やる気・心

勉強に飽きて手が止まった。どう立て直す?「易しすぎ・難しすぎ・意味が見えない」を見分ける退屈の研究

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木の机の上に積まれた表紙の白い本
Photo: Trey Jones / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

机に向かったのに、同じページを眺めたまま手が止まる。「つまらない」「もう飽きた」と感じて、気づけばスマホを手に取っている。そんな自分を「やる気がない」と責めていないでしょうか。研究では、退屈は意志の弱さではなく、いまの勉強が自分に合っていないという合図だと考えられています。合図の中身を見分ければ、立て直し方が決まります。

3行でわかる

  1. 退屈には「易しすぎる」「難しすぎる」「何のためかわからない」の3つの原因がある、という考え方が研究で示されている。
  2. ドイツの5〜9年生(日本の小5〜中3にあたる)の調査では、強く退屈している生徒には、成績が低いグループ(13%)と、成績が高いグループ(21%)の両方がいた。退屈はできない人だけのものではない。
  3. 立て直しは、手が止まった理由を3つから選び、難しさを上げるか、一段戻るか、使い道を書き出す。単調さには、やり方に小さな変化をつける。

01 悩みの正体勉強に飽きるのは、やる気がないから?

やる気の問題とは限りません。退屈は「頭の使い方が課題に合っていない」か「その課題が自分の目標とつながっていない」ときに起きる、という考え方が研究で示されています。

WestgateとWilson(2018)は、退屈には2つの成分があると整理しました[1]。1つは注意の成分で、課題の難しさと、使える頭の余力がかみ合っていない状態です。易しすぎて頭が余るときにも、難しすぎて頭があふれるときにも起きます。

もう1つは意味の成分で、いまの作業が、自分が大事にしている目標とつながっていない状態です。著者らは、この2つはそれぞれ単独でも退屈を生むとしています[1]。

つまり「飽きた」と感じたときに確かめるべきなのは、気合いではなく、課題の難しさと、その勉強の意味です。

02 科学的にわかっていること退屈は勉強にどう影響する?どうすれば減る?

退屈が強いほど成績ややる気が低い傾向があります。退屈は成績の低い人にも高い人にも起き、難しさを自分に合わせると気がそれにくくなった実験があります。考え方で向き合う人ほど退屈が少ない傾向も報告されています。

Tzeら(2016)[2]

29件の研究(生徒・学生19,052人)をまとめたメタ分析(複数の研究を統合する分析)。退屈と、成績・やる気・学習のしかたとの関係は、全体で相関係数r = −0.24だった。授業中の退屈の方が、自分で勉強しているときの退屈より、成績などとの負の関係が大きかった。

対象: 中高生と大学生など / 限界: 相関の研究で、退屈が成績を下げるのか、成績が低いから退屈なのかは区別できない。この記事では論文の要旨で確認した(本文は読めていない)。

Schwartzeら(2024)[3]

ドイツ・バイエルン州の5〜9年生1,407人の数学の退屈と、数学のテストの成績から、生徒を4つのグループに分けた。退屈が強いグループは2つあり、成績が低い「難しすぎ」のグループが13%、成績が高い「易しすぎ」のグループが21%だった。残りは、退屈が少なく成績が高いグループ(27%)と、退屈も成績も比較的低いグループ(39%)。

対象: ドイツの5〜9年生 / 限界: 1つの教科・1回の調査で、大人の独学にそのまま当てはまるとは限らない。

Schwartzeら(2020)[4]

ドイツの5〜10年生1,404人のうち、数学で特に強く退屈していた258人を、成績の低い生徒(125人)と高い生徒(119人)に分けて比べた。感情や行動、性格の特徴に、平均の差は見られなかった。著者らは、強い退屈は成績の低い生徒にも高い生徒にも起きると結論している。

対象: ドイツの5〜10年生 / 限界: 成績は数学の評定で測っており、自己申告の質問紙による調査。

XuとMetcalfe(2016)[5]

英語とスペイン語の単語の組を、易しい・自分に合った難しさ・難しいの3種類で学ぶ実験。自分に合った難しさの単語を学んでいるときは、気がそれる(心ここにあらずになる)ことが少なかった。成績の高い人は易しい単語で、低い人は難しい単語で、気がそれやすかった。

対象: 実験の参加者 / 限界: 測ったのは退屈ではなく「気がそれること」。短い単語学習の実験で、長い独学で同じことが起きるかは確かめていない。

Sansoneら(1992)[6]

退屈な作業を続ける理由(体によいと伝えられた)があり、工夫のしかたが手元にあるとき、参加者は作業をおもしろくする工夫を実際に使った。工夫を使った人は、その作業のとらえ方が変わり、あとでその作業をまたやる人が多かった。

対象: 実験の参加者 / 限界: 単純な作業を使った実験室の研究で、勉強の成績は測っていない。

Nettら(2011)[7]

11年生(日本の高校2年生にあたる)537人の調査と、そのうち79人の2週間の記録から、退屈への向き合い方を調べた。退屈な場面のとらえ方を変える「考え方で向き合う」タイプの人ほど、退屈が少なかった。もう1つの典型は、別のことをして「行動で避ける」タイプだった。

対象: 高校生 / 限界: 相関の調査で、考え方を変えれば退屈が減ると確かめた実験ではない。この記事では論文の要旨で確認した。

まとめると、退屈には原因の型があり、型によって手当てが違います。易しすぎて退屈な人に「もっとくり返せ」と言っても、難しすぎて退屈な人に「先へ進め」と言っても、逆効果になりかねません。

ここで紹介した研究の多くは、中学生・高校生や、短い課題の実験です。何か月も続く社会人の独学で、同じ大きさの効果が出るとは限りません。

03 今日からできる小さな一歩飽きて手が止まったら、どう立て直す?

まず手が止まった理由を「易しすぎ」「難しすぎ」「意味が見えない」から1つ選びます。易しすぎなら難しさを上げ、難しすぎなら一段戻り、意味が見えないなら使い道を書き出します。

1

手が止まった理由を、3つから1つ選ぶ

「わかりきっていて退屈」なら易しすぎ、「読んでも頭に入らずつらい」なら難しすぎ、「これが何の役に立つのか」なら意味が見えない、です。迷ったら、直前の5問を解けたかで決めます。ほぼ全部解けたなら易しすぎ、半分も解けないなら難しすぎです(この記事からの目安で、研究で決まった基準ではありません)。

所要 1分

2

易しすぎなら、本を閉じて思い出す形に変える

読み返しや書き写しをやめ、本を閉じて要点を書き出すか、応用問題から先に解きます。時間を区切って「10分で何問解けるか」を測るのも、難しさを上げる方法です。思い出す練習のやり方はテスト効果の記事にあります。

所要 10〜15分

3

難しすぎなら、一段戻る

前の章、例題、やさしい入門書に戻ります。1問を「何を求めるか」「使う公式は何か」のように小さく分けるのも手です。自分に合った難しさで学ぶと気がそれにくかった実験があります[5]。戻ることは後退ではありません。教科書が難しいときの手順は教科書が難しいときの記事で紹介しています。

所要 15〜20分

4

意味が見えないなら、使う場面を1行書く

「この単元は、試験のどの問題で出るか」「仕事のどの場面で使うか」を1行書きます。退屈には意味の成分もあるからです[1]。学んだことと自分の生活のつながりを書く方法は勉強する意味を書く記事にまとめています。

所要 3分

5

単調さには、やり方に小さな変化をつける

同じ作業が続いて飽きたときは、目標タイムを決める、問題を解く順番を変える、声に出して説明する、のように、やり方を少し変えます。作業をおもしろくする工夫を使った人は、その作業をまたやることが多かった研究があります[6]。どの工夫が勉強に効くかは、研究で確かめられていません。

所要 0分(やり方を変えるだけ)

退屈の型と、立て直しの目安を表にしました。研究をもとに、この記事で独学向けに当てはめたものです。

退屈の型サイン立て直し
易しすぎわかりきっている。ほぼ全問解ける本を閉じて思い出す、応用問題から解く(手順2)
難しすぎ読んでも頭に入らない。半分も解けない前の章・例題に戻る、1問を小さく分ける(手順3)
意味が見えない何の役に立つのかと思う使う場面を1行書く(手順4)
単調難しさは合っているが、同じ作業が続いている目標タイム・順番・声に出すなど、やり方を変える(手順5)

04 続けるためのコツ飽きた日を、挫折にしないためには?

飽きた日は、勉強をやめる日ではなく、難しさや意味を見直す日だと決めておきます。理由を1つ選んで1つだけ変え、その日は短く終えても構いません。

  • 「飽きた」と感じたら、その日のメモに型(易しすぎ・難しすぎ・意味・単調)を1語だけ書く。同じ型が続くなら、教材や勉強法そのものを見直す合図です。
  • 飽きてスマホを見てしまったときの戻り方は、集中が切れたときの記事で紹介しています。
  • 何日も手が止まってしまったときは、勉強を休んだ後の再開の記事も参考に。

勉強に限らず、何をしても楽しめない・気分が落ち込む状態が2週間以上続くときは、勉強法ではなく心身の不調かもしれません。一人で抱えず、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などに相談してください。

05よくある質問

勉強に飽きるのは、その分野に向いていないからですか?

そうとは限りません。研究では、退屈は課題が易しすぎるか難しすぎるとき、またはその課題が自分の目標とつながっていないときに起きると考えられています。難しさを合わせたり、使い道を書き出したりすると変わる可能性があります。

成績がいい人も、勉強に飽きることはありますか?

あります。ドイツの5〜9年生1,407人の調査では、強く退屈している生徒のうち、成績が高い「易しすぎ」のグループが21%、成績が低い「難しすぎ」のグループが13%でした。できる人ほど、易しすぎて退屈している場合があります。

飽きたら、別の科目に切り替えてもいいですか?

やり方の一つです。ただし、飽きた理由が難しすぎることなら、切り替えても同じ単元でまた止まりがちです。先に理由を確かめ、難しすぎなら一段戻る、易しすぎなら思い出す練習に変える、を試してから切り替えると、原因が残りにくくなります。

退屈を感じたとき、我慢して続けるべきですか?

我慢だけで続ける必要はありません。高校生の調査では、退屈な場面のとらえ方を変えて向き合う人ほど退屈が少ない傾向でした。ただしこれは相関の調査です。手が止まったら理由を1つ選び、難しさや意味を1つだけ変えてみてください。

勉強法の早見表で「飽きたら理由を見分け、難しさや意味を合わせる」の判定を見る
ほかの勉強法も56種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Westgate, E. C., & Wilson, T. D. (2018). Boring thoughts and bored minds: The MAC model of boredom and cognitive engagement. Psychological Review, 125(5), 689-713. https://doi.org/10.1037/rev0000097
  2. Tze, V. M. C., Daniels, L. M., & Klassen, R. M. (2016). Evaluating the relationship between boredom and academic outcomes: A meta-analysis. Educational Psychology Review, 28(1), 119-144. https://doi.org/10.1007/s10648-015-9301-y
  3. Schwartze, M. M., Frenzel, A. C., Goetz, T., Lohbeck, A., Bednorz, D., Kleine, M., & Pekrun, R. (2024). Boredom due to being over- or under-challenged in mathematics: A latent profile analysis. British Journal of Educational Psychology, 94, 947-958. https://doi.org/10.1111/bjep.12695
  4. Schwartze, M. M., Frenzel, A. C., Goetz, T., Marx, A. K. G., Reck, C., Pekrun, R., & Fiedler, D. (2020). Excessive boredom among adolescents: A comparison between low and high achievers. PLOS ONE, 15(11), e0241671. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0241671
  5. Xu, J., & Metcalfe, J. (2016). Studying in the region of proximal learning reduces mind wandering. Memory & Cognition, 44(5), 681-695. https://doi.org/10.3758/s13421-016-0589-8
  6. Sansone, C., Weir, C., Harpster, L., & Morgan, C. (1992). Once a boring task always a boring task? Interest as a self-regulatory mechanism. Journal of Personality and Social Psychology, 63(3), 379-390. https://doi.org/10.1037/0022-3514.63.3.379
  7. Nett, U. E., Goetz, T., & Hall, N. C. (2011). Coping with boredom in school: An experience sampling perspective. Contemporary Educational Psychology, 36(1), 49-59. https://doi.org/10.1016/j.cedpsych.2010.10.003