時間・計画

「締め切り直前に追い込むほうがはかどる」は本当?先延ばしと締め切りの研究でわかったこと(効く・効かないの判定)

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砂時計
Photo: Sauvagette / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「自分は追い込まれないとやらないタイプ」「締め切り前のほうが集中できる」。試験やレポートの前に、そう感じたことがある人は多いはずです。研究を調べると、締め切りが迫ると力を出しやすくなるのは本当でした。一方で、先延ばしが多い人ほど成績は低めで、あとからストレスや睡眠の問題も出やすい傾向がありました。判定は「当てにならない(追い込みを勉強のやり方にするのは不利)」です。

3行でわかる

  1. 判定:当てにならない。締め切りが迫ると大変な作業を選びやすくなる(4つの研究。1つ目は30人)。ただし、それは「はかどる」とは別の話。
  2. 先延ばしが多い人ほど、成績は低めだった。450人の大学生の調査でも、先延ばしの多さは試験の平均点の低さと結びついていた。
  3. 3,525人を9か月追った調査では、先延ばしが多い人ほど、のちのストレスや睡眠の問題が多かった。締め切りの圧力は、小さな締め切りで早めに使う。

01 通説の中身「追い込まれるとはかどる」はどこから来る?

締め切りが近づくと、実際に力が出やすくなるからです。ただ、力が出ることと、点数が上がることは別の話です。

先延ばし(やるつもりの勉強を、自分で後回しにすること)は、意志が弱い人だけのものではありません。691の相関をまとめた分析では、先延ばしと強く結びつくのは、作業がいやだと感じること・締め切りまでの遠さ・「自分にできる」という感覚の低さ・衝動的になりやすいことでした[2]。

つまり、締め切りが遠いうちは手がつかず、近づくと動き出すのは、多くの人に起きる自然な流れです。問題は、その流れに任せたときに、点数がどうなるかです。仕組みの説明は勉強を後回しにしてしまう理由の記事にまとめています。

02 科学的にわかっていること追い込み型だと成績はどうなる?

締め切りが迫ると力を出しやすくなるのは本当です。しかし、先延ばしが多い人ほど成績は低めで、あとからストレスや体調の問題も出やすいことがわかっています。

Pisauroら(2026)[1]

参加者は、決まった回数のうちに目標まで進むと報酬が増えるゲームで、楽な選択と大変な選択(握る力やボタンを押す回数)を選んだ。「残りの作業÷残りの時間」が大きい、つまり締め切りの圧力が強い場面ほど、人は大変な選択を選ぶようになった。圧力がないときは、大変な作業は避けられていた。

対象: 4つの研究(1つ目はMRIの中で30人) / 限界: 数分で終わるゲームの実験で、勉強の成績は測っていない。

KimとSeo(2015)[3]

先延ばしと成績の関係を調べた研究をまとめたメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。GPA(成績の平均)・課題の点・小テストの点・科目の成績のいずれも、先延ばしが多いほど低い方向に結びついていた[4]。

対象: 学生を調べた複数の研究 / 限界: 相関(いっしょに起きやすい関係)で、先延ばしが成績を下げたとまでは言えない。

Diotaiutiら(2021)[5]

イタリアの大学生450人(平均22歳)に先延ばしの傾向を尋ね、試験の平均点と比べた。先延ばしが少ない人ほど平均点が高く、先延ばしは「すぐ行動に移せる力」と成績のあいだをつなぐ要因になっていた。

対象: 大学生450人 / 限界: 1回の調査で、因果関係は確かめていない。

Johanssonら(2023)[7]

スウェーデンの8大学の学生3,525人(平均24.8歳)を追った。先延ばしの得点が1標準偏差(ふつうの散らばり1つ分)高い人は、9か月後に、うつ・不安・ストレスの症状が多く、睡眠の質が悪い人の割合も約1.09倍だった。多くの要因をそろえたうえでの結果。

対象: 大学生3,525人(9か月後の回答は2,587人) / 限界: 観察研究で、体調の悪さが先延ばしを増やした可能性も残る。

SiroisとMonaghan(2026)[8]

36の集団(計8,603人)をまとめたメタ分析で、先延ばしの傾向が強い人ほど、自分の健康を低く評価していた(相関 r=0.21)。この結びつきの一部は、ストレスの高さで説明できた。

対象: 8,603人 / 限界: どれも1回の調査で、時間の前後関係はわからない。

一方で、「わざと遅らせて、圧力の中で仕上げる」人もいます。ChuとChoi(2005)は、こうした人(能動的な先延ばし)は、時間の使い方・自信・成績などが、先延ばしをしない人に近かったと報告しました[6]。ただし、これは迷って手がつかない先延ばしとは別のタイプです。「気づいたら直前だった」なら、こちらには当てはまりません。

ここで紹介した研究の多くは、大学生を対象にした調査です。社会人が何か月もかけて資格の勉強をする場面で、追い込み型の結果を追った研究は見つかりませんでした。

03 今日からできる小さな一歩締め切りの力を、早めに使うには?

締め切りを1つにせず、小さな締め切りを何回も置きます。圧力が力を出させるなら、その圧力を試験の直前ではなく、毎週つくればよいのです。

1

試験日までを「週の締め切り」に分ける

試験日から逆算して、毎週日曜の夜に「ここまで終える」を1つ決めます。残りの作業に対して残りの時間が短いほど、人は大変な作業を選びやすくなります[1]。逆算のやり方は試験日から逆算する計画の記事にあります。

所要 最初に20分

2

いちばん気が重い単元に、今日5分だけ手をつける

作業がいやだと感じることは、先延ばしと強く結びつく要因です[2]。問題を1問読む、目次を眺めるなど、5分で終わる形にして始めます。

所要 5分

3

「いつ始めたか」と「何点だったか」を記録する

模試や小テストごとに、勉強を始めた日と点数を書きます。追い込みが自分に合うかは、感覚ではなく記録で確かめます。記録の形は先延ばしのチェック表と記録表が使えます。

所要 1回1分

04 続けるためのコツ小さな締め切りを守り続けるには?

守れない週が出る前提で、守れなかったときの扱いを先に決めておきます。予定を軽めに見積もることも大切です。

  • 自分で決めた締め切りの効き方には限界がある。根拠とされた有名な実験の撤回も含め、自分で締め切りを決める研究の記事にまとめています。
  • 見積もりは甘くなりやすい。予定は思ったより時間がかかります(計画が崩れる理由の記事)。
  • 守れなかった週は、翌週に全部を足さない。遅れを足すと次の締め切りも守れなくなります。試験がまだ先で手がつかないときは立て直しの記事が使えます。
  • 先延ばしが強くつらいとき。12件のランダム化比較試験をまとめた分析では、心理的な支援で先延ばしは少し減り(g=0.34)、認知行動療法では中くらいの効果(g=0.55、3件)でした[9]。つらさが続くときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などに相談できます。

05よくある質問

締め切り直前のほうが勉強がはかどるのは本当?

半分だけ本当です。締め切りが迫ると、人は大変な作業を選びやすくなることが実験で確かめられています。ただ、先延ばしが多い人ほど試験や課題の成績は低めでした。

わざと後回しにして間に合わせる人もいる?

います。わざと遅らせて、圧力の中で仕上げる人(能動的な先延ばし)は、成績や時間の使い方が先延ばししない人に近かったという調査があります。ただし、迷って手がつかない先延ばしとは別のものとして扱われています。

追い込み型を直すにはどうすればいい?

締め切りを1つではなく、小さく何回も置くのが近道です。「残りの作業÷残りの時間」が大きいほど人は力を出しやすいので、週ごとの小さな締め切りで、その状態を早めにつくります。先延ばしが強くつらいときは、相談先を頼ってかまいません。

出典

  1. Pisauro, M. A., Pollicino, D., Fisher, L., & Apps, M. A. J. (2026). Neural and computational mechanisms of effort under the pressure of a deadline. Nature Communications, 17, 9169. https://doi.org/10.1038/s41467-026-75987-6
  2. Steel, P. (2007). The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review of quintessential self-regulatory failure. Psychological Bulletin, 133(1), 65–94. https://doi.org/10.1037/0033-2909.133.1.65
  3. Kim, K. R., & Seo, E. H. (2015). The relationship between procrastination and academic performance: A meta-analysis. Personality and Individual Differences, 82, 26–33. https://doi.org/10.1016/j.paid.2015.02.038
  4. Rezaei-Gazki, P., Ilaghi, M., & Masoumian, N. (2024). The triangle of anxiety, perfectionism, and academic procrastination: exploring the correlates in medical and dental students. BMC Medical Education, 24, 181. https://doi.org/10.1186/s12909-024-05145-3
  5. Diotaiuti, P., Valente, G., Mancone, S., & Bellizzi, F. (2021). A mediating model of emotional balance and procrastination on academic performance. Frontiers in Psychology, 12, 665196. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.665196
  6. Chu, A. H. C., & Choi, J. N. (2005). Rethinking procrastination: Positive effects of "active" procrastination behavior on attitudes and performance. The Journal of Social Psychology, 145(3), 245–264. https://doi.org/10.3200/socp.145.3.245-264
  7. Johansson, F., Rozental, A., Edlund, K., Côté, P., Sundberg, T., Onell, C., Rudman, A., & Skillgate, E. (2023). Associations between procrastination and subsequent health outcomes among university students in Sweden. JAMA Network Open, 6(1), e2249346. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2022.49346
  8. Sirois, F. M., & Monaghan, C. (2026). Procrastination, stress, and self-rated health: A multi-sample meta-analysis. British Journal of Health Psychology, 31(3), e70099. https://doi.org/10.1111/bjhp.70099
  9. Rozental, A., Bennett, S., Forsström, D., Ebert, D. D., Shafran, R., Andersson, G., & Carlbring, P. (2018). Targeting procrastination using psychological treatments: A systematic review and meta-analysis. Frontiers in Psychology, 9, 1588. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.01588