続け方・習慣

勉強仲間がいると続くのか。一緒に学ぶ効果(協同学習・同席効果)の研究

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Study Area and Stacks, Thompson Memorial Library, Vassar College
Photo: Sabatheus (Jim Mills) / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

一人の勉強は、さぼっても誰にも気づかれません。だから続かないのは、あなたの意志が弱いせいではありません。研究では、一人で作業していても「仲間と一緒に取り組んでいる」と感じるだけで粘り強さが増し、進み具合を人に報告すると目標を達成しやすくなることが示されています。ただし、人がそばにいると、複雑な課題は逆にはかどりにくくなることもあります。

3行でわかる

  1. 一人で作業していても「一緒にやっている」と感じた人は、難しい課題に48%長く取り組んだ。
  2. 進み具合を記録し、人に報告したり公開したりすると、目標を達成しやすくなる。
  3. ただし、複雑な課題は人がそばにいると成績が下がることがある。新しい内容を覚える時間は一人でもよい。

01一人の勉強が続きにくい理由

独学には、始める時間を決める人も、進み具合を見てくれる人もいません。続けるための支えを、すべて自分一人で用意しなければならないことが続きにくさの一因です。

学校の勉強が続いたのは、授業の時間割や、隣で同じ問題を解くクラスメイトがいたからかもしれません。独学ではそれがなくなります。

では、勉強仲間をつくれば解決するのでしょうか。研究を見ると、答えは「効く場面と、そうでない場面がある」です。

02科学的にわかっていること

「一緒にやっている感覚」と「進み具合の報告」は、続ける力を高める方向の結果が出ています。一方で、人がいるだけで難しい勉強がはかどるとは限りません。

CarrとWalton(2014)[1][5]

5つの実験。参加者は3〜5人で顔を合わせたあと、別々の部屋で一人ずつ難しいパズルに取り組んだ。「仲間と一緒に取り組んでいる」と感じる手がかり(仲間からのヒントのメモなど)を受け取った人は、一人で取り組んでいると思った人より48%長く取り組み、パズルを面白いと感じた。

対象: 3〜5人のグループで顔を合わせた実験参加者 / 限界: 1回きりの短い実験で、解けないパズルを使ったもの。数か月続く独学で同じ効果が出るかは確かめられていない。

Harkinら(2016)[2]

138の研究・計19,951人をまとめたメタ分析(複数の研究を統合して分析する方法)。進み具合を確認するよう促すと、目標の達成に小〜中の効果(d=0.40)があった。結果を人に報告したり公開したりした場合と、紙などに記録した場合に、効果がより大きかった。

対象: 勉強に限らず、さまざまな目標を扱った研究 / 限界: 勉強の継続だけを調べたものではない。

Kyndtら(2013)[3][6]

1995年以降に実際の教室で行われた研究をまとめたメタ分析。小グループで役割を分けて学ぶ「協同学習」は、ふつうの一斉授業より成績に中程度の効果(効果量0.54)があった。理科・数学で特に効果が大きかった。

対象: 小学生から大学生 / 限界: 先生が課題と役割を設計した授業での結果。社会人が仲間と自主的に集まる勉強会とは違う。

BondとTitus(1983)[4][7]

人がそばにいると成績が変わる現象(社会的促進)について、241の研究をまとめたメタ分析。この分析は、複雑な課題では人がいると成績が下がる「社会的抑制」の根拠として、後の研究でも引用されている。

対象: さまざまな作業を扱った研究 / 限界: 古い分析で、勉強だけを対象にしたものではない。

Martinら(2019)[7]

英語を学ぶスペインの大学生が新しい単語を覚える実験。先生が同じ部屋で向かい合って教えるより、同じ先生を動画で見て一人で覚えた方が、よく覚えられた。著者らは、人がそばにいると成績が下がる「社会的抑制」で説明している。

対象: スペインの大学生(実験1は36人) / 限界: 先生と向かい合う場面の結果で、仲間と並んで勉強する場面とは違う。

なお、画面越しに一緒に作業する「ボディダブリング」は話題になっていますが、その効果をくじ分けで比べた大きな実験は、調べた範囲では見つかりませんでした。上の研究はどれも、短い実験や学校の授業が中心です。社会人が何か月も続ける独学に、そのまま当てはまるとは限りません。

03今日からできる小さな一歩

仲間は1人で十分です。「進み具合を報告する相手」と「同じ時間に始める相手」をつくり、難しい内容は一人で進めます。

1

週に1回、進み具合を1人に報告する

「今週は問題集を20ページ、単語を150個」のように数字で送ります。記録してから報告すると、研究の条件に近づきます。

所要 3分

2

オンラインで「同じ時間に始める」約束をする

通話をつなぐか、「21時から30分やる」とメッセージで伝え合います。終わったら「終わった」と一言送るだけで十分です。

所要 30分

3

新しい内容は、一人の時間に回してもいい

人がそばにいると落ち着かないなら、新しい単元を覚える作業は一人の静かな時間に。仲間は「報告」と「始める約束」に使います。

所要 5分

04続けるためのコツ

仲間との約束は、重くしすぎないことが大切です。報告は短く、休んだ週も責め合わないルールにすると長く続きます。

  • 報告は数字1行にする。長い報告は、それ自体が負担になる。
  • 相手の進み具合と比べない。報告は「自分の記録を外に出す」ためのもの。
  • 仲間がいないときは、記録を手帳やアプリに残すだけでも、進み具合の確認になる。
  • 始める時間は「もし〇〇したら△△する」の形で決めておく。意志に頼らない環境づくりとも組み合わせられる。
  • 仲間に教える時間をつくると、教えることで自分も覚える効果も期待できる。

05よくある質問

勉強仲間がいると、本当に勉強は続くの?

続けやすくなる手がかりはあります。CarrとWalton(2014)の実験では、一人で作業していても「仲間と一緒に取り組んでいる」と感じた人は、難しいパズルに48%長く取り組みました。ただし短時間の実験で、何か月も続く独学で同じ効果が出るかは確かめられていません。

オンラインで一緒に勉強する(作業通話・ボディダブリング)は効果があるの?

画面越しに一緒に作業する「ボディダブリング」そのものの効果を、くじ分けで比べた大きな実験は、調べた範囲では見つかりませんでした。ただ、一人でも「一緒にやっている」と感じると粘り強さが増すという実験や、進み具合を人に報告すると目標を達成しやすいという分析はあり、試す価値はあります。

人がいると集中できないのですが、おかしいですか?

おかしくありません。複雑な課題では、人がそばにいると成績が下がる「社会的抑制」が知られています。Martinら(2019)の実験でも、大学生は先生と向かい合うより、動画で一人で学んだ方が新しい単語をよく覚えました。新しい内容は一人で、報告や約束に仲間を使う、と分けるのが一つの方法です。

勉強法の早見表で「勉強仲間に進み具合を報告する」の判定を見る
ほかの勉強法も30種類、研究で「効く・条件しだい・当てにならない」に分けています。

出典

  1. Carr, P. B., & Walton, G. M. (2014). Cues of working together fuel intrinsic motivation. Journal of Experimental Social Psychology, 53, 169–184. https://doi.org/10.1016/j.jesp.2014.03.015
  2. Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229. https://doi.org/10.1037/bul0000025
  3. Kyndt, E., Raes, E., Lismont, B., Timmers, F., Cascallar, E., & Dochy, F. (2013). A meta-analysis of the effects of face-to-face cooperative learning. Do recent studies falsify or verify earlier findings? Educational Research Review, 10, 133–149. https://doi.org/10.1016/j.edurev.2013.02.002
  4. Bond, C. F., & Titus, L. J. (1983). Social facilitation: A meta-analysis of 241 studies. Psychological Bulletin, 94(2), 265–292. https://doi.org/10.1037/0033-2909.94.2.265
  5. Association for Psychological Science (2014). Just Feeling Like Part of a Team Increases Motivation on Challenging Tasks.([1]の研究紹介記事。査読論文ではない) https://www.psychologicalscience.org/news/minds-business/just-feeling-like-part-of-a-team-increases-motivation-on-challenging-tasks.html
  6. Clearinghouse Unterricht, Technical University of Munich. Cooperative Learning in the Classroom: New Findings Substantiate the Effectiveness of this Method.([3]の研究要約(Clearinghouse)。査読論文ではない) https://www.clearinghouse.edu.tum.de/wp-content/uploads/2023/12/CHU_KR4_ENG_Kyndt_2013.pdf
  7. Martin, C. D., Underwood, A., & Molinaro, N. (2019). I'm doing better on my own: Social inhibition in vocabulary learning in adults. Frontiers in Psychology, 10, 1350. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.01350