英単語の復習スケジュール表と「思い出せたか」記録表。分散学習とテスト効果の研究から作った使い方

単語帳を何周もしたのに、試験の日には思い出せない。復習が大事なのはわかっていても、「いつ」「どの単語を」やり直せばいいのかは決めにくいものです。この記事では、間をあけた復習(分散学習)と思い出す練習(テスト効果)の研究をもとに、単語の復習スケジュール表と、単語ごとの「思い出せたか」記録表を作りました。
3行でわかる
- 1回目の復習までの間隔は、使う日までの期間で変わる。1週間後に使うなら期間の20〜40%(1〜3日後)、1年後なら5〜10%(約3〜5週間後)が最もよく残った。
- 外国語の単語の実験では、一度正しく言えた単語をテストから外すと、後日の成績が下がった。読み直しを続けても効果はなく、テストを続けると残った。
- 表1で復習日を決め、表2に単語ごとの「思い出せたか」を記録し、表3で間隔を見直す。
01 悩みの正体単語帳を何周もしても忘れるのはなぜ?
復習の「間隔」が使う日に合っていないことと、覚えたつもりの単語をテストから外してしまうことが、主な理由として考えられます。どちらも表で決めて記録すると避けやすくなります。
同じ単語を続けて何回も見ると、その場では覚えた気がします。しかし研究では、復習の間隔をあける方が長く残り、最もよい間隔は「いつ使うか」で変わりました[1][3]。また、自分の「覚えた」という予想は、実際の成績とほとんど関係がありませんでした[4]。だから、手応えではなく、表で決めた日に、思い出せたかどうかを記録する方が確実です。
仕組みをくわしく知りたい人は間をあけて復習すると忘れにくいのはなぜ?を、単語の覚え方の手順は英単語の効率的な覚え方を読んでください。この記事は、その研究を「使える表」にしたものです。
02 科学的にわかっていること復習の間隔と記録の付け方は、何を根拠にする?
間隔の目安は、1,350人以上が参加した大規模な実験と、800以上の結果をまとめたメタ分析から。思い出せた単語も外さない、というルールは外国語の単語の実験から取りました。
Cepedaら(2008)[1]
1,350人以上にいくつかの事実を覚えてもらい、最長3.5か月の間をあけて1回復習させ、さらに最長1年後にテストした。間隔を広げると成績は最初に上がり、その後ゆっくり下がった。最もよい間隔は、テストまでの期間の20〜40%(1週間後のテスト)から、5〜10%(1年後のテスト)へと、期間が長いほど割合として小さくなった。
対象: 1,350人以上の参加者 / 限界: 覚えたのは単語ではなく事実で、復習は1回だけ。何度も復習する場合の最もよい間隔は、この研究ではわからない。
Cepedaら(2009)[2]
外国語の単語・事実・物の名前を覚える、3回の来室(セッション)からなる2つの実験。テストは最長6か月後。最もよい間隔をとると、最終テストの成績が最大で150%上がった。間隔を広げると成績は最初に急に上がり、その後ゆるやかに下がった。著者らは、前に学んだ内容をくり返し含める復習(積み上げ型の復習)の大切さを強調している。
対象: 実験室に来た参加者 / 限界: 学習の回数が決まった実験で、独学のように何か月も新しい単語が加わり続ける状況とは違う。
Cepedaら(2006)[3]
184本の論文の317の実験、839の結果をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。最もよく残る復習の間隔は、テストまでの期間が長くなるほど長くなった。
対象: 言葉を覚えて思い出す課題の実験 / 限界: まとめられた研究は、間隔がごく短いものが多かった(Cepedaら2008年の指摘[1])。
KarpickeとRoediger(2008)[4]
大学生が外国語の単語を覚えた実験。正しく答えられた単語を、①テストから外して読み直しだけ続ける、②読み直しから外してテストだけ続ける、などの条件で比べた。正しく言えた後に読み直しを続けても、後日の成績に効果はなかった。テストを続けると、大きく成績が上がった。学生自身の成績の予想は、実際の成績と関係がなかった。
対象: 大学生 / 限界: 実験室で単語の組を覚える課題。文の中で使えるかは調べていない。
Yangら(2021)[5]
実際の授業でテスト(小テスト)を使った222の研究、48,478人分をまとめたメタ分析。テストをすると成績は中くらいの大きさで上がった(g=0.499)。効果の大きさは、答え合わせ(正解を知らせること)の有無や、テストのくり返しの回数などで変わった。
対象: 学校・大学の授業 / 限界: 単語に限らない幅広い教科。一人で学ぶ独学の研究ではない。
これらは実験室や授業での結果で、働きながら何か月も単語を覚え続ける独学とは条件が違います。下の表は「この通りにすれば必ず覚えられる」ものではなく、研究の考え方を独学で使いやすくした目安です。
03 使える表単語の復習日と記録は、どう決める?
表1で、使う日(試験日など)から1回目の復習日を決めます。表2に単語ごとの○×を記録し、表3で次の間隔を見直します。紙でもメモアプリでも使えます。
表1 1回目の復習までの間隔の目安。覚えた日から、使う日(試験日・旅行・面接など)までの期間で選びます。
| 使う日までの期間 | 1回目の復習の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 約1週間 | 1〜3日後(期間の20〜40%) | 研究で最もよく残った割合[1] |
| 約1年 | 18〜36日後、約3〜5週間後(期間の5〜10%) | 研究で最もよく残った割合[1] |
| 1か月〜数か月 | 上の2つの間。期間が長いほど、割合は小さく、日数は長く | 研究の両端から、このサイトがまとめた目安[1][3] |
迷ったら、短すぎるより少し長めを選びます。研究では、間隔を広げると成績は最初に急に上がり、その後はゆるやかに下がっていました[1][2]。日付の計算は復習タイミング計算機でもできます。
表2 単語ごとの「思い出せたか」記録表。日本語(意味)を見て英語を思い出し、答えを確かめてから○か×を付けます。
| 単語 | 覚えた日 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
|---|---|---|---|---|---|
| 例 reluctant | 10/1 | 10/3 × | 10/4 ○ | 10/9 ○ | 10/20 ○ |
| 例 abundant | 10/1 | 10/3 ○ | 10/8 ○ | 10/19 × | 10/20 ○ |
記録のルールは3つです。①先に思い出してから答えを見る(答えを見ながらの「確認」は記録しない)。②答えを必ず確かめる(答え合わせの有無で、テストの効果の大きさが変わっていた[5])。③○が付いても、その単語を表から外さない[4]。
表3 記録を見て、次の復習日を決める表。この表は、研究の考え方からこのサイトが作った目安で、日数そのものを研究で確かめたものではありません。
| 記録に見えたこと | 次にやること |
|---|---|
| ×だった | 翌日にもう一度テストし、○になってから元の予定に戻す |
| ○が1回だけ | 表から外さず、前回と同じくらいか少し長い間隔で次の復習日を入れる[4] |
| ○が3回以上続いた | 間隔を前回より長くする。ただし使う日の前に、もう1回は入れる[2] |
| ○と×をくり返す | 似た単語と混ざっていないか確かめ、例文を1つ自分で作る |
| 復習日が多すぎて回らない | 新しい単語を足す量を減らす。復習を後回しにして新しい単語を増やさない |
4行目の「似た単語が混ざる」理由は似た単語をまとめて覚えると混ざるのはなぜ?にまとめています。
04 続けるためのコツ記録表を三日坊主にしないには?
1日に足す単語の数を、復習が回る量に絞ります。記録は○×だけにして、1語数秒で終わる形にします。
- 新しい単語は少なめに。単語が増えるほど復習日も増えます。最初の2週間は1日10語ほどから始め、表が回るか確かめます。
- ×を責めない。×は、どの単語に時間を使えばよいかを教えてくれる情報です。忘れた後の覚え直しは忘れた後の覚え直しの研究を参考にしてください。
- 手応えで飛ばさない。「もう覚えた」という予想は当てになりませんでした[4]。予定の日には、覚えたと思う単語もテストします。
05よくある質問
一度思い出せた単語は、もう復習しなくていい?
外さない方がよいという実験があります。外国語の単語を覚える実験で、正しく言えた単語をテストから外すと、後日の成績が下がりました。読み直しを続けても効果はなく、テストを続けた方が後で思い出せました[4]。
復習の間隔は、長すぎるのと短すぎるのはどちらが損?
研究では、間隔を広げると成績は最初に急に上がり、その後ゆっくり下がりました[1][2]。少し長すぎても大きくは損をしにくく、詰めすぎの方が損が大きいと読めます。
単語帳アプリの自動の復習間隔に任せてもいい?
かまいません。この記事の表は、紙やメモでも同じことができるように研究の考え方を表にしたものです。どの方法でも、思い出してから答えを確かめることと、思い出せた単語も続けてテストすることが大事です。
出典
- Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11), 1095–1102. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x
- Cepeda, N. J., Coburn, N., Rohrer, D., Wixted, J. T., Mozer, M. C., & Pashler, H. (2009). Optimizing distributed practice: Theoretical analysis and practical implications. Experimental Psychology, 56(4), 236–246. https://doi.org/10.1027/1618-3169.56.4.236
- Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
- Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319(5865), 966–968. https://doi.org/10.1126/science.1152408
- Yang, C., Luo, L., Vadillo, M. A., Yu, R., & Shanks, D. R. (2021). Testing (quizzing) boosts classroom learning: A systematic and meta-analytic review. Psychological Bulletin, 147(4), 399–435. https://doi.org/10.1037/bul0000309


