英単語を語源(接頭辞・語根・接尾辞)で覚えるには?部品に分けて意味を予想し、辞書で確かめる6つの手順(単語の部品の研究とその限界)

英単語帳を何周しても、似たつづりの単語が増えるほど覚えにくくなる。そんなとき「語源で覚えるといい」と聞いたことがあるかもしれません。単語を「接頭辞(前につく部品)」「語根(中心の部品)」「接尾辞(後ろにつく部品)」に分けて覚えるやり方です。研究では、部品を学ぶと見て意味がわかる単語や、初めての単語の意味を推測する力が伸びた例がある一方、書く・話す力では差が出なかった実験もあります。部品で予想し、辞書で確かめ、使う練習を足す手順にまとめました。
3行でわかる
- 単語の部品を教える授業は、単語の力を伸ばした(子どもを中心にした17研究のメタ分析で、単語の力への効果量 0.40)。大学生の英語学習者でも、部品で分ける練習は意味を推測する力を伸ばした。
- ただし伸びたのは主に「見てわかる」力で、6週間の実験では自分で書く・使う力に差が出なかった。文法や単語の組み合わせは、文脈から学ぶ方が伸びた。
- 人は部品でないところにも意味を当てはめてしまう。部品で予想したら辞書で確かめ、思い出して使う練習を足す。
01 悩みの正体語源で覚えると、なぜ覚えやすい?
英単語の多くは部品の組み合わせでできています。部品の意味を知っていれば、新しい単語を一から覚えるのではなく、知っている部品と結びつけて覚えられます。
たとえば un-(〜でない)、re-(再び)、-able(〜できる)を知っていれば、unreadable を見たときに「読めない」と予想できます。単語を1つずつ丸暗記するより、部品という手がかりがある分、意味を思い出しやすくなります。研究では、こうした単語の形と意味の知識を「形態素(意味をもつ最小の部品)の知識」と呼びます。
02 科学的にわかっていること単語を部品で学ぶと、何が伸びる?
意味を推測する力と、見てわかる単語は伸びた研究があります。一方、書く・話すための力や、文法・単語の組み合わせは、部品だけでは伸びにくい結果でした。
GoodwinとAhn(2010)[1]
単語の部品を教える授業の効果を、17の研究・79の効果量でまとめたメタ分析。読み書きの力全体への効果量は d = 0.33、単語の力(語彙)には d = 0.40 だった。英語を第二言語として学ぶ子どもなどで、特に効果が大きかった。
対象: 読み書きに困難のある子どもを中心とした研究(1研究あたり15〜261人) / 限界: 子どもの研究のまとめで、大人が英語を独学する場合にそのまま当てはまるとは限らない。
YuanとTang(2024)[2]
英語を学ぶ大学生90人を、単語を部品に分ける練習・文脈から推測する練習・どちらもしない、の3グループにランダムに分けた。2つの練習グループは、どちらもしないグループより多くの面で単語の知識が伸びた。部品の練習は「意味を推測する」「意味を答える」問題で、文脈の練習は文法と単語どうしの組み合わせ(コロケーション)の問題で、それぞれ成績がよかった。
対象: 外国語として英語を学ぶ大学生90人 / 限界: 1回の実験。どれくらいの期間覚えていたかは要旨からはわからない。
YuanとTang(2023)[3]
中国南部の大学生50人が、6週間、ふつうの単語の授業か、部品を使う授業を受けた。部品の授業は、見て意味がわかる学術的な単語(読む・聞くための知識)を伸ばしたが、自分で書いたり使ったりする知識では差が出なかった。
対象: 外国語として英語を学ぶ大学生50人 / 限界: 人数が少なく、学術的な単語に限った実験。
ChenとYu(2026)[4]
英語の音声を聞く前に、聞く単語の部品の作りを確かめたクラスは、単語の意味だけを先に説明したクラスや、聞くだけのクラスより、聞いて覚えた単語の成績がよかった。授業直後のテストでも、時間をおいたテストでも同じだった。もともとの単語力による差は見られなかった。
対象: 中国の高校生156人(3つのクラス) / 限界: 人をランダムに分けたのではなく、クラス単位でくらべている。
SolajaとCrepaldi(2024)[5]
文を読みながら、架空の単語を覚える実験。意味のある接尾辞がついた単語は、意味のない語尾の単語より、読むときにも後の記憶テストでも有利だった。一方で参加者は、語尾が接尾辞でなくても、単語の前半に同じように意味を当てはめていた。人は「似た形には似た意味がある」と考えやすいと著者らはまとめている。
対象: イタリア語を母語とする大人85人(基準に届かない9人を除いて分析)。方法を先に審査してから実施した研究 / 限界: 母語の架空の単語での実験で、外国語の学習ではない。
まとめると、部品の知識は「初めて見た単語の意味を予想する」「見てわかる単語を増やす」のに役立ちます。一方で、予想はまちがうことがあり、書く・話すときに単語を出す力は別の練習が必要です。紹介した研究の多くは学校の授業の中の数週間の実験で、社会人が一人で何か月も学ぶ場合を調べたものではありません。
03 今日からできる小さな一歩語源・部品で英単語を覚える手順は?
よく出る部品を10個だけ覚え、新しい単語は部品に分けて意味を予想し、辞書で確かめます。そのあと文の中で確かめ、日本語から英語を思い出す練習を足します。
よく出る部品を10個に絞って覚える
最初から語源の本を1冊覚えようとせず、un-(〜でない)、re-(再び)、pre-(前に)、-able(〜できる)、-ness(〜であること)、-er(〜する人・もの)のような、よく見る部品から10個選んで、意味を書き出します。
所要 15分
新しい単語は、部品に分けて意味を予想する
知らない単語に出会ったら、すぐに意味を見ず、部品に区切って「たぶんこういう意味」と予想を書きます。部品で分ける練習は、意味を推測する力を伸ばしました[2]。
所要 1語30秒
予想したら、必ず辞書で確かめる
人は部品でないところにも意味を当てはめてしまいます[5]。corner は corn と -er には分けられないように、たまたま同じつづりのこともあります。辞書の語源の欄で、分け方が合っているかを確かめます。
所要 1語1分
同じ部品の単語を3つ並べて書く
preview・predict・prepare のように、同じ部品をもつ知っている単語を並べて書きます。新しい単語を、知っている単語のなかまとして覚えられます。
所要 3分
例文で、使われ方を確かめる
部品の知識だけでは、文法や、どの単語と組み合わせて使うかはわかりません。辞書の例文を1つ写し、一緒に使われる単語に線を引きます。文脈から学ぶ練習の方が、こうした力を伸ばしました[2]。
所要 2分
翌日、日本語を見て英単語を思い出す
部品の学習で伸びたのは主に「見てわかる」力でした[3]。書く・話すときに使いたい単語は、日本語の意味を見て英単語を書き出す練習をします。やり方は 見ればわかるのに出てこない単語の立て直し方 にまとめています。
所要 5分
04 続けるためのコツ語源の勉強が、部品の暗記で終わってしまうときは?
部品の一覧を覚えること自体を目標にしないことです。教材や英文で出会った単語に当てはめるときだけ使い、予想が当たったかを記録すると続けやすくなります。
- リスニングの前に、聞く予定の単語の部品を1分だけ確かめる。聞く前に部品を確かめたクラスは、聞いて覚えた単語の成績がよかった[4]。
- 予想が外れた単語は、「なぜ外れたか」を1行で書く。たまたま同じつづりだった単語として、別に覚える。
- 文章の中で知らない単語に出会ったときの推測のしかたは 英文を読んでいて知らない単語が出たとき も参考にする。
- 単語帳の基本の覚え方は 英単語の覚え方 にまとめている。部品の知識は、思い出す練習の代わりではなく、手がかりを増やす道具として使う。
05よくある質問
語源で覚えると、単語は早く覚えられる?
見て意味がわかる単語を増やすのには役立つ、という研究があります。大学生の英語学習者50人に6週間、単語の部品を教えた実験では、見てわかる単語は伸びましたが、自分で書いたり使ったりする力では差が出ませんでした。部品で覚えたあとに、思い出して使う練習を足します。[3]
部品から意味を予想すると、まちがえない?
まちがえることがあります。イタリア語を母語とする大人の実験では、人は単語の部品に意味を当てはめようとし、その部品が意味のある接尾辞でなくても同じように意味を当てはめていました。英語でも corner は corn と -er に分けられません。予想したら、必ず辞書で確かめます。[5]
文の中で意味を推測するやり方と、どちらがいい?
伸びる力が違います。大学生の英語学習者90人を3つに分けた実験では、部品で分ける練習をした人は単語の意味を推測する問題と意味の問題で、文脈から推測する練習をした人は文法と、単語どうしの組み合わせ(コロケーション)の問題で成績がよくなりました。両方を組み合わせるのがおすすめです。[2]
語源の本を1冊通して読めばいい?
研究で効果が確かめられているのは、部品を教えたうえで単語に当てはめる練習をくり返すやり方です。読むだけで終わらせず、知らない単語を自分で分けて予想し、確かめる練習に使います。子どもを中心にした17研究のメタ分析でも、効果は単語の部品を教える授業で確かめられています。[1]
出典
- Goodwin, A. P., & Ahn, S. (2010). A meta-analysis of morphological interventions: Effects on literacy achievement of children with literacy difficulties. Annals of Dyslexia, 60, 183–208. https://doi.org/10.1007/s11881-010-0041-x
- Yuan, X., & Tang, X. (2024). Relative effectiveness of morphological analysis training and context clue training on multidimensional vocabulary knowledge. The Journal of Genetic Psychology, 185, 77–90. https://doi.org/10.1080/00221325.2023.2267104
- Yuan, X., & Tang, X. (2023). Effects of morphological intervention on multiple aspects of academic vocabulary knowledge. Acta Psychologica, 234, 103869. https://doi.org/10.1016/j.actpsy.2023.103869
- Chen, S., & Yu, L. (2026). Effects of pre-listening morphological intervention on the acquisition and retention of L2 aural multimorphemic words. Acta Psychologica, 264, 106518. https://doi.org/10.1016/j.actpsy.2026.106518
- Solaja, O., & Crepaldi, D. (2024). The role of morphology in novel word learning: A registered report. Royal Society Open Science, 11, 230094. https://doi.org/10.1098/rsos.230094


