集中・環境

勉強中にスマホを見て集中が切れた。どう戻る?中断から立て直す研究でわかったやり方

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Photo: Skitterphoto / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

問題を解いている途中で通知が鳴り、つい開いたスマホ。気づけば10分たっていて、机に戻っても、どこまで考えていたか思い出せない。研究の答えは「数秒の中断でも、手順の途中の『どこまでやったか』は抜けやすい。戻るときは、続きから無理に始めず、止まった場所を確かめ直すと立て直しやすい」です。集中が切れたのは意志の弱さではなく、記憶の仕組みによるものです。

3行でわかる

  1. 平均4.4秒の中断で、手順の「どこまでやったか」を間違える割合が約3倍になった実験がある。中断が長く、頭を使うものほど、元の作業に戻るのに時間がかかった。
  2. 中断に備える工夫は、元の作業の正確さを上げ、戻るまでの時間を縮めた(33の実験のメタ分析)。休憩にスマホを使うと、紙やパソコンでの休憩より、後半の課題の出来が悪かった。
  3. 立て直しは、①スマホを手の届かない所へ ②止まった場所を1分で確かめ直す ③次からは席を立つ前に「再開メモ」を1行書く、の3つ。

01 悩みの正体スマホを見た後、勉強に戻れないのはなぜ?

中断している間に、「今どこまでやったか」「次に何をするか」という記憶が薄れるためです。戻ったときに、その記憶をもう一度呼び起こす手間がかかります。

勉強の途中には、「この問題の3行目まで計算した」「次はこの公式を使う」といった、今の作業の目標が頭の中にあります。中断の研究では、これを「目標の記憶」と呼びます。

目標の記憶は、使っていない間に少しずつ薄れていくと考えられています。代表的な説明(目標の記憶モデル)では、戻るときに目に入る手がかりや、中断の直前に目標を確かめておくことが、思い出す助けになるとされます[5]。

また、気が散って別のことを考えてしまうこと(マインドワンダリング)は、意識のふつうの働きです。間違いの原因にもなる一方、先の計画を考えるのに役立つ面もあると、研究のまとめで整理されています[7]。気が散った自分を責めるより、どう戻るかに目を向ける方が建設的です。

02 科学的にわかっていること短い中断でも、勉強の流れは崩れる?

数秒の中断でも、手順の途中で「どこまでやったか」を間違えやすくなります。中断が長く、頭を使うものほど、元の作業に戻るのに時間がかかりました。

Altmannら(2014)[1]

決まった順番で手順を進める課題の途中に、短い中断を入れた実験。平均4.4秒の中断で、手順の順番を間違える割合が、中断のないときの約3倍になった。平均2.8秒の中断でも約2倍だった。一方、手順そのものの間違いは増えなかった。

対象: 実験室の参加者 / 限界: 順番を守る課題での結果で、勉強そのものではない。著者らの追加の研究でも、中断の長さが影響したのは「どこまでやったか」の間違いで、手順の実行の間違いではなかった[2]。

Monkら(2008)[3]

3つの実験で、中断が長いほど、また中断中の作業が頭を使うものほど、元の作業に戻るまでの時間が長くなった。1分までの中断で、時間とともに目標の記憶が薄れていくことを支持する結果だった。目標を頭の中でくり返すことが、薄れを和らげると考えられた。

対象: 実験室の参加者 / 限界: 調べた中断は1分まで。10分以上スマホを見ていた場合は直接調べていない。

Guoら(2021)[4]

中断の悪い影響を減らす工夫を調べた33の実験(49の工夫)のメタ分析(多くの研究を統計でまとめる方法)。工夫は7種類に分けられ、全体として元の作業の正確さを上げ(標準化平均差1.03)、戻るまでの時間を縮めた(同−0.51)。効果は工夫の種類と作業の種類で違った。

対象: 実験室の研究33本 / 限界: 勉強での研究ではない。どの種類の工夫が最も効いたかは、本文を確認できなかったため、ここには書かない。

KangとKurtzberg(2019)[6]

米国の大学生414人が、文字の並べ替えパズルを前半・後半に分けて解いた。途中の休憩で、買い物リストの品物をスマホで選んだグループは、パソコンや紙で同じことをしたグループより、後半に解けた問題が少なかった(平均6.38問と8.13問)。後半にかかった時間も長かった(平均330秒と277秒)。

対象: 米国の大学生414人 / 限界: 1つの実験だけで、休憩の中身は決められた買い物リスト作り。SNSや動画を見た場合ではない。休憩なしのグループ(平均5.32問)よりは、スマホでも休憩した方がよかった。

03 今日からできる小さな一歩スマホを見てしまった後、どう勉強に戻る?

まずスマホを手の届かない所へ移し、止まった場所を1分かけて確かめ直してから再開します。次からは、席を立つ前に「再開メモ」を1行書いておきます。

1

スマホを手の届かない所へ移す

画面を伏せるだけでなく、かばんや別の部屋に入れます。通知が鳴るだけで集中が乱れることがわかっているので、通知も切ります。置き方は勉強中のスマホの記事で扱っています。

所要 30秒

2

続きからではなく、1つ前の手順から始める

中断で抜けやすいのは「どこまでやったか」です[1][2]。計算問題なら直前の1行を、読書なら直前の段落を読み直してから進みます。

所要 1分

3

「次にやること」を声に出すか書く

「この問題の残りを解く」「この節の要点を3つ書く」のように、次の目標を短く言葉にします。目標を確かめ直すことが、記憶の薄れを和らげると考えられています[3][5]。

所要 30秒

4

疲れているなら、スマホなしの休憩を5分とる

途中で休憩をとったグループは、休憩なしのグループより後半の出来がよかった実験があります。ただしスマホでの休憩は、紙やパソコンでの休憩より効果が小さめでした[6]。休憩中はスマホから離れます。休憩の入れ方はポモドーロの記事で紹介しています。

所要 5分

5

次からは、席を立つ前に「再開メモ」を1行書く

「問3の2行目まで。次は両辺を2で割る」のように、止まった場所と次の一手を書きます。戻ったときの手がかりになります。中断の直前に準備できると再開しやすいという研究が、目標の記憶モデルの根拠の1つです[5]。

所要 10秒

04 続けるためのコツ何度も集中が切れるときは、どうする?

切れるたびに立て直すより、中断そのものを減らす方が効果的です。止まりやすい区切りを自分で決め、通知など外から割り込むものを先に減らします。

  • 勉強は手順の区切り(1問解き終えた所、1節読み終えた所)で止める。途中で止めるほど「どこまで」の記憶が必要になる。
  • 再開メモは、ノートの端やふせんなど、戻ったときに必ず目に入る所に書く。
  • スマホを見た回数を数えて責めない。気が散るのは意識のふつうの働きで、大事なのは戻り方。何日も止まってしまったときは勉強を休んだ後の再開の記事を参考にする。

ここで紹介した中断の研究は、実験室で数秒〜1分の中断を調べたものが中心です。自宅で10分以上スマホを見た後の立て直しを直接調べた研究は見当たりません。手順は、わかっている仕組みを独学に当てはめたものです。

05よくある質問

スマホを少し見ただけでも、集中は切れますか?

数秒の中断でも、手順の途中で「どこまでやったか」を間違えやすくなります。平均4.4秒の中断で、順番の間違いが約3倍になった実験があります。ただし、手順そのものの理解が失われるわけではないので、止まった場所を確かめ直せば戻れます。

休憩中にスマホを見るのはよくないですか?

休憩にスマホを使ったグループは、パソコンや紙で同じことをしたグループより、休憩後の課題の出来が悪かったという実験があります。ただし、休憩をとらないよりはよい結果でした。1つの実験の結果なので、スマホの休憩を禁止するより、少なくとも勉強の再開前には手放すのが現実的です。

集中が切れたら、今日はもうやめた方がいいですか?

やめる必要はありません。スマホを遠ざけ、止まった場所を1分確かめ直せば再開できます。疲れが原因なら、スマホなしで5分休んでから戻ります。気が散るのは誰にでも起きることなので、戻り方を決めておくことが大切です。

出典

  1. Altmann, E. M., Trafton, J. G., & Hambrick, D. Z. (2014). Momentary interruptions can derail the train of thought. Journal of Experimental Psychology: General, 143(1), 215–226. https://doi.org/10.1037/a0030986
  2. Altmann, E. M., Trafton, J. G., & Hambrick, D. Z. (2017). Effects of interruption length on procedural errors. Journal of Experimental Psychology: Applied, 23(2), 216–229. https://doi.org/10.1037/xap0000117
  3. Monk, C. A., Trafton, J. G., & Boehm-Davis, D. A. (2008). The effect of interruption duration and demand on resuming suspended goals. Journal of Experimental Psychology: Applied, 14(4), 299–313. https://doi.org/10.1037/a0014402
  4. Guo, J., Chen, T., Xie, Z., & Or, C. K. (2021). Effects of interventions to reduce the negative consequences of interruptions on task performance: A systematic review, meta-analysis, and narrative synthesis of laboratory studies. Applied Ergonomics, 97, 103506. https://doi.org/10.1016/j.apergo.2021.103506
  5. Labonté, K., & Vachon, F. (2021). Resuming a dynamic task following increasingly long interruptions: The role of working memory and reconstruction. Frontiers in Psychology, 12, 659451. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.659451
  6. Kang, S., & Kurtzberg, T. R. (2019). Reach for your cell phone at your own risk: The cognitive costs of media choice for breaks. Journal of Behavioral Addictions, 8(3), 395–403. https://doi.org/10.1556/2006.8.2019.21
  7. Smallwood, J., & Schooler, J. W. (2015). The science of mind wandering: Empirically navigating the stream of consciousness. Annual Review of Psychology, 66, 487–518. https://doi.org/10.1146/annurev-psych-010814-015331