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思い出す練習は「頭の中で」でいい?書くとの使い分け6つの手順(思い出し方の研究)

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鉛筆で書きこまれた古い手帳のページ
Photo: John Muir / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

思い出す練習が効くと聞いて、問題を見ては頭の中で答えを浮かべている。でも、いちいち書いた方がいいのか迷う人は多いはずです。研究では、単語のような短い答えなら頭の中でも書くのとほぼ同じ効果がありました。一方、用語の定義のような長い答えでは、書いた方がよく残りました。覚えるものの長さで、思い出し方を使い分けるのが近道です。

3行でわかる

  1. 単語の組み合わせなど短い答えでは、頭の中で思い出すだけでも、書く・言うのと同じくらい後のテストの成績が上がった(4つの実験)。
  2. 用語の定義のような長い答えでは、頭の中で思い出すだけだと読み直しと差がなかった。書いて思い出した方が、2日後の記述テストの正答率が高かった(39%対27%)。
  3. やり方は、覚えるものを「短い答え」と「長い答え」に分け、短い答えは頭の中で思い出してすぐ答えを確かめ、長い答えは要素をキーワードで書き出して数で答え合わせする。

01 悩みの正体頭の中で思い出すだけだと、何が足りない?

頭の中だけだと、答えの一部を思い出したところで「わかった」と止めやすくなります。短い答えでは問題になりにくい一方、要素の多い長い答えでは、思い出しきれていない部分が残りやすいと考えられています。

思い出す練習(何も見ずに答えを思い出すこと)が、読み直しより記憶に残りやすいことは、多くの研究で確かめられています。くわしくは思い出す練習と読み返しの記事で紹介しています。

迷うのは、そのやり方です。書く、声に出す、頭の中で思い浮かべる。研究では、声や文字に出すことを「はっきり思い出す」、頭の中だけで思い浮かべることを「頭の中で思い出す」と分けて比べています。

研究者のTauberらは、頭の中だけだと、長い答えの一部を思い浮かべたところで練習を終えてしまいやすい、と考えています[3]。書けば、どこまで思い出せたかが紙の上で見えます。この違いが、答えの長さによって効いてくるというわけです。

02 科学的にわかっていること頭の中と書くのとで、効果は違う?

短い答えでは、頭の中でも書くのとほぼ同じ効果でした。長い定義では、頭の中だけだと読み直しと差がなく、書いた方がよく残りました。研究の結論は、答えの長さで分かれています。

Smith・Roediger・Karpicke(2013)[1]

4つの実験で、答えをはっきり出して思い出す場合と、頭の中で思い出す場合を比べた。後のテストでの効果は同じくらいで、2日後のテストでも差がなかった。頭の中で思い出すことは、読み直しより記憶に残った。

対象: 学生の実験、覚えたのは分類ごとの単語のリスト / 限界: 短い単語の実験で、説明や定義のような長い答えには当てはまらない可能性がある。

PutnamとRoediger(2013)[2]

単語の組み合わせを覚える3つの実験。1回目のテストで答えを打ち込む、声に出す、頭の中で思い浮かべる、のどれを使っても、後のテストでの効果はほぼ同じだった。打ち込むのと声に出すのとで、思い出せる量にもほとんど差がなかった。

対象: 学生の実験、単語の組み合わせ / 限界: 長い説明を覚える場合は調べていない。

Witherby・Northern・Tauber(2025)[3]

中学2年生65人が、授業で習う理科の用語15個の定義を、書いて思い出す・頭の中で思い出す・読み直す、の3通りで5回の授業にわたって練習した。2日後の記述テストの正答率は、書いた用語が39.19%、頭の中が27.16%、読み直しが29.4%。頭の中で思い出した用語は、読み直しと差がなかった。

対象: アメリカの公立中学の生徒、定義は1〜5個の要素からなる / 限界: 4クラスで用語の割り当てがそろいきらず、クラスと用語の影響が混ざっている。中学生の結果で、大人で同じになるかは直接は確かめていない。

Longら(2026)[4]

日本語を学んだことのない中国の大学生58人が、日本語の単語30個(かな書き)を覚えた。頭の中で5秒思い出して5秒答えを見る練習を7回くり返すと、読み直しより成績がよかった。30日後の見分けるテストでも74.6%対64.2%で上回った。

対象: 大学生58人(30日後のテストは27人) / 限界: 後のテストに参加しなかった人が多く、著者らはその影響で長期の差が大きく見えている可能性を認めている。実験室で単語だけを覚える課題。

Witherbyらは、これまでの研究もまとめています[3]。大学生が用語の定義を覚えた実験(Tauberら、2018年)でも、頭の中で思い出すのは書くより効果が小さく、読み直しと差がありませんでした。

一方、大学の授業で調べた研究(SumerackiとCastillo、2022年)では、頭の中と書くとの差ははっきりしませんでした[3]。研究はまだ少なく、結論は割れています。ここで紹介した研究は、どれも実験室か学校の授業での短い期間のものです。社会人が何か月も独学する場合に同じになるかは、直接は確かめられていません。

03 今日からできる小さな一歩頭の中と書くのは、どう使い分ける?

覚えるものを「短い答え」と「長い答え」に分けます。短い答えは頭の中で思い出してすぐ答えを確かめ、長い答えは要素をキーワードで書き出して、いくつ言えたかで答え合わせします。

1

覚えるものを「短い答え」と「長い答え」に分ける

単語・用語の名前・年号のように一言で答えられるものが短い答え。定義・理由・手順のように要素が2つ以上あるものが長い答えです。問題集やカードに「短」「長」と印をつけます。

所要 10分

2

短い答えは、頭の中で思い出してすぐ答えを見る

問いを見たら数秒考えて答えを思い浮かべ、すぐ正解を確かめます。単語の実験では、この形でも書くのと同じくらいの効果がありました[1][2][4]。思い浮かばないときは、あいまいなまま次へ行かず、正解を見てから次に進みます。

所要 1問5〜10秒

3

長い答えは、キーワードで書き出す

定義や理由は、頭の中で「だいたいわかる」で止めずに書きます。きれいな文章にする必要はありません。「狭い帯/強い風/上空」のように、要素を区切って並べます。

所要 1問1〜2分

4

答え合わせは「要素の数」で数える

Witherbyらの研究では、定義を要素(1〜5個)に分けて採点していました[3]。これにならい、正解の要素のうちいくつ書けたかを「3/4」のように記録します。抜けた要素に印をつけ、次はそこから思い出します。

所要 1問30秒

5

書けない場所では、短い答えの練習に回す

電車の中やすきま時間は、短い答えのカードを頭の中で回します。長い答えの練習は、机に向かえる時間に残しておきます。

所要 すきま時間

6

日をあけて、もう一度思い出す

研究では、5回の授業や7回のくり返しで練習していました[3][4]。1回で覚えたことにせず、日をあけてまた思い出します。間隔は復習タイミング計算機で決められます。

所要 1回10〜15分

覚えるものと思い出し方の対応表です。研究をもとに、この記事で独学向けに当てはめたものです。

覚えるもの思い出し方研究
英単語・外国語の単語の意味頭の中で思い出し、すぐ答えを見る頭の中でも効果あり[2][4]
用語の名前・年号・公式の名前頭の中で思い出し、すぐ答えを見る短い答えの実験から当てはめ[1][2]
用語の定義・意味の説明要素をキーワードで書き出す書いた方がよく残った[3]
理由・手順・しくみの説明要素をキーワードで書き出し、数で答え合わせ定義の研究から当てはめ[3]

04 続けるためのコツ書く練習が面倒で続かないときは?

全部を書く必要はありません。書くのは長い答えだけに絞り、文章ではなくキーワードで済ませます。短い答えは頭の中で回せば、時間を大きく増やさずに続けられます。

  • 書くのは「長い」の印がついた問題だけにする。
  • キーワードを書いたら、すぐ答えと照らし合わせる。抜けた要素だけを次の練習に回す。
  • 「思い出せた気がする」で止めない。覚えたかどうかの見きわめ方は暗記のチェック表の記事で紹介しています。
  • カードの作り方と回し方は暗記カードの使い方の記事も参考に。

05よくある質問

頭の中で思い出すだけでも、覚える効果はありますか?

単語の組み合わせのような短い答えでは、頭の中で思い出しても、書いたり言ったりするのと同じくらい後のテストの成績が上がった実験があります。ただし、用語の定義のような長い答えでは、頭の中だけだと読み直しと差がなく、書いた方がよく残った研究があります。

書くのと声に出すのは、どちらがいいですか?

単語の組み合わせを覚える実験では、答えを打ち込むのと声に出すのとで、後のテストの成績にほとんど差がありませんでした。長い説明について、声に出すのと書くのを比べた研究は、この記事で調べた範囲では見つかりませんでした。

電車の中など書けない場面では、どうすればいいですか?

単語や用語名のような短い答えの練習に回し、頭の中で思い出してから答えを見て確かめます。定義や手順のような長い答えは、書ける場所での練習に回すのが、研究の結果に沿った使い分けです。

書くと時間がかかって、量をこなせません。

全部を書く必要はありません。短い答えは頭の中で、長い答えだけを書く、と分ければ時間を節約できます。書くときも文章にせず、要素をキーワードで並べるだけで構いません。

出典

  1. Smith, M. A., Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2013). Covert retrieval practice benefits retention as much as overt retrieval practice. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 39(6), 1712-1725. https://doi.org/10.1037/a0033569
  2. Putnam, A. L., & Roediger, H. L. (2013). Does response mode affect amount recalled or the magnitude of the testing effect? Memory & Cognition, 41(1), 36-48. https://doi.org/10.3758/s13421-012-0245-x
  3. Witherby, A. E., Northern, P. E., & Tauber, S. K. (2025). Does covert retrieval benefit adolescents' learning in 8th grade science classes? Behavioral Sciences, 15(7), 843. https://doi.org/10.3390/bs15070843
  4. Long, S., Wang, Y., Chen, J., Cao, H., & Tang, Y. (2026). The benefits of covert retrieval practice on short- and long-term L3 vocabulary retention. Behavioral Sciences, 16(7), 1124. https://doi.org/10.3390/bs16071124