記憶・覚え方

「知らない単語は、答えを見る前に意味を当ててみると覚えやすい」は本当?推測してから答えを見る学び方の研究(効く・効かないの判定)

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単語を書くためのカード
Photo: Sam Wilson (taken with Samsung Galaxy S21 FE 5G) / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

知らない単語に出会ったら、すぐ答えを見ずに、まず意味を当ててみる。外れても、そのほうが記憶に残る。アプリや勉強法の本で見かける考え方です。研究を調べた結論は「条件しだい」でした。推測すると、後で選択肢から意味を選ぶ力は伸びやすい一方、手がかりのない外国語の単語では、意味を自分で思い出す力がかえって落ちた実験があります。

3行でわかる

  1. 判定:「条件しだい」。推測の後すぐに正解を見ると、意味を「選ぶ」テストでは成績が上がりやすい。
  2. ただし、フィンランド語の単語の訳を当てずっぽうで書いたポーランドの実験では、意味を「思い出す」成績は、ただ読んだときより低かった(.40と.48)。
  3. 絵を4つの選択肢から選ぶ形の推測では、思い出す成績も上がった(.41と.31)。推測は、正解をすぐ見ること、絵や選択肢などの手がかりがあることが条件。

01 通説の中身単語の意味は、先に当ててみたほうが覚えやすい?

「外れてもいいから先に答えてみると、正解が記憶に残る」という説です。母国語の関連する言葉どうしでは確かめられていますが、知らない外国語の単語では結果が分かれています。

もとになったのは、答えを知らない問題にまず答えさせ、その後で正解を見せる実験です。間違えても、ただ読むより後のテストの成績が良くなることがありました。こうした効果は「事前テスト効果」や「間違いを生む学習の効果」と呼ばれます。

ところが、効果が安定して出たのは、「花—つぼみ」のように母国語の、もともと関係のある言葉どうしの組み合わせが中心でした。外国語の単語は、知らない人にとって意味の手がかりがありません。そこで推測が役に立つかが、ここ数年の研究で確かめられてきました。

02 科学的にわかっていること外国語の単語で推測すると、記憶はどう変わる?

正解をすぐ見る形なら、意味を選ぶテストでは推測が有利でした。一方、文字だけの単語を当てずっぽうで推測した実験では、意味を思い出す成績が読むだけより低くなりました。

Butowskaら(2022)[1]

フィンランド語を知らないポーランドの学生・卒業生162人が、3つの実験でフィンランド語の名詞64語を学んだ。半分は8秒以内に訳を推測して入力し、その後5秒正解を見た。残り半分は単語と訳を13秒読んだ。実験1(58人)では、学び直しをしない単語で、意味を4択で選ぶテストは推測が上(.92と.86)だったが、訳を思い出すテストは読むほうが上(.48と.40)。もう一度学び直す機会を設けても、この差は消えなかった。

対象: ポーランドの学生・卒業生(実験1は58人) / 限界: 1回の短い実験で、テストは同じ日。推測が当たったのは0.5%ほどで、ほぼすべてが外れだった。著者らは「推測は外国語の単語の学び方として良い方法とは言えない」と結論づけている。

Butowskaら(2022)の実験4[1]

同じ手順で、母国語の弱く関係する言葉どうしを学ぶと、今度は推測のほうが思い出す成績が良かった(.69と.58)。推測が役に立つかは、覚える組み合わせに手がかりがあるかで変わった。

対象: 61人 / 限界: 外国語ではなくポーランド語どうしの組み合わせ。

ChuaとPan(2026)[2]

スペイン語を知らない英語圏の大人が、スペイン語の名詞36語を学んだ。単語を見て4枚の絵から意味を選び、すぐ正解を見る形の推測は、読むだけより成績が良かった。実験1(58人)では、意味を思い出すテストが.41と.31、選ぶテストが.92と.81。4つの実験を通じた思い出すテストの効果量(差の大きさの目安)は0.18〜0.40で、小さめだった。

対象: オンラインで募った21〜45歳の大人(4つの実験で計341人) / 限界: テストは約5分後で、長く覚えているかは調べていない。推測の正答率が35〜38%と高めで、一部の単語を知っていた可能性も著者らは挙げている。

PottsとShanks(2014)[3]/VaughnとRawson(2012)[4]

珍しい英単語の定義や外国語の訳を、推測してから正解を見る方法は、読むだけより最終テストの成績が良かった[3]。ただし、正解をすぐ見ないで後で学んだ場合は、推測の有利さが逆転した[4]。別の研究の整理でも、推測が役に立つ条件は「推測のすぐ後に正解を見ること」とされている[6]。

限界: Pottsらの最終テストは選択式で、推測が有利に出やすい形だった(Butowskaらの指摘)。VaughnとRawsonの実験1では、元になった実験の推測の有利さ自体が再現されなかった。

どれも1回の実験室の学習で、テストは数分〜同じ日のうちです。何週間もかけて単語帳を回す独学で、推測が成績を上げるかを確かめた研究ではありません。

03 今日からできる小さな一歩推測を単語の勉強にどう使えばいい?

手がかりのある単語や、選択肢・絵がある場面では、推測してからすぐ答えを見ます。手がかりのない単語は先に正しい意味を読み、その後で思い出す練習をします。

1

手がかりのある単語だけ、先に意味を当てる

例文や絵がある、知っている語に形が似ている。こうした単語は推測してみます。手がかりのある組み合わせでは推測が有利でした[1][2]。似た形の単語そのもので確かめた研究ではありません。

所要 1語5〜8秒

2

推測したら、すぐ正解を見る

答え合わせを後回しにしない。正解を見るのが遅れると、推測の有利さは消えたり逆転したりした[4][6]。

所要 1語5秒

3

手がかりのない単語は、先に読んでから思い出す

意味の手がかりがない単語は、当てずっぽうをせず、まず単語と意味を読みます。その後、数分あけて意味を隠し、思い出す練習をします。

所要 10語で5分

4

「推測は効かない気がする」という感覚を当てにしない

外れた単語は「覚えていない」と感じやすい。けれど実際の成績とずれることがある[5]。効いたかどうかは、翌日の小テストの結果で判断します。

所要 翌日3分

04 続けるためのコツ推測と思い出す練習は、どう組み合わせる?

推測は最初の出会いに少し使うだけにし、記憶を固めるのは思い出す練習と間をあけた復習に任せます。

05よくある質問

知らない単語は、意味を推測してから答えを見たほうが覚えられる?

条件しだいです。意味を選ぶテストでは推測が有利になりやすい一方、文字だけの外国語の単語を当てずっぽうで推測した実験では、意味を思い出す成績は読むだけより低くなりました(.40と.48)[1]。絵の選択肢から選ぶ形では、思い出す成績も上がりました[2]。

単語アプリの「選択肢から意味を選ぶ問題」は意味がある?

短い時間の実験では効果がありました。スペイン語の単語を見て4枚の絵から意味を選び、すぐ正解を見た場合、読むだけより思い出す成績も選ぶ成績も良くなりました[2]。ただしテストは約5分後で、長く覚えているかはまだわかっていません。

間違えた答えが記憶に残ってしまわない?

外国語の単語の実験では、テストで自分の推測を思い出せた単語は、思い出せなかった単語より正解しやすい傾向がありました(.37と.21)。それでも、読んだ単語より成績が良くはなりませんでした[1]。手がかりのない単語は、先に正しい意味を読むほうが確実です。

出典

  1. Butowska, E., Hanczakowski, M., & Zawadzka, K. (2022). You won't guess that: On the limited benefits of guessing when learning a foreign language. Memory & Cognition, 50(5), 1033–1047. https://doi.org/10.3758/s13421-021-01254-2
  2. Chua, T. J. E., & Pan, S. C. (2026). Duolingo-inspired pretesting with words and pictures improves vocabulary learning. Cognitive Research: Principles and Implications, 11, 20. https://doi.org/10.1186/s41235-026-00708-y
  3. Potts, R., & Shanks, D. R. (2014). The benefit of generating errors during learning. Journal of Experimental Psychology: General, 143(2), 644–667. https://doi.org/10.1037/a0033194
  4. Vaughn, K. E., & Rawson, K. A. (2012). When is guessing incorrectly better than studying for enhancing memory? Psychonomic Bulletin & Review, 19(5), 899–905. https://doi.org/10.3758/s13423-012-0276-0
  5. Yang, C., Potts, R., & Shanks, D. R. (2017). Metacognitive unawareness of the errorful generation benefit and its effects on self-regulated learning. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 43(7), 1073–1092. https://doi.org/10.1037/xlm0000363
  6. Brod, G. (2021). Predicting as a learning strategy. Psychonomic Bulletin & Review, 28(6), 1839–1847. https://doi.org/10.3758/s13423-021-01904-1