勉強法

蛍光ペンで線を引く勉強法は効くのか。研究でわかったこと

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Photo: Svdmolen / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

テキストを読みながら、気づけばページが黄色だらけ。それでも試験になると思い出せない。そんな経験はありませんか。研究の答えは「線を引くだけでは、覚える効果は小さめで、理解を深める効果は確認されていない」です。ただ、引き方しだいで役に立つ場面もあります。

3行でわかる

  1. 2013年の大規模レビューで、蛍光ペンで線を引く勉強は「効果が低い」グループに入りました。
  2. 2022年のメタ分析では、自分で引く線は覚える面で小さめの効果があり、理解を深める効果は確認されませんでした。
  3. 効くのは「読み終えてから要点だけに引く」こと。見直しより、思い出す練習に置きかえると効率的です。

01線を引くと「勉強した気」になるのはなぜか

線を引くと「大事な所はわかった」と感じますが、その感覚と、後で思い出せるかどうかは別ものです。

線を引く勉強法には、2つの働きがあると考えられています。1つは、どこが大事かを選ぶときに頭を使うこと。もう1つは、後で見直すときに要点を見つけやすくすることです。

ところが実際には、引きすぎたり、大事でない所に引いたりしがちです。大事な所を選ぶ作業がおろそかになると、1つ目の働きがほとんど起きません。

02研究でわかっていること

自分で線を引く勉強は、覚える面では小さめの効果、理解や応用の面では効果が確認されていません。練習した引き方なら効果が上がります。

Dunloskyら(2013)[1]

10種類の勉強法を比べたレビューで、線を引く勉強法は再読と並んで「効果が低い」と評価されました。多くの学生が使っているのに、成績を安定して伸ばさないためです。

対象: 既存研究のレビュー(年齢・教材・テストの種類をまたいで評価) / 限界: 研究者による評価で、効果量を数値で統合したものではありません。

Ponceら(2022)[2]

自分で線を引くと、覚える面の効果量は0.36、理解の面は0.20で、理解を高める効果は確認されませんでした。最初から線が引いてある教材では、覚える面・理解の面とも0.44でした。

対象: 1938〜2019年の36本の論文・85の効果量を統合したメタ分析。大学生では0.39、小中高生では0.24(効果は確認されず) / 限界: 短い文章を読む実験が中心です。

Miyatsuら(2018)[3]

引き方は60分ほどの練習で身につけられます。効果が出た練習には「1回目は読むだけ、引くのは読み終えてから」という共通点がありました。一方、線の箇所を見直しても上乗せの効果は見られませんでした。推論を問うテストで効果が出なかった研究もあります。

対象: 学生の勉強法に関する研究のレビュー。調査では学生の53%(1,517人)が線を引いた所を読み返すと回答 / 限界: 練習の効果を示した研究は少数です。

Leutnerら(2007)[4]

パソコンで引き方を練習したグループは、練習なしのグループより多くを学べていました。さらに、引き方に加えて「うまく使えているか自分で確かめる」練習もしたグループが最も成績が良好でした。

対象: 大学生45人を3グループにランダムに分けた実験 / 限界: 人数が少なく、1回の文章読解で測った結果です。

ここで紹介したのは主に大学生が短い文章を読む実験です。社会人が何か月もかけて資格の勉強をするときに同じ大きさの効果が出るかは、まだ確かめられていません。
  • 効く: 最初から要点に線が引いてある教材を読む(効果量0.44)
  • 条件しだい: 自分で線を引く。読み終えてから要点だけに引けば、覚える面で役立つ
  • 当てにならない: 線を引いた所をくり返し眺めて、理解したつもりになる

03今日からできる小さな一歩

次の勉強では「読み終えてから引く」「1段落に1か所だけ」「線の所を隠して書き出す」の3つを試してください。

1

1回目はペンを置いて読む

段落や小見出しの区切りまで、線を引かずに読み切ります。その後で戻って線を引きます。

所要 いつもの読書時間のまま

2

1段落に1か所だけ引く

「この段落で一番言いたいことは何か」を選んでから引きます。迷う作業そのものが、覚える助けになります。

所要 1段落につき10秒ほど

3

線の所を隠して書き出す

読み返す代わりに、ページを閉じて、線を引いた内容を思い出して紙に書きます。書けなかった所だけ見直します。

所要 5分

04続けるためのコツ

線は「後で思い出す練習の目印」と割り切ると続けやすくなります。引くこと自体を勉強のゴールにしないのがコツです。

  • ページの半分以上が色で埋まったら、引きすぎの合図と考える
  • 過去問や問題集で応用問題に備える。線を引く勉強だけで推論や応用の力をつけるのは難しい
  • 引き方がうまくいっているか、週に1回「線の所を書き出せたか」で確かめる

05よくある質問

蛍光ペンで線を引く勉強は意味がないの?

意味がないわけではありません。2022年のメタ分析では、自分で線を引くと覚える面では小さめの効果が見られました。ただし内容を理解する力を高める効果は確認されていません。線を引くだけで終えず、思い出す練習と組み合わせるのがおすすめです。

線を引いたところを読み返せば覚えられる?

研究ではあまり期待できません。Miyatsuら(2018)のレビューによると、線を引いた箇所を見直しても、線を引いた時点の効果に上乗せされる効果は見られませんでした。読み返す代わりに、線の内容を見ずに書き出してみる方が効率的です。

どこに線を引けばいいかわからないときは?

まず段落を最後まで読んでから、その段落の要点を1つだけ選んで線を引きます。研究で効果が出た引き方の練習は、どれも「1回目は読むだけ、引くのは読み終えてから」という共通点がありました。

勉強法の早見表で「蛍光ペンで線を引く」の判定を見る
ほかの勉強法も22種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
  2. Ponce, H. R., Mayer, R. E., & Méndez, E. E. (2022). Effects of Learner-Generated Highlighting and Instructor-Provided Highlighting on Learning from Text: A Meta-Analysis. Educational Psychology Review, 34, 989-1024. https://doi.org/10.1007/s10648-021-09654-1
  3. Miyatsu, T., Nguyen, K., & McDaniel, M. A. (2018). Five Popular Study Strategies: Their Pitfalls and Optimal Implementations. Perspectives on Psychological Science, 13(3), 390-407. https://doi.org/10.1177/1745691617710510
  4. Leutner, D., Leopold, C., & den Elzen-Rump, V. (2007). Self-Regulated Learning with a Text-Highlighting Strategy. Zeitschrift für Psychologie / Journal of Psychology, 215(3), 174-182. https://doi.org/10.1027/0044-3409.215.3.174