やる気・心

英語を話そうとして頭が真っ白になった。どう立て直す?外国語の不安の研究と、次に話すための6つの手順

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卓上のマイクスタンドと箱
Photo: Jud McCranie / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

英会話の練習で、言いたいことは頭にあったのに、口を開いた瞬間に真っ白になった。あとから「あんな簡単なことも言えなかった」と落ち込む。語学を独学している人には、よくある経験です。結論から言うと、外国語を話すときの緊張は多くの学習者に見られ、成績と弱い〜中くらいの関係があります。ただ、緊張を下げる工夫には研究があります。思い込みを現実的に言い直す、自分を励ます言葉を用意する、受け止めてくれる相手と話す、の3つです。この記事では、固まってしまった後の立て直し方を6つの手順にまとめました。

3行でわかる

  1. 外国語の不安と成績の関係を調べたメタ分析では、不安が強い人ほど成績が低い傾向があった(中国語学習者4,191人で相関r=−0.28、初心者では−0.39)。
  2. 40の介入研究をまとめたレビューでは、思い込みを見直す方法と前向きな自分への言葉を、先生や仲間からのフィードバックと組み合わせた方法で不安が下がっていた。仲間同士のグループ活動だけでは下がらなかった。
  3. 立て直しは、①起きたことを3行で書く ②思い込みを言い直す ③詰まった一言を準備する ④自分への一言を決める ⑤受け止めてくれる相手と短く話す ⑥AIとの練習は下準備に使う、の6つ。

01 悩みの正体外国語を話すと頭が真っ白になるのは、なぜ?

外国語を話すときの不安は「外国語不安」と呼ばれ、多くの学習者に見られます。話すことは、聞く・考える・言うをその場で同時にこなす作業なので、読み書きより不安の影響を受けやすいと考えられています。

外国語の授業や会話の場で感じる緊張や心配を、研究では「外国語不安」と呼びます。1980年代から測る尺度が作られ、多くの国で調べられてきました。

読む・書くは、立ち止まって考えられます。話すときは、相手を待たせないように、その場で言葉を探して組み立てなければなりません。研究者は、この「その場での処理の重さ」が、話すときに不安が強く出やすい理由だと説明しています[1][2]。固まったのは、能力や意志の問題だけではありません。

02 科学的にわかっていること話すときの不安は、どうすれば下がる?

不安と成績には弱い〜中くらいの負の関係があります。思い込みを見直す方法と自分への前向きな言葉を、フィードバックと組み合わせたやり方で不安が下がっていました。ただし研究の多くは少人数です。

Qiaoら(2025)[1]

中国語を学ぶ人を対象にした23本の研究(58の効果量、計4,191人)をまとめたメタ分析。不安と成績の間には、弱い〜中くらいの負の相関(r=−0.28)があった。この関係は初心者でもっとも強かった(r=−0.39)。著者らは別のメタ分析[2]と比べ、英語学習では不安と成績の負の関係がより強かったと述べている。

対象: 中国語を学ぶ外国人学習者など / 限界: すべて相関の研究で、自己申告の尺度。不安が成績を下げるのか、成績が低いから不安になるのか、向きはわからない。

Toyama・Yamazaki(2021)[3]

外国語の不安を下げる授業の工夫を試した40本の研究を、体系的に集めて整理したレビュー。思い込みを見直す療法と前向きな自分への言葉を、仲間や先生からのフィードバックと組み合わせた方法では、不安が下がっていた。先生とのやりとりを増やす工夫は「効果がありそう」とされた。一方、仲間からのフィードバックやグループ活動だけでは、不安は下がらなかった。リラックス法や瞑想、音楽、オンラインでのやりとりの効果ははっきりしなかった。

対象: 17の国・地域、2007〜2020年の研究。27本が大学生 / 限界: 研究どうしの違いが大きく、効果をまとめた数値は出していない。18本は10〜49人の少人数で、比較する群が無い研究も13本あった。

上のレビューで紹介された日本の研究(Toyama・Yamazaki、2019)[3]

日本の大学生に6週間、思い込みを見直す練習と前向きな自分への言葉を、仲間と先生のフィードバックとともに行った。自信を持って話している自分を思い浮かべながら、自分への言葉を使うよう指導された。不安が下がったのは、この介入を受けた群だけだった。

対象: 介入群57人、比較群70人 / 限界: 介入の前から2つの群の不安の高さに差があった。授業の中での実験で、独学の人に同じ効果があるかはわからない。

Chenら(2026)[4]、Wangら(2026)[5]

生成AIを使った語学の授業を調べた23本の研究のメタ分析[4]では、ふつうの授業より、不安・退屈・楽しさを合わせた気持ちが大きく改善し(効果量g=0.788)、とくに不安と退屈の改善が大きかった。一方、AIを使った学習と不安全般を調べた22本の研究のメタ分析[5]では、不安全体は下がっていたが、外国語の不安やチャットボットに限ると、はっきりした効果は確認されなかった。

対象: [4]は計3,461人 / 限界: [4]は要旨で確認。[5]の著者らは、くじ引きの手順の報告が不十分な研究が多く、少人数の研究ほど効果が大きく出る傾向があったとしている。2つの結果は一致していない。

ここで紹介した研究は、主に学校や大学の授業の中で行われたものです。一人で語学を学ぶ社会人が、オンライン英会話などで話す場面に同じ効果があるかは、確かめられていません。

03 今日からできる小さな一歩話せなくて落ち込んだあと、次に向けて何をする?

その日のうちに起きたことを3行で書き、「完璧に話せないと恥ずかしい」といった思い込みを現実的な言葉に言い直します。詰まった一言を準備し、受け止めてくれる相手と短く話すところから再開します。

1

その日のうちに、起きたことを3行で書く

「何を言おうとしたか」「どこで詰まったか」「そのとき頭に浮かんだ考え」を1行ずつ書きます。事実と考えを分けておくと、次の手順で考えを見直しやすくなります。

所要 3分

2

頭に浮かんだ考えを、現実的な言葉に言い直す

「間違えたら相手にあきれられる」「一度も詰まらずに話せないとだめだ」のような考えを、「学習中は詰まって当たり前。伝われば十分」のように言い直します。思い込みを見直す方法は、不安が下がった介入の柱でした[3]。

所要 3分

3

詰まった一言を、3つの言い方で準備して声に出す

言えなかった内容を、簡単な単語で言い換えた形も含めて3通り書き、声に出して3回ずつ言います。「ちょっと待って、言い方を考えます」のような時間をかせぐ一言も入れておきます。話すときの負担を事前に軽くするための、このサイトの提案です。

所要 10分

4

話す前に使う「自分への一言」を決める

「ゆっくりでいい。伝われば合格」のような短い言葉を決め、話し始める前に心の中で言います。話せている自分を思い浮かべながら使う方法が、日本の大学生の介入で使われました[3]。

所要 1分

5

受け止めてくれる相手と、短い時間で再開する

次は、間違いを責めずにフィードバックをくれる先生や講師、話しやすい相手と、5〜10分の短い会話から始めます。先生とのやりとりを増やす工夫は効果がありそうとされ、仲間とのグループ活動だけでは不安は下がりませんでした[3]。

所要 5〜10分

6

AIとの会話練習は、人と話す前の下準備に使う

AI相手なら、失敗を気にせず何度でも言い直せます。ただ、外国語の不安が下がるかは研究の結果が分かれています[4][5]。AIで手順3の一言を練習し、本番は人と話す、という順番がおすすめです。

所要 10分

04 続けるためのコツ話す練習を、怖くならずに続けるには?

話す回数を「長く・たまに」より「短く・こまめに」にし、うまく言えた一言を記録します。読み書きで単語を出す練習を続けておくと、話すときに言葉を探す負担も減らせます。

人前で話す場面への不安が強く、仕事や生活に支障が出ている、気持ちのつらさが続くときは、一人で抱えずに医療機関や相談窓口に相談してください。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)でも相談できます。

05よくある質問

英語を話すと緊張するのは、才能がないから?

いいえ。外国語を話すときの不安は多くの学習者に見られ、とくに初心者で成績との関係が強く出ていました。話すことは、その場で言葉を探して組み立てる重い作業なので、緊張しやすいのは自然なことです。慣れと準備で負担を減らせます。

緊張しないように、リラックス法や瞑想をした方がいい?

40の介入研究をまとめたレビューでは、語学の授業でのリラックス法や瞑想の効果は、まだはっきりしないとされています。研究で不安が下がっていたのは、思い込みを見直す方法と前向きな自分への言葉を、フィードバックと組み合わせたやり方でした。

AIと英会話の練習をすれば、緊張しなくなる?

研究の結果は分かれています。生成AIを使った語学の授業で不安や退屈が大きく改善したというメタ分析がある一方、別のメタ分析では外国語の不安に限るとはっきりした効果は確認されませんでした。AIは失敗を気にせず言い直せる下準備に使い、本番は人と話すのがおすすめです。

出典

  1. Qiao, P., Yuan, Z., & Li, S. (2025). The impact of anxiety on Chinese as a second language achievement: A meta-analytic perspective. Frontiers in Psychology, 16, 1620275. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1620275
  2. Teimouri, Y., Goetze, J., & Plonsky, L. (2019). Second language anxiety and achievement: A meta-analysis. Studies in Second Language Acquisition, 41(2), 363–387. https://doi.org/10.1017/S0272263118000311
  3. Toyama, M., & Yamazaki, Y. (2021). Classroom interventions and foreign language anxiety: A systematic review with narrative approach. Frontiers in Psychology, 12, 614184. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.614184
  4. Chen, S., Yu, L., Huang, R., Bai, X., & Qin, J. (2026). The effects of generative AI on foreign language emotions: A meta-analysis. Acta Psychologica, 268, 107336. https://doi.org/10.1016/j.actpsy.2026.107336
  5. Wang, W., Diao, L., & Yu, J. (2026). Artificial intelligence and academic anxiety? A meta-analysis. BMC Psychology, 14, 1279. https://doi.org/10.1186/s40359-026-05018-y