続け方・習慣

「毎日2時間」と決めた勉強が守れず、全部やめてしまった。どう立て直す?量を2段に決め直して「できた」を取り戻す(目標と再開の研究)

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黒い背景に置かれた古いストップウォッチ
Photo: Ansgar Koreng / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「毎日2時間」と決めたのに、残業の日に1時間しかできなかった。次の日はゼロで、その週のうちに全部やめてしまった。そんな経験は珍しくありません。意志が弱いからではなく、量の決め方に無理があった可能性があります。目標は残したまま、その下に「疲れた日でもできる最低ライン」を作り、やった量を記録して見返します。中断から戻れるかを左右する「自分はできる」という感覚を、記録で取り戻していきます。

3行でわかる

  1. 運動や食事の変化を調べた37件の研究のレビューでは、一時的にやめるか・元に戻ってしまうかを一貫して予測したのは「自分はできる」という感覚(自己効力感)だけだった。
  2. この感覚を最も高めたのは「自分や他人の、過去の結果を見せる」工夫だった(27件・5,501人のメタ分析)。説得や、少しずつ難しくする工夫は、むしろ低さと関係していた。
  3. 立て直しは「守れなかった日を数える→目標を最低ラインと目標の2段に分ける→1日目は最低ラインだけ→やった量を記録して週1回見る→戻った日にしるし→3週間後に見直す」。

01 悩みの正体1日守れないと全部やめたくなるのはなぜ?

「毎日2時間」のように1本の線で決めた目標は、1日できなかっただけで「失敗した」と感じやすくなります。一時的な中断を全体の失敗と受け取ると、「自分には無理だ」という感覚が強まり、やめる方へ傾きます。

行動を変える研究では、一時的に途切れることと、すっかり元に戻ってしまうことを分けて考えます。1日休んだのは、まだ一時的な中断です。そこから戻れるかどうかが分かれ目になります。

高い量を決めたこと自体は悪くありません。問題は、守れなかった日に「何をすれば合格か」が決まっていないことです。下限がないと、できない日は自動的に「ゼロ」になります。

02 科学的にわかっていること中断から戻れる人と戻れない人の違いは?

運動や食事の研究では、中断した後に戻れるかを一貫して予測したのは「自分はできる」という感覚(自己効力感)でした。この感覚は、自分の過去の結果を見せると高まりやすいことがわかっています。

Roordinkら(2023)[1]

大人の運動と食事の変化について、一時的にやめること・元に戻ってしまうことを予測する要因を調べた37件の研究をまとめた。運動の一時的な中断と逆戻り、食事の逆戻りのすべてを一貫して予測したのは、自己効力感だけだった。

対象: 18歳以上の大人を追跡した研究 / 限界: ほとんどの要因は調べた研究が少なく、結論が出せなかった。勉強について調べた研究ではない。

Ashfordら(2010)[2]

健康な大人の運動について、自己効力感を高めようとした27件の研究(5,501人)をまとめた。全体の効果は小さかった(d=0.16)。自分や他人の過去の結果を見せる工夫で、自己効力感が最も高くなった。他人がやっているのを見ることも高さと関係した。一方、説得、少しずつ難しくすること、妨げになるものを挙げることは、低さと関係していた。

対象: 健康な大人の運動の研究 / 限界: 研究ごとのばらつきが大きく、どの工夫が使われたかとの関係を見たもので、それぞれの工夫を直接比べた実験ではない。

Eptonら(2017)[3]

目標を立てること自体の効果を、ランダム化比較試験の141本の論文(384の効果量、16,523人)でまとめた。目標を立てると、行動は小さいながらはっきり変わった(d=0.34)。効果は、目標が難しいとき、人に公表したとき、グループの目標のときに大きかった。

対象: 運動・食事などさまざまな行動の試験 / 限界: 勉強の目標を調べた研究ではない。難しい目標が、守れなかったときにどう働くかまでは示していない。

Milkmanら(2021)[4]

アメリカのスポーツジムの会員61,293人に、54種類の4週間のプログラムを割り当てた大規模な実験。45%のプログラムで週の来館回数が9〜27%増えた。最も効果が大きかったのは、通い損ねた後に戻ってきたときに小さなごほうびを出すプログラムだった。

対象: アメリカのジムの会員 / 限界: プログラムが終わった後もはっきり効果が残ったのは8%だけだった。勉強ではなくジム通いの実験。

Singhら(2024)[5]

健康のための習慣ができるまでの期間を、20件の研究(2,601人)でまとめた。日数を報告した4件では、中央値で59〜66日、平均で106〜154日かかり、人によって4〜335日と大きくばらついた。

対象: 運動・食事・歯間清掃などの習慣 / 限界: 研究の数が少なく、半数以上は偏りのおそれが高いと評価された。

ここで紹介した研究は、主に運動や食事の習慣についてのものです。勉強の量を決め直したときに同じ効果が出るかは、まだ確かめられていません。下の手順は、これらの研究をもとにこの記事で組み立てたものです。

03 今日からできる小さな一歩守れなかった勉強の量を、どう決め直す?

元の目標は残し、その下に「疲れた日でもできる最低ライン」を作って2段にします。再開の1日目は最低ラインだけにし、やった量を記録して週1回見返します。

1

守れた日と守れなかった日を数える

手帳やカレンダーを見て、決めてからの日数と、目標どおりできた日・少しできた日・ゼロの日を数えます。「全部だめだった」ではなく、実際の数字で見直します。

所要 5分

2

目標を「最低ライン」と「目標」の2段に分ける

元の目標は消さずに残します。その下に、残業の日や疲れた日でもできる量を最低ラインとして足します。下の表を目安にしてください。難しい目標には行動を変える力がありました[3]。

所要 10分

3

再開の1日目は、最低ラインだけで終える

やる気があっても、1日目は最低ラインで止めます。「やると決めたことができた」日を、まず1日作るためです。

所要 10〜15分

4

やった量を記録し、週1回見返す

日付とやった分数(または問題数)だけを書きます。週末に1回、1週間の合計を見ます。過去の結果を見ることは、「自分はできる」という感覚を最も高めた工夫でした[2]。

所要 1日30秒・週5分

5

休んだ後に戻った日に、しるしをつける

連続日数ではなく、「休んだ後に戻れた日」に丸をつけます。ジムの実験では、通い損ねた後に戻ったときのごほうびが最も効果的でした[4]。好きな飲み物を1杯、など小さなもので十分です。

所要 10秒

6

3週間たったら、2段の量を見直す

最低ラインが楽すぎれば少し上げ、目標がほとんど届かないなら下げます。習慣ができるまでには数か月かかることもあり、人によって大きく違います[5]。数日抜けても数え直しません。

所要 10分

よくある目標を2段に分けた例です。研究で決まった量ではなく、この記事で当てはめた目安です。

守れなかった目標最低ライン(疲れた日もこれだけ)目標(できる日)
毎日2時間勉強する15分だけ机に向かう2時間(週の合計で見てもよい)
英単語を毎日100個10個を思い出してみる100個
問題集を毎日10ページ1問だけ解く10ページ
講座の動画を毎日1本前回の動画の要点を1行で書く1本見て、区切って思い出す

04 続けるためのコツ2段に決め直した量を、崩さずに続けるには?

「最低ラインができた日も合格」と最初に決めておきます。記録は連続日数ではなく合計で見て、崩れそうな週は目標ではなく最低ラインを守ることに切りかえます。

05よくある質問

決めた量を守れなかったら、目標を下げたほうがいいですか?

目標そのものは残し、その下に「疲れた日でもできる最低ライン」を足すのがおすすめです。141本の論文をまとめたメタ分析では、難しい目標のほうが行動を変える効果が大きい傾向がありました。目標を捨てずに、守れる下限を別に作ります。

何日も休んだら、最初からやり直しですか?

やり直す必要はありません。習慣ができるまでの日数は、研究によって中央値で59〜66日、人によって4〜335日と大きくばらつきました。休んだ日は数え直さず、戻った日を記録に残して続けます。

一度でも守れないと、全部やめたくなるのはなぜですか?

「1日守れなかった=もうだめだ」と、一時的な中断を失敗の全体と受け取りやすいためです。37件の研究をまとめたレビューでは、運動などをやめてしまうかどうかを一貫して予測したのは、「自分はできる」という感覚(自己効力感)だけでした。

出典

  1. Roordink, E. M., Steenhuis, I. H. M., Kroeze, W., Schoonmade, L. J., Sniehotta, F. F., & van Stralen, M. M. (2023). Predictors of lapse and relapse in physical activity and dietary behaviour: a systematic search and review on prospective studies. Psychology & Health, 38(5), 623–646. https://doi.org/10.1080/08870446.2021.1981900
  2. Ashford, S., Edmunds, J., & French, D. P. (2010). What is the best way to change self-efficacy to promote lifestyle and recreational physical activity? A systematic review with meta-analysis. British Journal of Health Psychology, 15(2), 265–288. https://doi.org/10.1348/135910709X461752
  3. Epton, T., Currie, S., & Armitage, C. J. (2017). Unique effects of setting goals on behavior change: Systematic review and meta-analysis. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 85(12), 1182–1198. https://doi.org/10.1037/ccp0000260
  4. Milkman, K. L., Gromet, D., Ho, H., et al. (2021). Megastudies improve the impact of applied behavioural science. Nature, 600(7889), 478–483. https://doi.org/10.1038/s41586-021-04128-4
  5. Singh, B., Murphy, A., Maher, C., & Smith, A. E. (2024). Time to form a habit: A systematic review and meta-analysis of health behaviour habit formation and its determinants. Healthcare, 12(23), 2488. https://doi.org/10.3390/healthcare12232488