集中・環境

花粉症の季節、勉強に集中できない。どう立て直す?花粉と試験の成績、眠くなる薬の研究

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花粉を飛ばすハンノキの花穂
Photo: David Lally / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

鼻がつまり、目がかゆく、頭がぼんやりする。花粉の季節になると、机に向かっても集中が続かない。薬を飲めば今度は眠くなる。それは気合いが足りないからではありません。研究では、花粉症の症状がある時期や花粉が多い日に、試験の成績が下がりやすいことがわかっています。症状の波に合わせて勉強の中身を組みかえ、眠くなる薬については専門家に相談するのが立て直しの軸です。

3行でわかる

  1. イギリスの15〜17歳1,834人の調査では、試験期間に花粉症の症状があった生徒は、成績を1段階以上落とす割合が高かった。眠くなる抗ヒスタミン薬を飲んでいた生徒は、さらに高かった。
  2. ノルウェーとフィンランドの試験データでも、花粉が多い日に受けた試験では点が下がる傾向があった。ただし下がり方は平均すると小さい。
  3. 症状と眠気を毎日記録し、新しい範囲や計算のような重い勉強は症状の軽い日や時間に寄せる。眠くなる薬が気になるときは医師か薬剤師に相談する。

01 悩みの正体花粉症で勉強に集中できないのはなぜ?

鼻水・鼻づまり・目のかゆみといった症状そのものが、注意を奪います。さらに、薬の種類によっては眠気が出て、頭の働きが落ちることがあります。「症状」と「薬の眠気」の2つを分けて考えます。

花粉症は、医学ではアレルギー性鼻炎(季節性)と呼ばれます。症状がある間は、鼻や目の不快感に注意が向き、勉強に使える注意が減ります。

もう一つが薬です。花粉症の薬としてよく使われる抗ヒスタミン薬には、脳に入りやすく眠気を起こしやすい古いタイプ(第1世代)と、眠気が出にくい新しいタイプ(第2世代)があります[6]。どちらが原因で集中できないのかで、立て直し方が変わります。

02 科学的にわかっていること花粉症は勉強や試験の成績に響く?

響きやすいことが、複数の国の試験データで示されています。症状がある生徒や、花粉の多い日に受けた試験では、成績が下がる傾向がありました。眠くなる薬を飲んでいた生徒は、成績を落とす割合がさらに高くなっていました。

Walkerら(2007)[1]

冬の模試から夏の本試験にかけて、数学・英語・理科のどれかで成績を1段階以上落とした生徒(662人)と、落とさなかった生徒(1,172人)を比べた。試験の日に花粉症の症状があった生徒は、成績を落とす側に入りやすかった(オッズ比1.4)。花粉症の薬を飲んでいた場合も1.4、眠くなる抗ヒスタミン薬では1.7だった。

対象: イギリスの全国試験を受けた15〜17歳1,834人。試験の日のどれかに症状があった生徒は38〜43% / 限界: 観察研究で、花粉症が成績を下げたとまでは言い切れない。

Bensnes(2016)[2]

ノルウェーの高校の試験データを、同じ生徒の中で比べた分析。試験の日の花粉の量が平均から標準偏差1つ分増えると、試験の点は標準偏差の2.5%分下がった。花粉症の生徒では、影響がもっと大きい可能性があった。

対象: ノルウェーの高校生の行政データ / 限界: 観察データの分析で、下がり方は平均すると小さい。

Huggら(2026)[3]

フィンランド南部で2006〜2020年に高校卒業資格試験を受けた生徒のデータを、花粉の観測と組み合わせた分析。ハンノキとハシバミの花粉が増えると、試験の点はわずかに下がっていた。特に男子の数学系の科目で下がり方が大きかった。ハンノキでは、花粉の量と点の関係は単純な直線ではなかった。

対象: ヘルシンキとトゥルク周辺の受験者 / 限界: 観察研究。地域の1日の花粉の量と点の関係を見たもので、一人ひとりの症状は測っていない。

Vieiraら(2022)[4]

花粉症などのアレルギー性鼻炎がある13〜29歳が、アプリで毎日つけた記録(1,970人、13,454日分)を分析した。症状のおさまりが悪い日ほど、「勉強や授業にアレルギーが響いた」と答える程度が大きく、アレルギーで失った学習時間の割合も高かった。

対象: アプリの利用者 / 限界: 本人の記録による観察研究で、成績そのものは測っていない。

Vuurmanら(1993)[5]/Kay(2000)[6]

花粉症の子どもが教室でコンピューター教材を使って学び、2週間後に試験を受けた実験では、薬なし(偽薬)の子と眠くなる薬の子は、花粉症のない子より学んだ量が少なかった。眠くなりにくい薬の子は、この2つのグループよりよかったが、花粉症のない子には届かなかった[5]。Kayのレビューは、古いタイプの薬の眠気は翌日まで残ることがあり、前の晩に飲んでも日中の作業に響きうると述べている[6]。

対象: 子どもの実験と、薬の研究のレビュー / 限界: 子どもの結果が大人の独学にそのまま当てはまるとは限らない。

ここで紹介した研究の多くは、高校生までの試験のデータや、子どもの実験です。社会人が資格試験に向けて独学するときに、同じ大きさで影響するかは確かめられていません。それでも、「症状がある日ははかどらない」のは珍しいことではない、とは言えます。

03 今日からできる小さな一歩花粉の季節、勉強をどう組み直す?

毎日、症状と眠気を0〜10で記録し、重い勉強を症状の軽い日や時間に寄せます。つらい日は復習と暗記カードに切りかえます。薬で眠くなるなら、自己判断で変えず医師か薬剤師に相談します。

1

症状と眠気を、毎日0〜10で1行記録する

勉強を始める前に「鼻・目・眠気」をそれぞれ0〜10でつけ、その日の勉強がはかどったかも一言添えます。紹介した研究でも、症状の強さを毎日の数値で記録して比べていました[4]。1〜2週間続けると、自分にとってつらい時間帯や日が見えてきます。

所要 1分

2

新しい範囲と計算は、症状の軽い日・時間に寄せる

記録から症状の軽い時間帯がわかったら、新しい単元や計算問題のように頭を使う勉強をそこに置きます。フィンランドの試験データでは、花粉の多い日に数学系の点が特に下がっていました[3]。

所要 計画を立てるとき5分

3

つらい日は、復習と短い暗記に切りかえる

症状が強い日は、ゼロにするより中身を軽くします。前に解いた問題の解き直し、暗記カード、ノートを閉じて要点を思い出す練習など、短く区切れる勉強を選びます。1日休んでも、立て直し方は勉強を休んだ後の再開の記事にまとめています。

所要 1区切り15分

4

薬を飲んだ後の眠気も記録する

薬を使っているなら、飲んだ時間と、その後の眠気を手順1の記録に足します。眠くなる薬を飲んでいた生徒は、成績を落とす割合が高かったという調査があります[1]。眠気の記録は、相談するときの材料になります。

所要 1分

5

眠気が気になったら、医師か薬剤師に相談する

自分で薬をやめたり、量を変えたりはしません。受診や薬局で「勉強や試験があるので、眠くなりにくい薬にしたい」と伝え、記録を見せます。古いタイプの薬の眠気は、翌日まで残ることがあると報告されています[6]。

所要 相談のとき

6

試験が花粉の季節なら、本番前に同じ条件で試しておく

本番と同じ時間帯に、模試や過去問を解いてみます。薬を使うなら、同じ薬を飲んだ状態で解き、眠気や集中の具合を確かめます。冬の模試より夏の本試験で成績を落とした生徒に、症状のある人が多かったという調査もあります[1]。

所要 過去問1回分

04 続けるためのコツはかどらない日が続いて焦るときは?

花粉の季節は、はかどらない日があって当然と考え、計画に余白を入れておきます。季節が終われば症状は落ち着くので、その時期に新しい範囲を多めに進める計画にしておくと焦りにくくなります。

  • 季節を前提に計画する: 毎年同じ時期に症状が出るなら、その数週間は「復習を多めにする時期」と決めておきます。崩れた計画の立て直し方も参考になります。
  • 記録は短く続ける: 0〜10の数字3つだけなら、つらい日でも続けられます。
  • 自分を責めない: 症状がある日に集中できないのは、意志の弱さではなく体の状態です。できた分を数えます。
  • 症状が強いとき: 眠れないほどの鼻づまりや、日常生活に差し支える症状が続くときは、早めに医療機関を受診してください。

05よくある質問

花粉症だと、本当に試験の成績が下がるの?

下がりやすいという研究があります。イギリスの15〜17歳1,834人の調査では、試験期間に症状があった生徒は、成績を1段階以上落とす割合が高くなっていました(オッズ比1.4)。ノルウェーやフィンランドの試験データでも、花粉が多い日には点が下がる傾向がありました。ただし、どれも観察研究で、下がり方は平均すると小さめです。

花粉症の薬を飲むと眠くなって、かえって勉強できない気がする

眠くなりやすい薬と、なりにくい薬があります。古いタイプの薬(第1世代の抗ヒスタミン薬)は眠気を起こしやすく、前の晩に飲んでも翌日に残ることがあると報告されています。自分で薬をやめたり変えたりせず、医師か薬剤師に「勉強や試験があるので、眠くなりにくいものにしたい」と相談してください。

症状をおさえれば、成績は元に戻る?

わかっていません。子どもの実験では、眠くなりにくい薬を飲んだ子は、何も飲まない子や眠くなる薬の子より学習の成績がよかったものの、花粉症のない子には届きませんでした。症状がある日は、勉強の中身を調整する工夫も合わせて考えます。

花粉の季節に試験があるときは、何を準備しておく?

試験の数週間前から、症状と眠気の記録をつけ、本番と同じ時間帯に模試や過去問を解いておきます。薬を使うなら、本番より前に同じ薬で問題を解き、眠気が出ないかを確かめておくと安心です。

出典

  1. Walker S, Khan-Wasti S, Fletcher M, Cullinan P, Harris J, Sheikh A. (2007). Seasonal allergic rhinitis is associated with a detrimental effect on examination performance in United Kingdom teenagers: case-control study. Journal of Allergy and Clinical Immunology, 120(2), 381-387. https://doi.org/10.1016/j.jaci.2007.03.034
  2. Bensnes SS. (2016). You sneeze, you lose: The impact of pollen exposure on cognitive performance during high-stakes high school exams. Journal of Health Economics, 49, 1-13. https://doi.org/10.1016/j.jhealeco.2016.05.005
  3. Hugg TT, Lehto J, Jaakkola JJK, et al. (2026). Pollen exposure and matriculation exam performance among students in Finland. Journal of Epidemiology and Community Health, 80(5), 287-293. https://doi.org/10.1136/jech-2025-224112
  4. Vieira RJ, Pham-Thi N, Anto JM, et al. (2022). Academic productivity of young people with allergic rhinitis: A MASK-air study. Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice, 10(11), 3008-3017. https://doi.org/10.1016/j.jaip.2022.08.015
  5. Vuurman EF, van Veggel LM, Uiterwijk MM, Leutner D, O'Hanlon JF. (1993). Seasonal allergic rhinitis and antihistamine effects on children's learning. Annals of Allergy, 71(2), 121-126. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8346863/
  6. Kay GG. (2000). The effects of antihistamines on cognition and performance. Journal of Allergy and Clinical Immunology, 105(6 Pt 2), S622-S627. https://doi.org/10.1067/mai.2000.106153