1種類ずつより、混ぜて練習した方が身につくのか。交互練習(インターリービング)の研究

問題集を1章ずつ解くと、その章ではすらすら解けるのに、模試で種類がバラバラに出ると手が止まる。そんな経験はありませんか。研究では、種類の違う問題を混ぜて練習する「交互練習」が、算数・数学や絵の見分けで、あとのテストの成績を上げることが確かめられています。ただし、何にでも効くわけではありません。
3行でわかる
- 種類の違う問題を混ぜて練習すると、練習中は間違いが増えるが、1週間〜1か月後のテストでは上回りやすい。
- 効果が大きいのは、見た目が似ていて見分けにくい種類を区別する学習。数学や絵の作風などで確認されている。
- 単語の暗記では、混ぜるよりまとめて学ぶ方が良かった。混ぜるかどうかは教材で決める。
01章ごとに解けるのに、本番で解けないのはなぜ
1種類ずつまとめて解くと、問題を読む前に「どの解き方を使うか」がわかっています。本番で必要な「解き方を選ぶ力」を練習していないのです。
同じ種類の問題をまとめて解くことを、研究ではブロック練習と呼びます。これに対し、種類の違う問題を混ぜた順番で解くことを交互練習(インターリービング)と呼びます。
Rohrerら(2015)は、一般的な数学の宿題は直前の授業で習った解き方の問題ばかりだと指摘しています。混ぜて解くと、問題そのものを見て解き方を選ぶ必要が出てきます。総合的な試験で求められるのは、まさにこの力です[3]。
「間をあけて復習する」方法とも似ていますが、別の工夫です。間をあける効果については分散学習の記事で紹介しています。
02科学的にわかっていること
混ぜて練習すると、練習中の成績は下がりますが、あとのテストでは上回ります。59研究をまとめた分析でも効果は中程度。ただし教材によっては逆効果です。
Rohrer・Taylor(2007)[1]
4種類の立体の体積の求め方を学んだ大学生が、種類ごとにまとめて練習するか、混ぜて練習しました。練習中の正答率は、まとめた方が89%、混ぜた方が60%でした。
ところが最後の練習から1週間後のテストでは、混ぜたグループが63%、まとめたグループは20%。結果が逆転しました。
対象: 米サウスフロリダ大学の学部生18人(実験2) / 限界: 人数が少なく、練習と同じ形の問題でテストした実験室の研究。
Kornell・Bjork(2008)[2]
12人の画家の絵を見て作風を覚える実験です。同じ画家の絵を続けて見るより、ほかの画家の絵と混ぜて見た方が、初めて見る絵の画家を正しく当てられました(61%対35%)。
しかし78%の人は「続けて見る方が同じか、より良い」と答えました。混ぜた方が成績が良かった人でも、そう感じていたのです。
対象: 米UCLAの学部生120人(実験1a) / 限界: 絵の作風を見分ける短時間の課題で、資格試験などの勉強とは内容が違う。
Rohrerら(2015)[3]
中学1年生にあたる7年生126人が、3か月間、同じ問題を「混ぜた順番」か「単元ごと」で解きました。予告なしのテストで、混ぜたグループが上回りました。
差は翌日のテストより、30日後のテストの方が大きくなりました(効果の大きさ d=0.42と0.79)。
対象: 実際の授業の中で行った7年生の数学 / 限界: 中学生の数学1科目の結果で、大人の独学にそのまま当てはまるとは限らない。
Brunmair・Richter(2019)[4]
59研究・238の効果量をまとめた分析で、交互練習の効果は中程度でした(g=0.42)。絵画では大きく(g=0.67)、数学では小さめ(g=0.34)でした。
一方、単語の学習では、まとめて学ぶ方が良い結果でした(g=−0.39)。説明文の読解では、はっきりした効果は確認されていません。
対象: 59研究に含まれる158のサンプル(場面・教材はさまざま) / 限界: 教材の種類によって結果が大きく違い、「いつでも混ぜればよい」とは言えない。
03今日からできる小さな一歩
解き方を選ぶ必要がある科目では、問題集の1章分を解いたあと、前の章の問題を混ぜて解きます。単語の暗記は、無理に混ぜなくて大丈夫です。
混ぜる相手を2〜3種類決める
取り違えやすい単元を選びます。たとえば公式が似ている問題や、仕訳の種類が近い問題です。
所要 3分
番号をシャッフルして解く
各単元から数問ずつ選び、順番を混ぜて解きます。解く前に「これはどの解き方か」を一言メモします。
所要 15分
答え合わせで「選び間違い」に印
計算ミスではなく、解き方を選び間違えた問題に印をつけます。次回はその組み合わせを多めに混ぜます。
所要 5分
04続けるためのコツ
混ぜると間違いが増えて、うまくいっていない気がします。それは研究でも起きていることで、失敗ではありません。
- 新しい単元を初めて学ぶときは、まず1種類ずつ解き方を確認してから混ぜる。
- 練習中の正答率で判断しない。混ぜた練習は、練習中は低く、あとで伸びる。
- 単語・用語の暗記は、混ぜるより思い出す練習を優先する。
05よくある質問
交互練習(インターリービング)とは何ですか?
種類の違う問題や事例を、1種類ずつまとめずに混ぜた順番で練習する方法です。たとえばA・B・Cの3種類の問題を、AAA・BBB・CCCではなく、A・C・B・A…のように解きます。
英単語の暗記も混ぜた方がいいの?
単語の学習では、混ぜるより、まとめて学ぶ方が良かったという分析結果があります。混ぜる効果が出やすいのは、見分けにくい種類を区別する練習(数学の解き方の選択、絵の作風など)です。
混ぜると練習中に間違いが増えるのはダメなこと?
研究では、混ぜた練習は練習中の正答率が下がる一方で、1週間後のテストでは上回りました。練習中の間違いは、解き方を選ぶ練習をしている途中のサインと考えられます。
勉強法の早見表で「種類の違う問題を混ぜて練習する(交互練習)」の判定を見る
ほかの勉強法も22種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。
出典
- Rohrer, D., & Taylor, K. (2007). The shuffling of mathematics problems improves learning. Instructional Science, 35(6), 481-498. https://doi.org/10.1007/s11251-007-9015-8
- Kornell, N., & Bjork, R. A. (2008). Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"? Psychological Science, 19(6), 585-592. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02127.x
- Rohrer, D., Dedrick, R. F., & Stershic, S. (2015). Interleaved practice improves mathematics learning. Journal of Educational Psychology, 107(3), 900-908. https://doi.org/10.1037/edu0000001
- Brunmair, M., & Richter, T. (2019). Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators. Psychological Bulletin, 145(11), 1029-1052. https://doi.org/10.1037/bul0000209


