復習がたまって追いつかない。どう立て直す?遅れた復習の片づけ方(間隔と思い出す練習の研究)

忙しい週が続いて、暗記カードや単語の復習が何百枚もたまってしまった。予定日を過ぎた分を見るだけで気が重く、手をつけられずにいる。そんなときも、最初からやり直す必要はありません。研究では、復習が遅れたときの損はゆるやかで、新しい項目を止め、数日に分けて、読み返さずに思い出す形で片づければ立て直せます。
3行でわかる
- 1,350人以上の研究では、復習までの間隔が最もよい長さを超えると成績は下がったが、その下がり方はゆるやかだった。遅れた復習もむだにならない。
- 間隔を少しずつ広げるか、同じ間隔にするかの違いは、記憶にほとんど影響しなかった。大事なのは、間をあけて思い出すことそのもの。
- 立て直しは「新しい項目を止める」「数日に分ける」「読み返さずに思い出す」「思い出せた項目もテストからはずさない」の順で進める。
01 悩みの正体復習の予定日を過ぎると、それまでの勉強はむだになる?
むだにはなりません。復習が遅れると忘れる分は増えますが、研究では、最もよい間隔を過ぎたあとの成績の下がり方はゆるやかでした。たまった復習を前に止まってしまうことの方が損です。
復習の予定を決めて勉強していると、遅れた分が数字で見えます。その数字が大きいほど「もう取り返せない」と感じやすくなります。
けれども、予定日は「この日でなければ効かない」という締め切りではありません。間をあけて復習すると忘れにくい理由は分散学習の記事で紹介しています。ここでは、遅れてしまった後の片づけ方に絞ります。
02 科学的にわかっていること復習が遅れたとき、研究では何が大事とされている?
間隔の長さが少しずれることより、間をあけて思い出すことを続ける方が大事です。思い出す練習を続けた項目ほど長く残り、くり返し覚え直すことの効果も大きいとわかっています。
Cepedaら(2008)[1]
1,350人以上が一連の事実を学び、最大3.5か月の間隔をあけて復習し、さらに最大1年後にテストを受けた。復習までの間隔を広げると、成績は最初は上がり、その後ゆるやかに下がった。最もよい間隔は、テストまでの期間が1週間なら約20〜40%、1年なら約5〜10%だった。
対象: 1,350人以上の参加者 / 限界: 間隔の違う人どうしを比べた研究で、「予定より遅れた復習」を直接調べたものではない。覚えたのは事実の知識。
KarpickeとBauernschmidt(2011)[2]
思い出せるまで学んだあと、3回のテストをいろいろな間隔の組み方でくり返した。テストどうしの間隔を長くとるほど後の記憶はよく、間をあけずにくり返した場合と比べて200%の向上だった。一方、間隔を少しずつ広げる・同じにする・少しずつ狭める、の違いでは、はっきりした差は出なかった。
対象: 実験の参加者 / 限界: 項目を覚える実験室の研究。この記事では論文の要旨で確認した。
KarpickeとRoediger(2008)[3]
外国語の単語を学ぶ実験で、一度正しく答えられた単語を、その後は読むだけにする、テストだけにする、どちらからもはずす、などの条件を比べた。思い出せた後に読み直しを続けても後の記憶は変わらなかったが、テストを続けると大きくよくなった。学生の自己予想は、実際の成績と関係がなかった。
対象: 大学生 / 限界: 外国語の単語を覚える実験室の研究。この記事では論文の要旨で確認した。
RawsonとDunlosky(2011)[4]
3つの実験で533人の学生が、概念を思い出す練習(答えの確認つき)で学んだ。最初に1〜4回正しく思い出せるまで練習し、その後1〜5回、日をあけて覚え直した。覚え直しは、少ない追加の練習で1〜4か月後の記憶を大きく伸ばした。著者らは、最初に3回正しく思い出し、その後3回、間を大きくあけて覚え直すことを勧めている。
対象: 学生533人 / 限界: 実験として管理された条件で、教材は概念の知識。この記事では論文の要旨で確認した。
どれも、決まった教材を一定の期間で学んだ実験です。仕事や家庭の事情で何週間も空く独学に、同じ大きさで当てはまるとは限りません。
03 今日からできる小さな一歩たまった復習は、どの順番で片づければいい?
新しい項目の追加を止め、遅れた分を数日に分けます。読み返すのではなく答えを隠して思い出し、思い出せなかったものだけ覚え直します。
新しい項目の追加を、いったん止める
新しく覚える項目を増やすと、数日後の復習もその分増えます。たまった分が片づくまで、新しい単元やカードは足しません。
所要 0分
遅れた分を数日に分ける
たまった数を、1日に続けられる量で割ります。遅れが少し延びても、成績の下がり方はゆるやかでした[1]。1日で全部片づけようとしなくてかまいません。
所要 2分(計画を立てるだけ)
答えを隠して、まず思い出してみる
ノートやカードを読み返すのではなく、答えを見ずに書くか口に出します。思い出す方が、読み直すより後の記憶につながりました[3]。
所要 1項目10〜30秒
思い出せなかった項目だけ、その日のうちに覚え直す
答えを確かめたら、時間をおいてもう一度思い出します。研究では、何回か正しく思い出せるまで練習していました[4]。思い出せた項目は、次の復習日に回します。
所要 1日10〜20分
思い出せた項目も、テストからははずさない
「もう覚えた」と感じても、次の復習日に答えを隠して確かめます。テストを続けた項目だけが、後でよく残りました[3]。
所要 次の復習日に1項目数秒
次の間隔は、厳密に合わせなくてよい
間隔を少しずつ広げるか同じにするかで、はっきりした差は出ませんでした[2]。「前回より少し長くあける」くらいの目安で十分です。間隔の目安は復習日の計算機でも確かめられます。
所要 1分
遅れの長さ別に、やることをまとめると次のようになります。
| 遅れ | まずやること | 新しい項目 |
|---|---|---|
| 数日 | 今日の分に少し足して、2〜3日で片づける | 止めなくてよい |
| 1〜2週間 | 数日に分け、答えを隠して思い出す | 片づくまで止める |
| 1か月以上 | 思い出せない項目が多ければ、覚え直しとして扱う | 止める |
この表は、上の研究をもとに整理した目安です。1か月以上空いて大半を忘れていたときの進め方は、忘れた後の覚え直しの記事にまとめています。
04 続けるためのコツ復習を二度とためないためのコツは?
1日の新しい項目の数を、続けられる復習の量に合わせて決めます。忙しい週は「新しい項目なし・復習だけ」の日を作ります。
- 忙しくなりそうな週は、先に新しい項目を減らしておく。
- 復習の記録をつけ、思い出せたか・思い出せなかったかを残す。記録のつけ方は英単語の復習スケジュール表が使えます。
- 遅れを責めず、遅れた分を数で見て、分けて片づける。間隔のずれの損はゆるやかです。
05よくある質問
復習の予定日を過ぎたら、最初から覚え直しですか?
最初からやり直す必要はありません。Cepedaら(2008)では、復習までの間隔が最もよい長さを超えると成績は下がりましたが、下がり方はゆるやかでした。遅れた項目も、まず思い出せるか試し、思い出せなかったものだけ覚え直します。
たまった復習は、1日で全部片づけた方がいいですか?
1日で片づける必要はありません。数日に分けても、遅れが少し延びるだけで、成績の下がり方はゆるやかです。1日に詰め込むより、続けられる量に分けて、思い出す形で取り組みます。
もう覚えている項目は、復習からはずしてもいいですか?
読み直しははずしてかまいませんが、思い出すテストからははずさない方が残ります。Karpickeら(2008)では、一度思い出せた項目でも、テストを続けたときだけ後の記憶に大きな差が出ました。
出典
- Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11), 1095-1102. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x
- Karpicke, J. D., & Bauernschmidt, A. (2011). Spaced retrieval: Absolute spacing enhances learning regardless of relative spacing. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 37(5), 1250-1257. https://doi.org/10.1037/a0023436
- Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319(5865), 966-968. https://doi.org/10.1126/science.1152408
- Rawson, K. A., & Dunlosky, J. (2011). Optimizing schedules of retrieval practice for durable and efficient learning: How much is enough? Journal of Experimental Psychology: General, 140(3), 283-302. https://doi.org/10.1037/a0023956


