続け方・習慣

勉強の記録をつけると続くのか。進み具合を「見える化」する研究

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白い机の上に置かれた日記帳とノート、ペン、コーヒーカップ
Photo: Chimene Gaspar / CC0 / Stocksnap
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「今週どれだけ勉強したか」と聞かれて、すぐ答えられるでしょうか。記録をつけるのは面倒に思えますが、進み具合を確かめる習慣は目標の達成を後押しすることが、138件の実験をまとめた分析で示されています。頭の中で確かめるより、書き残す方が効果は大きめでした。

3行でわかる

  1. 進み具合を確かめる回数を増やす工夫は、目標の達成を後押しした(138件の実験のメタ分析、効果の大きさ d=0.40)。
  2. 書き残したとき、人に報告・公開したときに効果は大きかった。頭の中で確かめるだけでは小さかった。
  3. 勉強時間を記録すれば勉強時間に、点数を記録すれば点数に効きやすい。何を記録するかで効く先が変わる。

01「なんとなく進んでいる」が続かない理由

記録がないと、自分がどれだけ進んだか、目標まであとどれくらいかがぼやけます。ずれに気づけないので、立て直すきっかけも生まれません。

目標を立てることと、達成することの間には、もう1つの段階があります。今の自分が目標に対してどこにいるかを確かめることです。

心理学ではこれを「進み具合のモニタリング(自分の状態を確かめること)」と呼びます。目標と現在地の差に気づくと、人は行動を調整しやすくなる、という考え方です。

独学では、先生も締め切りもありません。進み具合を確かめる役は、自分で引き受けるしかありません。記録は、その役を軽くしてくれる道具です。

02科学的にわかっていること

進み具合を確かめる回数が増えると、目標は達成されやすくなりました。書き残す・人に見せると効果は大きく、記録する中身によって効く先も変わります。

Harkinら(2016) メタ分析[1]

進み具合を確かめるよう促す工夫を、何もしない組と比べた138件の実験(合計19,951人)をまとめた。確かめる回数は大きく増え(d=1.98)、目標の達成も後押しされた(d=0.40)。確かめる回数が増えたことが、達成につながっていた。

対象: 無作為に組を分けた実験のみ / 限界: ほとんどが減量・運動・血圧などの健康の目標。健康以外の研究は1件だけで、勉強の目標を直接調べたものではない。

同じ分析では、確かめ方による違いも調べています。数字を表にまとめました(d は効果の大きさ。0.2で小さい、0.5で中くらいが目安です)。

確かめ方目標達成への効果(d)
人前で確かめる(公開)0.55
結果を誰かに報告する0.47
自分だけで確かめる0.19
結果を書き残す0.43
書き残さない0.29

何を記録するかも大事でした。行動(食べた量・歩いた歩数など)を記録すると行動が変わり(d=0.79)、結果(体重など)には効きませんでした。結果を記録すると結果に効き(d=0.62)、行動には効きませんでした[1]。

Michieら(2009) メタ回帰分析[2]

運動と食事の習慣を変える122件の評価(合計44,747人)を分析した。成果の差をいちばん説明したのは「自分で記録する」技法だった。記録に、目標と現状を比べて調整する別の技法を1つ以上組み合わせた取り組みは、効果が0.42で、ほかの取り組み(0.26)より大きかった。

対象: 成人の運動・食事の取り組み / 限界: 勉強の研究ではない。

Runyanら(2013)[3]

大学1年生を無作為に分け、一方のグループだけがスマホアプリで「直前20分に勉強した時間」などを学期中の3週間記録した。記録したグループの80.49%が「時間の使い方に気づくようになった」と答え、43.90%が「時間の使い方を変えた」と答えた。

対象: アメリカの1つの大学の1年生81人(記録44人、記録なし37人) / 限界: 気づきや行動の変化は本人の回答で、成績が上がったとは示されていない。

Mount と Tirrell(1977)[4]

心理学の授業を受ける大学生94人が、勉強時間を記録した。カードへの記入とグラフ用紙への記入を両方行った組は、どちらか一方だけの組より期末試験の点数が高かった。

対象: アメリカの大学生94人 / 限界: 全員が何らかの記録をしており、記録しない人との比較ではない。古い研究。

勉強の記録だけを長期間調べた大規模な研究は、まだ多くありません。健康の分野で繰り返し確認された効果が、社会人の独学で同じ大きさになるとは限りません。それでも「確かめる回数を増やす」「書き残す」は、費用がかからず試しやすい方法です。

03今日からできる小さな一歩

勉強の終わりに1行だけ記録をつけましょう。日付・やった量・時間の3つで十分です。週に一度だけ見返して、次の週の予定を決めます。

1

勉強の終わりに「1行日誌」を書く

「10/7 問題集p.40〜45 30分」のように、日付・進んだ量・時間を書きます。ノートの最後のページでも、スマホのメモでもかまいません。

所要 30秒

2

記録する中身を、目標に合わせる

「毎日続ける」が目標なら、時間や量(行動)を記録します。「模試で70点」が目標なら、小テストの点数(結果)も記録します。

所要 3分

3

週に1回、見返して予定を引き直す

1週間の合計を出し、計画とのずれを確かめます。遅れていたら、次の週の予定を記録の実績に合わせて組み直します。

所要 10分

04続けるためのコツ

記録は短く、毎回同じ形にすると続きます。「ここまでやった」と「あとどれだけ」の見方を、目標への本気度に合わせて使い分けましょう。

  • 記録は1行で終える。項目を増やすほど面倒になり、記録そのものが止まりやすい。
  • 可能なら、進み具合を誰かに報告する。勉強仲間や家族に週1回伝えるだけでもよい。人と学ぶ効果は勉強仲間の研究でも紹介しています。
  • 始めたばかりで迷いがある時期は「ここまでやった」を見る。本番が近く本気の時期は「あとどれだけ」を見る。Koo と Fishbach(2008)の実験では、重要でない試験の勉強では「ここまで」、重要な試験の勉強では「あとどれだけ」に目を向けた方が、目標に沿った行動が増えた[5]。
  • 記録は予定と組み合わせて使う。過去の実績を見て予定を立てると、計画倒れを防ぎやすい。目標の立て方は目標設定の研究も参考にしてください。
  • 記録が抜けた日があっても、責めずに翌日から再開する。空白も「その週は忙しかった」という大事な情報になる。

05よくある質問

勉強の記録をつけると、本当に続きやすくなるの?

勉強に限った大規模な研究はまだ少ないものの、進み具合を確かめる回数を増やす工夫は、138件の実験をまとめたメタ分析で目標の達成を後押ししていました(d=0.40)。書き残したときや、人に報告したときに効果は大きくなりました。

勉強時間と点数、どちらを記録すればいい?

目標に合わせて選びます。Harkinら(2016)の分析では、行動を記録すると行動に、結果を記録すると結果に効きやすいことが示されました。毎日続けたいなら時間や量、点数を上げたいなら小テストの点数も記録すると、目標と記録がそろいます。

記録は紙とアプリ、どちらがいい?

どちらでもかまいません。研究で効果が大きかったのは「書き残すこと」と「確かめる回数が増えること」でした。自分が毎日いちばん手に取りやすい道具を選ぶのが続けるコツです。

勉強法の早見表で「勉強の記録をつけて進み具合を確かめる」の判定を見る
ほかの勉強法も39種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

無料ツール
勉強の記録シートを使う
今日やった勉強を1行で記録し、続けた日数と合計時間を見える化します。記録は端末の中だけに保存。

無料ツール
勉強の記録表(印刷用テンプレート)を使う
1か月分を印刷して、1日1行手書きで記録する表。

出典

  1. Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229. https://doi.org/10.1037/bul0000025
  2. Michie, S., Abraham, C., Whittington, C., McAteer, J., & Gupta, S. (2009). Effective techniques in healthy eating and physical activity interventions: A meta-regression. Health Psychology, 28(6), 690–701. https://doi.org/10.1037/a0016136
  3. Runyan, J. D., Steenbergh, T. A., Bainbridge, C., Daugherty, D. A., Oke, L., & Fry, B. N. (2013). A smartphone ecological momentary assessment/intervention “app” for collecting real-time data and promoting self-awareness. PLoS ONE, 8(8), e71325. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0071325
  4. Mount, M. K., & Tirrell, F. J. (1977). Improving examination scores through self-monitoring. The Journal of Educational Research, 71(2), 70–73. https://doi.org/10.1080/00220671.1977.10885039
  5. Koo, M., & Fishbach, A. (2008). Dynamics of self-regulation: How (un)accomplished goal actions affect motivation. Journal of Personality and Social Psychology, 94(2), 183–195. https://doi.org/10.1037/0022-3514.94.2.183