勉強法

要約しながら読むと理解は深まるのか。要約と学習の研究でわかったこと

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木の机の上で紙にペンで書き込む手元とマグカップ
Photo: Green Chameleon / CC0 / Stocksnap
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

参考書を1章読むたびに、ノートに要約を書く。時間はかかるのに、効いているのかよくわからない。研究の答えは「要約は条件しだい」です。大事な点を自分の言葉で短くまとめられる人には効きます。ただ、効果は思い出す練習や分散学習より小さめで、書き写すだけの要約はほとんど役に立ちません。

3行でわかる

  1. 要約は、効く勉強法の中では効果が小さめ。大規模なレビューでは「有用性が低い」と判定された。
  2. 効くのは、大事な点を選び、自分の言葉で言い直せたとき。重要な文を書き写すだけでは差が出にくい。
  3. 試すなら、本を閉じて3行で書き、あとで本と照らし合わせる。要約を「思い出す練習」に変える。

01要約ノートが「効いた気がする」のに伸びない理由

要約は「大事な点を選び、つなげて、言い直す」作業です。この3つができれば理解は深まります。ところが実際には、本を見ながら文を写すだけの要約になりやすく、そこで効果が消えます。

要約は、手を動かすので「勉強した」という手応えがあります。ノートもきれいに残ります。

ただ、研究者は要約を「1つの方法ではなく、方法の集まり」と見ています。1語の見出しをつけるだけの要約もあれば、1段落ごとに1文を書く要約もあります。本を見ながら書くか、閉じて書くかも研究ごとにばらばらです。

だから「要約は効くか」という問いには、一言では答えられません。この記事では、どんな要約なら効き、どんな要約だと効かないのかに絞って見ていきます。線を引く勉強法は蛍光ペンの記事、自分に説明する方法は自己説明の記事で扱っています。

02科学的にわかっていること

要約は、まったく効かないわけではありません。ただし効果は小さめで、要約の出来に左右されます。大学生を対象にした研究では、とくに効果が小さく出ています。

Dunloskyら(2013)[1]

10の勉強法の研究をまとめたレビュー。要約は「有用性が低い」と判定された。要約が上手な人には効くが、多くの学習者は長い練習が必要になるためだ。小学6年生向けの成功例でも、45〜50分の授業を5回行っていた。

対象: 小学生から大学生までの研究をまとめたもの / 限界: 授業の成績そのものを要約で上げられるかを確かめた教室での研究は、まだ足りないと著者らは書いている。

Bretzing・Kulhavy(1979)の実験(Dunloskyらのレビューで紹介)[1]

高校生が約2,000語の文章を読んだ。1ページごとに要点を3行で要約した組と、3行のメモを取った組の成績が最もよかった。大事な3行を探して書き写した組は、それより低かった。この差は1週間後のテストでも見られた。

対象: 高校の上級生(11・12年生) / 限界: 架空の部族についての1本の文章での結果。著者らは「自分の言葉で書いたこと」が差を生んだと解釈している。

Bednall・Kehoe(2011)[2]

大学生がオンライン教材で論理のまちがいを学んだ。説明を自分で考えるよう促すと成績が上がったが、要約を促しても上がらなかった。Dunloskyらによると、ある項目では正しい定義を含む要約が64%しかなかった。正しく中身の多い要約ほど、テストの成績もよかった。

対象: 大学生(オンライン教材を宿題として学んだ) / 限界: 要約の出来と成績の関係は相関で、出来のよい要約が成績を上げたとまでは言えない。

Donoghue・Hattie(2021)[3]

10の勉強法についての242本の研究をまとめたメタ分析(多くの研究を統合する分析)。要約の効果量は d = 0.44で、10の方法の中で最も低い組だった。大学生を対象にした結果だけを見ると d = 0.19と小さかった。

対象: 242本の研究、1,619の結果 / 限界: 多くはその日のうちのテストで、事実を問う問題が中心だった。深い理解や長期の記憶への効果は、この数字からは言えない。

このメタ分析の数字を並べると、要約の位置づけが見えます。効果量 d は、差の大きさを表す目安です。

勉強法・対象効果量 d
分散学習(間をあけて復習)0.85
思い出す練習(テスト効果)0.74
要約(全体)0.44
要約(大学生の研究だけ)0.19

学年ごとの数字は、研究の数も課題もそろっていない比較です。大人の独学で同じ大きさになるとは限りません。それでも「要約だけに時間をかけるのは割に合いにくい」という方向は、2つのまとめで一致しています。

Arnoldら(2017)[4]

書いて学ぶ方法を比べた実験。文章を見ずに書く課題(論述・思い出して書き出す)は、ノートを取る・線を引くより、最終テストの成績がよかった。差がついたのは、書く作業に「思い出すこと」が含まれるかどうかだった。

対象: 文章を読んで学ぶ実験の参加者 / 限界: 文章の内容を頭の中で組み立てるのが得意な人ほど、効果が大きかった。誰にでも同じだけ効くとは言えない。

03今日からできる小さな一歩

要約を続けるなら、本を閉じて、自分の言葉で、短く書きます。書いたら本を開いて抜けを確かめます。こうすると要約が「思い出す練習」になり、効きやすくなります。

1

1節読んだら、本を閉じて3行で書く

見ながら書くと、文を写すだけになりがちです。閉じてから「何が言いたい節だったか」を3行にします。思い出す練習の効果はテスト効果の記事で紹介しています。

所要 3分

2

本の言い回しを使わず、自分の言葉にする

専門用語は使ってよいので、文はつなぎ直します。「なぜそうなるのか」を1行足すと、自分に説明する形に近づきます。

所要 1分

3

本を開いて、抜けとまちがいに印をつける

要約は中身が正しくないと効きません。抜けていた要点、まちがえた定義に赤で印をつけます。次に復習する日はそこから始めます。

所要 3分

04続けるためのコツ

要約を毎回きれいに仕上げる必要はありません。短く書いて、まちがいを見つけることが目的です。時間がない日は、要約より問題を解く方に回します。

  • 長いまとめノートは作らない。1節3行までと決めると、要点を選ぶ練習になる。
  • うまく要約できない節は、理解があやしい合図。そこだけ読み直す。理由はわかったつもりの記事で紹介しています。
  • 問題集がある科目では、要約より問題を解く時間を優先する。
  • 書いた要約は、日をあけてもう一度、見ずに言えるか試す。

05よくある質問

要約しながら読むのは、勉強法として意味がありますか?

意味はありますが、効果は小さめです。Dunloskyら(2013)は要約を「有用性が低い」と判定しました。Donoghue・Hattie(2021)のメタ分析でも、要約の効果量は d = 0.44で、10の勉強法の中で最も低い組でした。Dunloskyらは、要約が上手な人なら線引きや読み返しよりよいとしていますが、思い出す練習や分散学習ほどではありません。

要約は本を見ながら書くのと、閉じて書くのとどちらがいいですか?

研究では決着がついていません。本を閉じて要約すると、思い出す練習になり、書き写しも防げます。ただ、閉じて要約しても成績が上がらなかった研究もあります。この記事では、閉じて書いたあとに本で答え合わせする形をすすめています。

大事な文を抜き出してノートに写すのは要約になりますか?

効果は小さいと考えられます。Bretzing・Kulhavy(1979)の実験では、大事な3行を書き写した組は、自分の言葉で要約した組より成績が低くなりました。違いは、選ぶだけでなく言い直したかどうかです。

要約が苦手でも効果はありますか?

苦手なうちは効きにくいと考えられます。Bednall・Kehoe(2011)では、要約を促しても大学生の成績は上がらず、正しい定義を含む要約は項目によって64%にとどまりました。要約が苦手な間は、短く書いて本で直す練習から始めます。

勉強法の早見表で「要約しながら読む」の判定を見る
ほかの勉強法も39種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4-58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
  2. Bednall, T. C., & Kehoe, E. J. (2011). Effects of self-regulatory instructional aids on self-directed study. Instructional Science, 39(2), 205-226. https://doi.org/10.1007/s11251-009-9125-6
  3. Donoghue, G. M., & Hattie, J. A. C. (2021). A meta-analysis of ten learning techniques. Frontiers in Education, 6, 581216. https://doi.org/10.3389/feduc.2021.581216
  4. Arnold, K. M., Umanath, S., Thio, K., Reilly, W. B., McDaniel, M. A., & Marsh, E. J. (2017). Understanding the cognitive processes involved in writing to learn. Journal of Experimental Psychology: Applied, 23(2), 115-127. https://doi.org/10.1037/xap0000119