続け方・習慣

完璧にやろうとして勉強が続かない。どう立て直す?完璧主義と学びの研究

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鉛筆と消しゴム
Photo: Alex Morfin / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

ノートをきれいにまとめないと先に進めない。1日でも予定を外すと、全部やめたくなる。そんな自分を「根性が足りない」と責める必要はありません。研究から言えるのは、高い目標を持つことと、完璧でないと許せないことは別もので、勉強を止めやすいのは後者だということです。

3行でわかる

  1. 学生の67研究をまとめたメタ分析では、高い基準を持つことは成績と良い方向に関係していた。一方、ミスを恐れる「完璧への心配」は、先延ばし・試験不安・燃え尽きと結びついていた。
  2. 完璧を目指す大学生はA+を目標にしやすかったが、成績は高い水準を目指しつつ完璧にこだわらない学生より悪かった。完璧主義は、心理療法の15の試験で大きく軽くなっていた。
  3. 立て直しは、①止まった理由を書く ②「8割で次へ」の線を決める ③ほどほどで終えて翌日確かめる ④見直しの回数を決める ⑤時間で区切る ⑥勉強以外の自分の良さを書く、の6つ。

01 悩みの正体完璧にやろうとすると、なぜ勉強が続かない?

続かなくなるのは、目標が高いからではありません。「ミスしたらダメ」「完璧でなければやる意味がない」という心配の側が、先延ばしや疲れにつながりやすいと研究は示しています。

ノートをきれいにまとめ直さないと先に進めない。問題集を1冊完璧にしてから次へ、と決めて止まる。1日でも予定を外すと「もう台無しだ」と感じて投げ出す。こうした悩みの裏にあるのが、完璧主義です。

研究では、完璧主義を2つの面に分けて考えます。1つは高い目標を持って努力する面(完璧への努力)。もう1つは、ミスを過度に気にし、自分の出来に満足できない面(完璧への心配)です。

勉強が続かなくなるのは、主に後者の「心配」の側です。始める前から「うまくできなかったら」と考えると、手をつけること自体がつらくなります。先延ばしの仕組みは勉強を先延ばしにしてしまうのはなぜ?で、失敗した自分を責めてしまうときの立て直しは自分への思いやりの研究でまとめました。この記事では、完璧を求める癖そのものをどうゆるめるかに絞ります。

02 科学的にわかっていること完璧主義は、勉強の成績に役立つ?

ミスを恐れる「心配」の側は、成績の低さ、先延ばし、燃え尽きと結びついていました。完璧を目指す人は、優秀さを目指す人より成績が悪かったという研究もあります。

Osenkら(2020)[1]

学生を対象にした67の研究(378の効果量)をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。「高い基準を持つ」ことは成績と良い方向に関係していた。一方、完璧への心配を表す尺度はすべて、試験不安・先延ばし・燃え尽きなど「学びに不利な結果」と結びついていた。「理想と現実のずれ」「自分の行動への疑い」は、成績の低さとも関係していた。

対象: 平均19.31歳の学生 / 限界: アンケートで同時に測った関係が中心で、完璧主義が成績を下げた(因果)とまでは言えない。

HillとCurran(2016)[2]

43の研究(9,838人)をまとめたメタ分析。完璧への心配は、燃え尽きと中〜大きめの正の関係があった。完璧への努力は、燃え尽きとの関係が小さいか、はっきりしなかった。

対象: 仕事・スポーツ・学校の3つの場面 / 限界: 多くは一度に測った調査で、どちらが原因かはわからない。著者らも、縦に追う研究が必要だと書いている。

Gaudreauら(2022)[3]

完璧を目指すこと(完璧主義)と、高い水準を目指すが完璧にはこだわらないこと(優秀さの追求)を分けて測った5つの研究(計2,157人)。大学生では、完璧を目指す人ほどA+(満点の評価)を目標にしていたが、実際の成績は優秀さを目指す人より悪かった。4回にわたって追った研究では、優秀さの追求は上向きの、完璧主義は下向きの変化と結びついていた。

対象: 大学生など / 限界: 新しく作られた尺度での最初の検証で、同じ結果がほかの国や社会人でも出るかはまだ確かめられていない。

Gallowayら(2022)[4]

完璧主義を対象にした認知行動療法(考え方と行動を少しずつ変える心理療法)の15のランダム化比較試験(912人、平均23歳)をまとめたメタ分析。ミスへのとらわれは大きく減り(g=0.89)、不安(g=0.42)や気分の落ち込み(g=0.60)も軽くなった。対面だけでなく、本などを使うセルフヘルプの形も含まれていた。

対象: 完璧主義に悩む人(多くは若い成人) / 限界: 試験の数がまだ少なく、ほかの心理療法と直接くらべた研究も少ないと著者ら自身が書いている。

まとめると、目標が高いこと自体は問題ではありません。問題になりやすいのは、「完璧でなければ失敗」という基準と、ミスへの強い心配です。そして、その癖は練習で変えられることが、治療の研究から示されています。

ここで紹介した研究の多くは大学生や若い大人のアンケートです。一人で資格や語学を学ぶ社会人に、同じ大きさで当てはまるかはわかっていません。

完璧を求める勉強高い目標を持つ勉強
目標満点・一字一句・全部8割・合格点・大事な所から
ミスしたとき「やっぱりダメだ」と止まるどこを直すかを1つ決めて進む
予定が崩れたら「全部台無し」と投げ出す残りの日で量を減らして続ける
時間の使い方清書・見直しのくり返し問題を解く・思い出すに使う
研究との関係先延ばし・燃え尽きと結びつく[1][2]成績と良い方向に結びつく[1][3]

03 今日からできる小さな一歩完璧主義で止まった勉強を、どう立て直す?

基準を「完璧」から「8割で次へ」に変え、わざと完璧でないやり方を試して、本当に困るかを確かめます。完璧主義の心理療法で中心になっている「行動の実験」を、勉強用に小さくした手順です。

完璧主義の認知行動療法では、「完璧でないとまずいことになる」という予想を、実際に試して確かめる練習が中心になります[5]。作業にかける時間を減らす、あえて「ほどほど」の出来で終える、くり返しの確認を減らす、といった課題です。次の6つは、それを勉強に当てはめたものです。

1

止まっている理由を1行で書く

「ノートが汚いから先に進めない」「1問でも間違えるのが嫌」など、何を完璧にしようとして止まったのかを書きます。完璧への心配のどこに当たるかが見えると、何を試せばよいかが決まります。

所要 3分

2

「ここまでで次へ」の線を先に決める

「練習問題で8割できたら次の章へ」「ノートは箇条書きまで、清書しない」のように、終わりの線を始める前に決めます。満点を目指した学生ほど成績が悪かった研究[3]のとおり、目標は高くても完璧である必要はありません。

所要 5分

3

予想を書いてから、ほどほどで終えてみる

「清書しないと覚えられない」という予想を書き、今日は清書せずに先へ進みます。翌日、何も見ずに内容を書き出す小テストをして、予想が当たったかを確かめます。困らなければ、その分の時間を次の範囲に使えます。

所要 15〜30分+翌日5分

4

見直し・やり直しの回数を決める

「1章の見直しは1回まで」「同じページを3回以上読み直さない」と回数で上限を決めます。くり返しの確認を減らすことは、完璧主義の治療で取り組む課題の1つです[5]。

所要 2分(決めるだけ)

5

予定は「時間」で区切る

「この章が完璧になるまで」ではなく、「25分たったら、どこまで進んでいても次へ」と時間で区切ります。終わらなかった所には印をつけ、2周目で戻ります。

所要 25分×1〜2回

6

勉強以外の「自分の良いところ」を書き足す

自分の価値を勉強の出来だけで決めていると、ミスのたびに強く落ち込みます。治療では、自分を評価する分野を広げる練習をします[5]。家族、趣味、体調、仕事など、勉強以外で大事にしていることを3つ書きます。

所要 5分

完璧でない自分を責める気持ちが強くて眠れない、何週間も気分が落ち込むなど、つらさが続くときは一人で抱えず相談してください(こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556)。完璧主義は認知行動療法で軽くなることが確かめられています[4]。

04 続けるためのコツまた完璧を求めて止まりそうなときは?

「ほどほどでやった日」を記録に残し、困らなかった証拠を積み上げます。止まりそうになったら、手順2で決めた「次へ進む線」に戻ります。

  • 結果より「進んだ範囲」を記録する。何点だったかより、何ページ・何問進んだかを書くと、完璧でない日も前進として残ります。
  • 完璧にできなかった日も、記録はつける。1日抜けても習慣づくりはほぼ崩れないことは、三日坊主からの立て直しで紹介した研究で示されています。
  • 疲れ切る前に区切る。完璧への心配は燃え尽きと結びついていました[2]。もう燃え尽きかけていると感じたら、勉強の燃え尽きから回復する手順を先に試してください。
  • 基準を下げるのではなく、置き場所を変える。「満点」をやめて「合格点を確実に」と言い換えると、高い目標はそのまま残せます。

05よくある質問

完璧主義は、勉強に悪いことばかりなの?

いいえ。高い基準を持つこと自体は、成績と良い方向に関係していました。勉強を止めやすいのは、ミスを恐れて「完璧でなければ失敗」と考える心配の側です。目標は高いまま、完璧でなくても次へ進む線を決めるのがおすすめです。

「8割で次へ」だと、穴が残って試験に落ちない?

残った穴は、2周目や問題演習で戻って埋めます。1周目で全部を完璧にしようとすると、後半の範囲に手が回らなくなりがちです。どこが穴かに印をつけておけば、ほどほどで進んでも見失いません。

完璧主義は性格だから、変えられない?

変えられる見込みがあります。完璧主義を対象にした認知行動療法の15の試験をまとめた研究では、ミスへのとらわれが大きく減っていました。本などを使うセルフヘルプの形も含まれています。

ノートをきれいに作るのはやめた方がいい?

きれいに作ること自体が悪いわけではありません。ただ、清書に時間を取られて問題を解く時間がなくなっているなら、箇条書きで止めて、空いた時間を思い出す練習に回す方が、試験に向けた力になりやすいでしょう。

出典

  1. Osenk, I., Williamson, P., & Wade, T. D. (2020). Does perfectionism or pursuit of excellence contribute to successful learning? A meta-analytic review. Psychological Assessment, 32(10), 972–983. https://doi.org/10.1037/pas0000942
  2. Hill, A. P., & Curran, T. (2016). Multidimensional perfectionism and burnout: A meta-analysis. Personality and Social Psychology Review, 20(3), 269–288. https://doi.org/10.1177/1088868315596286
  3. Gaudreau, P., Schellenberg, B. J. I., Gareau, A., Kljajic, K., & Manoni-Millar, S. (2022). Because excellencism is more than good enough: On the need to distinguish the pursuit of excellence from the pursuit of perfection. Journal of Personality and Social Psychology, 122(6), 1117–1145. https://doi.org/10.1037/pspp0000411
  4. Galloway, R., Watson, H., Greene, D., Shafran, R., & Egan, S. J. (2022). The efficacy of randomised controlled trials of cognitive behaviour therapy for perfectionism: a systematic review and meta-analysis. Cognitive Behaviour Therapy, 51(2), 170–184. https://doi.org/10.1080/16506073.2021.1952302
  5. Rozental, A. (2020). Beyond perfect? A case illustration of working with perfectionism using cognitive behavior therapy. Journal of Clinical Psychology, 76(11), 2041–2054. https://doi.org/10.1002/jclp.23039