時間・計画

「勉強はやることリストより、カレンダーに時間で入れるほうが守れる」は本当?予定の立て方の研究(効く・効かないの判定)

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リング式のシステム手帳
Photo: Old Photo Profile / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「英語」「問題集」とやることリストに書いても、気づけば1週間手つかず。だから勉強はカレンダーに時間ごと入れるべき、という話をよく見かけます。研究の判定は「条件しだい」です。リストとカレンダーを直接くらべた研究は見つかりませんでした。「いつ・どうやるか」まで決める計画には効果がありますが、約25万人の大規模な実験では、その効果は始めの1〜2週間で消えました。

3行でわかる

  1. 勉強をカレンダーに時間で入れる方法と、やることリストを直接くらべた研究は見つからなかった。
  2. 「いつ・どこで・どうやるか」を決める計画には小〜中くらいの効果がある。ただしオンライン講座の約25万人の実験では、効果は1〜2週間で弱まり、修了率は変わらなかった。
  3. カレンダーは一度入れて終わりにせず、毎週入れ直す道具として使う方が、研究の結果と合う。

01 通説の中身「カレンダーに時間で入れると守れる」の根拠は?

この説は、やることを日付と時刻のついた枠に入れれば、いつやるかで迷わず始めやすくなる、という考え方です。「タイムブロッキング」とも呼ばれ、時間管理の本やブログでよく紹介されます。

やることリストは「何をやるか」だけが並びます。いつやるかは、その場で決めることになります。

カレンダーに入れると、「火曜の21時から30分、問題集を2ページ」のように、時間と量が先に決まります。始めるたびに迷う手間が減る、というのが説の理屈です。

この理屈に近いものとして、研究では「実行意図(いつ・どこで・どうやるかを前もって決めること)」が長く調べられてきました。くわしくは実行意図(if-thenプラン)の記事にまとめています。

02 科学的にわかっていることカレンダーに入れた勉強は、本当に続く?

道具の形をくらべた研究は見つからず、「カレンダーの方が守れる」とは言い切れません。「いつ・どうやるか」の計画は効くことが多い一方、長い講座では効果が数週間で消えた大規模な実験もあります。

Aeonら(2021)[1]

時間管理についての158件の研究(490の効果量)をまとめたメタ分析。時間管理と学業成績には中くらいの関係があった(76件・30,605人、r = 0.262)。大学の成績(GPA)とは r = 0.213 で、標準化テストの点数とは関係が見られなかった。心の健康との関係(r = 0.313)は、成績との関係より強かった。

対象: 学生と働く人を含む研究 / 限界: 多くは一時点のアンケート調査で、因果ははっきりしない。カレンダーとリストを分けてはいない。

Wangら(2021)[2]

目標で得られることと障害を考え、「いつ・どうやるか」の計画を立てる方法(MCII)の効果を、21本の論文(24の研究、15,907人)でまとめたメタ分析。目標の達成に小〜中くらいの効果があった(g = 0.336)。結果の偏りを補正すると g = 0.242 だった。勉強の場面に限った研究(5件・414人)では g = 0.255 だった。

対象: 学業・健康などの目標 / 限界: 勉強の場面の研究は5件と少ない。発表されやすい結果に偏っている可能性を、著者ら自身が補正している。

Kizilcecら(2020)[3]

ハーバード大学・MIT・スタンフォード大学の247のオンライン講座、約25万人の大規模な実験。講座の課題を「いつ・どうやるか」具体的に書かせる計画づくりは、始めの1週間の学習量をわずかに増やした。しかし効果は1〜2週間で弱まり、最終的な修了率は上がらなかった(1年目の差は0.19ポイント、統計的な差なし)。

対象: 世界中のオンライン講座の受講者 / 限界: 以前の3講座(2,053人)の研究では修了率が14%から18%に上がっていたが、規模を広げると再現されなかった。計画は講座の始めに1回立てただけで、立て直しはしていない。

MasicampoとBaumeister(2011)[4]

やり終えていない目標があると、関係のない作業中にもそのことが頭に浮かび、作業の成績が落ちた。ところが、その目標について具体的な計画を立てさせると、こうした影響はなくなった。

対象: 米国の大学生の実験室での複数の実験 / 限界: 1回きりの短い課題で、何週間も続く勉強での効果は見ていない。この記事では論文の要旨で内容を確認した。

よく言われること研究での判定
やることリストより、カレンダーに入れる方が守れる確かめられていない。直接くらべた研究が見つからなかった
「いつ・どうやるか」まで決めると始めやすい効くことが多い。効果は小〜中くらい[2]
最初に計画を立てれば、最後まで続く当てにならない。長い講座では効果が1〜2週間で消えた[3]
計画を立てると、気がかりが頭から消える条件しだい。短い実験では確認[4]、長期の勉強では未確認
時間管理をする人は成績がよい中くらいの関係あり。ただし因果は不明[1]

ここで紹介した研究は、大学生・オンライン講座の受講者・実験室の課題を扱ったものです。社会人が仕事の合間に何か月も独学する場面で、カレンダーとリストを直接くらべた研究は見つかりませんでした。

03 今日からできる小さな一歩カレンダーで勉強の時間を守るには、どう入れる?

枠には時間だけでなく「何を、どこまで」を書きます。1週間分だけ入れ、週末に入れ直します。リストで管理したい人は、項目に時間と場所を書き足すだけでも同じ考え方を使えます。

1

枠の名前を「勉強」ではなく中身にする

「勉強」ではなく「問題集 p.40〜41、机で」と書きます。研究で効果が確かめられているのは、いつ・どこで・どうやるかを決めることでした[2]。

所要 1枠1分

2

入れるのは今週の分だけにする

先の予定ほど空き時間を多く見積もりがちです(未来の空き時間を多く見積もる研究)。1週間分だけ、見積もりより少し長めの枠で入れます。

所要 10分

3

週末に5分、次の週の枠を入れ直す

計画の効果は1〜2週間で弱まりました[3]。毎週立て直す前提で使います。手順は週間プラン表が使えます。

所要 5分

4

気がかりは、リストからカレンダーの枠へ移す

勉強中に別の用事が浮かんだら、メモして「いつやるか」の枠に入れます。具体的な計画を立てると、気がかりが作業を邪魔しにくくなった実験があります[4]。

所要 1分

04 続けるためのコツカレンダーの予定を守れなかった週は、どうする?

守れなかった枠は消さずに、その週の別の枠へ動かします。量が多すぎたなら、次の週は枠を減らします。予定と実際を比べると、自分に合う量が見えてきます。

  • 守れなかった理由を1語で残す(残業、眠い、量が多い)。理由ごとの立て直し方は計画が崩れたときの記事にまとめています。
  • 予定の時間と実際にかかった時間を並べて書く(見積もりと実際の記録表)。人は作業時間を短く見積もりがちです(計画錯誤の研究)。
  • 「やらない日」も枠として入れる。休む日が決まっていると、休んだ日を失敗と数えずにすみます。
  • カレンダーとリストのどちらを使うかより、「いつ・何を・どこまで」が書いてあるかを毎週確かめる。

05よくある質問

やることリストは意味がないの?

意味がないとは言えません。リストとカレンダーを直接くらべた研究は見つかりませんでした。研究で効果が確かめられているのは、道具の形よりも「いつ・どこで・どうやるか」まで決めることです[2]。リストの項目に時間と場所を書き足すだけでも、同じ考え方を使えます。

カレンダーに入れた勉強の時間を守れなかったら?

その週のうちに別の枠へ動かし、週末に次の週の分を入れ直します。オンライン講座の大規模な実験では、計画を立てた効果は1〜2週間で弱まりました[3]。一度立てた計画を守り続けるより、週ごとに作り直す前提で使う方が研究の結果と合います。

時間管理をすると成績は上がる?

158件の研究をまとめたメタ分析では、時間管理と学業成績のあいだに中くらいの関係(r = 0.262)がありました[1]。ただし多くはアンケートによる一時点の調査で、時間管理をしたから成績が上がったとまでは言い切れません。標準化テストの点数とは関係が見られませんでした。

勉強法の早見表で「カレンダーに勉強の時間を入れる(タイムブロッキング)」の判定を見る
ほかの勉強法も62種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Aeon, B., Faber, A., & Panaccio, A. (2021). Does time management work? A meta-analysis. PLoS ONE, 16(1), e0245066. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0245066
  2. Wang, G., Wang, Y., & Gai, X. (2021). A meta-analysis of the effects of mental contrasting with implementation intentions on goal attainment. Frontiers in Psychology, 12, 565202. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.565202
  3. Kizilcec, R. F., Reich, J., Yeomans, M., et al. (2020). Scaling up behavioral science interventions in online education. Proceedings of the National Academy of Sciences, 117(26), 14900–14905. https://doi.org/10.1073/pnas.1921417117
  4. Masicampo, E. J., & Baumeister, R. F. (2011). Consider it done! Plan making can eliminate the cognitive effects of unfulfilled goals. Journal of Personality and Social Psychology, 101(4), 667–683. https://doi.org/10.1037/a0024192