眠気覚ましのコーヒーで、夜眠れなくなった。勉強とカフェインの付き合い方をどう立て直す?睡眠とカフェインの研究

勉強中の眠気をコーヒーやエナジードリンクでしのいでいたら、夜に寝つけなくなった。眠れないから翌日また飲む。そんな回り道に入っても、意志の問題ではありません。研究から言えるのは、「最後の1杯の時刻」を寝る時刻から逆算して決め直し、午後の眠気は短い仮眠で補えば、睡眠と勉強の両方を立て直せるということです。
3行でわかる
- 24研究をまとめたメタ分析では、カフェインをとった夜は睡眠が平均45分短くなった。コーヒー1杯(250mLで約107mg)なら、寝る8.8時間前までに飲み終えるのが目安。
- カフェインは眠いときの注意力を上げるが、仮眠とくらべた試験では頭の働きにはっきりした差は見られなかった。午後の眠気は10〜20分の仮眠で補う手もある。
- 毎日飲む人が急にやめると、半数ほどに頭痛が出た。症状は12〜24時間後に始まり2〜9日続くので、試験の直前にやめず、早めに少しずつ減らす。
01 悩みの正体コーヒーで眠気をしのぐと、なぜ夜に眠れなくなる?
カフェインの働きは、飲んでから何時間も続きます。夕方の1杯でも寝るころまで残り、寝つきを遅らせ、深い眠りを減らします。
勉強の眠気にカフェインが効くのは確かです。困るのは、その効き目が「眠りたい時間」まで残ることです。
寝つきが悪くなると、翌日はさらに眠くなります。その眠気をまたカフェインで消すと、夜はもっと眠りにくくなります。睡眠が足りない日に新しいことを覚えにくくなる話は、徹夜・寝不足の後の立て直し方の記事で紹介しました。この記事では、カフェインと睡眠の回り道からどう抜けるかに絞ります。
02 科学的にわかっていることカフェインは何時間前まで、睡眠に響く?
24研究のメタ分析では、カフェインをとった夜は睡眠が平均45分短くなりました。コーヒー1杯なら寝る8.8時間前までが目安で、6時間前の大量摂取でも睡眠は1時間以上減りました。
Gardinerら(2023)[1]
カフェインと夜の睡眠を調べた24研究をまとめたメタ分析。カフェインをとると、睡眠時間は平均45分短くなり、眠りの効率は7%下がった。寝つくまでの時間は9分のび、深い眠りは11.4分減った。睡眠時間を減らさないためには、コーヒー(250mLで107mg)は寝る8.8時間前まで、カフェイン217.5mgの運動前サプリは13.2時間前までにとる必要があると計算された。
対象: カフェインと睡眠を測った24研究 / 限界: 「8.8時間」は研究をまとめて計算した平均的な目安。体質や年齢によって、もっと早く切り上げる必要がある人もいる。
Drakeら(2013)[2]
ふだんよく眠れている大人12人に、カフェイン400mg(コーヒーなら4杯ほどに当たる多めの量)を、寝る0・3・6時間前に飲んでもらい、偽の薬とくらべた。睡眠を測る機器では、6時間前でも睡眠は1時間以上(1.1〜1.2時間)減った。ところが本人の睡眠日誌では、6時間前の減り方(41分)ははっきりした差にならなかった。
対象: 19〜48歳の健康な12人 / 限界: 人数が少なく、400mgを1回で飲む条件。著者らは「寝る6時間前からは多量のカフェインを避ける」ことを勧めている。「眠れた気がする」と、実際によく眠れているかはずれることがある。
ClarkとLandolt(2017)[3]
コーヒー・カフェインと睡眠の疫学研究とランダム化比較試験を集めたシステマティックレビュー。カフェインは寝つきを遅らせ、睡眠時間と眠りの効率を下げ、深い眠りを減らすことが多かった。量が多いほど、寝る時刻に近いほど影響が大きかった。年上の大人ほど影響を受けやすい可能性があり、若い人の中でも感じ方の個人差は大きかった。
対象: 疫学研究と比較試験 / 限界: 研究の多くは欧米の男性の大人が対象で、ほかの人にそのまま当てはまるとは限らない。
Kerら(2010、コクラン・レビュー)[4]
夜勤や時差のように眠い条件で、カフェインの効き目を調べた13の試験をまとめた。偽の薬とくらべると、カフェインは注意力(標準化平均差−0.55)や記憶の検査の成績を上げた。一方、仮眠とくらべた試験では、頭の働きの検査にはっきりした差は見られなかった。
対象: 主に20〜30歳前後の若い大人。13試験のうち10は実験室で夜勤などを再現した条件 / 限界: 1つ1つの試験は小さい。勉強の成績そのものを測った研究ではない。
JulianoとGriffiths(2004)[5]
カフェインをやめたときの症状を調べた57の実験と9つの調査をまとめたレビュー。実験では、やめた人の50%に頭痛が出て、13%は生活に支障が出るほどだった。症状はやめて12〜24時間後に始まり、20〜51時間後にいちばん強くなり、2〜9日続いた。1日100mgほどの量をやめても症状が出ることがあり、ふだんの量が多いほど症状は出やすく重かった。
対象: 57の実験研究と9つの調査 / 限界: 症状の出方には個人差が大きい。どう減らすのがいちばん楽かを比べた研究ではない。
これらは、決められた量を決められた時刻に飲む実験が中心です。仕事の後に独学する社会人が、何杯飲めば何分眠りが減るかまでは決められません。それでも「寝る時刻に近いほど、量が多いほど睡眠に響く」という方向は、どの研究でも同じでした。
03 今日からできる小さな一歩カフェインで崩れた睡眠は、どう立て直す?
まず寝る時刻から逆算して、最後の1杯の時刻を決めます。それ以降の眠気は仮眠や休憩で補い、量は試験の直前を避けて少しずつ減らします。
3日間、飲んだ時刻と杯数を書き出す
コーヒー・お茶・エナジードリンクなど、カフェインの入った飲み物を飲んだ時刻と量をメモします。エナジードリンクはラベルのカフェイン量も書きます。「夕方以降の1杯」が見えるだけで、直す場所がわかります。
所要 1日1分
寝る時刻から逆算して「最後の1杯」の時刻を決める
コーヒー1杯なら、寝る時刻の約9時間前を最後にします。0時に寝るなら15時ごろまでです。下の表を目安にしてください。カフェインの多い飲み物ほど、もっと早く切り上げます。
所要 2分
午後の眠気は、10〜20分の仮眠か休憩で補う
最後の1杯の後に眠くなったら、机に伏せて10〜20分休みます。夜勤などの条件でカフェインと仮眠をくらべた試験では、頭の働きにはっきりした差はありませんでした。10〜20分という長さや仮眠のとり方は勉強の合間の昼寝の記事にまとめています。
所要 10〜20分
夕方以降は、暗記より「思い出す・解き直す」作業にする
眠気の強い時間に新しい範囲を覚えようとすると、カフェインに頼りたくなります。夕方以降は、覚えた範囲の問題を解き直すなど、手を動かす作業に回します。
所要 15〜20分ずつ
減らすなら、試験の1週間以上前から少しずつ
毎日飲んでいる人が急にやめると、頭痛やだるさ、集中しにくさが2〜9日続くことがあります。試験の直前にやめるのは避け、1日1杯ずつなど、少しずつ減らします。減らし方の幅は研究で決まったものではなく、ここでの提案です。
所要 1〜2週間
寝る時刻ごとの「最後のコーヒー」の目安です。Gardinerら(2023)の「コーヒー1杯(250mL・107mg)なら寝る8.8時間前まで」を、そのまま時刻に直しました。
| 寝る時刻 | 最後のコーヒー1杯の目安 |
|---|---|
| 22時 | 13時10分ごろまで |
| 23時 | 14時10分ごろまで |
| 0時 | 15時10分ごろまで |
| 1時 | 16時10分ごろまで |
カフェインがもっと多い飲み物では、さらに早く切り上げる必要があります。同じ研究では、カフェイン217.5mgの運動前サプリは寝る13.2時間前まで、と計算されていました。
04 続けるためのコツまた夜に眠れなくならないためには?
カフェインを「眠気が出たら飲むもの」から「時刻を決めて飲むもの」に変えます。睡眠の記録をつけ、眠れたつもりの日も数字で確かめます。
- 最後の1杯の時刻を、勉強の計画表に書いておく。眠気が出てから考えると、つい飲んでしまう。
- 「飲んでも眠れるから大丈夫」と感じても、測ると睡眠が減っていた研究がある。寝た時刻と起きた時刻を2週間記録して確かめる。記録表は勉強する人の睡眠チェック表が使える。
- 眠気が強い日が続くなら、カフェインを増やす前に、その週の睡眠時間を見直す。
- 勉強時間を増やすために睡眠を削っていないかも確かめる。時間の作り方は社会人が勉強時間をつくる記事で紹介しています。
05よくある質問
勉強前にコーヒーを飲むと、集中力は上がりますか?
眠いときの注意力は上がりやすいと考えられます。Kerら(2010)のコクラン・レビューでは、夜勤などの眠い条件で、カフェインは偽の薬より注意力の検査の成績を上げました。ただし主に若い大人の実験室の研究で、勉強の成績そのものを測ったものではありません。また、仮眠とくらべた試験では差ははっきりしませんでした。
夜にコーヒーを飲んでも眠れます。それでも控えた方がいいですか?
眠れた気がしても、睡眠は減っているかもしれません。Drakeら(2013)の実験では、寝る6時間前にカフェイン400mgを飲むと、機器で測った睡眠は1時間以上減りました。一方で本人の日誌では、はっきりした差になりませんでした。気になるなら、寝た時刻と起きた時刻を記録して確かめます。
エナジードリンクは、コーヒーと同じ考え方でいいですか?
カフェインの量が多いほど、早めに切り上げる必要があります。Gardinerら(2023)の計算では、コーヒー1杯(107mg)なら寝る8.8時間前まで、カフェイン217.5mgの運動前サプリなら13.2時間前まででした。飲み物ごとにラベルのカフェイン量を確かめてください。
カフェインをやめたら頭痛がします。どうすればいいですか?
カフェインをやめた後の症状として、よく知られています。JulianoとGriffiths(2004)のレビューでは、実験でやめた人の50%に頭痛が出て、症状は2〜9日続きました。一気にやめず、少しずつ減らす方が楽な場合があります。症状が強いときや長引くときは、医療機関に相談してください。
出典
- Gardiner, C., Weakley, J., Burke, L. M., Roach, G. D., Sargent, C., Maniar, N., Townshend, A., & Halson, S. L. (2023). The effect of caffeine on subsequent sleep: A systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 69, 101764. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2023.101764
- Drake, C., Roehrs, T., Shambroom, J., & Roth, T. (2013). Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed. Journal of Clinical Sleep Medicine, 9(11), 1195–1200. https://doi.org/10.5664/jcsm.3170
- Clark, I., & Landolt, H. P. (2017). Coffee, caffeine, and sleep: A systematic review of epidemiological studies and randomized controlled trials. Sleep Medicine Reviews, 31, 70–78. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2016.01.006
- Ker, K., Edwards, P. J., Felix, L. M., Blackhall, K., & Roberts, I. (2010). Caffeine for the prevention of injuries and errors in shift workers. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2010(5), CD008508. https://doi.org/10.1002/14651858.CD008508
- Juliano, L. M., & Griffiths, R. R. (2004). A critical review of caffeine withdrawal: Empirical validation of symptoms and signs, incidence, severity, and associated features. Psychopharmacology, 176(1), 1–29. https://doi.org/10.1007/s00213-004-2000-x


