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「選択肢で迷ったら、いちばん長いものか真ん中を選べ」は本当?正解の位置と「答えの手がかり」の研究(効く・効かないの判定)

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削った鉛筆
Photo: Chad Davis / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(独自の実験ではありません。出典は末尾)。

資格試験の四択で、どうしても答えがわからない。そんなとき「いちばん長い選択肢が正解」「迷ったら真ん中」という裏ワザを思い出す人は多いはずです。試験問題の作り方と、答えの手がかりを調べた研究を見ると、判定は「当てにならない」でした。手がかりが効くのは作りの甘い問題だけで、きちんと作られた試験ではほとんど役に立ちません。

3行でわかる

  1. 判定:「当てにならない」。薬剤師の専門資格の対策本を調べた研究では、「いちばん長い選択肢」は最もよく見つかる手がかりだったが、正解を当てる力は最も低かった。
  2. 「正解は真ん中に多い」も、きちんと作られた試験では見られない。大学の教員が作った試験問題1,925問では、四択の正解はアからエに24〜26%ずつで、偏りがなかった。
  3. 作りの甘い問題では、手がかりで点が上がることは確かめられている。ただし本番で頼れる根拠はない。迷ったら「正解探し」より、間違いの選択肢を外すほうが当たりやすい。

01 通説の中身「長い選択肢が正解」と言われるのはなぜ?

問題を作る人が、正解に条件や説明を足して長くしてしまうクセがあるからです。試験の研究では、このような「答えの手がかり」を見つけて点を取る力を「テストワイズネス」と呼びます。

選択肢の問題を作るとき、正解は「どこから見ても正しい」文にしなければなりません。そのため、作る人はつい条件や例外を書き足します。結果として、正解だけが長くなることがあります。

ほかにも、「いつも」「決して」のような言い切りの言葉、問題文と文法が合わない選択肢、「上記すべて」といった選択肢が、答えの手がかりになる作り方の欠点として知られています[2]。内容がわからなくても、こうした手がかりを見つけて点を取る力を、研究では「テストワイズネス(試験慣れの技術)」と呼びます。

試験を作る側にとって、これは困った問題です。知識ではなく手がかりで点が上がると、点数が本当の力を表さなくなるからです[5]。そのため、きちんとした試験ほど、作る段階で手がかりを消そうとします。

02 科学的にわかっていること長い選択肢・真ん中の選択肢は、本当に当たりやすい?

資格試験の対策本では、長い選択肢は正解の手がかりとして最も当たりにくいものでした。正解の位置にも偏りは見られませんでした。手がかりが点を上げるのは、問題に欠点がある場合に限られます。

Gettig(2006)[1]

アメリカの薬剤師の専門資格(薬物療法の認定試験)の対策本2005年版にある497問を調べた。手がかりを当てはめられる問題は237問(47.7%)だった。正解の手がかりは325個、間違いの手がかりは35個見つかった。「いちばん長い選択肢」は最もよく見つかった正解の手がかりだったが、正解を当てる力は手がかりの中で最も低かった。反対に、「問題文と文法が合わない」「包括的な言い回し(inclusionary language)」といった「間違いの手がかり」は、正解の手がかりよりずっと正確に間違いの選択肢を指していた。著者は、包括的な言い回しはほぼ必ず間違いの選択肢を見分けるとしている。

対象: 1冊の対策本の問題 / 限界: 著者自身が「予備的な研究」としている。本番の試験問題ではなく、対策本の問題を本番の代わりとして調べた。

Rushら(2016)[2]

アメリカの獣医学部で、教員50人が作った試験問題1,925問を調べた。選択肢の問題のうち347問(20.6%)で「いちばん長い選択肢が正解」になっていた。一方、正解の位置に偏りはなく、四択ではア25.1%、イ25.8%、ウ23.9%、エ25.1%だった。著者らは、多くの作り方の欠点は問題の難しさに影響しなかったとし、影響が見られた欠点として「ありえない選択肢」「上記すべて」などを挙げた。

対象: 獣医学部3年生向けの教員作成の試験 / 限界: 1つの大学の授業の試験。資格試験の本番問題ではない。

TarrantとWare(2008)[3]

香港の大学の看護学科で、成績を決める試験10回分の問題を調べた。全体の47.3%の問題に作り方の欠点があった(試験ごとに28〜75%)。欠点のある問題を除いて計算し直すと、合格者は779人(94.3%)から748人(90.6%)に減り、80%以上取れた人は120人(14.5%)から173人(20.9%)に増えた。著者らは、欠点のある問題は合格すれすれの学生を不利にせず、成績の良い学生のほうが損をしていたとまとめた。

対象: 香港の看護学生の大学内の試験 / 限界: 欠点のない問題だけの「仮の試験」を計算で作った比較で、学生が手がかりを使ったかは直接は測っていない。

Willingら(2015)[4]

医師向けの研修テストの問題を使った3つの実験。医学の教育を受けていない大人48人でも、選択肢を一度に見せると手がかりを使って答えられた。選択肢を1つずつ順に見せて「これは正しいか」を判断させると、手がかりの効き目は小さくなった。医学生と医師106人の実験では、手がかりのある問題の正答率は、一度に見せる形で71%、1つずつ見せる形で47%だった。

対象: 医学の教育を受けていない大人と、医学生・医師 / 限界: 手がかりがわざと残っている問題での実験。きちんと作られた試験でも同じだけ効くことを示したものではない。

ここで紹介した研究は、医療系の大学や専門資格の問題を調べたものです。日本の資格試験の問題で、長い選択肢や正解の位置を調べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。下の手順は、わかっていることを独学に当てはめたものです。

03 今日からできる小さな一歩答えがわからない問題は、どう選ぶ?

正解を当てる手がかりより、間違いを外す手がかりのほうが当たりやすいことがわかっています。文のつながらない選択肢やありえない選択肢から外し、残りを中身で比べます。そもそも迷う問題を減らすには、選択肢を隠して答える練習が確実です。

1

まず、間違いだと言える選択肢を外す

問題文と文がつながらない選択肢や、内容から見て明らかにありえない選択肢から外します。対策本の研究では、「間違いの手がかり」は「正解の手がかり」よりずっと正確でした[1]。

所要 1問30秒

2

残った選択肢を、長さではなく中身で比べる

「この選択肢が正しいなら、どの条件がそろっている?」と1つずつ確かめます。長い選択肢を選ぶクセは、対策本では最も当たらない手がかりでした[1]。

所要 1問1分

3

迷った問題には印をつけて、先へ進む

1問に時間をかけすぎると、解ける問題の時間が減ります。印をつけて最後に戻ります。時間の配り方は 試験本番の時間配分表 で決めておくと迷いにくくなります。

所要 1問5秒

4

過去問で「長い選択肢が正解だった数」を数えてみる

使っている過去問20問で、いちばん長い選択肢が正解だった数と、正解の位置を数えます。四択なら、長さに関係なく選んでも4問に1問ほどは当たります。それより多くなければ、裏ワザに頼る理由はありません。

所要 15分

5

練習では、選択肢を隠して答えを思い出す

選択肢を見る前に、自分の答えを1行書いてから選択肢を見ます。選択肢を1つずつ判断させると手がかりは効きにくくなりました[4]。手がかりに頼らない力をつける練習になります。やり方は 四択の問題集の解き方 にまとめています。

所要 1問1〜2分

04 続けるためのコツ裏ワザに頼らずに、迷う問題を減らすには?

迷った問題こそ、勉強の材料にします。どの選択肢で迷ったかを記録し、次は選択肢を隠して答えられるかを確かめます。

05よくある質問

四択で迷ったら、いちばん長い選択肢を選ぶと当たりやすい?

当てにならない、が研究からの答えです。薬剤師の専門資格の対策本を調べた研究では、「いちばん長い選択肢」は最もよく見つかる手がかりでしたが、正解を当てる力は手がかりの中で最も低いものでした。

正解は真ん中(イやウ)に多い?

きちんと作られた試験では、偏りはほとんど見られません。大学の教員が作った試験問題1,925問を調べた研究でも、四択の正解はアからエにそれぞれ24〜26%ほどで、位置の偏りは見つかりませんでした。

本当にわからない問題は、どうやって選べばいい?

正解を探す手がかりより、間違いを外す手がかりのほうが当たりやすいことがわかっています。問題文と文がつながらない選択肢や、明らかにありえない選択肢から外し、残りを中身で比べて選びます。

答えのクセを覚えるのは、まったくの無駄?

作りの甘い問題では、手がかりで点が上がることが実験で確かめられています。ただ、それは問題の欠点を突いているだけで、資格試験の本番で当てにする根拠にはなりません。その時間は、選択肢を隠して答えを思い出す練習に回すほうが確実です。

出典

  1. Gettig, J. P. (2006). Investigating the potential influence of established multiple-choice test-taking cues on item response in a pharmacotherapy board certification examination preparatory manual: a pilot study. Pharmacotherapy, 26(4), 558–562. https://doi.org/10.1592/phco.26.4.558
  2. Rush, B. R., Rankin, D. C., & White, B. J. (2016). The impact of item-writing flaws and item complexity on examination item difficulty and discrimination value. BMC Medical Education, 16, 250. https://doi.org/10.1186/s12909-016-0773-3
  3. Tarrant, M., & Ware, J. (2008). Impact of item-writing flaws in multiple-choice questions on student achievement in high-stakes nursing assessments. Medical Education, 42(2), 198–206. https://doi.org/10.1111/j.1365-2923.2007.02957.x
  4. Willing, S., Ostapczuk, M., & Musch, J. (2015). Do sequentially-presented answer options prevent the use of testwiseness cues on continuing medical education tests? Advances in Health Sciences Education, 20, 247–263. https://doi.org/10.1007/s10459-014-9528-2
  5. Downing, S. M. (2002). Threats to the validity of locally developed multiple-choice tests in medical education: construct-irrelevant variance and construct underrepresentation. Advances in Health Sciences Education, 7, 235–241. https://doi.org/10.1023/A:1021112514626