時間・計画

勉強時間の「見積もりと実績」記録表。作業の種類ごとに自分の倍率を出す(時間の見積もりの研究から)

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ストップウォッチ
Photo: Ansgar Koreng / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

「1時間で終わるはず」が2時間かかって、計画がずれていく。計画表に「見積もりの倍率をかける欄」があっても、その倍率をどう決めればいいかは迷います。研究では、見積もりのずれ方は人や作業によって違い、記憶で振り返るとさらにずれることがわかっています。この記事では、タイマーで測った実績を作業の種類ごとに残し、自分の倍率を出す記録表を紹介します。

3行でわかる

  1. 見積もりは「いつも短すぎる」とは限らない。大学生210人の研究では、短く見積もった人47.1%、長く見積もった人31.9%、ぴったり21%だった。
  2. かかった時間を後から思い出すのも当てにならない。33人の学生の課題では、答えた時間が実際より長いことが78%で、中央値1.45倍だった。
  3. 前回と同じ種類の作業だと、見積もりのずれは小さかった。表1にタイマーで測った実績を残し、種類ごとの倍率を表2で出す。

01 この表でできること勉強の見積もりがずれるのは、なぜ?

見積もりの土台にする「前回どれくらいかかったか」の記憶が正確ではないからです。ずれる向きも人と作業で違うため、決まった倍率より、自分の記録から出した倍率の方が使えます。

人が作業時間を短く見積もりがちなことは計画錯誤と呼ばれ、計画が倒れる理由の記事で紹介しました。勉強計画表には、見積もりに倍率をかける欄があります。

この記事の記録表は、その倍率を自分の数字で決めるためのものです。倍率は「実際にかかった時間 ÷ 見積もった時間」で出します。1.5なら、見積もりの1.5倍かかったという意味です。

02 表の根拠になった研究作業時間の見積もりは、どうすれば当たる?

記憶ではなく、測った時間をもとにすると当たりやすくなりました。ただし前回の時間を知らせても効かなかった実験もあり、効いたのは同じ種類の作業を経験していた場合でした。

Royら(2005)[1]

作業時間の見積もりについて、さまざまな研究を検討したレビュー。人は過去の似た作業の記憶をもとに見積もるが、その記憶そのものが実際より短い。そのため先の作業も短く見積もる、という説明を示した。

対象: これまでの研究のまとめ / 限界: 楽観的な見方で過去を無視するという従来の説明を否定するものではなく、両方がありうると著者らは書いている。

Royら(2008)[2]

3つの実験で、見積もる前に「実際にかかった時間」を知らせた。実験1・2では大学生に、紙を数える作業や作文で、自分が前に似た作業にかかった時間を知らせた。実験3では、ファストフード店などで集めた人に、ほかの人の平均時間を知らせた。3つとも、見積もりは正確になった。

対象: 米国の大学生など / 限界: 1回で終わる作業での実験。何週間もかかる勉強で同じ効果が出るかは確かめていない。

Thomas・König(2018)[3]

1週間あけて2回作業をしてもらい、1回目を2回目と同じ作業(文書の書式を整える)にした組と、違う作業(おもちゃの城を組み立てる)にした組を比べた。3つの実験すべてで、同じ作業を経験した組の方が2回目の見積もりのずれが小さかった。一方、1回目にかかった時間を知らせても、ずれは小さくならなかった。

対象: 英国南部の大学の心理学の学生40人・80人・80人 / 限界: 30〜40分ほどの作業で、1回の経験だけを比べた実験。

Bradyら(2022)[4]

米国の大学生210人が、翌週に1回で終える勉強(読む・課題・試験勉強)を選び、かかる時間を見積もってから実際の時間を記録した。短く見積もった人は47.1%、長く見積もった人は31.9%、ぴったりの人は21%。見積もる前に過去の似た作業を振り返る質問に答えても、正確さは変わらなかった。

対象: 学び方を学ぶ授業を受けていた大学生 / 限界: 実際の時間は本人の申告。著者らは、慣れた短い作業では長めに見積もる人が出やすい可能性を挙げている。

Hartら(2025)[5]

プログラミングの入門授業で、何日かに分けて取り組む課題の作業時間を、キー入力の記録から推定した。学生が課題の後に答えた作業時間は、実際より長いことが78%で、実際の1時間につき中央値1.45時間(平均2.2時間)と答えていた。多くの学生は、作業時間を正しく覚えていられると考えていた。

対象: 米国ユタ州立大学の学生33人、105件の課題 / 限界: キーを打つ前に考えていた時間などは測れていない。1つの授業での結果。

Halkjelsvik・Jørgensen(2012)[6]

作業時間の見積もりの研究をまとめたレビュー。工学や経営の分野の研究では短く見積もる報告が多かったが、心理学の研究ではそうとは言えなかった。見積もりは、最初に見た数字(アンカー)、作業の分け方、質問のしかたなどでも変わると整理している。

対象: 心理学・工学・経営の研究のまとめ / 限界: 研究によって、測っているもの(作業時間か、終わる日付か)が混ざっていると著者らは指摘している。

ここで紹介した研究の多くは、大学生が数十分〜数時間の作業をしたものです。社会人が何か月もかけて独学する場合に、同じずれ方になるとは限りません。だからこそ、自分の記録で確かめます。

03 使える表見積もりと実績は、どう記録すればいい?

始める前に見積もりを書き、タイマーで実際の時間を測って表1に残します。同じ種類の作業が3回たまったら、表2で倍率の中央値を出し、次の計画に使います。

1

作業を「種類と量」で書く

「テキストを10ページ読む」「過去問を1回分解く」「暗記カードを50枚」のように、同じ形でくり返す単位にします。同じ種類の経験がある作業ほど、見積もりのずれは小さくなりました[3]。

所要 1分

2

始める前に、見積もりを分で書く

「だいたい」ではなく数字で書きます。後から書き直さないのが決まりです。

所要 10秒

3

タイマーで測る。中断したら止める

スマホを見た・席を立ったときは一時停止します。後から思い出した時間は、実際とずれやすいためです[1][5]。

所要 0分(勉強中)

4

終わったら倍率を書く

実績 ÷ 見積もりを小数第1位まで出します。ずれた理由が思い当たれば、メモ欄に一言残します。

所要 30秒

5

同じ種類が3回たまったら、表2にまとめる

倍率を小さい順に並べ、真ん中の値(中央値)を、その種類の倍率にします。勉強計画表の倍率の欄に、この数字を入れます。

所要 5分(週1回)

表1 見積もりと実績の記録表(1作業1行)。記入例は架空の数字です。

日付作業の種類と量見積もり(分)実績(分)倍率(実績÷見積もり)メモ
例 10/18例 テキスト10ページ例 40例 62例 1.6例 図の多い章
例 10/19例 過去問1回分例 90例 85例 0.9例 -
例 10/20例 テキスト10ページ例 40例 55例 1.4例 途中で1回中断

表2 種類ごとの倍率まとめ(週1回)。平均ではなく中央値を使うのは、1回の大きなずれに引っぱられにくいからです。Hartら(2025)でも、平均(2.2倍)は一部の大きな値に引っぱられ、中央値(1.45倍)と大きく違いました[5]。

作業の種類記録した倍率中央値次の見積もり
例 テキスト10ページ例 1.6 / 1.4 / 1.3例 1.4例 40分 × 1.4 = 56分
例 過去問1回分例 0.9 / 1.1 / 1.0例 1.0例 そのまま90分

表3 倍率の読み方。研究の数字ではなく、このサイトが記録の使い方としてまとめた目安です。

記録に出ていること次にすること
倍率がいつも1.2より大きいその種類の見積もりに、中央値の倍率をかけて計画する
倍率がいつも0.8より小さい見積もりが長すぎる。空いた時間に次の作業を入れられるよう、見積もりを縮める
同じ種類なのに倍率が0.7〜2.0のようにばらつく種類が大きすぎる。「図の多い章」「計算問題」など、もう一段細かく分けて記録する
初めての種類の作業記録がないので、似た種類の倍率を仮に使い、1回目の実績で置きかえる

試験本番の時間配分を決めたいときは試験の時間配分表を、計画が崩れてしまった後は計画を立て直す記事を使ってください。

04 続けるためのコツ記録を面倒にせず続けるには?

記録するのは見積もりと実績の2つの数字だけにします。倍率の計算とまとめは週1回にまとめ、毎回の勉強では書く手間を30秒以内に抑えます。

  • 種類は3つまでにする。最初は「読む」「解く」「覚える」くらいで十分です。ばらつきが大きい種類だけ、後から細かく分けます。
  • ずれを責めない。倍率が大きいのは意志の弱さではなく、次の見積もりに使える情報です。
  • 古い記録は外す。慣れると速くなるので、新しい3〜5回分で倍率を出し直します。
  • 勉強時間の合計を残したいときは、勉強の記録の記事で紹介した記録シートと一緒に使えます。

05よくある質問

勉強時間は、いつも短く見積もってしまうものですか?

いつもではありません。大学生210人が1回で終える勉強の時間を見積もった研究では、短く見積もった人が47.1%、長く見積もった人が31.9%、ぴったりだった人が21%でした。ずれる向きは人と作業で変わるので、自分の記録で確かめるのが確実です。

前回かかった時間を思い出せば、記録しなくてもいい?

記憶だけに頼るのはおすすめしません。プログラミングの課題で、キー入力の記録から作業時間を測った研究では、学生が後から答えた時間は実際より長いことが78%で、中央値で1.45倍でした。過去の作業時間を短く覚えてしまうという研究のまとめもあります。タイマーで測った数字を残します。

倍率は、何回分の記録で決めればいい?

研究で決まった回数はありません。この記事では、同じ種類の作業が3回たまったら中央値を出すことをすすめています。平均は1回の大きなずれに引っぱられやすいためです。5回を超えたら、古い記録から外して新しい3〜5回で出し直します。

出典

  1. Roy, M. M., Christenfeld, N. J. S., & McKenzie, C. R. M. (2005). Underestimating the duration of future events: Memory incorrectly used or memory bias? Psychological Bulletin, 131(5), 738–756. https://doi.org/10.1037/0033-2909.131.5.738
  2. Roy, M. M., Mitten, S. T., & Christenfeld, N. J. S. (2008). Correcting memory improves accuracy of predicted task duration. Journal of Experimental Psychology: Applied, 14(3), 266–275. https://doi.org/10.1037/1076-898X.14.3.266
  3. Thomas, K. E., & König, C. J. (2018). Knowledge of previous tasks: Task similarity influences bias in task duration predictions. Frontiers in Psychology, 9, 760. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.00760
  4. Brady, A. C., Wolters, C. A., & Yu, S. L. (2022). Self-regulation of time: The importance of time estimation accuracy. Frontiers in Psychology, 13, 925812. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.925812
  5. Hart, K., Warren, C. M., & Edwards, J. (2025). Time-on-task estimation for tasks lasting hours spread over multiple days. PLOS ONE, 20(9), e0330758. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0330758
  6. Halkjelsvik, T., & Jørgensen, M. (2012). From origami to software development: A review of studies on judgment-based predictions of performance time. Psychological Bulletin, 138(2), 238–271. https://doi.org/10.1037/a0025996