記憶・覚え方

思い出す練習(テスト効果)は、読み返すより覚えられるのか

約6分で読めます

A planner is open to a new week with blank pages on a wooden desk. Nearby are colored pencils, glasses, and ink, suggesting an organized wor
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

テキストを何度も読み返したのに、数日たつと思い出せない。それは意志が弱いからではありません。研究では、読み返すより「本を閉じて思い出す練習」のほうが、1週間後まで記憶に残りやすいことが繰り返し確かめられています。

3行でわかる

  1. 本を閉じて思い出す練習は、同じ時間読み返すより、数日〜1週間後によく覚えている。
  2. 効果は、答え合わせをするとき・選択式より自分で書き出すときに大きい。
  3. 読み返しは「覚えた気分」を高めるが、長く残す効果は弱い。

01読み返すと「覚えた気がする」のはなぜ

読み返すと文章が見慣れて、すらすら読めます。その手ごたえを「覚えた」と感じやすいのですが、あとで自力で思い出せるかは別の話です。

ここで言う「思い出す練習」とは、教材を見ずに内容を書き出したり、問題に答えたりすることです。研究ではテスト効果と呼ばれます。

Dunloskyら(2013)は、学生がよく使う10の勉強法を検討しました。思い出す練習は「有用性が高い」、読み返しと蛍光ペンでの線引きは「有用性が低い」と評価されています[4]。

02科学的にわかっていること

実験でも、多くの研究をまとめた分析でも、思い出す練習は読み返しより長く記憶に残ります。ただし5分後のテストでは、読み返しのほうが良い結果でした。

Roediger・Karpicke(2006)[1]

短い文章を学んだあと、1週間後に思い出せた割合は、4回読んだグループで40%。1回読んで3回思い出す練習をしたグループは61%でした。

一方、5分後のテストでは読み返しが83%、思い出す練習が71%で、読み返しが上回りました。読み返したグループは「1週間後も覚えている」という自信も高めでした。

対象: 米ワシントン大学の学部生(実験2は180人)。英語の短い説明文(256語と275語)を使用 / 限界: 大学生が短い文章を覚える実験で、資格や語学などの長期の独学とは条件が違う。

Rowland(2014)[2]

61研究・159の効果量をまとめた分析で、思い出す練習は読み返しより効果がありました(効果の大きさ g=0.50、中程度)。

答え合わせありでは g=0.73、なしでは g=0.39。答え合わせなしで半分も思い出せなかった場合は、ほぼ効果がありませんでした(g=0.03)。

対象: 大学生が中心の実験室研究。教室での研究は含まない / 限界: 未発表の研究では効果が小さめ(g=0.25)で、発表済みの研究に偏って大きく見えている可能性がある。

Adesopeら(2017)[3]

練習テストの効果をまとめた別の分析でも、読み返しやその他の比較条件より、練習テストのほうが学習に有利でした。

対象: 練習テストと非テスト条件を比べた研究全般 / 限界: 効果の大きさは、テストの形式・学習者・研究の方法によって変わる。

選択式のような「見て選ぶ」練習(g=0.29)より、手がかりから答えを書き出す練習(g=0.61)のほうが効果が大きいという結果です[2]。

03今日からできる小さな一歩

読み返す時間の一部を、本を閉じて書き出す時間に置き換えます。書き出したら、必ず答え合わせをします。

1

読んだら本を閉じて書き出す

1節を読み終えたら本を閉じ、覚えている要点を白紙に書きます。きれいにまとめなくて大丈夫です。

所要 3分

2

本を開いて答え合わせ

書けなかった所・間違えた所に印をつけます。答え合わせがあると効果が大きくなります。

所要 2分

3

翌日、もう一度思い出す

次の勉強の最初に、前日の内容を何も見ずに書き出します。印をつけた所から確認します。

所要 5分

04続けるためのコツ

思い出せないのは失敗ではなく、練習が効いている途中です。半分も出てこないときは、読み直してから短い範囲で試します。

  • 思い出せなくても落ち込まない。読み返しの直後のほうが成績が良く見えるのは、研究でも同じです。
  • 何も出てこないときは範囲を小さくする。答え合わせなしで半分以上思い出せないと、効果が出にくいためです。
  • 選択肢を選ぶより、一言でも自分で書き出す。
  • 読み返しをゼロにしない。読み返しは答え合わせの道具として使う。

05よくある質問

テスト効果とは何ですか?

教材を見ずに内容を思い出すと、そのことが記憶を強くし、あとで思い出しやすくなる現象です。点数をつけるための試験ではなく、思い出す練習そのものに効果があるという考え方です。

読み返しはまったく意味がないの?

意味がないわけではありません。5分後のテストでは読み返しが上回った実験もあります。ただ数日〜1週間後まで残すには、思い出す練習のほうが有利という結果です。

選択式の問題集でも効果はある?

効果はありますが、自分で答えを書き出す形式のほうが大きい傾向があります。選択式を解いたあとに、答えを見ずに理由を一言書くと、書き出す練習を足せます。

勉強法の早見表で「何度も読み返す」の判定を見る
ほかの勉強法も22種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249-255. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x
  2. Rowland, C. A. (2014). The effect of testing versus restudy on retention: A meta-analytic review of the testing effect. Psychological Bulletin, 140(6), 1432-1463. https://doi.org/10.1037/a0037559
  3. Adesope, O. O., Trevisan, D. A., & Sundararajan, N. (2017). Rethinking the use of tests: A meta-analysis of practice testing. Review of Educational Research, 87(3), 659-701. https://doi.org/10.3102/0034654316689306
  4. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266