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画面で読むと頭に入りにくいのはなぜ?紙と画面の読解研究でわかった「急ぎ読み」と「わかったつもり」

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電子書籍端末と紙の本
Photo: Maximilian Schönherr / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

PDFの参考書やウェブの記事を読み終えたのに、内容が残っていない。紙の本なら頭に入るのに、と感じる人は少なくありません。研究をまとめると、画面で読むと理解がやや落ちる傾向は確かにあります。ただ、その主な原因は画面そのものより、画面だと急いで読み、わかったつもりになりやすい「読み方」にあると考えられています。

3行でわかる

  1. 2000〜2017年の54の実験をまとめたメタ分析では、紙で読んだ方が理解がよかった。差は時間に追われるときと、説明文を読むときに大きかった。
  2. 読む時間を決めた実験では差がなく、時間を自分で決めると画面で成績が下がった。画面では「どれだけ理解できたか」の見積もりが不正確になりやすい。
  3. 差が出ない研究も多い。物語だけの文章や、画面で読むのを好む人では、はっきりした差が見られないこともある。

01 悩みの正体画面で読むと理解が落ちるのは本当?

平均すると本当です。54の実験をまとめた研究で、紙の方が理解がよい結果でした。ただし差が大きいのは、時間に追われるときと説明文を読むときです。

紙と画面で同じ文章を読ませ、理解を比べた実験はたくさんあります。2000年から2017年の54の実験をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)では、別々の人を比べた実験でも、同じ人に両方で読ませた実験でも、紙の方が理解がよい結果でした[1]。

この研究では、差の大きさを変える条件も3つ見つかりました[1]。

  • 時間: 時間制限のある読み方では、自分のペースで読むときより紙の有利さが大きかった。
  • 文章の種類: 説明文や、説明文と物語を混ぜた文章では紙が有利。物語だけの文章では差がなかった。
  • 発表された年: 2000年から2017年にかけて、紙の有利さはむしろ大きくなっていた。

3つめは意外かもしれません。画面に慣れた世代が増えれば差は消える、という予想とは逆の結果でした。

02 科学的にわかっていること画面だと頭に入りにくいのはなぜ?

研究が示す主な理由は2つです。画面では理解できたかの見積もりが甘くなり、読む時間の使い方が乱れやすいこと。そして、文章の「どのあたり」を手で感じる手がかりが少ないことです。

AckermanとGoldsmith(2011)[2]

1,000〜1,200語の説明文を紙か画面で学び、テストの点数を自分で予想してから選択式のテストを受けた。読む時間を決めた実験1では、紙と画面で成績に差がなかった。読む時間を自分で決めた実験2では、画面の方が成績が低かった。

対象: 参加者の人数・属性は要旨に記載なし / 限界: 2011年当時の画面での実験。著者らは、差は理解の力ではなく、点数の予想の不正確さと、時間の使い方の乱れにあるとまとめている。

この結果は「画面だと読む力が落ちる」のではないことを示しています。同じ時間をかければ同じだけ理解できました。問題は、画面だと「もうわかった」と早めに判断して切り上げやすいことです。理解できたつもりなのに書けない現象は「わかったつもり」の研究でも扱っています。

Mangenら(2019)[3]

28ページ(約1時間)の推理小説を、電子書籍端末か紙の文庫本で読んだ。内容を思い出すテストの正答率は紙63.5%、端末60.5%で差がなかった。しかし「いつ起きたか」にかかわる問題は紙57.1%、端末44.0%で、出来事を正しい順に並べる課題でも紙の方が間違いが少なかった(ずれの平均4.8対7.8)。

対象: 若い成人50人(平均24歳、各25人) / 限界: 両方ともページ番号を消し、端末の進み具合の表示も隠した。参加者の多くは端末に不慣れで、物語は1つだけ。

著者らは、紙の本では左右のページの厚みや重さの感覚から「今どのあたりか」がわかり、それが話の流れを組み立てる助けになると考えています[3]。画面ではこの手がかりが少なく、目で見る表示に頼るしかありません。

場面紙と画面の差根拠
時間に追われて説明文を読む紙が有利(差が大きい)メタ分析[1]
時間を決めて、じっくり読む差がなかった実験1[2]
読む時間を自分で決める画面で成績が下がった実験2[2]
物語だけを読む差がなかったメタ分析[1]
長い物語の出来事の順番紙が有利50人の実験[3]

02 科学的にわかっていること紙の方がいつも有利なの?

いつもではありません。差が出ない研究も多く、読む人の力や読書習慣、課題のやさしさによって結果は変わります。

6〜18歳を対象に2015〜2022年の23の研究を集めた系統的レビュー(研究を決まった手順で集めて整理する方法)では、紙と画面で理解に差がない研究と、画面が不利な研究の両方がありました[4]。もともとの読解力や読書の習慣が、結果を大きく左右していました[4]。

画面で読むのを好むスペインの大学生40人の実験では、やさしい物語の理解の正確さに差はなく、紙の方が読むのに時間がかかりました[5]。著者らは、課題が大学生にはやさしすぎた可能性と、やる気をそろえていないことを限界にあげています。

ここで紹介した研究の多くは、学生が短い文章を1回読む実験です。社会人がPDFの教材で何か月も独学するときに、どれだけ差が出るかを直接調べた研究ではありません。

03 今日からできる小さな一歩画面で勉強するとき、何を変えればいい?

画面のまま、急ぎ読みと「わかったつもり」を防ぎます。説明文は時間に余裕をもって読み、読み終えたら画面を閉じて思い出し、理解を確かめます。

1

大事な説明文は、時間に追われて読まない

紙との差が大きかったのは時間制限のある読み方でした[1]。スキマ時間の流し読みは見出しの確認にとどめ、理解したい章は時間をとって読みます。

所要 1章あたり15〜20分

2

読み終えたら画面を閉じて、3行で書き出す

何も見ずに要点を書くと、理解できたかの見積もりを実際の結果で確かめられます。書けなかった所だけ読み直します(要約と学習の研究)。

所要 3分

3

「今どこを読んでいるか」を自分で残す

章や節の番号をメモし、話の順番を1行ずつ書き留めます。画面では位置の手がかりが少ないため、自分で地図を作ります[3]。

所要 1節あたり30秒

04 続けるためのコツ紙に印刷した方がいいのはどんなとき?

試験に出る説明文や、何度も行き来して読む教材は、紙を選ぶ価値があります。画面で読むなら、理解の確かめをセットにします。

  • 紙を選ぶ: 試験範囲の説明文、図と本文を行き来する教材、全体の流れをつかみたい長い文章。
  • 画面でよい: 物語や読み物、調べものの拾い読み、単語の確認。
  • どちらでも: 読んでいる途中で気がそれたと感じたら、そこで一度止まります(読書中の「心ここにあらず」の研究)。

この使い分けは、上の研究の結果をもとに、このサイトが整理したものです。使い分けそのものを比べた研究ではありません。

05よくある質問

画面で読むと、目が疲れるから理解が落ちる?

研究がまず指摘しているのは、目の疲れより読み方の違いです。時間を決めて読ませた実験では、紙と画面で成績に差がありませんでした。差が出たのは、読む時間を自分で決めたときでした[2]。画面では、理解できたかの見積もりが不正確になりやすいと考えられています。

小説やマンガも、紙で読んだ方がいい?

物語だけの文章では、紙と画面の差ははっきりしませんでした[1]。ただ、長い物語を読んだ実験では、出来事の順番を並べ直す課題だけ、紙の方がよくできていました[3]。楽しむための読書なら、読みやすい方で問題ありません。

若い世代は画面に慣れているから、差はなくなる?

今のところ、そうした結果は出ていません。2000年から2017年の研究をまとめると、紙の有利さは年を追うごとにむしろ大きくなっていました[1]。一方で、画面で読むのを好む大学生40人の実験では差が見られなかったなど、人や課題によって結果は分かれます[5]。

出典

  1. Delgado, P., Vargas, C., Ackerman, R., & Salmerón, L. (2018). Don't throw away your printed books: A meta-analysis on the effects of reading media on reading comprehension. Educational Research Review, 25, 23–38. https://doi.org/10.1016/j.edurev.2018.09.003
  2. Ackerman, R., & Goldsmith, M. (2011). Metacognitive regulation of text learning: On screen versus on paper. Journal of Experimental Psychology: Applied, 17(1), 18–32. https://doi.org/10.1037/a0022086
  3. Mangen, A., Olivier, G., & Velay, J.-L. (2019). Comparing comprehension of a long text read in print book and on Kindle: Where in the text and when in the story? Frontiers in Psychology, 10, 38. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.00038
  4. Peras, I., Klemenčič Mirazchiyski, E., Japelj Pavešić, B., & Mekiš Recek, Ž. (2023). Digital versus paper reading: A systematic literature review on contemporary gaps according to gender, socioeconomic status, and rurality. European Journal of Investigation in Health, Psychology and Education, 13(10), 1986–2005. https://doi.org/10.3390/ejihpe13100142
  5. Bresó-Grancha, N., Jorques-Infante, M. J., & Moret-Tatay, C. (2022). Reading digital- versus print-easy texts: A study with university students who prefer digital sources. Psicologia: Reflexão e Crítica, 35, 10. https://doi.org/10.1186/s41155-022-00212-4