習に切り替えるのが研究に沿った使い方です。

3行でわかる

  1. 音の似た言葉と映像で結ぶ「キーワード法」は、直後のテストでは効く。主要なレビューでは、有用性は「低い」と評価された。
  2. 1週間後や2日後のテストでは、ただくり返した人や、文の中で覚えた人に逆転された実験がある。
  3. 場所に置いて覚える「場所法」は、13の実験をまとめた分析で中くらいの効果。ただし研究の質には課題が残る。

01語呂合わせで「覚えた気がする」のはなぜか

語呂合わせやイメージは、覚えにくい言葉に「引っかかり」を作ります。そのため、その場ではすぐ覚えられます。問題は、使う日まで残るかどうかです。

このような覚え方をまとめて「記憶術」と呼びます。代表は「キーワード法」です。

たとえばフランス語の la dent(歯)なら、音の似た dentist(歯医者)を思い浮かべます。そして、歯医者が大きな奥歯をペンチで持つ場面を想像します。年号の語呂合わせも、同じ「音でつなぐ」仕組みです。

英単語での使い方は英単語の覚え方の記事で触れました。この記事では、記憶術が効く場面と効かない場面を、もう一段くわしく見ていきます。

02研究でわかっていること

キーワード法は、覚える速さには効きます。ただし長く残るとは限りません。思い出す練習とくらべると、同じかそれ以下の結果でした。場所法には中くらいの効果があります。

Dunloskyら(2013)[1]

よく使われる10の勉強法を比べたレビュー。キーワード法も、文章を読みながらイメージを浮かべる方法も、有用性は「低い」と評価された。

理由: キーワード法が効くのは、具体的な名詞など語呂を作りやすい言葉に限られる。多くの実験では、語呂を研究者が用意していた。自分で作った場合の効果は、研究によってまちまちだった。

Wang・Thomas・Ouellette(1992)[2]

外国語の単語を学ぶ4つの実験。直後のテストではキーワード法が勝ったが、時間がたつと、ただくり返して覚えた人より多く忘れた。

ポイント: 直後と後日のテストを別の人に受けさせ、「直後のテストが復習になる」影響を取り除いた。直後の成績をそろえると、1週間後はくり返し組の方が上だった[1]。

Wang・Thomas(1995)[3]

3つの実験で、キーワード法と、意味の通る文の中で覚える方法を比べた。直後はキーワード法が上だったが、2日後には逆転した。

ポイント: 練習の回数を増やすと、キーワード法の人は2日後の成績がより伸びた。語呂で作った記憶は時間に弱く、くり返しのテストや復習で補う必要がある、と著者はまとめている。

Fritzら(2007)[4]

外国語の単語で、キーワード法と思い出す練習を比べた3つの実験。どちらも、ただくり返すより覚えた。見て意味がわかる力では両者は同じだった。自分で単語を言う力では、思い出す練習の方が上だった。

限界: 実験での単語学習の結果。2つを組み合わせた上乗せは、後日の「意味がわかる」テストでしか確認されなかった。

Twomey・Kroneisen(2021)[5]

よく知る道順の各地点に覚える物を置いていく「場所法」の、13のランダム化比較試験をまとめた分析。効果の大きさは g = 0.65 で、中くらいだった。

限界: 多くは大学で行われた実験。くじ引きの方法などが報告されず、偏りのおそれが高い研究が大半だった。

Dreslerら(2017)[6]

記憶術の経験がない男性51人を3群に分けた。場所法を6週間(30分×40回)練習した群は、72語の単語リストを覚えるテストで、ほかの2群より大きく伸びた。伸びは4か月後も残っていた。

限界: 平均24歳の男性のみ。覚えたのは単語の並びで、資格試験のような理解の必要な内容ではない。

研究結果を、独学で使う場面ごとに整理しました(6つの出典をもとにした独自のまとめです)。

場面記憶術の判定
音が似た具体的な単語・年号を、すぐ覚えたい効きやすい(きっかけとして)
順番のある項目のリストを覚えたい場所法が使える(練習が必要)
抽象的な言葉・語呂が浮かばない言葉効きにくい
何週間も先の試験まで覚えておきたい語呂だけでは忘れやすい。復習が必須
仕組みや理由を理解したい向かない(説明する練習などを使う)

紹介した実験の多くは、数日〜1週間で単語などを覚える短い課題です。教室での研究では、高校生や大学の初級フランス語クラスでキーワード法の効果が出なかった例もあります[1]。何か月も続く社会人の独学で、同じ結果になるとは限りません。

03今日からできる小さな一歩

記憶術は「どうしても覚えられない数個」だけに使います。覚えたら語呂から卒業し、答えを隠して思い出す練習と、日をあけた復習に切り替えます。

1

3回まちがえた項目だけ、語呂を作る

全部に語呂を作ると時間がかかります。何度やっても出てこない項目だけに絞ります。

所要 1項目1分

2

翌日、語呂を使わずに答えを言ってみる

答えを隠して思い出します。すぐ出たら、その語呂はもう役目を終えています。思い出す練習のくわしい効果はテスト効果の記事で紹介しています。

所要 5分

3

語呂で覚えた項目ほど、復習日を先に決める

語呂の記憶は時間に弱いので、3日後・1週間後にもう一度思い出します。間隔の決め方は分散学習の記事を参考にしてください。

所要 3分

04続けるためのコツ

記憶術は、作るのが楽しいぶん、時間を使いすぎがちです。「きっかけ作り」と割り切ると、勉強時間を圧迫せずに続けられます。

  • 語呂を考えるのは1項目1分まで。浮かばなければ、ふつうに思い出す練習へ回す。
  • 語呂は単語カードの裏の隅に小さく書き、表には書かない。
  • 語呂なしで3回続けて言えたら、その語呂は消してよい。カードの使い方は暗記カードの記事も参考に。

05よくある質問

語呂合わせで覚えるのは効果がありますか?

覚える速さには効果があります。ただしDunloskyら(2013)のレビューでは、キーワード法の有用性は「低い」と評価されました。効くのは語呂を作りやすい言葉に限られ、長く残るとは限らないためです。覚えにくい数個のきっかけとして使うのが無難です。

語呂合わせで覚えたことは忘れやすいのですか?

忘れやすいという実験があります。Wang・Thomas(1995)では、直後のテストはキーワード法が上でしたが、2日後には文の中で覚えた人に逆転されました。同じ研究で、練習回数を増やすと語呂で覚えた人の成績がより伸びました。語呂で覚えた後は、日をあけて思い出す復習をセットにしましょう。

記憶の宮殿(場所法)は普通の人でも使えますか?

使えます。Dreslerら(2017)では、記憶術の経験がない人が6週間(30分×40回)練習し、単語リストの記憶が伸びて4か月後も残りました。13の実験をまとめた分析でも中くらいの効果でした。ただし順番に覚える課題が中心で、理解が必要な勉強に効くかは確かめられていません。

文章を読みながらイメージを浮かべるのは効きますか?

条件しだいです。Dunloskyら(2013)は、絵にしやすい内容の文章で、記憶のテストに限って効果があるとしました。ほかの種類のテストや、長い期間で効くかはまだわかっていないため、有用性は「低い」と評価しています。

勉強法の早見表で「語呂合わせ・イメージで覚える(キーワード法)」の判定を見る
ほかの勉強法も39種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students’ learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
  2. Wang, A. Y., Thomas, M. H., & Ouellette, J. A. (1992). Keyword mnemonic and retention of second-language vocabulary words. Journal of Educational Psychology, 84(4), 520–528. https://doi.org/10.1037/0022-0663.84.4.520
  3. Wang, A. Y., & Thomas, M. H. (1995). Effect of keywords on long-term retention: Help or hindrance? Journal of Educational Psychology, 87(3), 468–475. https://doi.org/10.1037/0022-0663.87.3.468
  4. Fritz, C. O., Morris, P. E., Acton, M., Voelkel, A. R., & Etkind, R. (2007). Comparing and combining retrieval practice and the keyword mnemonic for foreign vocabulary learning. Applied Cognitive Psychology, 21(4), 499–526. https://doi.org/10.1002/acp.1287
  5. Twomey, C., & Kroneisen, M. (2021). The effectiveness of the loci method as a mnemonic device: Meta-analysis. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 74(8), 1317–1326. https://doi.org/10.1177/1747021821993457
  6. Dresler, M., Shirer, W. R., Konrad, B. N., Müller, N. C. J., Wagner, I. C., Fernández, G., Czisch, M., & Greicius, M. D. (2017). Mnemonic training reshapes brain networks to support superior memory. Neuron, 93(5), 1227–1235. https://doi.org/10.1016/j.neuron.2017.02.003