問題を混ぜて解く「交互練習」の問題セット表と記録表。混ぜる教材・混ぜない教材の見分け方と並べ方(インターリービングの研究から)

問題集を1章ずつ解いていると、その章の問題はすらすら解ける。なのに模試で単元がばらばらに出ると、どの解き方を使えばいいのか迷ってしまう。研究では、解き方を選ぶ問題や区別しにくい種類は混ぜて解くと後のテストで伸びやすく、単語の暗記は混ぜない方がよい結果でした。この記事では、種類の違う問題を混ぜて解く「交互練習」の研究から、問題セットの作り方の表と記録表を作りました。
3行でわかる
- 混ぜて練習する効果は、59本の研究をまとめた分析で中くらい(g = 0.42)。ただし数学の問題では小さめ(0.34)で、単語の暗記ではむしろ1種類ずつの方がよかった(−0.39)。
- 大学の物理の授業で宿題を混ぜた実験では、宿題の正答率は下がったのに、抜き打ちテストの成績は上がった(d = 0.40 と 0.91)。学生は「混ぜた方が学べなかった」と感じていた。
- 表1で「混ぜるもの・混ぜないもの」を決め、表2で3単元×3問を混ぜたセットを作り、表3で1週間後の成績を記録する。
01 この表でできること問題を混ぜて解くと、何が変わる?
1種類ずつ解くと、毎回同じ解き方を使えばよいので、「どの解き方を使うか」を選ぶ練習になりません。混ぜると、問題を見て解き方を選ぶ練習が入ります。
同じ単元の問題を続けて解くことを「ブロック練習」、種類の違う問題を混ぜて解くことを「交互練習(インターリービング)」と呼びます。試験では単元が混ざって出るので、問題を見て「これはどの解き方か」を見分ける力が必要です。交互練習は、その見分ける練習になると考えられています[1]。
ただし、混ぜれば何でもよくなるわけではありません。研究では、材料によって効き方がはっきり変わりました。この記事の表は、その違いに合わせて「混ぜるもの」と「混ぜないもの」を分けるところから始めます。交互練習の効く・効かないの判定は 交互練習(インターリービング)の研究 にまとめています。
02 表の根拠になった研究混ぜて解く練習は、どんなときに効く?
見た目が似ていて区別しにくい種類を学ぶときによく効き、数学の問題でも小さな効果がありました。単語の暗記では、逆に1種類ずつの方がよい結果でした。
BrunmairとRichter(2019)[1]
交互練習の59本の研究(158の参加者グループ、238の効果量)をまとめた分析。全体の効果は g = 0.42 で中くらい。絵画(0.67)など見て区別する材料で最も大きく、数学の問題では小さめ(0.34)だった。説明文の文章ではっきりした効果はなく、単語ではブロック練習の方がよかった(−0.39)。
対象: 59本の研究 / 限界: 種類どうしが似ているほど、また1つの種類の中の例がばらばらなほど効果が大きかった。著者らは、説明文と単語では使い方に注意が必要としている。
SamaniとPan(2021)[2]
米国の大学の物理の授業で、8週間、週3回の宿題を「単元ごと」と「混ぜた」の2通りで出した実験(両方を全員が経験するよう入れ替えた)。混ぜた宿題は正答率が低く(前半 0.69 対 0.74)、難しいと感じられた。それでも初めて見る問題の抜き打ちテストでは、混ぜた方が成績がよかった(d = 0.40 と 0.91、中央値で50%と125%の向上)。
対象: 2つのクラスの大学生350人(分析は290人と286人) / 限界: 学生が直前に詰め込み勉強をした中間試験では、はっきりした差は見られなかった。1つの大学・1つの科目の結果。
KornellとBjork(2008)[3]
画家ごとの絵の作風を覚える実験。同じ画家の絵を続けて見るより、ほかの画家の絵と混ぜて見た方が、初めて見る絵の画家を当てる成績がよかった。それなのに参加者は、続けて見る方が効果的だと評価した。自分のテストの結果が逆を示したあとでも、その評価は変わらなかった。
対象: 実験室の参加者 / 限界: 絵の作風という「見て区別する」材料の結果で、計算問題などの手順の学習とは違う。
Onanら(2024)[4]
自分で学ぶ順番を決められる課題では、学生は1種類ずつ続けて学ぶことが多かった。「ブロックの方がよい」という思い込みを正す説明と、混ぜ方を見直すよう促す図を組み合わせると、混ぜて学ぶ学生が増え、5〜7日後の別の課題でも続いた。混ぜて学んだ量が多いほど、見分けるテストの成績もよかった。
対象: オランダの大学生91人(くじ引きで2組) / 限界: 絵と鳥の種類を見分ける課題で、試験勉強そのものではない。
これらは主に大学生の授業や実験の結果です。社会人が一人で何か月も資格の勉強をする場合に同じ大きさの効果が出るかは、確かめられていません。
03 問題セット表の使い方混ぜた問題セットは、どう作る?
まず表1で、混ぜる材料かどうかを決めます。混ぜる場合は、表2のように3単元から3問ずつ選び、同じ単元が続かない順に並べます。結果は表3に、その日と1週間後の2回書きます。
表1 混ぜる・混ぜないの判定表
| 学ぶもの | 研究での結果 | この表での扱い |
|---|---|---|
| 見た目が似ていて区別しにくい種類(図・グラフ・分類など) | 効果が最も大きかった(絵画 0.67) | 混ぜる |
| 解き方を選ぶ必要がある計算・文章題 | 小さめの効果(数学 0.34)。物理の授業でも効いた | 混ぜる(単元を1回ずつ学んだあと) |
| 説明文を読んで理解する内容 | はっきりした効果なし | 混ぜなくてよい |
| 単語の暗記 | 1種類ずつの方がよかった(−0.39) | 混ぜない |
表2 問題セット作成表(例: 3単元×3問)
| 順番 | 1種類ずつ(ブロック) | 混ぜたセット(交互) |
|---|---|---|
| 1〜3問目 | A A A | A B C |
| 4〜6問目 | B B B | B C A |
| 7〜9問目 | C C C | C A B |
A・B・C は単元(例: 割合・速さ・面積)です。問題の数は同じで、並べる順番だけを変えます。物理の実験でも、混ぜた宿題は1回に1単元1問ほどで、ブロックの宿題は1単元3問ずつでした[2]。
表3 記録表(セットごとに1行)
| 日付 | 単元 | その日の正答 | 難しさ(1〜5) | 1週間後の正答 |
|---|---|---|---|---|
| 10/21 | A・B・C | 6/9 | 4 | |
| /9 | /9 | |||
| /9 | /9 |
表1で、今の教材が「混ぜる」側か確かめる
解き方を選ぶ問題や、区別しにくい種類なら混ぜます。単語の暗記は、これまでどおり1種類ずつにします。
所要 2分
すでに1回学んだ単元を3つ選ぶ
まったく初めての単元は、先に例題を1回解いてから入れます。問題集の章をまたいで、各3問ずつ選びます。
所要 5分
表2の順に並べて解き、表3に書く
問題番号を「A1, B1, C1…」の順にメモして解きます。正答数と難しさを表3に記録します。
所要 30〜45分
1週間後に同じ単元の別の問題を混ぜて解く
その日の正答より、1週間後の正答を見て判断します。前の回と同じ問題ではなく、初めて見る問題を使います。
所要 20分
04 続けるためのコツ混ぜると解けなくて不安になるときは?
混ぜた練習はその場の正答率が下がり、難しく感じるのが普通です。研究では、その感覚と後のテストの結果が逆になりました。判断は1週間後の数字でします。
- 物理の実験でも、混ぜた宿題の方が正答率が低く、学生は「学べなかった」と感じていました。それでも、後のテストでは混ぜた方が上でした[2]。表3の「難しさ」が高いのは失敗の印ではありません。
- 「続けて解く方がわかる」という感覚は、多くの人が持つものです[3]。その思い込みを知ってから学ぶ順番を考えると、混ぜる人が増えました[4]。
- 試験直前の詰め込みでは差が見えにくくなりました[2]。混ぜる練習は、試験の数週間前から少しずつ入れます。
- 全部を混ぜる必要はありません。単元を学んだ日はブロックで解き、復習の日だけ混ぜたセットにする使い分けでもかまいません。
- 過去問の答えを覚えてしまって初めての問題が解けないときの立て直し方は、過去問の答えを覚えてしまったときの記事 に、似た用語が混ざるときは 似た用語やルールが混ざったときの記事 にまとめています。
05よくある質問
問題を混ぜて解くと、本当に成績は上がりますか?
59本の研究をまとめた分析で中くらいの効果がありました。ただし数学の問題では小さめで、単語の暗記ではむしろ1種類ずつの方がよい結果でした。何を学ぶかで使い分けることが大切です。
習ったばかりの単元から混ぜてもいいですか?
この記事の表では、まず1回は単元ごとに例題を解いてから混ぜる手順にしています。物理の実験でも、授業で学んだあとの宿題を混ぜていました。初めての単元をいきなり混ぜた場合の効果は、ここで紹介した研究ではわかりません。
混ぜると解けない問題が増えます。やめた方がいいですか?
その場の正答率が下がるのは、研究でも見られたことです。それでも後のテストでは混ぜた方が成績がよかった実験があります。やめるかどうかは、その日の手ごたえではなく、1週間後の正答数で判断してください。
出典
- Brunmair, M., & Richter, T. (2019). Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators. Psychological Bulletin, 145(11), 1029–1052. https://doi.org/10.1037/bul0000209
- Samani, J., & Pan, S. C. (2021). Interleaved practice enhances memory and problem-solving ability in undergraduate physics. npj Science of Learning, 6, 32. https://doi.org/10.1038/s41539-021-00110-x
- Kornell, N., & Bjork, R. A. (2008). Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"? Psychological Science, 19(6), 585–592. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02127.x
- Onan, E., Biwer, F., Abel, R., Wiradhany, W., & de Bruin, A. (2024). Optimizing self-organized study orders: Combining refutations and metacognitive prompts improves the use of interleaved practice. npj Science of Learning, 9, 33. https://doi.org/10.1038/s41539-024-00245-7


