勉強法

試験勉強は何から始める?「何を・なぜ・いつどう使うか」の3つの問いで作戦を立てるやり方(戦略的な教材選びの研究と再現の失敗)

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白い机の上のノートパソコンと花
Photo: www.Pixel.la Free Stock Photos / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

試験が近づくと、とりあえずテキストを開いて読み始める。でも、それが一番いい勉強のしかたかは、あまり考えないものです。研究からのおすすめは、試験の1週間ほど前に「何を使うか」「なぜ役立つか」「いつ・どこで・どう使うか」の3つの問いに答えてから勉強することです。大学の授業では成績が上がった実験がある一方、効果が出なかった追試もあります。その両方をふまえて、独学での手順をまとめます。

3行でわかる

  1. 試験前に3つの問いで勉強の作戦を立てた大学生は、立てなかった学生より授業の成績が平均3.45〜4.65ポイント高かった(2つのランダム化比較試験)。
  2. 1万2,065人が自由に使えるようにした調査でも、使った学生の試験の点は2.17ポイント高かった。ただし、効果が出なかった追試もある。
  3. 独学では、①試験の形式を書く ②使える教材を全部並べる ③選んだ理由を書く ④いつ・どこで・どう使うかを決める ⑤試験ごとにくり返す、の順で取り入れる。

01 悩みの正体試験勉強は、なぜ「とりあえず読む」になりやすい?

教材や勉強法がたくさんあっても、試験に合わせてどれをどう使うかを考える人は多くありません。締め切りが近づいてから、慣れたやり方で詰めこみやすいことが調査でわかっています。

大学生324人に勉強のしかたを聞いたHartwigとDunlosky(2012)の調査では、どの学生も、とくに成績が低めの学生ほど、締め切りが迫ったものから勉強していました。成績が低めの学生には、夜遅くに勉強する傾向もありました[5]。

教材や問題集、講義動画、質問できる人。使えるものが多いほど、選ばずに「いつものやり方」で済ませがちです。そこで、勉強を始める前に作戦を立てる時間をとる方法が研究されてきました。

どの勉強法を組み合わせるかの全体像は勉強法の選び方の記事で扱いました。この記事では、試験の前に作戦を立てる手順に絞ります。

02 科学的にわかっていること試験前に勉強の作戦を立てると、点は上がる?

大学の統計学の授業で行われた2つの実験では、作戦を立てた学生の成績が上がりました。ただし大規模な調査での差は小さく、別の大学での追試では効果が出ませんでした。

Chenら(2017)[1]

試験の前に、くじで選ばれた学生だけが3つの問いに答えた。「試験の準備に役立つのは、どの教材や人か」「それはなぜ役立つか」「いつ・どこで・どう使うか」。答えた学生は、答えなかった学生より授業の成績が平均3.45ポイントと4.65ポイント高かった(成績の評価で約3分の1段階分)。

対象: 大学の統計学入門の授業の学生、2学期分(計361人)。学生にも評価する側にも条件を知らせない形のランダム化比較試験 / 限界: 1つの大学の1つの授業での結果。

Chenら(2022)[2]

同じ作戦づくりをアプリにして、理系・経済の14の授業の1万2,065人が自由に使えるようにした。使った学生は使わなかった学生より、試験の点が平均2.17ポイント高かった(効果量0.18)。入試の成績をそろえると1.65ポイントになった。試験より早めに使った人ほど差が大きかった。

対象: 米国の大規模な公立大学の学生 / 限界: くじで分けた実験ではなく、使うかどうかを学生が自分で選んだ。著者らも、この形のデータから結論を出す限界を認めたうえで、複数の分析で確かめている。

Salamonら(2025、査読前の論文)[3]

ハンガリーの経済学部1年生261人の数学の授業で、同じ方法を事前登録して試した。試験の点、成績の平均、退学率のどれにも効果はなく、気持ちの面の効果も見られなかった。

限界: 査読を受ける前の論文(プレプリント)。著者らは、元の方法との違いや、授業への合わせ方が結果に影響した可能性を挙げている。

まとめると、試験前に作戦を立てる方法は、うまくいけば手間に対して効果がある一方、どこでも効くとはまだ言えません。どれも大学の授業の研究で、独学の社会人で確かめたものではありません。

ただ、作戦を立てるときに選ぶ中身には、強い根拠があります。10の勉強法を調べたDunloskyら(2013)のレビューでは、問題を解いて思い出す練習と日をあけた復習が「有用性が高い」と評価され、読み返しや線引きは「低い」と評価されました[4]。

03 今日からできる小さな一歩試験前の作戦は、どう立てればいい?

試験の1週間〜10日前に、試験の形式を書き出し、使える教材を並べ、選んだ理由と使い方を書きます。研究で使われた3つの問いに、紙1枚で答える形です。

1

試験の形式と範囲を書き出す

選択式か記述式か、計算問題はあるか、範囲はどこまでか。研究で使われたアプリでも、最初に試験の形式と求められることを考えさせていました。

所要 5分

2

使える教材と人を、全部並べる

テキスト、問題集、過去問、講義動画、自分のノート、質問できる人や掲示板。まずは選ばずに全部書きます。

所要 5分

3

役立ちそうなものを選び、「なぜ」を1行ずつ書く

「過去問:本番と同じ形式で、思い出す練習になるから」のように理由を書きます。理由が「読むと安心するから」だけなら、問題を解く教材に替えられないか考えます。過去問の使い方は過去問の記事で紹介しています。

所要 5分

4

「いつ・どこで・どう使うか」を決める

「平日の夜、机で、過去問を1年分解いて間違いを直す」のように書きます。日にちの割りふりは試験日から逆算する計画の記事が使えます。

所要 5分

5

次の試験や模試の前に、もう一度答える

元の実験でも、作戦づくりは試験ごとにくり返していました。前回の作戦で「使わなかった教材」「役に立った教材」を見直してから、新しく答えます。

所要 10分

書き方の例です。研究で使われた3つの問いを、そのまま表の列にしています。

何を使う?なぜ役立つ?いつ・どこで・どう使う?
過去問本番と同じ形式で、思い出す練習になる土曜の朝、図書館で1年分を時間を計って解く
問題集の間違えた問題苦手な所だけをくり返せる平日の夜、机で10問ずつ解き直す
テキストの要点解けなかった問題の理由を確かめられる間違えた問題の直後に、該当ページだけ読む
質問できる人・掲示板自分で解決できない疑問を残さない週末にまとめて質問を1つ送る

04 続けるためのコツ作戦を立てても、その通りに勉強できないときは?

作戦は早めに立て、細かすぎない形にします。大規模な調査では、試験より早めに作戦を立てた人ほど点の差が大きく、平均では試験の7日前に使われていました。

  • 作戦づくりは、試験の1週間〜10日前に。直前に立てるより、使う時間が残る。
  • 「いつ・どこで」は、すでにある予定に結びつける。決め方は「いつ・どこでやるか」を決める研究の記事で扱っている。
  • 作戦通りに進まなくても、失敗ではない。次の作戦で「使えなかった理由」を書いて直す。
  • 読み返しに偏っていたら、半分を問題演習に替える。理由は思い出す練習の記事にある。

05よくある質問

試験前に勉強の作戦を立てると、本当に点が上がるの?

上がった実験と、上がらなかった実験があります。大学の統計学の授業で行われたChenら(2017)の2つの実験では、作戦を立てた学生の成績が平均3.45ポイントと4.65ポイント高くなりました。一方、ハンガリーの大学で同じ方法を試したSalamonら(2025、査読前)では、効果は見られませんでした。

作戦を立てる時間があったら、その分勉強した方がいいのでは?

この記事の手順なら、作戦づくりは紙1枚・30分ほどで終わります。その時間で、効果の低い読み返しを問題演習に替えられれば、勉強時間全体の中身が良くなります。Dunloskyら(2013)のレビューでは、問題を解いて思い出す練習と日をあけた復習が最も有用と評価されています。

資格試験の独学でも使える?

使えますが、研究で確かめられたのは大学の授業の試験です。独学では、使える教材を自分で集める必要があります。試験の形式を確かめ、過去問や問題集など「解く教材」を作戦の中心に置くと、研究でわかっていることに沿った使い方になります。

いつ作戦を立てるのがいい?

試験の1週間〜10日前が目安です。1万2,065人を調べたChenら(2022)では、作戦づくりのアプリは試験の10日前から使えるようになっていて、平均7日前に使われていました。早く使った人ほど、点の差が大きくなっていました。

出典

  1. Chen, P., Chavez, O., Ong, D. C., & Gunderson, B. (2017). Strategic resource use for learning: A self-administered intervention that guides self-reflection on effective resource use enhances academic performance. Psychological Science, 28(6), 774–785. https://doi.org/10.1177/0956797617696456
  2. Chen, P., Teo, D. W. H., Foo, D. X. Y., Derry, H. A., Hayward, B. T., Schulz, K. W., Hayward, C., McKay, T. A., & Ong, D. C. (2022). Real-world effectiveness of a social-psychological intervention translated from controlled trials to classrooms. npj Science of Learning, 7, 20. https://doi.org/10.1038/s41539-022-00135-w
  3. Salamon, J., Fülöp, O., & Orosz, G. (2025). A one-session strategic resource use intervention among Hungarian economics students. PsyArXiv(査読前の論文). https://doi.org/10.31234/osf.io/uzc9y_v2
  4. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
  5. Hartwig, M. K., & Dunlosky, J. (2012). Study strategies of college students: Are self-testing and scheduling related to achievement? Psychonomic Bulletin & Review, 19(1), 126–134. https://doi.org/10.3758/s13423-011-0181-y
  6. Chen, P. (2026). Asking better questions: Strategic questioning as a psychologically wise intervention. Perspectives on Psychological Science, 21(1), 80–95. https://doi.org/10.1177/17456916251383825