集中・環境

勉強する時間だけスマホのネットを切るには?「つながない時間」のやり方(スマホのネットを止めた実験とその限界)

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木の机に置かれたノートパソコン、スマートフォン、手帳
Photo: Alejandro Escamilla / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

通知を切っても、気づくとスマホを開いている。「今日こそ見ない」と決めても、夜には同じことをくり返している。これは意志が弱いからではありません。スマホのネットを止めると注意力が少し上がった実験がある一方、2週間ずっと止め続けられた人は4人に1人でした。だから、一日中ではなく勉強する時間だけ区切って切るやり方を紹介します。

3行でわかる

  1. アメリカとカナダの467人がスマホのネットを2週間止めた実験では、注意を保つ力が少し上がり、1日のスマホ時間は平均314分から161分に減った。
  2. ただし、決めた日数の大半(14日中10日以上)止め続けられたのは25.5%だった。著者らも、時間帯を決めて止める方が続けやすいかもしれないと書いている。
  3. やり方は、①区切る時間を決める ②端末ごとネットを切る ③見てよい時間を間にはさむ ④誘惑をメモする ⑤1週間で見直す、の5つ。

01 悩みの正体通知を切っても、ついスマホを開くのはなぜ?

通知が鳴らなくても、スマホを開けばいつでも楽しいものが見られるからです。やりたい勉強と、すぐ楽しめるスマホがぶつかると、勉強が後回しになりやすくなります。

通知そのものも集中を乱します。実験では、自分の端末の通知が鳴るだけで、注意が必要な課題の成績が下がりました[3]。通知の切り方とスマホの置き場所は、勉強中のスマホの置き方の記事にまとめています。

ただ、通知を切っても「ちょっとだけ」と自分から開くことはあります。開きたくなる理由はスマホを見たくなる理由の記事で扱っています。この記事では、開いても見るものが少ない状態を、勉強の時間だけつくるやり方を考えます。

02 科学的にわかっていることスマホのネットを止めると、集中は戻る?

2週間スマホのネットを止めた実験では、注意を保つ力が少し上がりました。ただし止め続けられた人は少なく、勉強の時間だけ止める方法を直接確かめた研究はまだありません。

Casteloら(2025)[1]

スマホのネット(Wi-Fiとモバイル通信)を2週間止め、電話とメッセージだけ使えるようにした。止めた組は、何もしない組とくらべて、注意を保つ力をはかる課題の成績が少し上がり(効果の大きさ d = 0.24)、心の健康も上がった。1日のスマホ時間は平均314分から161分に減った。

対象: アメリカとカナダのiPhone利用者467人(平均32歳)、無作為に2組に分けた実験 / 限界: 14日中10日以上止め続けられたのは119人(25.5%)。参加者の83%はもともと使う時間を減らしたい人だった。

Klingelhoeferら(2026)[2]

18〜35歳の237人に、2週間、1日最大5回「この2時間に何をしたか」を答えてもらった。自分でスマホやアプリから離れた場面では、やるべきことの先延ばしが少しだけ少なく、その効果は次の回答(2時間以上あと)まで小さく続いていた。端末・アプリ・機能の単位で離れたときに先延ばしが少なく、特定の相手や内容だけを避けたときは差がなかった。

対象: ドイツのAndroid利用者237人、12,408回の回答 / 限界: 実験ではなく本人の回答の記録なので、因果は言い切れない。ふだんよく離れる人ほど先延ばしが少ない、という差は見られなかった。

Stothartら(2015)[3]

スマホを手に取らなくても、通知が鳴るだけで、注意が必要な課題の成績が下がった。下がり方は、実際に電話やメッセージをしながら課題をしたときに報告されている下がり方と同じくらいだった。

対象: 実験室での短い課題 / 限界: 長い勉強の成績を測ったものではない。要旨で確認した。

Lemahieuら(2025)[4]

SNSを一定期間やめる効果を調べた10本の研究(4,674人)のメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。よい気分、いやな気分、生活の満足度のどれにも、はっきりした効果は見られなかった。やめる期間の長さとも関係がなかった。

対象: SNSをやめる研究10本 / 限界: 測ったのは気分と満足度で、集中や勉強の成績ではない。研究ごとのやり方の違いが大きい。

また、Casteloらは、通知を1日数回にまとめて受け取ると注意が保ちやすいと感じた現場の実験があることも紹介しています[1]。どれも「つながる時間を減らす・区切る」ことが、注意にとって悪くない方向を示しています。

ここで紹介した研究は、社会人の独学そのものを調べたものではありません。効果の大きさも小さめです。スマホを手放せば勉強がはかどる、と言い切れるほどの証拠ではない点に注意してください。

03 今日からできる小さな一歩勉強の時間だけネットを切るには、どうする?

勉強する時間を先に区切り、始める前に端末ごとネットを切ります。間に「見てよい時間」をはさみ、開きたくなった瞬間をメモし、1週間で長さを見直します。

1

「つながない時間」を1日1〜2回だけ決める

「平日の夜8時から9時」のように、勉強する時間に合わせて決めます。一日中ではなく、短く区切るのがポイントです。2週間ずっと止める方法は、続けられた人が約4分の1でした[1]。勉強を始める場面の決め方はif-thenプランの記事も参考になります。

所要 3分

2

始める前に、端末ごとネットを切る

機内モードにする、Wi-Fiとモバイル通信を切る、スマホの集中用の機能でネットを使うアプリを止める、など端末の設定で行います。「この動画だけ見ない」より、端末やアプリごと離れた場面で先延ばしが少なかったためです[2]。家族からの連絡が必要な人は、電話だけ使える設定にします。

所要 1分

3

区切りの間に「見てよい時間」を5〜10分入れる

勉強のかたまりが終わったら、ネットを戻してまとめて確認します。「あとで見られる」とわかっていると、切ることへの不安が小さくなります。通知をまとめて受け取る方法も、注意の面で悪くない結果が報告されています[1]。休憩の長さは休憩の取り方の記事も参考にしてください。

所要 5〜10分

4

開きたくなったら、紙に「何を見たかったか」を1行書く

「天気」「返信」「なんとなく」のように書き、見てよい時間に回します。勉強とスマホがぶつかった場面ほど、人は自分から離れる行動をとりやすいことがわかっています[2]。メモはその場面に気づくための工夫です。

所要 10秒

5

1週間たったら、長さと時間帯を見直す

守れた日と守れなかった日を数えます。守れない日が多ければ、時間を短くするか、時間帯を変えます。長くするのは、ほぼ毎回守れるようになってからで十分です。

所要 5分

「勉強の時間だけ区切って切る」「見てよい時間をはさむ」は、研究の結果から考えた工夫です。この手順そのものの効果を、独学の社会人で確かめた研究ではありません。

04 続けるためのコツネットを切るのが続かないときは?

守れなかった日があっても、やめる必要はありません。止め続けられなかった人を含めても、2週間の実験では改善が見られました。時間を短くして続ける方を選びます。

  • 守れなかった日は、次の日の区切りを短くする。全部守れなくても、つながる時間が減れば十分という結果が出ている[1]。
  • 調べものが必要な勉強は、スマホでなくパソコンや紙の辞書で行う。実験でも、パソコンからのネットは使えるようにしていた[1]。
  • 途中でスマホを見てしまったら、集中が切れたときの戻り方の手順で戻る。

05よくある質問

一日中スマホのネットを切らないと効果はない?

一日中でなくてもよいと考えられます。2週間ネットを止めた実験では、14日中10日以上守れた人は約4分の1でしたが、守れなかった人を含めても注意力などは改善していました。著者らも、時間帯を決めて止める方が続けやすいかもしれないと書いています。ただし、勉強の時間だけ切る方法そのものを確かめた実験はまだありません。

SNSのアプリを消すだけでもいい?

先延ばしを減らす目的なら、アプリや端末ごと離れる方が向いています。ドイツの調査では、端末・アプリ・機能の単位で離れた場面で先延ばしが少なかった一方、特定の相手や内容だけを避けた場面では差がありませんでした。なお、SNSを一定期間やめても気分や生活の満足度は変わらなかったというメタ分析もあります。

通知を切るだけでは足りない?

通知を切ることは出発点になります。実験では、自分の端末の通知が鳴るだけで、注意が必要な課題の成績が下がりました。ただ、通知がなくても自分からスマホを開いてしまう人は、勉強の時間だけネットを切る方法を足すと、開いても見るものが少なくなります。

出典

  1. Castelo, N., Kushlev, K., Ward, A. F., Esterman, M., & Reiner, P. B. (2025). Blocking mobile internet on smartphones improves sustained attention, mental health, and subjective well-being. PNAS Nexus, 4(2), pgaf017. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgaf017
  2. Klingelhoefer, J., Gilbert, A., & Meier, A. (2026). Digital disconnection as a self-regulatory strategy against procrastination. Scientific Reports, 16, 17133. https://doi.org/10.1038/s41598-026-46218-1
  3. Stothart, C., Mitchum, A., & Yehnert, C. (2015). The attentional cost of receiving a cell phone notification. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 41(4), 893–897. https://doi.org/10.1037/xhp0000100
  4. Lemahieu, L., Vander Zwalmen, Y., Mennes, M., Koster, E. H. W., Vanden Abeele, M. M. P., & Poels, K. (2025). The effects of social media abstinence on affective well-being and life satisfaction: a systematic review and meta-analysis. Scientific Reports, 15, 7581. https://doi.org/10.1038/s41598-025-90984-3