続け方・習慣

勉強をゲームのようにして続けるには?ポイント・進み具合・1週間チャレンジの使い方(ゲーミフィケーションのメタ分析と、その限界)

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ボードゲームのさいころ
Photo: Tim Sheerman-Chase / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

勉強にポイントをつけたり、進み具合を見える化したり。「ゲームみたいにすれば続くかも」と考える人は多いはずです。研究をまとめると、ゲームの要素を足すと学ぶ行動は増える傾向がありました。ただ、その効果は時間がたつと弱まりやすく、やる気が上がっても力がつくとは限りません。点は「解けた問題」につけ、短いチャレンジを入れ替えながら使うのが、研究に沿った使い方です。

3行でわかる

  1. 教育にゲームの要素(ポイント・バッジ・ランキングなど)を足した18の研究をまとめると、学ぶ行動への効果は中くらい(d=0.48)だった。
  2. ただし、1週間以内の短い取り組みほど効果が大きく、何年も続けた取り組みでは効果が見られなかった。運動の研究でも、終わった後の効果は小さくなった。
  3. やり方は、①点は「解けた・思い出せた」につける ②進み具合を見える化 ③1週間チャレンジにする ④飽きたら入れ替える ⑤人と比べるのは控えめに ⑥2週間ごとに点ではなく力で確かめる。

01 悩みの正体勉強をゲームのようにすると、なぜ続けやすい?

ゲームの要素は、がんばりがすぐ目に見える形で返ってくるからです。勉強の成果は何か月も先にしか見えませんが、ポイントや進み具合の表示なら、その日のうちに手ごたえを感じられます。

勉強やスポーツなど、ゲームではないことにポイント・バッジ・レベル・ランキングなどをつけることをゲーミフィケーション(ゲーム化)といいます。

独学がつらいのは、努力の結果がなかなか見えないことです。資格試験の合格は半年後、英語が話せるようになるのは何年も先。ゲームの要素は、その長い道のりに、小さな「できた」をいくつも置いてくれます。

ただし、点が増えることと、力がつくことは別です。点を集めること自体が目的になると、楽な作業ばかり選んでしまうこともあります。どこに点をつけるかが大事です。

02 科学的にわかっていることゲーム化した勉強は、長く続けても効く?

短い期間では効果が出やすい一方、長く続けると弱まる傾向があります。また、やる気は上がっても、力の伸びにつながらなかった研究のまとめもあります。

KimとCastelli(2021)[1]

教育の場でポイント・バッジ・ランキングなどを使い、くらべる組をおいた18の研究(32の効果)をまとめた。学ぶ行動(参加・学習時間・テストの点など)への効果は中くらいだった(d=0.48)。1週間以内の短い取り組みでは効果が大きく(1.57)、2〜16週間では0.39、1〜2年続けた取り組みでは効果がマイナスになった(−0.20)。

対象: 大学生が中心(18研究中10)、社会人6研究、小中高校生2研究 / 限界: 研究の質は「まあまあ」の評価。著者らは、新しさが効果を生んでいる可能性を挙げている。

Liら(2023)[2]

41の研究(5,071人以上)をまとめると、学習の成果への効果は大きかった(g=0.822)。ただし学校の種類・科目・期間などで効果は大きく変わった。期間については、1学期を超える取り組みの方が効果が大きいという、上の研究と逆の結果だった。

対象: 小学生から大学生まで / 限界: 一部のグループでは効果の大きさが35を超えるなど、ふつうでは考えにくい値も出ており、慎重に読む必要がある。

Vermeirら(2020)[3]

パソコンで行う脳トレに、ゲームの要素を足した研究をまとめた(9つのランダム化比較試験)。ゲーム化した課題は、やる気・のめり込みが高まった(g=0.72)。しかし、鍛えようとした力(記憶力など)の伸びには差がなかった。

対象: さまざまな年齢の人 / 限界: 研究の数が少ない。ごほうびと点数の表示が中心で、競争などの仕組みはあまり調べられていない。

Mazeasら(2022)[4]

運動を増やすためにゲームの要素を使った16のランダム化比較試験(2,407人)をまとめた。運動量への効果は小〜中くらいだった(g=0.42)。取り組みが終わってから平均14週間後の効果は、とても小さ〜小さくなった(g=0.15)。

対象: 大人と10代、健康な人と持病のある人 / 限界: 運動の研究で、勉強ではない。著者らは、効果が残ったことから新しさだけの効果ではないとしている。

まとめると、ゲームの要素は「続ける行動」を増やす力はあるものの、時間とともに弱まりやすく、力がつくかどうかは点のつけ方しだいです。どれも学校や研究の場の取り組みで、社会人が一人で自分の勉強をゲーム化した研究ではありません。

03 今日からできる小さな一歩自分の勉強を、ゲームのようにするには?

点は「解けた問題」や「思い出せた数」につけ、進み具合を見える化します。1週間のチャレンジとして始め、飽きたらルールを入れ替えます。2週間ごとに、点ではなく力で確かめます。

1

点は「解けた・思い出せた」につける

「1時間勉強で10点」ではなく、「問題を1問解けたら1点」「本を閉じて要点を言えたら1点」にします。やる気が上がっても力が伸びないことがあるため[3]、効く勉強法に点をつけます。思い出す練習の効果は思い出す練習と読み返しの記事にあります。

所要 5分

2

進み具合を、目に見える形にする

問題集の目次に色を塗る、方眼紙のマスを1日1つ埋めるなど、どこまで来たかが一目でわかるようにします。進み具合を記録する効果は勉強の記録の記事にまとめています。

所要 10分

3

1週間のチャレンジにして始める

「7日で40点」のように、終わりの決まった短いチャレンジにします。短い期間の取り組みほど効果が大きい傾向がありました[1]。いきなり「半年続ける」ルールにしません。

所要 5分

4

飽きたら、ルールを入れ替える

2〜3週目に面白さが薄れたら、点のつけ方や目標を変えます。例:「先週より5点多く」「苦手な単元は2倍の点」。長く続けると効果が弱まりやすいため[1][4]、同じ仕組みに頼り続けません。

所要 5分

5

人と比べるのは、控えめにする

ランキングで燃えない人は、他人ではなく、先週の自分と比べます。競争のような仕組みは、研究があまり進んでいません[3]。

所要 0分

6

2週間ごとに、点ではなく力で確かめる

模試や過去問を数問、時間を計って解き、正解数を記録します。点は増えたのに正解数が増えていなければ、点のつけ方を見直します。

所要 15分

ゲームの要素と、勉強での使い方の目安です。研究の結果そのものではなく、上の研究をこの記事で独学に当てはめた整理です。

ゲームの要素勉強での使い方気をつけること
ポイント解けた問題・思い出せた数に1点勉強時間につけると、楽な作業に流れやすい
進み具合の表示目次に色を塗る、マスを埋める全体が大きすぎると進まない。章ごとに区切る
チャレンジ(期限つき目標)「7日で40点」など短く長く続けると効果が弱まりやすい
レベル・バッジ「第3章クリア」など区切りの印印を集めること自体を目的にしない
ランキング・競争先週の自分と比べる他人との比較で落ち込むなら使わない

04 続けるためのコツゲーム化した勉強に飽きたら、どうする?

飽きるのは自然なことです。ルールを入れ替えるか、ほかの続け方に切り替えます。連続記録が途切れても、そこでやめずに翌日から再開します。

05よくある質問

勉強をゲーム化すると、本当に成績は上がる?

上がった研究は多いものの、言い切れるほどではありません。教育のゲーム化をまとめた分析では、学習の成果に大きめの効果が出ましたが、研究の質や結果のばらつきが大きく、ふつうでは考えにくい大きさの数字も含まれていました。脳トレにゲームの要素を足した研究のまとめでは、やる気は上がっても、鍛えた力そのものの伸びには差がありませんでした。点は、解けた問題など力につながる行動につけましょう。

ポイントやバッジに飽きてしまったら、どうすればいい?

飽きるのは自然なことです。研究のまとめでも、短い期間の取り組みほど効果が大きく、長く続けると効果が弱まる傾向がありました。同じ仕組みを続けるより、1週間ごとにルールや目標を入れ替えましょう。飽きたらやめて、記録をつける・時間を決めるなど、別の続け方に切り替えるのも正しい選択です。

勉強仲間とランキングで競うのは、いい方法?

人によります。競争で燃える人もいれば、順位が低いと落ち込む人もいます。脳トレのゲーム化の研究のまとめでは、競争のような人と関わる仕組みはあまり調べられていませんでした。比べて焦るときは、他人ではなく、先週の自分の記録と比べる方が安全です。他人と比べる心理はSNSで他人の勉強量を見て焦る理由の記事にまとめています。

出典

  1. Kim, J., & Castelli, D. M. (2021). Effects of gamification on behavioral change in education: A meta-analysis. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18(7), 3550. https://doi.org/10.3390/ijerph18073550
  2. Li, M., Ma, S., & Shi, Y. (2023). Examining the effectiveness of gamification as a tool promoting teaching and learning in educational settings: a meta-analysis. Frontiers in Psychology, 14, 1253549. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1253549
  3. Vermeir, J. F., White, M. J., Johnson, D., Crombez, G., & Van Ryckeghem, D. M. L. (2020). The effects of gamification on computerized cognitive training: Systematic review and meta-analysis. JMIR Serious Games, 8(3), e18644. https://doi.org/10.2196/18644
  4. Mazeas, A., Duclos, M., Pereira, B., & Chalabaev, A. (2022). Evaluating the effectiveness of gamification on physical activity: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Journal of Medical Internet Research, 24(1), e26779. https://doi.org/10.2196/26779