勉強法

勉強時間を増やしても点が伸びない。どう立て直す?「時間より中身」の研究でわかった見直し方

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金の装飾がついた古い壁掛け時計
Photo: Ferdinand Berthoud / Jacques Caffieri / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

毎日の勉強時間を1時間から2時間に増やした。それなのに、模試や過去問の点はほとんど変わらない。「まだ足りないのか」とさらに時間を増やそうとしていませんか。研究では、勉強した時間の長さより、その時間に何をしたかが成果を左右していました。時間を増やす前に、中身を見直す手順を紹介します。

3行でわかる

  1. 練習量と成績の関係をまとめたメタ分析では、教育の分野で練習量が説明できた成績の差は4%だけだった。時間だけでは点は決まらない。
  2. 成果と結びついていたのは、自分で思い出す練習、直し方まで返ってくる答え合わせ、集中して取り組んだ時間だった。
  3. 立て直しは、1週間の勉強を中身別に記録し、読み返しの時間を思い出す練習と答え合わせに置き換え、2週間後に小テストで確かめる。

01 悩みの正体勉強時間を増やしても点が伸びないのはなぜ?

勉強時間が点を決める力は、思われているより小さいからです。同じ1時間でも、読み返しで過ごすか、思い出して確かめるかで、成果への結びつき方が変わります。

時間は、記録しやすく、増やした実感も得やすい目安です。そのため「伸びない=時間が足りない」と考えがちです。

けれども、何時間座っていたかは、頭の中で何をしたかまでは表しません。読んでわかった気になる時間が長いと、時間は増えても点は動きにくくなります。この「わかったつもり」は覚えたつもりの研究の記事で詳しく紹介しています。

02 科学的にわかっていること点を伸ばすのは、時間の長さと中身のどちら?

研究では、時間の長さだけでは成果の差の一部しか説明できませんでした。思い出す練習、情報の多い答え合わせ、集中して取り組んだかどうかが、成果と結びついていました。

Macnamaraら(2014)[1]

練習の量と成績の関係を調べた研究をまとめたメタ分析(複数の研究をまとめた分析)。練習量で説明できた成績の差は、ゲームで26%、音楽で21%、スポーツで18%、教育で4%、仕事で1%未満だった。著者らは「練習は大事だが、言われてきたほどではない」と結論づけている。

対象: 練習と成績を調べた研究 / 限界: 何を「練習」として数えたかが研究ごとに違う。練習の考え方を提唱したEricsson(2016)は、同じ著者らのスポーツのメタ分析に対し、先生が選んだ課題・はっきりした目標・すぐのフィードバックがある練習と、ほかの活動を同じ1時間として足し合わせるべきではないと反論している[2]。この記事では論文の要旨で内容を確認した。

MacnamaraとMaitra(2019)[3]

「練習時間の差が、バイオリン奏者の腕前の差に対応する」という1993年の有名な研究を、やり直した追試。練習時間の積み重ねが腕前の段階に対応する、という中心の結果は再現しなかった。練習時間で説明できた差は26%で、元の研究の48%より小さかった。著者らは、26%は小さくないが「腕前の差の大部分を練習量で説明できる」とまでは言えない、としている。

対象: バイオリンを専攻する学生(腕前の違う3つのグループ) / 限界: 音楽の研究で、独学の試験勉強を直接調べたものではない。

HartwigとDunlosky(2012)[4]

大学生324人に勉強のしかたと成績(GPA)を尋ねた調査。自分でテストする(思い出す練習)人ほど成績が高かった。成績の低い学生は夜遅くに勉強することが多く、締め切りに追われて勉強する傾向は、特に成績の低い学生で強かった。

対象: 大学生324人、成績は自己申告 / 限界: 一時点の調査で、因果関係はわからない。読み返しも成績とプラスに結びついていたため、読み返しが害になるとは言えない。この記事では論文の要旨で内容を確認した。

Wisniewskiら(2020)[5]

答え合わせや指摘(フィードバック)の効果を調べた435本の研究、994の効果量(約6万1千人)のメタ分析。全体の効果は d = 0.48 だった。ほめる・罰するだけの返し方は d = 0.24 と小さく、正誤や正しい答えを返す方法は d = 0.46、それに加えて「自分の進め方をどう直すか」の情報まで返す方法は d = 0.99 と大きかった。

対象: 学校・大学などの学習の研究 / 限界: 研究ごとの結果のばらつきが大きい。学位論文より雑誌論文の方が効果が大きく、出ていない研究の影響も考えられる。

Theobald(2025)[6]

ドイツの大学生231人が、30日間、毎日の勉強時間と勉強のしかたを記録した研究。勉強時間が長い日も、計画・進み具合の確認・集中ができた日も、その日の目標を達成しやすかった。勉強のしかたが良い日は、少ない時間で高い達成に届いていた。集中できないまま長時間勉強した日は、嫌な気分が特に強かった。

対象: ドイツの大学生 / 限界: 勉強時間も達成度も本人の報告で、点数そのものではない。因果関係までは言えない。

Spitzer(2022)[7]

ドイツ・オランダ・ウルグアイの小中学生6,131人が、数学の学習ソフトで解いた115万9,295題の記録を分析した。問題を解いた時間が長いほど、数学の成績は高かった。前の年に成績が低く、次の年に時間を増やした生徒で、伸びが最も大きかった。

対象: 4〜10年生 / 限界: ここでの「時間」は、1問ごとに正誤がすぐ返ってくる問題演習の時間。読み返しなどを含む勉強時間全体の話ではない。

まとめると、時間が無意味なのではありません。Spitzer(2022)のように、問題を解いて正誤を確かめる時間を増やすと、点は伸びていました。伸びないときは、時間の中身を確かめるのが先です。

ここで紹介した研究は、大学生や小中学生が中心です。仕事をしながら一人で資格試験を勉強する社会人を、直接調べたものではありません。下の手順は、わかっていることを独学に当てはめたものです。

03 今日からできる小さな一歩点が伸びないとき、勉強時間の中身はどう見直す?

まず1週間の勉強を中身別に記録します。次に読み返しの時間の一部を、思い出す練習と、理由まで書く答え合わせに置き換えます。時間は増やさず、2週間後に小テストで確かめます。

1

1週間の勉強を、中身別に記録する

「読む・まとめる」「本を閉じて思い出す」「問題を解く」「答え合わせ・直し」の4つに分けて、それぞれ何分だったかを毎日メモします。時間の合計ではなく、内訳を見るための記録です。記録のつけ方は勉強の記録の記事も参考に。

所要 1日2分

2

読み返しの時間の半分を、思い出す練習に替える

読んだ範囲を閉じて、要点を白紙に書き出すか、問題を解きます。思い出す練習をしている学生ほど成績が高い、という調査があります[4]。思い出す練習の効果そのものはテスト効果の記事で紹介しています。

所要 1回15分

3

答え合わせで「なぜ違ったか」と「次にどうするか」を書く

丸をつけて終わりにせず、間違えた問題ごとに1行で理由を書きます。「公式を取り違えた→次は公式を書いてから解く」のように、次の動きまで書きます。正誤を返すだけより、進め方の直し方まで含む返し方の方が効果が大きいというメタ分析の結果[5]を、独学に当てはめた方法です。

所要 1問1分

4

集中が切れた時間は、勉強時間に数えない

25〜45分など時間を区切り、終わりに「集中できたか」を3段階でつけます。集中できない時間が続いたら、座り続けずに休むか、別の科目に替えます。集中できないまま長く勉強した日は、嫌な気分が強かったという研究があります[6]。

所要 1回10秒

5

夜遅く・締め切り前のまとめ勉強を、前の日に分ける

試験日や提出日から逆算して、同じ範囲を2〜3日に分けて予定に入れます。成績の低い学生ほど夜遅くの勉強や締め切り直前の勉強が多かった、という調査があります[4]。

所要 週1回5分

6

2週間後、同じ形式の小テストで比べる

時間ではなく点で判断します。最初の週に解いた過去問や問題集の別の回を、同じ時間で解いて比べます。新しいやり方は手応えが小さく感じやすいので、すぐに戻さないことも大切です。

所要 30分

時間の使い方を置き換えるときの目安を表にしました。研究をもとに、この記事で独学向けに当てはめたものです。

時間が点につながりにくい使い方置き換える使い方手順
テキストを読み返す・まとめ直す本を閉じて思い出す。問題を解く手順2
答え合わせは丸つけだけ間違えた理由と、次にどうするかを書く手順3
集中できないまま机に座り続ける時間を区切り、集中が切れたら休む手順4
締め切り前・夜遅くにまとめてやる前もって予定に入れ、日を分ける手順5

04 続けるためのコツ中身を変えても伸びないときは、どうする?

2週間で判断せず、1か月ほど続けて小テストで見ます。それでも伸びないなら、教材の難しさや、試験の形式と練習の形式のずれを疑います。

05よくある質問

勉強時間は長いほど成績が上がりますか?

時間だけでは決まりません。練習量と成績の研究をまとめたメタ分析では、教育の分野で練習量が説明できた成績の差は4%でした。一方、数学の学習ソフトで問題を解いた時間を調べた研究では、時間が長いほど成績が高くなっていました。正誤を確かめながら解く時間を増やすのが近道です。

点が伸びないのは、勉強法が悪いからですか?

勉強法の影響は大きいと考えられます。大学生324人の調査では、自分でテストする学生ほど成績が高く、成績の低い学生は夜遅くや締め切り直前に勉強することが多い傾向がありました。ただし一時点の調査なので、勉強法を変えれば必ず伸びるとは言えません。

答え合わせは丸つけだけではだめですか?

丸つけだけより、間違えた理由と次の直し方まで書く方が効果は大きいと考えられます。435本の研究のメタ分析では、正誤や正しい答えを返す方法の効果は d = 0.46、進め方の直し方まで含む返し方は d = 0.99 でした。

長時間勉強すると疲れて嫌になります。

集中できないまま長く続けると、気分が落ちやすいという研究があります。ドイツの大学生231人の30日間の記録では、集中できないまま長時間勉強した日に、嫌な気分が特に強くなっていました。時間を区切り、集中できた時間だけを数える方が続けやすくなります。

勉強法の早見表で「勉強時間を増やす」の判定を見る
ほかの勉強法も56種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Macnamara, B. N., Hambrick, D. Z., & Oswald, F. L. (2014). Deliberate practice and performance in music, games, sports, education, and professions: A meta-analysis. Psychological Science, 25(8), 1608-1618. https://doi.org/10.1177/0956797614535810
  2. Ericsson, K. A. (2016). Summing up hours of any type of practice versus identifying optimal practice activities: Commentary on Macnamara, Moreau, & Hambrick (2016). Perspectives on Psychological Science, 11(3), 351-354. https://doi.org/10.1177/1745691616635600
  3. Macnamara, B. N., & Maitra, M. (2019). The role of deliberate practice in expert performance: Revisiting Ericsson, Krampe & Tesch-Römer (1993). Royal Society Open Science, 6(8), 190327. https://doi.org/10.1098/rsos.190327
  4. Hartwig, M. K., & Dunlosky, J. (2012). Study strategies of college students: Are self-testing and scheduling related to achievement? Psychonomic Bulletin & Review, 19(1), 126-134. https://doi.org/10.3758/s13423-011-0181-y
  5. Wisniewski, B., Zierer, K., & Hattie, J. (2020). The power of feedback revisited: A meta-analysis of educational feedback research. Frontiers in Psychology, 10, 3087. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.03087
  6. Theobald, M. (2025). Study longer or study effectively? Better study strategies can compensate for less study time and predict goal achievement and lower negative affect. British Journal of Educational Psychology, 95(2), 405-420. https://doi.org/10.1111/bjep.12725
  7. Spitzer, M. W. H. (2022). Just do it! Study time increases mathematical achievement scores for grade 4-10 students in a large longitudinal cross-country study. European Journal of Psychology of Education, 37(1), 39-53. https://doi.org/10.1007/s10212-021-00546-0